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コンタクトレンズを日常的に使用していると、「装用したはずのレンズが見つからない」「レンズが目の中で消えた?」というような体験をされた方も多いのではないでしょうか。特にソフトコンタクトレンズは柔らかく、装用感が自然なため、知らない間にずれたり、気づかずに外れていたりすることもあります。
慌てて鏡で目の奥まで確認したり、無理に目をこすったりしてしまうと、目に傷がつくリスクもあるため注意が必要です。この記事では、レンズを目の中で紛失する原因や見つからない時の具体的な探し方、そしてこのようなトラブルを未然に防ぐための予防策まで詳しくご紹介します。目のトラブルを未然に防ぐためにも、ぜひご覧ください。
コンタクトレンズが目の裏側には入ることがある?

目の構造上、コンタクトレンズが目の裏側に入り込んでしまうことはありません。人間の目は、白目の表面を「結膜(けつまく)」という薄い膜が覆っており、まぶたの裏と連続している構造になっています。このため、目の奥まで異物が入り込むようなスペースは存在しないのです。
この構造は「結膜円蓋部(けつまくえんがいぶ)」と呼ばれ、上まぶたや下まぶたの奥のほうに伸びてはいるものの、完全に閉じています。「コンタクトレンズが目の裏側にいってしまった」と不安に感じても、実際にはまぶたの内側や白目の周辺にずれているケースがほとんどです。
コンタクトレンズがずれてしまう理由
コンタクトレンズがずれてしまう主な理由を以下で詳しく解説します。
目の乾燥

目が乾燥した状態では、レンズが瞳の中央からずれやすく違和感を感じることがあります。また、乾燥して涙の量が減ると、レンズが滑らかに動きにくくなり、一度ずれると元の位置に戻りにくくもなります。エアコンの効いた部屋や長時間のパソコン・スマートフォン使用は目が乾燥する原因となりやすいため、注意が必要です。
こすりすぎ、まばたき

無意識のうちに目をこすってしまうことで、レンズがまぶたの裏側に押し込まれることがあります。また、強いまばたきの繰り返しも、レンズがずれてしまう原因です。花粉症などで目の痒みがあると、無意識のうちに目をこすったり、まばたきする機会が増えます。目の痒みが強い時は、コンタクトレンズの装用を控えましょう。
カーブが合っていない
コンタクトレンズには「BC(ベースカーブ)」というカーブの規格があります。目の形に合わないカーブのレンズを使うと、装用中にレンズが動きやすくなります。コンタクトレンズを購入する際、医師の診察を受けずに自己判断で購入した場合に起きやすいため、事前に医師の診察を受け、目に合ったレンズを処方してもらうことが大切です。
長時間の装用
推奨されている装用時間を超えてレンズを装用し続けると、涙の分泌が追いつかず、レンズが乾燥してしまうことがあります。乾いたレンズは、ずれや目への刺激、装用中の違和感を引き起こす原因となります。特に、うっかりレンズをつけたまま寝てしまった場合、レンズが目に貼りついてしまい、翌朝取り外すのが難しくなるケースも多いです。
推奨される装用時間は製品の種類やメーカーによって異なるため、自分が使用しているレンズの指示をしっかり確認し、守りましょう。
レンズの老朽化・汚れ
推奨される使用期間をすぎたレンズや、汚れた状態のまま使い続けているレンズは、本来の性能を十分に発揮できません。表面に傷や汚れが蓄積すると、レンズの滑りが悪くなり、まばたきのたびに摩擦が生じやすくなります。
結果として、レンズが目の中でずれたり、異物感を引き起こしたりする場合があるのです。
また、古くなったレンズは水分保持力が低下しやすく乾燥しやすいため、長時間の装用には向いていません。目の健康を守るためにも、レンズの種類(1day・2week・マンスリーなど)ごとに定められた使用期限を守り、定期的に新しいものに交換することが大切です。また、こすり洗いや保存液の交換など、毎日のレンズケアも怠らずに行いましょう。
目の中でコンタクトレンズを紛失した場合、
入り込んでいる可能性がある場所
コンタクトレンズが見つからない時、多くの場合は目の表面にとどまっています。紛失してしまうと焦ることもありますが、まずは次の場所を丁寧に確認しましょう。
上まぶたの裏側
レンズを目の中で紛失した際に最も多いのが、上まぶたの内側に入り込んでしまうケースです。特に結膜円蓋部にレンズが引っかかってしまうと、自分では見つけにくくなります。レンズが折れ曲がったり、目の動きによって上に押し込まれたりすることもあります。
上まぶたの裏側にレンズが張り付いてしまった場合、まばたきするたびに違和感や異物感を感じることもあるでしょう。無理に取り出そうとすると目を傷つける可能性があるため慎重に対応してください。
下まぶたの奥
下まぶたの裏側にレンズがずれ込んでいる場合もあります。まばたきや、目をこすった拍子に下の結膜部へ移動しとどまってしまうことがあるため、こちらも確認が必要です。特に、レンズが薄く小さい場合、白目のカーブに沿って密着していたり、ソフトコンタクトレンズが曲がったまま隙間に入り込んでしまう場合があるため注意が必要です。
コンタクトレンズを装用中に紛失した場合、
どうやって探せばいい?
コンタクトレンズを目の中で紛失したかもしれないと感じたら、落ち着いて目の状態を確認しましょう。違和感の有無によって探し方も異なります。目を傷つけないためにも注意して対応してください。
目に違和感がない時の探し方

特に痛みや異物感がない場合でも、レンズが目の中に残っている可能性があります。明るい場所で鏡を使い、白目の上下左右を丁寧に観察してください。ドラッグストアなどで市販されている人工涙液(目薬)で目をうるおすと、レンズが動きやすくなり、発見しやすくなります。
また、目を上下左右にゆっくり動かすことで、レンズの位置が見つけやすくなることもあります。レンズが折りたたまれていることもあるため、光の反射を利用して観察しましょう。
それでも発見できない場合には、目から外れている可能性があります。衣服や足元、洗面台など周囲を丁寧に探してみましょう。レンズが見つかった場合は、指先を軽く湿らせてそっと拾い上げます。ただし、落ちたレンズは雑菌や傷がついている恐れがあるため、そのまま再使用せず、使い捨てタイプであれば新しいものに交換し、長期使用タイプなら眼科で安全性を確認してもらってから使用しましょう。
目に違和感がある時の探し方
レンズ装用中に痛みやごろごろ感、異物感がある場合には、レンズがずれているか、一部が破れて目の中に残っている可能性があります。違和感があるまま放置すると、角膜に傷がついたり、感染症の原因になったりするため、できるだけ早めに対処することが大切です。以下の手順で、落ち着いて確認してみましょう。
1 : 清潔な手で、下まぶたを下に引いて白目をチェック
まずは石鹸で手を丁寧に洗い、指先を清潔な状態に整えたうえで、鏡の前に座って明るい照明のもとで作業を行います。最初に下まぶたを軽く下に引いて、白目の部分をチェックします。
2 : 上まぶたを持ち上げて、内側や奥を確認
次に、上まぶたを優しく持ち上げ、まぶたの内側や奥、特に結膜円蓋部のカーブ部分を確認してください。
3 : 目を動かす・まばたきする

まぶたを閉じて目を上下左右に動かしたり、まばたきを繰り返したりすることで、レンズがずれている場所を特定しやすくなります。これらの動きによって目が潤い、レンズが自然に動いて見つけやすくなったり、外に出てくる可能性も高まります。
4 : 人工涙液を点眼してから再度確認
次に、人工涙液を点眼し、目全体を潤してから、再度観察してみます。潤滑によりレンズが浮き上がり、より発見しやすくなります。人工涙液は、防腐剤無添加のものがおすすめです。
5 : 眼科を受診
それでもレンズが見つからず、違和感が続く場合は、自分で無理に取り出そうとせず、すぐに眼科を受診しましょう。眼科ではスリットランプという特殊な顕微鏡を使って、角膜やまぶたの裏側まで丁寧に診察してもらえます。特に、レンズが破損して一部のみが残っている場合、自力での発見や除去が難しいため、早期の受診が必要です。
他人に確認してもらう場合
自分では見えにくい位置にレンズがずれている時は、家族や友人に目の中を確認してもらいましょう。特に、レンズが上まぶたの奥にたたまれてしまっている場合や、薄型のソフトレンズが白目に貼りついてしまっているケースでは、自分で鏡を見ながら探しても見つけられないことがあります。
他人に確認してもらう場合は、明るい照明のある場所で行うのが基本です。LEDライトつきの拡大鏡や、角度を調整できる卓上ミラーがあると便利です。目を開けた状態で、上まぶたをゆっくりと持ち上げたり、まぶたの裏側をそっとめくり、目の表面や奥にレンズがないかを丁寧にチェックしてもらいましょう。
その際、事前に石鹸で手を洗い、爪も短く整えてもらうことが大切です。また、まぶたを強く引っ張ったりこすったりすると、まぶたや目に傷がつく可能性があるため、あくまでも優しく、慎重に対応するようにしてください。見つからない場合や目に違和感が続く時は、無理せず眼科を受診してください。
コンタクトレンズがずれた場合、
どうしたらいい?
コンタクトレンズがずれてしまった場合、目に負担をかけずに安全に元の位置へ戻すことが大切です。人工涙液の使用やまぶたの動かし方など、自宅で実践できる正しい対処法を詳しくご紹介します。
人工涙液を使う

目が乾燥しているとレンズの動きが悪くなり、ずれた位置から戻りにくくなります。まずはドラッグストアなどで市販されている人工涙液を点眼して目を潤し、まばたきして自然に戻るのを待ちましょう。涙液によってレンズが浮きやすくなり、移動がスムーズになります。強くこすったり、目をぎゅっと閉じたりするのは逆効果になるため避けてください。
レンズを軽く動かす
人工涙液で潤した後、上下のまぶたをそっと動かしてレンズを誘導する方法も有効です。例えば、視線を上に向けたまま下まぶたを軽く押し上げる、または下を向いて上まぶたを優しくなでることで、レンズが元の位置に戻ることがあります。指先は事前に石鹸で丁寧に洗い、雑菌が入らないように清潔にしておきましょう。
また、ハードコンタクトレンズがずれた場合、指で元の位置に戻す方法もあります。手鏡を使ってレンズの位置をしっかり確認し、レンズがずれた方向とは反対側に目を動かすと、レンズが見えやすくなります。そのまま清潔な指先で優しくレンズを押し戻すように調整します。無理に押し込まず、ゆっくり丁寧に行うことが大切です。
洗眼液やスポイトを使う
レンズがずれて目の表面に貼り付いてしまっている時は、洗眼用の生理食塩水や市販の洗眼薬を使い、目を軽く洗い流す方法もあります。洗眼カップに液を入れてまぶたを開けたまま数回ゆすぐと、レンズが浮いてくる場合があります。
また、ハードコンタクトレンズを外す際には、専用のスポイトを使う方法があります。スポイトの先端をレンズの中央に軽く当てて、そっと引くことでスムーズに外すことが可能です。鏡を見ながら丁寧に行いましょう。
ただし、度の強いレンズや薄型レンズが目の表面に貼り付いてしまっている場合、自分で取り外すのは難しい場合もあります。無理に外すことは避け、早めに眼科を受診しましょう。
眼科を受診する
ここまでご紹介した方法を試してみてもずれがなおらない、目の違和感が続く、または充血している場合には、迷わず眼科を受診してください。放置して目の状態を悪化させてしまうと、治療に時間がかかったり視力に影響を及ぼす可能性もあります。違和感を感じたらできるだけ早く医師の診断を受けましょう。
コンタクトレンズが目の中で紛失するのを予防する方法
日常的にコンタクトレンズを使用する上で、目の中で紛失するのを予防する方法がいくつかあります。快適かつ安全にコンタクトレンズを使い続けるためにも、続いてご紹介する予防策を実践してみましょう。
寝る時には必ず外し、装用時間を守る

レンズをつけたまま寝てしまうと、翌朝にレンズが目の中でずれてしまうだけでなく、目の乾燥や感染症のリスクも高まります。特に1dayタイプなど、長時間装用に適していないレンズは寝る前に必ず外しましょう。また、日中の装用時間もメーカーや眼科医の指導に従い、長くても12時間以内には必ず取り外してください。
乾燥しない環境をつくる
目の乾燥はレンズトラブルの大きな原因です。エアコンの風が直接当たらない位置に座る、加湿器を使う、必要に応じて目薬を使うなど、乾燥対策を心がけましょう。また、パソコンやスマートフォンを長時間使用する際は、定期的に目を休めたり、意識的にまばたきを行ったりすることが大切です。レンズを装用したまま使える人工涙液も常備しておくと安心です。
自分に合うBCのコンタクトレンズを選ぶ
BC(ベースカーブ)は、コンタクトレンズを購入する際に重要な数値の一つです。BCが合わないレンズを装用すると、ずれたり外れたりする可能性が高まります。自己判断で市販品を購入するのではなく、眼科で検査を受け、自分に合ったBCのレンズを処方してもらうことがトラブル予防につながります。
まとめ
コンタクトレンズを目の中で紛失した時の原因や、探し方、予防策についてご紹介しました。
装用しているはずのレンズを見失ってしまった時、大変なことになってしまったと不安に駆られる方も多いかもしれませんが、目の構造上、レンズが目の裏側へ完全に入り込んでしまうことはありません。見つからない時も、焦ってこすったり放置したりせず、まずは冷静に確認することが大切です。
人工涙液で目を潤し、明るい場所で鏡を使って丁寧に確認しましょう。万が一見つからない場合や不快感が続く場合は、自己判断せずに眼科で診察を受けてください。
また、レンズの紛失は、日々の装用時間を守り、目が乾燥しない環境や自分の目に合ったレンズを選ぶことで予防できます。トラブルを未然に防ぎながら、安全かつ快適にコンタクトレンズを装用しましょう。