目の悩み
最終更新日:2025.05.29

利き目とは?調べ方、調べるメリット、使いすぎのリスクを紹介

利き目とは?調べ方、調べるメリット、使いすぎのリスクを紹介

目次

利き手や利き足は普段から意識することが多いですが、「利き目」についてはあまり考えたことがない、という方も多いのではないでしょうか。実は、私たちの目は無意識のうちに片方の目を優先して使っており、それが「利き目」と呼ばれています。

利き目を知らないままだと、気づかないうちに目に負担をかけたり、スポーツや趣味で本来のパフォーマンスを発揮できていなかったりするかもしれません。でも、自分の利き目を知り、その特性を理解すれば、そんな悩みも解決できる可能性があります。

この記事では、利き目の基本的な知識から、簡単な調べ方、知っておくことのメリット、そして利き目に頼りすぎることのリスクや対処法まで、ご紹介します。

利き目とは何か

私たちは普段、両目を使っていますが、実際にはどちらか一方の目が「主に使われる目」として機能しています。これが「利き目(ききめ)」であり、専門的には「優位眼(ゆういがん)」と呼ばれます。手や足に利き手・利き足があるのと同じように、目にも「利き目」があるのです。

利き目は、脳が優先的に扱う方の目を指します。両目で一つの対象物を見ているつもりでも、脳は利き目からの情報を優先的に取り入れ、非利き目からの情報はそれを補うものとして扱われています。私たちが物の距離感や立体感を正確に捉えられるのは、この脳の働きによるものです。

どちらの目が利き目かは、人によって異なります。利き目を知ることで、日常生活やスポーツ、視力矯正などの様々な場面で役立ちます。

利き目を調べる3つのメリット

自分の利き目を自覚していると、より自分に合ったメガネを選べたり、趣味やスポーツで実力を発揮できるようになったりなど、多くの場面で役立ちます。

ここでは、利き目を把握することで得られる代表的なメリットを3つご紹介します。

より快適なメガネを作れる

メガネをかけている女性

利き目を知ることで、より快適なメガネを作れるようになります。メガネを作る際、視力測定では、単に目が良い・悪いだけでなく、左右のバランスや見え方のくせなども考慮されています。利き目の情報はその中でも重要な要素の一つです。

例えば、日常生活で目の疲れを感じやすい場合、利き目の視力調整を果たすと、負担が軽減されることがあります。メガネ店では利き目に合わせて微調整することが可能です。これにより、物がより自然に見やすくなり、長時間の使用でも疲れにくいメガネに仕上がります。

眼鏡店での視力測定時に、利き目判定をしている店も多いです。利き目を知らない方は、メガネ店で相談してみるのも良いでしょう。

スポーツで実力を発揮できるようになる

利き目はスポーツの場面でも大きな影響を与えます。ボールの動きや対象物を的確に捉える必要がある競技では、利き目を意識することでパフォーマンスの向上が期待できます。

例えば野球では、バッターがピッチャーの投げるボールの軌道、速度、回転を正確に見極める必要があります。右バッターで左目が利き目の場合、ピッチャーに近い方の目(左目)でボールを捉えやすくなり、タイミングや選球眼の向上が期待できるといわれています。

また、利き目を中心に視覚情報を取り入れると、周囲の余計な情報を遮断しやすくなり、集中力が高まりやすくなるのも大きなメリットです。

生活が快適になる

利き目は、私たちの日常生活や仕事における様々な場面でも役立ちます。特に、片方の目で対象物を正確に捉える必要がある場合に、利き目を意識的に使うと作業の精度や効率が向上します。

例えば、一眼レフカメラのファインダーを覗く時、利き目を意識して使うことでシャッターチャンスを逃しにくく、精度も高まります。望遠鏡や顕微鏡の使用、ダーツやアーチェリー、射撃など、的を狙うゲームやスポーツでも、利き目でターゲットを定めることで命中率の向上が期待できます。

また、精密な組み立てや調整、建設現場での測量など、正確さが求められるシーンでも、意識的に利き目を使うと作業ミスを減らしやすくなります。さらに、デザインや設計、校正作業の業務など、視覚に頼る作業では無意識のうちに利き目に頼っていることが多く、それを自覚して使い分けることで、より負担の少ない効率的な作業が可能になります。

利き目を調べる方法

利き目は、メガネ店やクリニックに行かなくても調べられます。ただし、これらの方法はあくまで簡便なものであり、体調や環境によって結果が変わる可能性もあります。

正確に把握したい場合や、目の状態に不安がある場合は、眼科を受診して専門的な検査を受けることがおすすめです。ここでは、自分でできる利き目の調べ方を2つご紹介します。

手で三角形を作る方法

利き目を調べる方法の手順-手で三角形を作る方法

手軽に行える方法のため、ぜひ試してみてください。

【手順】

  1. 3~4メートル先に、目印(カレンダー、壁の時計、ドアレバーなど)を決める
  2. 目印に向かってまっすぐに立つ
  3. 両手の親指と人差し指で三角形を作る
  4. 両目を開けたまま、三角形の真ん中から目印を覗く
  5. 腕を動かさずに、片目を閉じ目印を見る
  6. 同じことを反対のめでも確認する

【判定】

両目で見ていた時と同じように目印が三角形の中央に見える方の目が、利き目である可能性が高いです。もう一方の目では、目印がずれて見えます。何度か試してみて、同じ結果になれば信頼性も高まります。

遠くにあるものを指さす方法

利き目を調べる方法の手順-遠くにあるものを指さす方法

この方法も簡単にできます。三角形を作る方法で分かりにくかった方は、試してみてください。

【手順】

  1. 3~4メートル先に、目印(壁のスイッチ、ポスターの文字など)を決める
  2. 目印に向かってまっすぐ立つ
  3. 両目を開けたまま、腕をまっすぐ前に伸ばし、人差し指でその目印と重ねる
  4. 腕と指の位置は動かさずに、左右、片目ずつ見る

【判定】

両目で見ていた時と同じように、指先が目印を指し示している方の目が、利き目である可能性が高いです。「どちらもずれるように感じる」こともありますが、少ない方が利き目と考えられます。

利き目を使いすぎるリスク

利き目を知り、それを活用することには多くのメリットがありますが、一方の目だけを使いすぎるのは少し危険です。というのは、目は本来、両目が協力し合って機能するため、片方の目に負担がかかると様々な不調を引き起こす可能性があります。ここでは、利き目を使いすぎるリスクを3つご紹介します。

体調不良を起こすかもしれない

片方の目にばかり過度な負担がかかる状態が慢性化すると、目の疲れがとれにくい状態になったり、それが原因で頭痛や肩こり、時には吐き気などを引き起こしたりする場合があります。

人は無意識のうちに目を使っているため、利き目に頼りすぎたり、ピントを合わせ続けたりすることがあります。その結果、目の筋肉や神経にとって大きなストレスがかかり、目の疲れから頭痛・肩こり・吐き気といった症状を引き起こすことがあります。

このような体調不良を防ぐためには、意識的に両目でバランスよく物を見るように心がけることが大切です。長時間目を使う場合には、定期的に休憩をとり、遠くの景色を見たり、目を閉じたり、蒸しタオルで温めたりするなどして、目をリラックスさせる時間を作るようにしましょう。

非利き目視力低下の恐れがある

片目を隠して視力検査をする女性

利き目ばかりで物を見ていると、もう片方の目(非利き目)の使用頻度が減り、機能が徐々に低下してしまう可能性があります。情報の処理は脳が両目の映像を統合して行っていますが、非利き目からの情報が極端に少なくなると、脳はその情報をあまり重要視しなくなり、結果的にその目の視力や機能が衰えてしまうリスクがあるのです。

特に、発達途中の子供では視力が発達しきらない状態にもつながるため注意が必要です。大人でも視覚バランスを崩すことがあるため、利き目を意識的に使うのはスポーツや精密作業などの場面に留め、日常生活ではできるだけ両方の目をバランスよく使うように心がけましょう。

運転の安全性の低下につながるい

無意識のうちに「よく見える」利き目ばかりを使っていると、片方の視野に偏ってしまい、視界が狭くなることがあります。特に運転中には注意が必要です。
例えば、右目が利き目の人が右側ばかりに注意を向けてしまうと、左側から近づいてくる歩行者や自転車、ほかの車などに対する認識が遅れ、接触事故などを引き起こす危険性が高まります。

運転時には特定の方向ばかりを見るのではなく、意識的に視線を左右に動かし、ミラーも活用して周囲の状況を常に確認するのがおすすめです。気づかないうちに利き目ばかりを使うくせが身につくと、安全運転に必要な視野が妨げられるため注意しましょう。

利き目の使い過ぎによる
悪影響を避ける方法

利き目を使いすぎるリスクを避けるには、日常生活での意識的な工夫が大切です。最も重要なのは、「両目でバランスよく見る」ことを心がけることです。利き目を意識するのは、本当に必要な場面に限定しましょう。

長時間のデスクワークや読書、スマートフォンの使用など、目を酷使する状況では、1時間に1回を目安に目を休ませるのがおすすめです。また、目の乾燥も疲れの原因となるため、意識的にまばたきの回数を増やし、必要に応じて目薬を使って目の潤いを保ちましょう。

また、左右の視力に差がある場合や、目の疲れを感じやすい場合は、メガネやコンタクトレンズによる適切な視力矯正が不可欠です。定期的に眼科の検診を受け、最適な視力矯正を心がけましょう。

利き目を意識したメガネを作る場合、
何に気をつけたらいい?

快適で目に負担の少ないメガネを作るためには、利き目を考慮した調整が重要です。ここでは、左右のバランスをとりながら、利き目を意識したメガネ作りについて、主なポイントを2つご紹介します。

両目の視力の差を考慮して調整

視力検査のイメージ

多くの人は、左右で視力や乱視の度合いが異なります。この左右差が考慮されていないメガネをかけたり、矯正が不十分だったりすると、無意識のうちに見やすい方の目、つまり利き目に頼って物を見てしまいがちになります。メガネを作る際には、正確な視力測定を行い、左右それぞれの目の状態を把握することが大切です。

しかし、左右の度数差が大きい場合、完全に差をなくしてメガネを作製すると逆に違和感が出てしまうこともあります。眼科医や経験豊富な眼鏡店のスタッフに相談し、最適なバランスを見つけましょう。

度数の合わないメガネは目の健康を損なうリスクがあります。特に、左右差がある方や、久しぶりにメガネを作製する場合は、必ず眼科などで視力測定を受け、目の状態を確認してから購入するのがおすすめです。

利き目を基準に最終的な調整をする

左右のレンズ度数がある程度決まった後、最終的な見え方の調整では、利き目の感覚が重要な基準となります。メガネ店で度数を合わせる際、「今かけているレンズと、次にかけるレンズ、どちらが見やすいですか?」といった質問を受けた経験がある方も多いでしょう。
これは、人によって微妙な見え方の好みや、どちらがより自然に感じるかが異なるため、利き目を基準に微調整を行う工程です。

利き目で見た時に、よりクリアで自然に、そして楽に感じられる方のレンズを選ぶことで、日常生活での視覚的なストレスが軽減され、疲れにくいメガネに仕上がります。左右のバランスが極端に崩れないように配慮しながら、最終的には利き目を軸として、最も快適に感じる見え方に調整していきます。

よくある質問

利き目に関するよくある質問に回答しています。
利き目を正しく理解することで生活が快適になる可能性があります。ぜひ参考にしてください。

利き目がない(左右差がはっきりしない)場合もありますか?

「利き目が分からない」もしくは「利き目がない」場合もあります。この記事でご紹介した三角形を作る方法や指さし法を試しても、どちらの目で見ても大きな違いがない場合、それは左右の目の視力や機能にほとんど差がないためと考えられます。

左右の見え方にはっきりした違いがないため、脳がどちらか一方の目を特別に優先する必要がない状態と言えるでしょう。このような状態は、いわば「両利き」と考えることもできます。

利き目は何歳ごろ決まるものですか?

利き目が具体的に何歳で完全に決まるのか、その正確な時期については、実はまだ詳しく解明されていません。「利き手」に関しては、生まれてから様々な変化を経て、おおむね2歳から8歳頃までの間に定まってくるといわれていますが「利き目」についてはそのプロセスは不明です。

しかし、利き目も幼少期の経験や習慣を通じて、徐々に定まっていく可能性が高いと考えられています。乳幼児期に片方の目をよく使って物を見るくせがあると、脳はその目を「主に使って良い目」として扱うようになり、利き目になるかもしれません。

利き目が変わり得ることはありますか?

一般的に、一度定まった利き目が変わることは稀ですが、絶対に変わらないというわけではありません。日常の状況や見る対象によって、一時的に使いやすい目が変わることもあります。また、加齢による視力変化(老眼など)や、目の病気、ケガなどによって左右の見え方が変わると、それに伴って利き目が変化する可能性も考えられます。

まとめ

今回は、利き目の定義から簡単な調べ方、利き目を知るメリット、そして使いすぎによるリスクや対処法、メガネ作製時の注意点をご紹介しました。

利き手や利き足ほど意識することは少ないかもしれませんが、自分の利き目を理解することで、日常生活やスポーツ、仕事でのパフォーマンス向上、そして快適なメガネ作りにつなががります。「どうして片方の目だけ疲れやすいんだろう?」「もっとスポーツがうまくなりたい」といった悩みも、利き目を意識することで解決の糸口が見つかるかもしれません。

ただし、利き目に頼りすぎると思わぬ不調を招くこともあります。大切なのは、利き目の特性を理解した上で、両目をバランスよく使うことです。この記事を参考に、利き目を調べて、日々の生活や目の健康管理に役立ててみてください。

眼とメガネの情報室 みるラボ

この記事の執筆者

眼とメガネの情報室
みるラボ編集部

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