目次
コンタクトレンズを使うことによって、アレルギーの症状が出ることがあります。アレルギーの症状としては、目の痒みや充血があげられます。
しかし、アレルギーを持っていても、コンタクトレンズを使用したいと思う方もいるでしょう。アレルギー症状が悪化する場合があるため、一般的に症状が出ている間はコンタクトレンズを装用すべきではありません。
この記事では、コンタクトレンズによるアレルギーのリスクと、その対処法について解説します。アレルギーから目を守るためにも、お悩みの方はぜひ最後までお読みください。
アレルギーで目が痒くなるのはなぜ?仕組みを解説
免疫とは異物を排除して体を守る機能であり、アレルギーはこの免疫が過剰に働くことで起こる症状です。アレルギーを発症すると、免疫が異物だけでなく自分の細胞まで攻撃してしまい、様々な不快な症状を引き起こします。
アレルギーで目が痒くなる仕組みを、イラストを使って解説します。
1:アレルゲンが目に入ると、アレルギー反応が起こります。アレルゲンとは、花粉やハウスダスト、ダニなどアレルギーの原因になる物質のことです。
2:アレルゲンが目の粘膜にある肥満細胞に取り付くと、アレルギー反応が起こります。肥満細胞は免疫に関わる細胞で、ヒスタミンの放出によりアレルギー反応を促進します。
3:ヒスタミンは知覚神経を刺激して、目の痒みを引き起こします。
アレルギーでもコンタクトレンズは使えるのか?
アレルギー症状が出ている間は、原則としてコンタクトレンズを装用すべきではありません。
理由は大きく2点あります。
1点目はコンタクトレンズ装用による刺激です。コンタクトレンズを装用すると、目に対して摩擦や異物感を起こします。
2点目はコンタクトレンズにアレルゲンが付着することです。アレルゲンがレンズに付くと継続してアレルギーを引き起こし、症状が長期間続く原因になります。
どうしてもコンタクトレンズを使用したい場合は、自己判断せず眼科医に相談しましょう。
コンタクトレンズによる
アレルギーの症状
コンタクトレンズによるアレルギーの症状として、次の3つが知られています。
- 目やに
- 異物感
- 巨大乳頭結膜炎
それぞれの症状について、詳しく解説します。
目やに
目やには、涙に含まれる成分・ムチンが目の表面にある異物を絡め取ったものです。朝起きた時に少量の目やにがついている程度であれば問題ありません。しかし、日中にも目やにが出る場合や、目やにの量が多い場合は注意が必要です。
また、透明から白色の目やにが続く場合は、アレルギーにより目に炎症が起きている可能性があります。
異物感
コンタクトレンズの装用中にいつもより目がゴロゴロする場合は、アレルギーによる炎症が起きている可能性があります。特にまぶたの裏に乳頭ができていると、異物感を起こしやすくなります。乳頭とは、まぶたの結膜にできるブツブツした直径 0.3mm 以上の炎症のことですが、特に1mm以上の乳頭ができる炎症を巨大乳頭結膜炎といいます。
巨大乳頭結膜炎
コンタクトレンズによる刺激とレンズの汚れによりまぶたの内側にブツブツした炎症が起こるのが巨大乳頭結膜炎です。巨大乳頭結膜炎は目の痒みや目やにを引き起こし、重症になるとコンタクトレンズがズレる原因にもなります。特にソフトコンタクトレンズの装用により起こりやすい病気です。
治療するにはコンタクトレンズの装用を中止し、抗アレルギー薬やステロイドの目薬を使います。
コンタクト使用時にアレルギー症状が出た時の対処法
コンタクトレンズ使用時にアレルギー症状が出た場合、ただちにコンタクトレンズを外しましょう。目を傷つける恐れがあるため、目を手で触ったりこすったりしてはいけません。症状がひどい場合は眼科を受診し、適切な処置を受けましょう。
また、アレルギー用の目薬は目薬の成分がレンズに吸着する恐れがあるため、コンタクトレンズの上から使用できません。目薬を使う場合は必ずコンタクトレンズを外し、目薬を差した後にレンズを装用する場合も5~15分ほど間隔を空けましょう。
まとめ
アレルギーを持っている方は、コンタクトレンズの装用により症状が悪化することがあります。どうしてもコンタクトレンズを使いたい場合は自分だけで判断せず、医師に相談しましょう。
ただし、コンタクトレンズを装用して目に異常を感じた場合はすぐにコンタクトレンズを外し、目に刺激を与えないよう注意する必要があります。症状が悪化すると治療に時間がかかるため、異常に気づいた時点ですぐに対処しましょう。
コンタクトレンズは便利ですが、目に直接触れるためリスクもあります。適切に使用し、目を健康に保ちましょう。
著 書
『年間2,000件の白内障手術を手掛けるスゴ腕ドクター佐藤香院長の白内障治療Q&A』(幻冬舎)/ 『スゴい白内障手術』(幻冬舎) / 『目は若返る 50歳からの眼科治療』(幻冬舎)
年間2,000件以上の手術を行う。 とくに最先端の多焦点眼内レンズの豊富な知識を駆使して、多焦点眼内レンズと白内障レーザー手術において抜群の治療実績を誇る。その他、網膜硝子体や緑内障の手術も担当。
まぶたの手術やボトックス注射など、眼科医としての視点を活かした目周りの美容にも注力。また、校医を務めるなど、地元住民のかかりつけ医として地域医療にも貢献している。日々のちょっとした悩み相談から高度な治療まで、総合的な目のケア一「トータルアイケア」の提供を目指す。
現在、注目の眼科女医として、テレビやラジオ、新聞、雑誌など、さまざまなメディアに取り上げられている。
【所属学会】
日本眼科学会 / 日本白内障屈折矯正手術学会 / 日本眼科手術学会 / 日本緑内障学会 / 日本近視学会
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