
この記事の執筆者
眼とメガネの情報室
みるラボ編集部

目次
「メガネフレームが折れた!」そんな時、とっさに接着剤でなおそうとしていませんか?
確かに、大切なメガネが壊れてしまった場合、早くなおしたい気持ちになります。しかし、接着剤での応急処置は、メガネにとってダメージとなる可能性があります。この記事では、メガネフレームが折れた時の正しい応急処置と、プロによる修理の方法についてご紹介します。
メガネフレームが折れた時に
接着剤の使用はNG?

メガネフレームが折れた時に接着剤を使用するのはNGです。その主な理由には、以下があります。
- 一時的な固定にしかならならず、外れやすい
- 専門店での本格的な修理が困難
- 接着剤が目や肌につくと危険
- レンズに接着剤が付着すると、完全な除去が難しい
特に注意したいのは、金属フレームとプラスチックフレームで接着剤の影響が異なる点です。金属フレームの場合、接着剤がほとんどつかず、すぐに外れてしまう可能性が高くなります。一方、プラスチックフレームでは接着剤が素材にしみ込んでしまい、専門店での溶着修理が難しくなってしまいます。修理がしづらくなることにより費用が高くなったり、仕上がりの見た目が悪くなったりするケースもあります。
メガネは顔に直接触れる製品のため、接着剤の目や肌への影響を考慮する必要もあるでしょう。応急処置として接着剤を使用すると、かえって状況を悪化させる可能性があるため注意が必要です。
メガネが破損したらどうすれば良い?応急処置を紹介
メガネが破損した時は、まず応急処置で一時的に対応し、その後眼鏡店での修理を検討するのがおすすめです。破損の状況に応じて適切な対処方法が異なりますが、基本的に接着剤は使いません。ここでは、シーン別に応急処置の方法を解説します。
メガネフレームが折れた時

メガネフレームが折れてしまった場合、セロハンテープなどを使って、一時的に固定することをおすすめします。テープは必要最小限にし、レンズに触れないように注意してください。
また、折れた部分に爪楊枝などを添えてテープで固定すると強度が増します。少し不格好ですが、補強することで安定して固定することができます。破損部分が鋭利な場合は、ケガをしないよう慎重に扱いましょう。
応急処置後は、できるだけ早く専門店に行きましょう。
メガネのツル部分が故障してしまった時
ツル部分の故障の場合、応急処置として輪ゴムやテープで固定する方法があります。あくまで一時的な処置ですが、故障部分が動かないようにしっかりと固定すると良いでしょう。
また、丁番(蝶番)部分の破損の場合は、無理な修理を試みると状況が悪化する可能性があるため注意が必要です。簡易的な応急処置として、爪楊枝を使う方法があります。
- 丁番部分のパーツを合わせ、爪楊枝の先を入れ込み
- この状態で爪楊枝の不要部分を折る
動かしにくくはなりますが、この処置を行えばメガネのかけ外しが可能になります。ネジが抜けて紛失してしまった場合など、爪楊枝や極細のワイヤーを用いることによって、眼鏡店に持ち運ぶまで過ごすことができるでしょう。
レンズが外れてしまった時

レンズが外れた場合は、まずレンズに傷がついていないか確認します。そのうえで、本体のはまりそうな位置にテープで固定しましょう。原始的で見た目は不格好になりますが、確実です。レンズは清潔な布で包み、眼鏡店に行くまで安全な場所で保管してください。
フレームの溝に無理やりレンズを戻そうとすると、破損のリスクがあるため禁物です。特にプラスチックフレームの場合、力を加えるとフレーム自体が折れてしまうリスクもあります。
できるだけ早く眼鏡店に出向き、適切な修理を行うことで快適な視界を取り戻しましょう。
どの程度の破損までなら
眼鏡店で修理できるの?
メガネフレームの破損
メガネフレームの破損は、素材によって修理の可否が異なります。金属フレームの場合、リム部分やブリッジ部分の破損でもほとんど修理可能です。一方、プラスチックフレームは、アセテートやセルロイド素材なら修理できますが、軽量フレームに使用されるTR素材などは修理が難しい場合があります。なお、彫金加工やデザイン柄がある場合は、修理跡が目立つことがあります。
鼻パッドの破損

鼻パッドの破損は、クリングスタイプ(差し込み式)・一体型タイプのどちらも、多くのケースで修理が可能です。ただし、同一のパーツが入手できない場合は、形状が若干変更になることがあります。また、ヒンジレスなどの特殊な鼻パッド構造を持つフレームの場合は、一般的なプラスチック鼻パッドに交換する形で修理対応となることがあります。
丁番の破損

丁番(蝶番)の破損は、金属フレーム・プラスチックフレームともに、多くの場合で修理が可能です。ただし、TR素材などの特殊な樹脂素材を使用したフレームや、ヒンジレス(蝶番のない)タイプのフレームについては、構造上の特性により修理が難しいケースがあります。その場合は、フレームの交換を検討する必要があります。
塗装の剥がれ
金属フレームにおけるメッキの剥がれは、再カラーリング処理による修復が可能です。経年使用や日常的な摩擦により塗装が劣化することが多く、専門店での再塗装により見た目を回復できます。また、塗装の剥がれは単なる美観の問題だけでなく、金属の腐食を防ぐためにも早めの対処がおすすめです。
テンプルの破損
プラスチックフレームのテンプル(つる)部分は、長期使用による乾燥や経年劣化により、亀裂が入ることがあります。このような破損も、専門的な修理技術により対応が可能です。ただし、亀裂の進行度や場所によっては、強度を完全に回復することが難しい場合もあります。早めに修理し、修理後は適切にケアして乾燥を防ぐことが重要です。
よくあるメガネ破損の原因

メガネの破損は、日常生活の様々な場面で起こります。
最も多いのが「衝撃による破損」です。メガネをかけたまま転倒したり、誤って落としてしまったりすることで起こります。次に多いのが、「潰れによる破損」です。寝ている時の寝返りや、バッグの中でほかの荷物と一緒に入れていたことにより圧迫される場合が多いです。
また、子供が遊び道具として扱ってしまったり、ペットが噛んでしまうなど、予期せぬ「第三者による破損」があります。そのほか、環境要因による破損も見逃せません。特に夏場の車内など、高温環境に放置するとフレームが変形してしまう「熱による破損」があります。さらに、長期使用による「経年劣化やサビ」も、メガネの寿命を縮める原因となりえます。
これらの破損を防ぐために、専用のメガネケースの使用や適切な保管場所の選択などに注意しましょう。
メガネが破損したら
眼鏡店へ必ず相談を
メガネが破損した際、早くなおしたい気持ちから自己流の修理を試みたくなりますが、それは避けるべき選択です。メガネの修理方法は、フレームの素材や破損状態によって大きく異なるため、さらに悪化させる可能性があります。
眼鏡店の担当者は、フレームの素材を見極め、破損状態を正確に診断したうえで、最適な修理方法を提案します。自己流の不適切な修理でフレームをさらに傷めてしまうと、視力矯正に影響がでることも考えられます。
また、一見修理可能に見える破損でも、新しいフレームに交換した方が長期的には安全で経済的な場合もあります。修理するか買い替えるかの判断は、プロと相談して納得いく判断をするのがいいでしょう。お急ぎの場合は、店舗で購入した眼鏡を有料で自宅まで配送するサービスもあります。
まとめ
今回は、メガネフレームが折れた際の対処方法と、眼鏡店による修理の重要性についてご紹介しました。
メガネの破損は誰にでも起こりうるトラブルですが、接着剤による応急処置は逆効果になることがあります。なぜなら、メガネの材質や破損の種類によって適切な修理方法が異なり、不適切な処置をするとさらに悪化する可能性があるためです。
大切なメガネを長く安全に使用するため、破損した場合は適切な応急処置を行いすぐに眼鏡店に相談することが重要です。突然の破損に慌てることなく、専門店に相談して適切な対応をとることで、安全で快適なメガネライフを送っていきましょう。