この記事の執筆者
眼とメガネの情報室
みるラボ編集部
目次
コンタクトレンズを選ぶ時、度数ばかり気にしていませんか?
度数と同じくらい重要なのがベースカーブ(BC)です。BCはレンズの曲がり具合を示す指標で、目の形に合わないBCのコンタクトレンズを使うと、目の不快感や視力低下を引き起こすこともあるため注意が必要です。
この記事では、BCの基本的な概念から、BCの合わないコンタクトレンズを使用した場合に生じるリスク、BCの調べ方、許容範囲までを詳しく解説し、正しいコンタクトレンズの選び方をお伝えします。自分にぴったり合ったコンタクトレンズを選ぶためにも、ぜひ最後までご覧ください。
コンタクトレンズの
「ベースカーブ(BC)」とは
ベースカーブ(BC)は、コンタクトレンズのカーブの度合いを示す数値で、目の形に合ったカーブのレンズを選ぶために非常に重要な指標です。
BCの数値が小さいほどレンズのカーブが急で、数値が大きいほどレンズのカーブはゆるやかになります。例えば、BCが8.0のレンズはカーブが急で、一般的には眼球が小さい人に適しています。一方、BCが9.0のレンズはカーブがゆるやかで、一般的には眼球が大きい人に向いています。
自分の目のカーブに合ったBCのレンズを選ぶことで、レンズを着用した際の装用感や視力を向上させることができます。
ベースカーブの大きさ
コンタクトレンズのベースカーブの大きさは、通常、BC8.0からBC9.5の範囲で展開されています。BC8.6やBC8.8が日本人に最も一般的な数値です。装用感や視力を安定させるためには、自分に合ったBCのレンズを選ぶことが重要です。
ベースカーブの大きさが合わないと、コンタクトレンズが目にうまくフィットせず、ゴロゴロ感や痛みを引き起こしたり、レンズが浮きやすく目にぴったりと密着しなくなるため、目の乾燥や視力の低下を引き起こします。目に合ったBCを選ぶことで、快適にコンタクトレンズを装用できるようになります。
ベースカーブの種類
ベースカーブの種類は、ソフトコンタクトレンズとハードコンタクトレンズで若干異なります。
ソフトコンタクトレンズの場合、一般的なBCの範囲は8.0から9.5の間です。これに対して、ハードコンタクトレンズではさらに細かい調整が必要となり、BCは0.05単位で調整されることが多いです。ソフトコンタクトレンズは柔らかく目にフィットしやすいため、BCが少し違っても問題なく装用できる場合がありますが、硬いハードコンタクトレンズはBCの誤差が大きいと不快感を生じやすく、目にぴったり合うように調整する必要があります。
そのため、コンタクトレンズを選ぶ際には、ソフトかハードかも考慮した上で、自分の目に最も適したBCのレンズを選ぶことが大切です。
ベースカーブの平均
ベースカーブの平均は人種によって違いがあります。日本人の場合、平均的なベースカーブはBC8.6からBC8.8の範囲とされています。
ただし、すべての日本人がこの平均値に当てはまるわけではありません。人によって目の大きさや形が異なるため、BC8.3やBC8.8が合う人もいます。このように個人差があるため、自分の目に合ったベースカーブを知ることが大切です。
コンタクトレンズを購入する前に、眼科で検査を受けて自分に合ったベースカーブを確認しましょう。
0.1mm単位でも装用に違いがある?
目の形状やコンタクトレンズの素材にもよりますが、人によっては、例えば、BC8.6とBC8.7の0.1mmの違いでも装用感に影響が出て、違和感を持つことがあります。
特に、ハードコンタクトレンズの場合はレンズに柔軟性がないため、わずかにBCが違うと装用感に影響することがあります。そのため、特にハードコンタクトレンズを選ぶ際には、BCを0.1mm以下の単位で厳密に調整するのがおすすめです。
また、コンタクトレンズを製造しているメーカーによっても、BCの設定が若干異なることがあります。同じBC8.6に設定された製品でも、ブランドごとに大きさ(dia)・厚み・デザイン・加工方法などが違うため、若干の違いがあるかもしれません。異なるメーカーのレンズを試す場合、同じBCだとしても装用感の違いに注意する必要があります。
BCが合わないコンタクトレンズを使用することで
起こる症状・リスク
BCが合わないコンタクトレンズを使用すると、目に以下のような様々な問題が発生することがあります。
- ゴロゴロ感
- 目の乾燥
- 視力の低下
- 目の痛み
- 目の炎症
- 目の病気
- 視界の歪み
BCが大きすぎても小さすぎても、目に合わないコンタクトレンズを使用し続けることはリスクを伴います。目に合ったBCのレンズを選ぶことで、快適に装用できるようになります。定期的に眼科で検査を受け、自分の目に合ったBCのレンズを使用するようにしましょう。
ゴロゴロ感
BCが目に合わないコンタクトレンズを使用すると、レンズが目の表面にフィットせず、異物感を生じることがあります。この異物感は、レンズが目の上を滑ったりズレたりすることによって起こるもので、ゴロゴロとした不快感を覚えます。
特に、長時間の装用によって症状が出やすく、ゴロゴロ感が続くと目の疲れや痛みを伴い、眼球の表面に傷をつけてしまう恐れもあります。
もしゴロゴロ感を感じた場合は、すぐにレンズを外して目を休ませ、適切なBCのレンズに変更しましょう。レンズが合わないまま使用を続けると目に炎症を引き起こす恐れもあるため、早めに受診して医師のアドバイスを受ける必要があります。
目の乾燥
BCが目に合わない場合、コンタクトレンズが目にぴったりと密着せず、目とレンズの間に空気が入り込んでしまいます。特に長時間の装用や乾燥した環境では、目が乾燥した状態が続いてしまいます。
目の乾燥が続くとレンズの滑りが悪くなり、さらなる不快感にもつながります。目の乾燥を感じた場合は、まずレンズを外して目を休ませ、必要に応じて目薬を使用して乾燥を防ぎましょう。症状が改善しない場合や目の乾燥が気になる場合は、目の表面に傷がつく前に眼科で診察を受けることをおすすめします。
視力の低下
BCが合わないコンタクトレンズを使用すると、目の表面にレンズが正しくフィットせず、視力に乱れが生じることがあります。視力がぼやけたり、ピントが合わなくなることで度数が不安定になり、目の疲れを感じやすくなります。
また、視力の乱れが続くと、目の負担が増し、眼精疲労や頭痛を引き起こしたり、視力の低下を招く恐れもあります。
視力の乱れが生じた場合は、すぐにコンタクトレンズを外して目を休ませるとともに、眼科で診察を受け、適切なBCのレンズを選びなおすことが重要です。
目の痛み
BCが合わないコンタクトレンズを長時間装用すると、目に過度な負担がかかり、目の痛みを引き起こすことがあります。
コンタクトレンズの装用中に目の痛みがある場合、一度レンズを外してごみなどの異物が入っていないか確認しましょう。異物が見当たらないにもかかわらず目の痛みが続く場合、レンズのBCが合っていない可能性に加えて、何らかの目の病気を発症している可能性も考えられます。症状がひどくなる前に、眼科で診察を受けましょう。
目の炎症
BCが合わずに目の表面にうまくフィットしないレンズは、擦れることで目の表面を傷つけ、充血や腫れなどの炎症を引き起こすことがあります。炎症がひどくなると視力に影響を与え、最悪の場合、角膜に傷がつくことで視力回復が困難になることもあります。
目の充血や腫れといった症状がある場合には、無理にコンタクトレンズを使用せず、すぐに外して目を休ませることが大切です。炎症がひどくなる前に必ず眼科を受診し、医師の診察を受けましょう。
目の病気
BCが合わないコンタクトレンズを長期間使用することで、レンズが目にフィットせず、十分に酸素の供給ができない状態が続き、細菌やウイルスがレンズに付着しやすくなります。これにより、結膜炎や角膜炎といった目の病気を発症するリスクがあるため、BCの合ったレンズを使用することは、目の病気予防にもつながります。
特に、レンズを不衛生な状態で使用している場合や、レンズを長時間装用している場合は、目の病気を発症するリスクが高まります。
レンズを正しく使用し、定期的に交換するのはもちろん、目の痛みや充血、視力の低下など何らかの症状が現れた場合は、速やかに眼科を受診し、適切な治療を受けることが重要です。
視界の歪み
BCが合わないコンタクトレンズを使用すると、レンズの歪みが原因で、視界が歪んだりぼやけたりすることがあります。視界が歪むと、遠くの物が見づらくなったり、近くの物にピントが合いにくくなったりすることがあります。
視界が不安定なままレンズを使用し続けると、目の疲れや不快感が増し、視力にも悪影響を及ぼすことがあります。視界に歪みを感じた場合は、すぐにコンタクトレンズを外して眼科で診察を受け、自分に合ったBCのレンズに変更しましょう。
コンタクトレンズのBCの調べ方
BCは眼科で測定してもらうことができます。目に合ったコンタクトレンズを選ぶためにも、まずは眼科で検査を受けて、正確な数値を把握しましょう。
眼科でBCを確認する方法には、「角膜曲率半径測定」と「フィッティング検査」の2つがあります。角膜曲率半径測定では、ケラトメータという装置を使って、BCを決定するためのデータを収集します。
その後、収集したデータに基づいてトライアルレンズを試し、フィッティング検査を行います。
ソフトコンタクトレンズのBCの調べ方
ソフトコンタクトレンズの場合、柔らかく目にフィットしやすいため、ハードコンタクトレンズほど厳密にBCを調べる必要はありません。
角膜曲率半径測定によって目のカーブを測定し、それに基づいて最適なBCを導き出します。
フィッティング検査では、顕微鏡を使って、レンズが目の表面でスムーズに動くか、安定した位置にフィットしているかを確認します。フィッティング検査で問題がなければ視力検査を実施し、視力が適切に出ているかを確認した上でBCを決定します。
ハードコンタクトレンズのBCの調べ方
硬く柔軟性のないハードコンタクトレンズのBCは、さらに精密に測定する必要があります。目の表面にぴったりとフィットするよう、繊細な調整が必要です。
ソフトコンタクトレンズと同様に測定した後、違和感なく装用できるBCのレンズを試し、医師とよく相談した上で最適なBCを決定します。
コンタクトレンズの
BCの許容範囲
ソフトコンタクトレンズのような柔らかい素材のレンズでは、ベースカーブ(BC)にある程度の幅が許容される場合があります。一般的に、BCの数値が±0.2mm以内であれば、問題なく使用できることが多いとされています。
例えば、BC8.6のレンズが適正な場合でも、BC8.4やBC8.8のレンズを使用しても、装着感に大きな差が出ないケースが多いです。ただし、許容範囲を超えて±0.3mm以上の誤差があると、視力が安定しなかったり、不快感を感じたりする可能性があります。
また、BCの許容範囲には個人差があり、目の形状や選ぶレンズの種類によって異なることもあります。そのため、できるだけ自分の目に合ったBCを選ぶことが大切です。許容範囲を超えるBCを無理に使うと、目に負担がかかり、健康を損ねる恐れがあります。
自分に合ったBCを知るためには、眼科で検査を受けることをおすすめします。そして、医師のアドバイスに従って、適切な製品を選ぶようにしましょう。
コンタクトレンズのBCは
どこに記載されている?
コンタクトレンズのBCは、パッケージに記載されています。自分に合うBCを見つけるためには、レンズの箱やケースにある情報をしっかり確認することが重要です。
BCは「BC」または「Base Curve」と表記され、その横に数値が記載されています。また、オンラインで購入する場合、商品の説明欄にBCの情報が記載されていることが多いです。
もし不明な場合は、購入前に販売店に問い合わせたり、眼科で適切な数値を確認したりしてから選ぶと安心です。
自分に合ったBCのコンタクトレンズを購入する方法
続いては、自分に合ったBCのコンタクトレンズを購入する方法をご紹介します。
コンタクトレンズを購入する際には、BCだけでなく、度数やレンズの素材などほかの要素も考慮する必要があります。自分に合ったレンズを選び、快適なコンタクトレンズライフを送りましょう。
眼科での測定とカウンセリングを受ける
自分に合ったBCのコンタクトレンズを購入するためには、眼科での測定とカウンセリングを受けるのがおすすめです。特にはじめてコンタクトレンズを使用する場合やBCを変更したい場合には、眼科を受診しましょう。
眼科では、目のカーブを測定する専用の機器を使用して、正確なBCを割り出します。また、BCの測定はもちろん、自分の目に合ったレンズの選び方や適切なケア方法に関するカウンセリングも受けることができます。
眼科でコンタクトレンズを購入する場合、それに伴う各種検査は無料で実施してもらえることがほとんどです。また、コンタクトレンズの使用中も定期的な検査が推奨されます。自分に合ったレンズを使い続けるためにも、かかりつけの眼科を持ち、定期的に検査を受けると良いでしょう。
オンライン購入時の注意点
自分に合ったBCのコンタクトレンズを購入するためには、眼科での測定とカウンセリングを受けた上で購入するのがおすすめですが、やむを得ずオンラインでコンタクトレンズを購入する場合も、自分のBCを把握しておくことが重要です。オンラインショップでは、商品ページにBCの値が記載されていることがほとんどですが、もし記載がない場合は販売店に問い合わせるか、購入前に眼科で検査を受け、自分に合った製品を特定しておくと安心です。
製品によってはBCの選択肢が限られていることもあるため、オンラインでレンズを購入する際は、複数のブランドやメーカーを比較して選ぶことが大切です。
また、オンラインで購入する際には、購入後の返品や交換ポリシーを事前に確認しておくことも重要です。もしBCの合わないレンズが届いた場合に交換や返品が可能かどうかを確認しておくことで、安心して購入できます。
コンタクトレンズのBCに関して
よくある質問
最後に、コンタクトレンズのBCに関するよくある質問を取り上げます。
BCの選び方に関して不安な点がある方の疑問解消に役立つ内容のため、ぜひ確認しておきましょう。
BCの違いで見え方は変わる?
BCが異なるコンタクトレンズを使用すると、見え方が変わることがあります。特にBCが合わないと、目の表面との密着度が低く、視力が安定しないことがあります。逆に、BCがぴったり合うと、視界がクリアになり、快適に過ごせることが多いです。
自分の目に合ったBCのレンズを選ぶことが、快適で安定した視力を維持するために重要です。
目が大きいとBCも大きくなる?
目の大きさとBCの関係は必ずしも直接的ではありません。BCの数値は目のカーブに基づいて決まるため、目の大きさが直接的にBCの大きさに影響を及ぼすわけではありません。
ただ、一般的に眼球が小さく目のカーブが深い人にはBCが小さなレンズが適していることが多く、逆に、眼球が大きく目のカーブが浅い人にはBCが大きなレンズが適している場合があります。
左右でBCが違うことはある?
左右の目でBCが異なることはあります。左右の目の形状やカーブに違いがあり、片方の目はBCが大きく、もう片方は小さくなることがあるためです。
これは非常によくあることで、眼科での検査によって左右それぞれのBCを確認した上で、左右の目で異なるBCのレンズを選べば問題ありません。
BCが変わることはある?
BCは、加齢や目の病気、手術などが原因で変化することがあります。そのため、コンタクトレンズを昔から使用している場合でも、定期的に眼科でBCをチェックしてもらうことが重要です。
もしBCが変わった場合、新しいBCのレンズに交換する必要があります。定期的に検査を受けることで、いまの目の状態に合ったレンズを選びましょう。
レーシックによりBCが変わることはある?
レーシック手術を受けた場合、BCが変わることがあります。レーシックは角膜の形を変える手術であり、目のカーブが変化することがあるためです。
手術後に以前のレンズが合わなくなり、新しいBCのレンズが必要になることがあります。レーシック手術を受けた後にコンタクトレンズを使用したい場合は、眼科で再度BCを測定し、手術後の目に合わせたレンズを選びなおすようにしましょう。
まとめ
コンタクトレンズを選ぶ際には、度数だけでなくBCの選び方も大切です。
BCが合わないレンズを使用すると、視力の乱れや目の不快感、乾燥感などの問題が発生するリスクがあります。快適な装用感と安定した視力を保つためには、自分に合ったBCのレンズを選ぶことが非常に重要です。
BCは目の形状に合わせて慎重に選ぶ必要があり、左右の目で異なるBCのレンズを使用することもあります。眼科で定期的に検査を受け、BCを正確に測定してもらうことが、最適なコンタクトレンズ選びにつながります。