
目次
最近テレビの字幕が見えづらくなったり、細かい字が見えにくいなと感じることはありませんか?
それほど困っていないからまだ大丈夫!と考えてついつい眼科や眼鏡店に行くのが後回しになっていませんか?
「見えている」という感覚は年齢や仕事、生活環境などで人それぞれ違うため、どのタイミングでメガネを作ればいいのかも人によって異なります。
本記事ではメガネをかける視力の目安とタイミング、そのメリットについて詳しく解説します。
視力がどのくらい下がったら
メガネをかけるべき?

メガネをかけるタイミングを決めるには「視力」の値が非常に分かりやすい目安になります。
どれくらいの視力になったら、メガネをかけるべきなのでしょうか?あるいは「視力」以外にメガネをかける目安になるものはあるのでしょうか?
具体的な数値とともに、年齢やライフスタイルなどによる違いもご紹介します。
メガネをかける際の視力の目安
メガネを作る視力の目安を解説します。ここで言う視力とは、裸眼視力(メガネをかけない状態の視力)のことを指します。裸眼視力の値によって、以下の表のような見え方になります。
【裸眼視力】
- 1.0以上・・・普段の生活で特に問題なく見えている
- 0.7~0.9・・・日常生活で不便を感じることはまだ少ないが、小さい文字や夜間の活動、車の運転の際は見えづらいと感じることがある
- 0.3~0.6・・・自宅などではあまり不便はない。運転の際はメガネが必要になる
- 0.2以下・・・あまり見えていないのでメガネが必要
上記はあくまでも平均的な見え方の感覚で、前述したように「見えている」という感覚は人それぞれ個人差があります。
0.4以上の視力があれば、普段の生活には問題がないと言われていますが、それも個人差があります。どのような仕事なのか?学校に通っているのか?どんな趣味があるのか?などの生活環境によって、「しっかりと見たいもの」は違ってきます。例えば、外出の機会の少ない方と運転する時間の長い方では、しっかりと見たい時間やその必要性も異なります。
ご自分の日常生活の中で、「しっかりと見たいもの」や「しっかりと見たい時間」がどれくらいあるのかを考えてみましょう。長時間しっかり見たいものがある場合は、メガネを作った方がよいでしょう。
視力検査について、詳しく知りたい方は「視力検査とは?やり方から適切な頻度、考えられる病気まで解説!」の記事を参考にしてください。
見え方は視力の値だけではない
視力の値が1.0以上あるからといってメガネが必要ないということではありません。前述したように、人の見え方には個人差がかなりあります。目の位置がずれて物が二重に見える時には、メガネにプリズムを入れたものをかけて見やすくしたりします。日中の光がまぶし過ぎて困るという場合には、まぶしさをカットするレンズの入ったメガネをかけることもあります。
視力検査の値だけでなく、見えにくいと感じることがあれば、できるだけ早めに眼科を受診しましょう。
幼児期はなるべく早めに矯正した方がよい

生まれたばかりの赤ちゃんは大人と同じようにはっきりと見えているわけではありません。様々なものを「しっかりと見る経験」をすることで成長とともに「視力」や「2つの目で物を見る力」が発達していきます。視覚は、生後3ヶ月から6ヶ月くらいまでに急激に発達し、8歳くらいまで緩やかに発達し、10歳くらいでその発達は終了します。
しかし成長していく過程で、遠視や乱視、斜視などがあるため目が発達するのに必要な「しっかりと見る経験」ができないことがあります。「しっかりと見る経験」をするためにも、幼児期の場合は遠視や乱視、斜視などをメガネで矯正し、それに加えてできるだけ早くメガネをかけることが大切です。
遠視や斜視に気が付かず、メガネをかけずに10歳を過ぎてしまうと、メガネをかけても視力が出ない「弱視」になってしまいます。
弱視を予防するためには、子どもの動きや活動に合わせたメガネを作る必要があります。小さな子供のメガネを作るには、大人のメガネを作る時とは違うポイントがあります。
子供用メガネについて知りたい方は「子供用メガネの作り方は?選び方・注意点も解説」の記事を参考にしてください。
(画像出典:日本弱視斜視学会 / 弱視 https://www.jasa-web.jp/general/medical-list/amblyopia)
メガネを必要とする場面
「裸眼では見えにくい」と感じたら、メガネの装用を検討しましょう。
メガネが必要となる場面と理由、必要な視力の目安について解説します。
学校
学校では黒板や教科書の文字を読む必要があるため、視力が低いと学校生活に影響があります。学校の視力検査では、視力をA~Dの4段階で表します。
- A判定 : 視力1.0 / 視力は良好です。学校生活に影響なし。
- B判定 : 視力0.7~0.9 / 条件によって学校生活への影響がある。
- C判定 : 視力0.3~0.6 / 教室後方からは黒板の字が見えにくいことがある。
- D判定 : 視力0.2以下 / 教室の前列でも黒板の文字が見えにくい。
運転
運転中の安全を確保するために、運転には一定の視力が必要です。必要な視力は運転する車の種類によって異なります。
- 普通免許 : 両眼で0.7以上、かつ、一眼でそれぞれ0.3以上
- 大型免許 : 両眼で0.8以上、かつ、一眼がそれぞれ0.5以上
スポーツ
スポーツにおいて、視力はパフォーマンスに大きな影響を与えることが分かっています。両眼視力が1.2の時のパフォーマンスを100%とすると、両眼視力0.7、0.3の時のパフォーマンスは次の数値まで低下するといわれています。
- 両眼視力1.2の場合 : 競技能力100%
- 両眼視力0.7の場合 : 競技能力80%
- 両眼視力0.3の場合 : 競技能力70%
視力の基準がある職業
一部の職業には視力の基準が設けられています。しかし、裸眼で基準を満たしていなくても、矯正視力でクリアすれば問題ない場合もあります。職業ごとに必要な視力についてを詳しく解説します。
パイロット
パイロットになるには、一般的に次の条件のうちどちらかを満たす必要があります。
- 各眼が裸眼で0.7以上及び両眼で1.0以上の視力を持つ
- 屈折度が(±)8ジオプトリーを超えない範囲のメガネにより各眼0.7以上、かつ両眼で1.0以上に矯正できる
※航空会社により、基準は異なる場合があります。
警察官
警察官としての職務執行上問題がないか調べるため、警察官になるには身体機能の検査があります。その一つに視力検査があり、裸眼の視力が両眼とも0.6以上、又は矯正視力が両眼とも1.0以上であることが条件です。
消防士
警察官と同様、消防士の試験では職務遂行に必要な身体機能の検査が課せられます。
消防士になるには、矯正視力を含めた視力が両眼0.7以上、各眼でそれぞれ0.3以上必要です。なお、裸眼の視力に制限はありません。
自衛官
自衛官は災害派遣、国際貢献に携わる仕事です。種目によって必要な視力は異なります。
例えば自衛官候補生になるには、両側の裸眼視力が0.6以上又は矯正視力が0.8以上必要です。航空学生では、視力の基準がより厳しく設けられています。
電車運転士
運転免許と同様に、電車を安全に運転するためには一定以上の視力が必要です。
身体検査の合格基準として、矯正視力を含めた視力が両眼で1.0以上、かつ、片眼でそれぞれ0.7以上であることが求められます。なお、裸眼の視力に制限はありません。
上記職業における視力の基準は、2025年6月時点での情報を掲載しています。変更になる可能性もあるため、上記は目安として、詳しく知りたい場合には最新情報を入手してください。
視力が悪いのに
メガネをかけないとどうなる?

メガネを作るのは面倒だし、見た目の印象も変わるからメガネはかけたくない、と考える方もいるのではないでしょうか。たしかにメガネをかけると雰囲気も変わりますし、スポーツや激しい運動をする際には邪魔になりますよね。
しかし、よく見えない裸眼視力で頑張って見ようと無理し続けると、目を細めて見るクセがついてしまいます。すると、おでこにシワが寄ったり、目つきが悪くなったりなど、見た目にも悪影響が出ます。また自分が思っているよりも周囲の細かいことに気が付かずに、仕事や趣味などでも小さなミスが出るかもしれません。
幼児期は目が発達する時期なので、「しっかりと見る経験」が必要と解説しましたが、実は大人になっても「しっかりと見る経験」は大切です。目からの刺激は脳の刺激にも繋がるため、日頃から「はっきりと見えていること」は活動的な脳を維持するためにとても重要です。イキイキとした生活を送るためにもメガネをかけていろいろな物を見る体験をしてみてはいかがでしょうか。
ただし、様々な事情からどうしてもメガネがかけられない方には、コンタクトレンズや、オルソケラトロジー、レーシック、ICLといった外科的な視力矯正方法もあります。
メガネをかけた時の視力はどれくらいがよい?
強すぎるとどうなる?
メガネをかけてどれくらいの視力があればよいのでしょうか?一般的に眼科ではメガネをかけて視力が1.0であれば、問題はないとされています。
視力が1.0だと良くないと思っている方もいますが、2.0以上の視力は現代の日本ではあまり必要ありません。むしろ、2.0の視力を出そうとメガネレンズの度数を上げてしまって、いわゆる「過剰矯正」になってしまうと目に負担がかかります。長時間かけていると眼精疲労の原因になったり、ひどい場合には吐き気や頭痛などに繋がります。
現代の日本では、スマホやパソコンなどといった手元を見る時間が圧倒的に増加しています。つまり長時間手元が楽に見えることの方が日常の生活には必要なのです。遠くの細かい物がよく見えるよりは、手元が楽にはっきりと見えた方がよい時代になってきています。
メガネをかけると
視力が悪くなるって本当?
メガネをかけると視力が悪くなるという話はよく耳にしますが、そのようなことはありません。
ただ、自分の普段の生活に合わないメガネや、見えづらいメガネをかけ続けると、視力が悪くなることはあります。例えば、遠くをはっきり見るためのメガネをかけて、長時間スマホやパソコンなどの手元を見ると、目が疲れてしまい、視力低下を引き起こす可能性があります。
手元を見る時の目は、目の周りの筋肉を緊張させているため、それが長時間続くと、目が疲れてしまいます。目の筋肉が凝り固まって、遠くを見る際にピントがぼやけてしまったり、見えにくくなったりすることがあります。
メガネをかけると視力が悪くなるのではなく、正しくメガネをかけない場合に、視力が悪くなることがあります。
メガネの作り方
実際にメガネを作ろうと思った場合、どこでどうやって作ればいいのでしょうか?メガネを作るには主に3つの方法があります。それぞれにメリットやデメリットがあります。
①眼鏡店で作る

一般的にメガネを作るとなると眼鏡店に行くことが真っ先に思い浮かぶと思います。学校や職場の健診で裸眼視力の低下が自覚できたとしても、眼科を受診するまでではないかな?と考えている方へは、まずは眼鏡店に行って視力測定をしてもらうことをおすすめします。
裸眼視力というのは体調や周囲の環境などでかなり変化があります。まずは眼鏡店に行って裸眼視力だけではなく、近視なのか遠視なのか乱視なのかが分かる矯正視力測定をしてもらってください。矯正視力測定でも視力が出にくい場合は、目に何らかの疾患があることが考えられるため、眼鏡店ではなく、すみやかに眼科を受診するようにしましょう。
視力測定で問題がなければ、眼鏡店でメガネを作成できます。いろいろな種類のフレームがあるので、自分の好きなデザインのものを選ぶことができ、度数調整やメガネのフィッティングなどの微調整もすぐに行なってくれます。しばらく眼科を受診していない方は、まずは眼科で目の状態を診てもらってからメガネを作成すると安心です。
メガネの作り方について詳しくは「メガネの作り方を紹介!選び方や注意点を解説」を参考にしてください。
②眼科で処方箋をもらう

視力が低下したことだけでなく、目に関して何か気になることがある時や自分の目に何か異常はないかを知りたい時は眼科で視力検査をしてもらうことをおすすめします。問診で眼科スタッフに自分の目について具体的に知りたいことを伝えましょう。診断に必要な検査をしてくれます。
眼科でもメガネを作るための検査は可能です。その場合、処方箋といってメガネの度数が記入された用紙が渡されます。その処方箋を持って眼鏡店に行き、メガネを作ります。
③ネットで購入する

メガネは通販サイトなどで購入もできます。購入の際には、メガネの度数が記入された処方箋が必要になります。好きなフレームを選び、メガネの度数を入力し購入します。
通販サイトではいろいろなフレームがお手頃な価格で販売されているため、非常に魅力的です。しかし、初めてメガネを購入する時や、視力が低下している時に、ネット通販でメガネを購入するのはおすすめしません。ネット通販のメガネには、以下のようなデメリットがあるからです。
フィッティングができない
メガネはレンズだけで見るものではありません。メガネが顔や目の位置に正しく合っているかも非常に重要です。眼鏡店では、出来上がったメガネをその方それぞれの顔や目の位置に合わせてフィッティング調整をしてくれます。合わないメガネを長時間装用すると気分が悪くなったり頭が痛くなったりすることもあります。
気軽に変更できない
通販サイトでメガネを購入する場合、出来上がったメガネの度数が合っていない時に気軽に変更しにくいこともデメリットの一つです。
店頭でメガネを購入した場合、メガネ、保証書、新しい処方箋を店頭に持ち込むことで交換対応してもらえます。しかし、ネット購入の場合は返送のために梱包作業をしたり、送料も自己負担になるため、店頭購入よりも手間が増えます。
また、メガネの見え方については、レンズを交換するだけでなくフィッティングで改善する場合があります。保証対応のしやすさや、自分に合ったメガネを購入したい場合は、ネットではなく店頭で購入されることをおすすめします。
まとめ
今回はメガネを作るタイミングとメガネが必要になる視力の目安についてご紹介しました。
メガネを作るタイミングというのは、年齢や生活環境などによって人それぞれ違います。ご自分のライフスタイルや生活環境を見直し、どんな時にメガネが必要なのか?何をはっきり見たいのか?を改めて考えてみましょう。
メガネを上手に活用することで、生活がより便利にそして快適なものになるかもしれません。