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視力検査は、目の健康状態を知るために重要な検査です。自分の目に合ったメガネやコンタクトレンズを作る際も、まずは視力検査で目の状態を確認する必要があります。
視力検査の結果には、目に関する様々な情報が記載されています。中にはあまり聞き慣れない用語もあるかもしれません。検査項目が何を表しているのか、気になる方もいるでしょう。
この記事では、視力検査の結果や視力が低下する原因・対策について解説します。目の健康が気になる方は、ぜひ参考にしてください。
視力検査結果の見方
視力検査の結果は、次のように記載できます。
- 右眼視力・左眼視力:右眼視力をVd、左眼視力をVsと表記する
- 裸眼視力:矯正していない状態の視力
- 矯正視力:メガネやコンタクトレンズで矯正した状態の視力
- 球面度数(SPH):マイナスが近視、プラスが遠視を表す
- 円柱度数(CYL):乱視の強さを表す
- 円柱軸(AXIS):乱視の角度を表す
式に出てくる文字式や数字について、それぞれ解説します。
右眼・左眼
右眼視力がVd(Visus dexter)、左眼視力がVs(Visus sinister)という記号で表されます。右眼をRV(Right vision)、左眼をLV(Left vision)と表記することもあります。
裸眼視力
メガネやコンタクトレンズを装用せずに測定する視力のことを、裸眼視力といいます。裸眼視力が低くても、矯正視力が十分であれば一般的には問題ありません。
ただし、子供の視力検査では裸眼視力が重要です。裸眼視力1.0未満の子供のうち、約8~9割が近視と考えられています。近視は7~10歳で最も速く進行するため、近視が見られたら早めの対策が必要です。
矯正視力
矯正視力は、メガネやコンタクトレンズにより矯正した状態の視力です。
目の健康状態を把握するためには、矯正視力の確認が重要です。矯正視力はメガネやコンタクトレンズの度数の決定や更新の際や、病気の診断のための参考になります。矯正視力が急激に低下している場合、白内障や黄斑疾患などの病気が隠れている可能性があるため注意が必要です。
以下では、レンズの屈折度数に関する用語を解説します。
球面度数(SPH)
球面度数とは近視または遠視の度数を表す数値です。「Sphere」を略して「SPH」または「S」と表記されます。球面度数は、物がぼやけて見える人のメガネ・コンタクトレンズを作製するために基本になる度数です。
近視は「-」または「凹」、遠視・老眼は「+」または「凸」で表され、単位は「D(ディオプトリー)」です。一般的に、球面度数の数値の絶対値が大きいほど、視力は悪くなります。
球面度数が必要ない場合、「0.00」「Plano」「Plane」と記載されます。
円柱度数(CYL)
円柱度数とは、乱視度数の強さを表す数値です。
乱視は、角膜や水晶体に歪みが生じ、物が重なって見える状態を指します。近視や遠視と異なり、乱視では目から物への距離に関わらずピントが合いにくくなります。
円柱度数は「Cylinder」を略して「CYL」または「C」と表記されます。球面度数と同様に「-」または「凹」、「+」または「凸」表記の2種類がありますが、多くの場合は「-(凹)」で表記されます。乱視の矯正が不要な場合、円柱度数は記載されないこともあります。
円柱軸(AXIS)
円柱軸とは乱視の角度を指し、0°〜180°で表記され、「AXIS」または「Ax」、「A」と表記されることもあります。乱視を矯正するには、角膜や水晶体が歪む角度に合わせたレンズが必要です。
円柱軸が180°に近いと、角膜の縦方向の屈折力が強く、角膜の形が横方向に歪んでいる状態となり、裸眼で物を見ると横に重なって見えることがあります(直乱視)。一方、円柱軸が90°に近いと、角膜の横方向の屈折力が強く、角膜の形が縦方向に歪んでいる状態となり、物が縦に重なって見えることがあります(倒乱視)。
円柱度数と同様、円柱軸の記載がない場合は乱視の矯正は不要です。
視力検査結果を見る時の基準
一般的に、視力は1.0以上あれば日常生活において問題ありません。視力が0.7未満の場合、メガネやコンタクトレンズなどの対策が推奨されます。
必要な矯正視力は、使用シーンによって異なります。自宅用であれば手元が見えれば十分ですが、運転用の場合は遠くまで十分に見渡せる程度の視力が必要です。
運転免許(普通第一種免許)では、両目で0.7以上かつ片目でそれぞれ0.3以上の視力が義務づけられています。
学校の視力検査では、視力はA〜Dの4つにランク分けされます。
視力検査の流れと基本のポイント
視力検査を受ける際、事前に検査の流れやポイントを知っておくと視力を正確に測定できます。ここでは一般的な視力検査について、次の内容を解説します。
- 検査の流れ
- 視力の測り方
- 検査を受ける時のポイント
- 必要な持ち物
検査の流れ
メガネやコンタクトレンズを購入する際の視力検査について、一般的な流れを解説します。
1.ヒアリング
目に関する悩みを確認します。
【ヒアリング内容の例】
- 普段の見え方(遠くが見えにくい、物が二重に見えるなど)
- 現在メガネ、コンタクトレンズを使用しているか
- メガネやコンタクトレンズを使用するシーン
2.他覚的屈折検査
目の屈折を検査し、近視や遠視、乱視を測定します。
3.視力検査
まずは裸眼視力、次に矯正視力を測定し、目に合ったレンズの度数を決定します。
4.検査結果の報告
視力やレンズの度数など、目の状態について検査結果を報告します。
眼科では目の病気を調べるため、上記に加えて医師の診察やより精密な検査を受けられます。
視力の測り方
視力を測定するには、ランドルト環を使った方法が一般的です。
ランドルト環とは「C」に似た切れ目を持つ環のことです。被検者は一定の距離から様々なランドルト環を見て、切れ目の向きを回答します。大きい環から測定し、切れ目の向きが回答できた環の大きさから視力を測定します。
例えば0.3の環で切れ目が回答でき、0.4の環で回答できなかった場合、視力は0.3です。
左右の目で視力が異なる場合もあるため、一般的な視力検査では片目ずつ測定し、必要があれば両目の視力も測定します。検査したい方とは反対の目を隠し、片目だけでランドルト環を見て測定します。
検査を受ける時のポイント
正確に視力を測定するためのポイントを3点ご紹介します。
目を細めない
目を細めると目のピントが一時的に合いやすくなるため、正確な視力を測定できません。視力検査で見えにくいと感じても、目は細めずに回答しましょう。
コンディションを整える
視力は当日の体調や目の疲れに影響を受けます。睡眠不足を避け、目を十分に休めた状態で受けましょう。
リラックスする
視力は自律神経の影響を受けるため、緊張していると普段より目のピントが合いにくくなる可能性があります。リラックスした状態で検査を受けましょう。
必要な持ち物
普段メガネやコンタクトレンズを使用している方は、検査当日も持参しましょう。矯正視力を測定するために必要です。
視力検査で裸眼視力を測定する場合、一時的にメガネやコンタクトレンズを外す必要があります。
コンタクトレンズを装用して視力検査を受ける場合は、レンズケースと保存液も持っていくと途中でレンズを外す場合も安心です。
視力検査の結果が悪い?
原因と対策
視力検査の結果が悪いと、「もしかして目の病気では?」と心配になってしまいますよね。
視力低下の原因には、大きく分けて2つのパターンがあります。それぞれの原因と、視力低下を防ぐための対策について解説します。
視力低下の原因
視力低下には、裸眼視力が低下する場合と、矯正視力が低下する場合の2パターンがあります。特に矯正視力の低下には注意が必要です。
裸眼視力が低下する原因
裸眼視力が低下しており矯正視力に問題がない場合、次の原因が考えられます。
近視、遠視
- ピントが合わず、全体がぼやけて見える
- 近視では遠くが、遠視では近くが見えにくくなる
- 視力検査では全体がぼやけて見える傾向がある
乱視
- ものがダブって見える
- 年齢とともに乱視が強くなる場合がある
老眼
- 水晶体の厚さを調節する能力が衰えるため、近くのものが見えにくくなる
スマホ老眼
- デジタルデバイスを長時間見続けていると、毛様体が緊張し続けてしまいぼやけて見える
- 年齢に関わらず起こる
見えにくいと感じる時は、メガネやコンタクトレンズの度数を更新したり、目を休めたりすると改善することがあります。
矯正視力が低下する原因
矯正視力が低下する原因をまとめました。
白内障
- 目がかすんで見える
- 加齢により、水晶体が濁るため見えにくくなる病気
ドライアイ
- 目がかすんで見える
- 涙液の膜が崩れて目がかすむ病気
緑内障
- 視野の一部が欠けて見える
- 眼圧が上昇し、視神経がダメージを受ける病気
加齢黄斑変性
- 見ようとするところが見えにくくなる
- 加齢により老廃物が蓄積し、見えにくくなる病気
これらの病気は、メガネやコンタクトレンズを更新しても改善しません。原因となる目の病気を治療する必要があります。
特に急激に矯正視力が低下した場合は、早めに眼科を受診しましょう。
視力低下を防ぐ対策
視力を維持するためには、日頃から目に負担をかけないことが大切です。視力低下を防ぐための対策を、3点解説します。
生活習慣を見直す
生活習慣病を発症すると、目の病気を合併するリスクがあります。目の健康を守るためにも、食事や運動などの生活習慣を見直しましょう。
高血圧や糖尿病が進行すると、網膜の血管がダメージを受けます(高血圧網膜症、糖尿病網膜症)。初期の段階では自覚症状がありませんが、進行すると視力低下や視野の欠損を引き起こします。
網膜症の進行をおさえるには、原因となる生活習慣病の治療が基本です。
すでに生活習慣病を発症している人は、目に症状がなくても定期的に眼底検査を受けましょう。
目を意識的に休める
スマートフォンやパソコンなど近くを見続けていると、目の筋肉で緊張状態が続くため、目に負担がかかります。長時間デジタル機器の作業を行うと目の疲れが溜まり、物が見えにくい、目が乾くなどの症状があらわれます(VDT症候群)。
デスクワークをする際は、1時間に1回を目安にこまめな休憩をとりましょう。休憩をとるのが難しい場合は、コピーなどデジタル機器を使わない作業を行ったり、時々遠くをぼんやり見たりすると目を休められます。
メガネを見直す
度数の合わないメガネをかけ続けていると、目に負担がかかり視力が低下する場合があります。「メガネをかけても見えにくくなってきた」と感じたら、今の視力に合ったメガネを作りなおしましょう。
また、シーンによって必要な視力は異なります。手元を見て作業する時に遠くまではっきり見えるメガネを使うと、度が強すぎて目に負担がかかってしまう可能性があります。
デスクワーク用、運転用など、用途別に複数のメガネを持っていると、シーンに合った視力に調整できるため安心です。
視力検査に関するよくある質問
視力検査に関して、よくある質問をまとめました。これから視力検査を受ける方や、検査を受けるか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
Q.視力検査結果はどうやって見れば良い?
基本的な視力を知りたければ、裸眼視力・矯正視力をチェックすれば十分です。
最初の単独の数字が「裸眼視力」、かっこ内の最初の数字が「矯正視力」になります。
裸眼視力とは矯正していない状態の視力で、矯正視力はメガネやコンタクトレンズを使って矯正した状態の視力です。
また、近視や遠視の強さを知るには球面度数、乱視の状態を知るには円柱度数・円柱軸を参考にします。
Q.視力検査を受ける適切な頻度は?
通常、1年に1~2回を目安に検査を受けましょう。
ただし、高齢の方や生活習慣病がある方、すでに目の病気を診断されている方は1〜2ヶ月に1回のようなより高い頻度で検査が必要な場合があります。検査の頻度については、かかりつけ医に相談してください。
Q.視力検査でどのくらいの視力ならメガネが必要?
一般的に視力が0.6以下であれば、メガネが推奨されています。運転免許(普通第一種免許)においては、両目で0.7以上の視力が必須です。ただし、視力が0.7以上あっても乱視や遠視などがある場合には、安全のために必ずメガネを使いましょう。
Q.視力検査ではっきり見えなくても答えて良い?
はっきり見えなくても答えましょう。
視力検査は「どこまで見分けられるか」を確認するための検査です。ぼんやりとでも見える場合は、間違えてもいいので回答します。ただし、正確な視力を測定するために、目を細めるなどはしないように注意してください。
Q.視力検査は眼科と眼鏡店のどちらで受けるべき?
どちらでも視力検査は受けられますが、眼科であれば視力だけでなく目の病気も調べられます。
はじめてメガネ・コンタクトレンズを購入する方や、しばらく眼科で検診を受けていない方は眼科で視力検査を受けると安心です。
まとめ
この記事では、視力検査結果の見方と視力が低下する原因、対策について解説しました。
一口に「視力」と言っても、様々な項目があります。各項目の意味を正しく理解して、目の健康に役立てましょう。
また、矯正視力が低下した場合は目の病気が隠れている可能性もあります。病気によっては進行すると治療が難しいため、気になる場合は早めに眼科を受診しましょう。
視力の低下を防ぐ対策として、日頃の習慣も大切です。目を休める時間をとり、自分の目に合ったメガネやコンタクトレンズを使いましょう。
