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プールに入る時、コンタクトレンズを装用したいという方もいるかもしれません。トラブルを予防するために、原則としてプールでコンタクトレンズの装用は避けた方が良いでしょう。
今回はプールに入る際のコンタクトレンズについて、起こりうるトラブルや対処法について解説します。普段コンタクトレンズを装用していて、プールへ行くことを検討している方はぜひ最後までお読みください。
プールでコンタクトレンズの
装用は可能?
原則として、プールでコンタクトレンズの装用をすべきではありません。プールの水には雑菌が含まれており、その中には感染症の原因となる細菌、ウイルスが存在するリスクもあります。プール熱やはやり目は、プールの水に含まれるウイルスが原因です。当然コンタクトレンズに付着すると、目の衛生上良くありません。
プールの水に含まれる塩素も目にとって刺激となり、コンタクトレンズに付着すると痛みや違和感を引き起こします。
また、コンタクトレンズの変形や紛失などレンズ自体のトラブルも考えられます。一度変形したコンタクトレンズは、繰り返し使えるタイプであっても再装用できません。ゴーグルをつけて目を保護しても、ゴーグルがズレてしまう場合もあります。ゴーグルの使用にかかわらず、原則としてプールでのコンタクトレンズの装用は避けましょう。
コンタクトレンズをつけてプールに入ると起こるトラブル
コンタクトレンズをつけてプールに入ると、様々なトラブルが想定されます。よく起きやすいトラブルとしては、主に次の3つがあります。
- 感染症にかかる
- コンタクトレンズが変形する
- コンタクトレンズが外れる
感染症にかかる
プールの水は感染症の原因になることがあります。塩素で殺菌していても、感染症を確実に防げるわけではありません。
特にコンタクトレンズをつけてプールに入ると、レンズが雑菌で汚染されるリスクがあります。コンタクトレンズを衛生的に装用するためにも、プールに入る際はコンタクトレンズを外しましょう。
プールが原因で起こる感染症について、代表的な例をまとめました。
咽頭結膜熱(プール熱)
原因
アデノウイルス
主な症状
- 目やに
- 目の痛み
- 充血
- のどの痛み
- 発熱
- 吐き気、下痢
流行性角膜炎(はやり目)
原因
アデノウイルス
主な症状
- 目の充血
- 目やに
- まぶたの腫れ
急性出血性結膜炎
原因
エンテロウイルス
主な症状
- 目やに
- 目の痛み
- 充血
コンタクトレンズが変形する
コンタクトレンズをつけたままプールに入ると、レンズが変形する恐れがあります。目を傷つける可能性があるため、繰り返し使えるレンズであっても変形したコンタクトレンズは使用できません。コンタクトレンズが変形する理由として「浸透圧」があります。
濃度の異なる水溶液が半透膜(水分は通すが、大きい物質を通さない膜)で区切られている時、水分は濃度の高い方へ移動します。
浸透圧の例として、青菜に塩をかけると水分を失って縮むことがあげられます。これは塩によって表面の塩分濃度が高くなり、浸透圧の差が生まれ、青菜内部の水分が表面にしみ出してくるためです。
特に、ソフトコンタクトレンズの場合は素材自体に多くの水分が含まれています。プールや風呂で水が目に入ってレンズに付着すると、レンズと水の浸透圧が異なるため、濃度を等しくしようとレンズの水分量が変化し、レンズが変形してしまう可能性があります。
コンタクトレンズが外れる
コンタクトレンズをつけてプールに入ると、水の衝撃によりコンタクトレンズが外れるリスクがあります。特に、ハードレンズは小さな刺激で外れやすいため注意が必要です。
プールでコンタクトレンズが外れた場合、水の流れや人の動きもあるため場所の見当がつきにくく、見つけるのは難しいでしょう。レンズが外れた状態では視界も悪く、探すのも困難です。探している間もプールの利用者に迷惑がかかってしまいます。
また、割れたコンタクトレンズはケガの原因にもなります。例えば、外れてプールサイドに落ちたレンズが乾燥すると、割れやすくなり危険です。レンズの破片を踏むと、足に刺さってしまう事態も考えられます。
コンタクトレンズ使用者がプールに入る際の対処法
コンタクトレンズをつけてプールに入ると、様々なトラブルの原因になります。普段コンタクトレンズをつけている人がプールに入る際、3つの対処法があります。
- 度つきゴーグルを使用する
- 朝からメガネで過ごす
- 最終手段として1DAYタイプのコンタクトレンズを装用する
度つきゴーグルを使用する
プールで使用するゴーグルには、度つきのものもあります。度つきゴーグルはコンタクトレンズをつけずに視力を確保できるため、最も安全な対処法です。
度つきのゴーグルは眼鏡店、スポーツ用品店、ネット通販で購入できます。商品によって度数やサイズが決まっているため、自分に合ったものを選びましょう。初めて購入する場合は、実際に店舗でゴーグルを試着して、度数と付け心地が合っているか確認しておくことをおすすめします。
ゴーグルには度数つきのほか、くもり止めやUVカット機能がついているものもあります。機能を検討した上で、ニーズに合った商品を選びましょう。
朝からメガネで過ごす
学校の授業や部活でプールに入る場合、プールへ入る前にコンタクトレンズを外す時間がないケースもあるでしょう。その場合は朝からコンタクトレンズをつけず、メガネで過ごす選択肢もあります。プールから上がった後コンタクトレンズをつければ、トラブルを予防できます。軽度の近眼で、裸眼でもある程度見える方にはおすすめの対処法です。
ただしプールに入った後、目には塩素や雑菌によるダメージを受けています。すぐにコンタクトレンズをつけると、目に残った雑菌がレンズに付着するリスクがあります。プールから上がった直後ではなく、目を真水や人工涙液で洗い、少し目を休めてからコンタクトレンズを装用しましょう。
最終手段として1DAYタイプのコンタクトレンズを装用する
ほかの方法で対処が難しい場合、どうしてもコンタクトレンズを装用したい方もいるでしょう。その場合は1DAYタイプの使い捨てコンタクトレンズを選びましょう。長期で使用するタイプのコンタクトレンズは使用してはいけません。塩素や雑菌が付着したレンズを使い続けると、目の健康を損なう危険性があります。
ただしコンタクトレンズの使用は最低限にして、目へのダメージを極力減らすよう注意が必要です。コンタクトレンズをつけてプールに入る場合は、ゴーグルを欠かさず使う必要があります。また、次にご紹介する対応を行い、トラブルを防ぎましょう。
コンタクトレンズをつけた状態で
プールに入ってしまった場合
プールでは原則としてコンタクトレンズはつけてはいけませんが、やむを得ずレンズをつけた状態でプールに入ってしまうこともあるでしょう。
トラブルを予防するための対応について、2点解説します。なお、対策していても目の痛み、充血などの異常を感じた場合は眼科を受診しましょう。
コンタクトレンズをすぐに外す
コンタクトレンズをつけてプールに入った場合、目に雑菌や塩素が留まる時間を減らすため、上がってからすぐにレンズを外しましょう。コンタクトレンズには雑菌や塩素が付着しており、そのままつけていると目に負担がかかります。
また、外したコンタクトレンズはそのまま廃棄しましょう。浸透圧によりコンタクトレンズが変形している可能性もあり、洗浄しても再装用するのは危険です。変形に気づかず再装用した場合、目を傷つける恐れがあります。
すぐに外して捨てられるよう、プールに入る日はあらかじめ使い捨てのコンタクトレンズを装用しましょう。
目を休ませてから新しいレンズに替える
プールに入った後の目には、雑菌や塩素が付着しています。プールから上がった後コンタクトレンズを替える場合、すぐにレンズをつけると異物が付着する危険性があります。少し目を休ませてからレンズを装用しましょう。
なお、目を洗う時には人工涙液を使ってください。以前は水道水が使われていましたが、水道水には塩素が含まれており目に刺激を与えることになります。
人工涙液とは、涙を補い目を洗い流すための目薬です。ドラッグストアや通販で購入できます。人工涙液は涙と似た成分を持ち、塩素が含まれていないため目にも安全です。
まとめ
今回はプールにおけるコンタクトレンズの装用について解説しました。
原則として、プールではコンタクトレンズの使用を避けましょう。レンズにプールの水が付着すると感染症やレンズの変形、紛失などを起こすリスクがあります。
コンタクトレンズの代替品として、度つきゴーグルが便利です。どうしてもコンタクトレンズを装用したい場合は、使い捨てのレンズを装用しましょう。その場合も装用は必要最低限に留め、プールから上がった後レンズをすぐに外しましょう。