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パソコンやスマートフォンを長時間使用していて、目が重だるく感じたり、視界がかすんだりすることはありませんか?現代の生活では目を酷使する場面が多く、気づかないうちに疲れが蓄積してしまうケースが多く見受けられます。しかし、正しい知識でケアを行えば、効果的に軽減することができます。
この記事では、眼精疲労の主な原因や対策、改善につながるツボ押し、日常で実践できるセルフケアを分かりやすくご紹介します。日頃、目の疲れが気になっている方は、ぜひ参考にしてください。
眼精疲労とは何か

眼精疲労とは、目を酷使し続けることによる疲れが、十分な休息を取っても回復せず、頭痛や肩こり、吐き気などの全身症状を伴う状態を指します。単なる一時的な「疲れ目」とは異なり、目の不調が慢性的に続くのが特徴です。
現代では、パソコンやスマートフォンの長時間使用、細かい作業の継続などにより、幅広い年代で眼精疲労を訴える人が増加しています。放置すると日常生活や仕事のパフォーマンスに支障をきたすため、早めにケアすることが重要です。
目が疲れる5つの原因
現代人の多くが感じている「目の疲れ」には、様々な原因があります。原因を正しく理解することで、目の疲れを軽減するための効果的な対策をとることができます。ここでは、目の疲れを引き起こす代表的な原因をご紹介します。
パソコンやスマートフォンによる目の酷使
パソコンやスマートフォンを長時間使用すると、目のピント調整を担う毛様体筋(もうようたいきん)が常に緊張状態となり、疲労が蓄積されます。特に近距離で画面を見続けるとまばたきの回数が減り、目が乾燥しやすくなるため、目の疲労の大きな要因となります。
また、細かい文字や映像を凝視することで視線の動きが固定され、眼球周囲の筋肉もこわばりやすくなります。そのため、目の奥に重さを感じたり、視界がかすんだりすることがあるため注意が必要です。
さらに、ブルーライトは波長が短く網膜への刺激が強いため、長時間浴び続けると目に大きな負担がかかるだけでなく、睡眠の質にも悪影響を及ぼすとされています。
不適切な照明や画面の明るさ
照明の明るさや画面の輝度が適切でない場合、目に過度なストレスがかかりやすくなるのも、目が疲れる要因です。例えば、暗い部屋でスマートフォンやパソコンを使用すると画面の光が目に直接入り、強い刺激となって目の疲れを引き起こします。
また、室内の照明と画面の輝度に差があると視界のコントラストが強くなり、視認性が悪化します。これにより、小さな文字を読む際に目の筋肉が酷使されてしまい、疲労が蓄積しやすくなるのです。
逆に、画面が明るすぎる場合も注意が必要です。スマホやモニターの明るい画面を長時間見続けると、目の調整機能がはたらき続けるため疲労の原因となります。
目の疲れを防ぐには、作業環境の照明をできるだけ自然光に近づけ、画面の輝度や色温度を時間帯や作業内容に応じて適切に調整することが大切です。
メガネやコンタクトレンズの度数が合っていない
視力に合わないメガネやコンタクトレンズも目が疲れる原因です。目の筋肉が無理にピントを合わせようと緊張し、頭痛や肩こり、さらには集中力の低下といった全身の不調につながる恐れがあります。
特に、近視・乱視・老眼などで視力の変化に気づかず、合わない度数のレンズを使い続けると目にとって大きな負担となります。自己判断で「少し見えにくいだけだから」と放置すると、目の疲れが慢性化し、日常生活に悪影響を及ぼすリスクが高まるため注意が必要です。
目の健康を保つためにも、定期的に視力を測定し、自分に合った視力矯正を心がけてください。
ドライアイ(目の乾燥)
ドライアイとは、涙の分泌量や涙の質の低下により、目の表面が乾いてしまう状態です。目に違和感や異物感を覚えたり、充血やかすみといった症状が現れることがあります。
パソコン作業やスマートフォンの使用中は、画面を凝視する時間が長くなり、まばたきの回数が自然と減少し、涙の蒸発が促進されるためドライアイのリスクが高まります。このような状態が続くと、角膜や結膜に傷がつきやすくなり、光の刺激に過敏になったり、目疲れを悪化させる原因にもなります。
さらに、空調の風が直接当たる環境も目の乾燥を助長します。対策としては、意識的にまばたきを増やし、定期的に目を休ませ、室内の湿度を保つために加湿器を使用するのがおすすめです。
ストレスによる自律神経の乱れ
ストレスは目の疲れにも大きく影響します。精神的な緊張が続くと自律神経のバランスが乱れ、目のピント調整や涙の分泌をコントロールする機能が低下します。その結果、目のかすみや乾燥、疲れやすさといった不調が起こるのです。
さらに、ストレスが原因で血行が悪くなると、目の周囲の筋肉がこわばり、痛みや違和感を引き起こすこともあります。万が一、このような状態が続いて慢性化した場合は、目の疲労だけでなく全身の不調にもつながりかねません。
ストレスによる影響を軽減するためには、十分な睡眠、適度な運動、深呼吸や瞑想などでリラックスする時間を意識的に作ることが重要です。
目の疲れを感じたら
どうしたらいい?
目の疲れを感じた時は、早めのケアが重要です。放置しておくと、集中力の低下を始め、頭痛や肩こりといった症状につながることもあります。ここでは、自宅や職場でも手軽に取り入れられる対策法を4つご紹介します。
目を温める

目元を温めることで血流が促進され、筋肉の緊張をやわらげる効果が期待できます。目の周囲の血管が拡張し、酸素や栄養が行き渡りやすくなります。
目を温める際には、蒸しタオルや市販のホットアイマスクを使用してください。タオルを水で濡らして軽く絞り、電子レンジで約30秒ほど温めれば自宅でも手軽に蒸しタオルをつくることができます。外出先では市販のホットアイマスクが便利です。香りつきのものを使えば、手軽にリラックスタイムを取り入れることもできます。
温めるタイミングとしては、作業の合間や就寝前が最適です。目の奥の重だるさやかすみ、乾燥感などの不快な症状が緩和されるでしょう。
目の周りのツボ押し

目の周囲には、疲れ目の改善に効果的とされるツボがいくつか存在します。詳細は後述しますが「睛明(せいめい)」「太陽(たいよう)」「承泣(しょうきゅう)」などは、目の疲れだけでなく肩こりの緩和にも役立つとされているツボです。
目疲れを感じた時、または仕事や家事の合間にツボを刺激するだけですっきりとした感覚が得られます。
ツボ押しは、指の腹を使ってやや圧をかけながら数秒間押し、ゆっくり離すのが基本です。無理に力を入れるのではなく「心地良い」と感じる程度の圧を意識することで、目のリラックス効果が高まるでしょう。
定期的に休憩をとる
長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用は、目に大きな負担をかけます。そのため、1時間ごとに5〜10分程度の休憩をとるのがおすすめです。
特に、休憩中に遠くの景色を眺めると、目のピント調整機能が一時的にリセットされるため、目の筋肉の緊張をやわらげる効果が期待できます。
また、遠くの景色を見ると、目の緊張がほぐれるだけでなく気分転換にもつながるため、集中力向上にも効果的です。疲労の蓄積を防ぐためにも、仕事や勉強の合間に意識的に取り入れると良いでしょう。
目に良い栄養素を摂取する
目の健康を保つためには、必要な栄養素を積極的に取り入れるのもおすすめです。例えば、ブルーベリーなどに含まれるアントシアニンは、視覚機能の改善や目疲れの軽減に役立つ効果があるとされています。
また、うなぎやレバーに豊富なビタミンB群も、神経や筋肉のはたらきをサポートし、目の疲れを防ぐ助けになります。その他、鮭やえびに含まれるアスタキサンチンには強力な抗酸化作用があり、加齢による目の老化をおさえる効果が期待できます。
これらの栄養素をバランスよく摂取すれば、目の健康を内側からサポートすることが可能です。毎日の食事の中に意識的に取り入れ、疲れにくい健康的な目を目指しましょう。
目の疲れにツボ押しが
効果的な理由
目の疲れを感じた時、手軽にできる対策の一つが「ツボ押し」です。目の周囲や全身の特定のツボを刺激すると、血行が促され、筋肉の緊張をほぐすことができます。
長時間のデスクワークやスマートフォンを使用する合間などにツボ押しを行い、硬直した目の周辺の筋肉をほぐすと、酸素や栄養素が届きやすくなり疲労回復につながります。また、ツボ押しにはリラックス効果もあるため、自律神経のバランスを整えるはたらきも期待できるでしょう。精神的なストレスによる目の疲労にも有効で、心の緊張をやわらげます。
ツボ押しは特別な道具を使わなくてもできるため日常生活に取り入れやすく、多忙な現代人にも手軽にできるセルフケアです。継続しやすく実践的なケアとして、目の健康を守る生活習慣の一つにぜひ加えてみてください。
目の周りにあるおすすめのツボ
目の周囲には、目の疲れを緩和するのに効果が期待できるツボがいくつかあります。ここでは、代表的な4つのツボをご紹介し、それぞれの位置や効果、押し方について詳しく解説します。
攅竹(さんちく)

攅竹は眉頭の内側にある小さなくぼみに位置しており、眼精疲労や頭痛、鼻づまりの緩和に有効とされているツボです。このツボを刺激すると目の周囲の血行が促進され、目の疲れをやわらげる効果が期待できます。
このツボを刺激する際は、親指または人差し指を使い、くぼみに向かって真上から垂直に3〜5秒間、優しく押し続けるのが基本です。無理に強く押す必要はなく「少し痛気持ちいい」と感じる程度の圧を意識すると良いでしょう。
太陽(たいよう)

太陽はこめかみの位置にあるツボで、眼精疲労や頭痛、目の奥の痛みに効果があるとされています。特に、パソコン作業やスマートフォンの使用などで長時間目を酷使した後、目の奥に違和感や重さを感じる場合におすすめです。
刺激する際は、親指を使って外側に向かって軽く押しましょう。約1分かけてゆっくりと刺激することで、目の周りの筋肉がほぐれ、血行も促進されやすくなります。
承泣(しょうきゅう)

承泣は、黒目の真下に位置し、骨のきわにあるくぼみに存在するツボです。涙の循環を促し、目の周囲の血流を改善します。そのため、目の疲れの軽減やクマの緩和、さらには美容面での効果も期待できます。
ツボを押す際は中指の腹を使い、眼球を圧迫しないように注意しながら、骨の際にあるくぼみを下向きに優しく押しましょう。心地良いと感じる強さで、3〜5回ほど繰り返して押すのがポイントです。
睛明(せいめい)

睛明は目頭と鼻のつけ根の間にあるツボで、目の充血や痛み、視力低下に効果があるとされています。目の周囲の血流を改善し、目の奥にたまった疲労感をやわらげるはたらきがあります。
押し方の基本は、親指と人差し指でツボをつまむようにして、円を描くようにマッサージします。リズムよく、優しく約1分間刺激するのがコツです。力を入れすぎず、心地よさを感じる程度の強さで行いましょう。
目から離れた場所にあるツボ
目の疲れをやわらげたい場合、顔周りだけでなく、首や手足といった離れた部位にあるツボもあります。ここでは、眼精疲労や頭痛、肩こりの緩和に役立つ4つのツボについて、それぞれ効果や正しい押し方をご紹介します。
天柱(てんちゅう)

天柱(てんちゅう)は、後頭部の髪の生えぎわ付近にあるツボで、眼精疲労や頭痛、首や肩のこりをやわらげる効果があるとされています。
長時間のデスクワークで同じ姿勢を続けると、首や肩の筋肉が緊張しやすく、血流も滞りがちです。そうした状態で天柱を刺激すると、筋肉のこわばりがほぐれ血流が改善されるため、症状の緩和が期待できます。
押し方としては、両手の親指を天柱に当てて頭を軽く持ち上げ、残りの指で後頭部をしっかり支えるのがポイントです。リズムよくゆっくりと3〜5回押すと、首や頭の血行が促進され、目の疲れもやわらぐでしょう。
風池(ふうち)

風池は天柱の少し上にある、首の外側のツボです。自律神経のバランスを整えて血行を促進するため、眼精疲労や頭痛、肩こりを緩和する効果があるといわれています。
特に、ストレスや長時間のパソコン作業などで首周りがこわばっている時に押すと、リラックス効果が期待できます。
押し方は天柱と同様で、両手の親指で風池を軽く押さえ、頭を後ろに倒しながら残りの指で頭を支えます。ゆっくりとしたリズムで刺激すると、首から頭にかけての血流が良くなり、目の疲れや重だるさがやわらぎます。
合谷(ごうこく)

合谷は手の甲にあり、親指と人差し指の骨が交差する部分のくぼみに位置するツボです。眼精疲労だけでなく頭痛や肩こりの緩和にも効果があるとされています。体全体の緊張をやわらげる「万能のツボ」として知られ、日常的に取り入れやすい点も大きな魅力です。
刺激方法は反対の手の親指で合谷を押さえ、3〜5秒かけて優しく圧を加えた後、ゆっくりと指を離す動作を繰り返します。この動作を3〜5回行うと血行が促進され、目の疲れや肩のこわばりが緩和されやすくなります。
光明(こうめい)

光明は、足の外側のくるぶしから約10cm上にあるツボです。目の周囲の血流を改善し、眼精疲労や光に対する感受性をやわらげる効果が期待できます。足に位置するツボでありながら、全身を通じて目の疲れにアプローチできる点が特徴です。
親指でツボを的確にとらえ、息を吐きながら5秒かけてゆっくりと圧を加え、息を吸いながら5秒かけてゆっくりとゆるめるというリズムで押して刺激します。この動作を5回ほど繰り返せば、目の周辺にたまった緊張がほぐれ、リフレッシュ効果を得られるでしょう。
PCやスマートフォンを
使用する際の注意点
パソコンやスマートフォンを長時間使用する際は、目にかかる負担をできるだけ減らす工夫が欠かせません。ここでは、PCやスマートフォンを使用する際の注意点を3つご紹介します。
目をこまめに休ませる
長時間の画面作業を続けていると、目のピント調整機能が酷使され、眼精疲労を引き起こしやすくなります。そのため、意識的に目を休ませることが大切です。
20分に一度、約6メートル先を20秒間見つめることが推奨されます。また、1時間ごとに10〜15分程度の休憩をとり、目を閉じて休ませるようにすると、疲れ目の予防になるでしょう。
画面との距離を40cm以上保つ
画面と目の距離が近すぎると、目のピント調整機能に負荷がかかり、眼精疲労を引き起こす原因となります。そのため、画面との距離は最低でも40cm以上を確保しましょう。
また、画面の位置を目線よりやや下に設定し、正面から見るようにすると、自然な姿勢を保ちやすくなり、首や肩への負担も軽減されます。環境を整えると、長時間の作業における目のストレスを軽減し、集中力の維持や作業効率の向上にもつながります。
ノートパソコンを使用する場合は、角度調節やスタンドを活用して画面の高さを調整すると、目や体への負担を効果的に減らせるでしょう。
画面と部屋の明るさを合わせる
目への負担を軽減するためには、画面の明るさを周囲の環境に合わせて調整することが重要です。
明るすぎる画面は目を疲れさせ、暗すぎる環境では画面との輝度差が大きくなり、目にストレスがかかります。そのため、部屋の照明と画面の輝度をバランスよく整えると、視認性が向上し、目の疲れを軽減する効果が期待できます。
また、日中は窓からの自然光による反射や映り込みを防ぐために、ブラインドやカーテンを活用しましょう。画面が見づらくなるのを防ぎ、目の緊張をやわらげられます。
疲れ目を予防するために
できること
日常的に目の乾燥や疲労感を感じている方は、日常的な習慣やケアを取り入れるだけで、目の負担を軽減できます。ここでは、疲れ目の予防に役立つ方法を3つご紹介します。
目が乾かないようにする
パソコンやスマートフォンの画面を見続けていると、まばたきの回数が自然と減ってしまい、目が乾きやすくなります。乾燥した状態が続くと、ドライアイの原因となり、目のかすみや疲労感が悪化する可能性があります。そのため、意識的にまばたきの回数を増やすことが大切です。
また、空調の風が直接目に当たらないようにしてください。特にエアコンの風は目の乾燥を助長するため、風向きを調整したり、デスク周辺に加湿器を置くといった工夫も有効です。日常的な小さな対策の積み重ねが、目の健康を守ることにつながります。
目の周りの血流を促進する
目の疲れをやわらげるには、目の周囲の血流を改善することが大切です。ホットアイマスクや蒸しタオルを使って目を温めると、血行が促進され、目の筋肉の緊張が緩和されやすくなります。温めた状態でリラックスすると、目の疲労感も軽減されやすくなります。
加えて、目の周りのツボを優しくマッサージするのも効果的です。指の腹を使って優しく円を描くように刺激すると、目元がすっきりし、リフレッシュ効果が期待できます。
定期的に視力検査をする
目の疲れを予防するためには、自分に合った視力矯正を行うことが重要です。視力は年齢や生活習慣によって少しずつ変化するため、年に1回は眼科で視力検査を受け、変化を確認しましょう。
また、度数の合っていないメガネやコンタクトレンズを使い続けると、ピントを合わせようとする目の筋肉に負担がかかり、眼精疲労の原因となる場合もあります。快適な見え方を保ち、目の健康を守るためにも、定期的な検査と適切な矯正が欠かせません。
まとめ
今回は目の疲れの原因や対策、効果的なツボ、日常生活でできるケア方法についてご紹介しました。
パソコンやスマートフォンを長時間使う現代において、眼精疲労は多くの人が抱える身近な悩みです。しかし、日常のささいな習慣を見直すだけで目の負担を軽減し、快適な視界を保つことができます。
ぜひ本記事を活用して、目のケアを意識した生活を取り入れ、目の健康を守る第一歩を踏み出してみてください。