コンタクト
最終更新日:2025.05.29

ハードコンタクトが時代遅れといわれる理由は?ソフトコンタクトとどっちがいい?

ハードコンタクトが時代遅れといわれる理由は?ソフトコンタクトとどっちがいい?

目次

「ハードコンタクトって、最近あまり聞かないけど、もしかして時代遅れ?」「長年使っているけれど、ソフトに変えた方がいいのかな?」と疑問や不安を感じている方もいるのではないでしょうか。

実際、コンタクトレンズの種類は年々増えており、ハードコンタクトをとり巻く環境も変化しています。けれども、それが「時代遅れ」という意味なのでしょうか?

本記事では、「ハードコンタクトは時代遅れ」といわれる背景を整理しながら、ソフトコンタクトとの違いや、それぞれの選び方について解説します。コンタクトレンズ選びに迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

コンタクトレンズ推奨傾向が
変わってきている

かつて、コンタクトレンズといえばハードコンタクトレンズが主流でした、「目に良い」というイメージから多くの方に選ばれていました。特に酸素透過性の高さが大きな理由です。

しかし近年ソフトコンタクトレンズの技術が進歩し、特に「シリコンハイドロゲル」素材の登場により、ソフトタイプでもハードと同等かそれ以上の酸素を角膜に届けることが可能になりました。このシリコンハイドロゲル素材は酸素透過性に優れているだけでなく、定期交換タイプが多いため、清潔に使いやすいというメリットもあります。

そのため、以前のように「まずハードコンタクトレンズが第一選択」という考え方は変わりつつあり、装用感や利便性に優れた高酸素透過性のソフトコンタクトレンズも積極的に推奨されています。

ハードコンタクトが時代遅れと言われる理由とは

一部メディアの調査で「ハードコンタクト 時代遅れ」という検索ランキングが上位になったことも話題になりましたが、「ハードコンタクトは時代遅れ」という声が聞かれるには、いくつかの理由が考えられます。ここでは、ハードコンタクトが持つ特性の中から、特にネガティブにとらえられがちな面を具体的に解説します。

慣れるまでに時間がかかる

ハードコンタクトが敬遠される理由の一つとして、ソフトコンタクトに比べて着け心地に慣れるまで時間がかかる点があげられます。これは、ハードコンタクトが水分を含まない硬いプラスチック素材で作られているためです。はじめて目にレンズを入れた際、たいていの人がゴロゴロとした異物感や、時には軽い痛みを感じることがあります。

特に、すでにソフトコンタクトレンズの柔らかい装用感に慣れている方や、コンタクトレンズ自体がはじめての方も、装用した感覚に慣れるまで、ある程度の期間が必要になるでしょう。また、レンズが硬いために、目にゴミなどが入ってしまった場合に、ソフトコンタクトよりも強い痛みや違和感を覚えやすいという特徴もあります。

毎日のケアが必要である

毎日のケアが必要

ハードコンタクトレンズは、耐久性が高い一方で、清潔に保つために毎日のケアが欠かせません。水道水でレンズをすすげる点はメリットですが、それだけでは不十分です。

レンズに付着した化粧品などの脂質汚れや、涙に含まれるタンパク質汚れは、レンズの曇りや装用感の低下、さらには眼障害の原因になる可能性もあります。そのため、専用の洗浄液を使ったこすり洗いや、保存液での消毒・保管といった日々のメンテナンスが必要です。ケアが不要な1dayタイプのソフトコンタクトと比較すると、この手間を負担に感じる人もいるでしょう。

紛失や破損の心配がある

ハードコンタクトレンズは直径が小さいため、レンズのつけ外しの際や、スポーツしている時など、ふとした拍子に落として紛失してしまったり、間違えて破損させてしまったりするリスクがあります。

ソフトコンタクトレンズの多くは定期交換タイプや1dayタイプでスペアがあることが多いですが、ハードコンタクトレンズは基本的に長期間使用するレンズのため、紛失・破損するとすぐに代わりがなく、新たに購入しなおさなければなりません。この点が不便に感じられることがあります。

1枚のレンズが高い

コストパフォーマンスのイメージ

ハードコンタクトレンズを選ぶ際に、レンズ1枚あたりの値段が気になる方もいるでしょう。レンズ1枚あたりの値段は数千円から数万円と、ソフトコンタクト(特に1dayタイプや2weekタイプなど)と比較すると高価です。両眼分を揃えるとなると、ある程度のまとまった費用が必要です。

ただし、ハードコンタクトは耐久性に優れており、レンズの取り扱いやケアを適切に行えば、一般的に2~3年使用できることがあります。そのため、長期的な視点で見れば、頻繁に交換が必要なソフトコンタクトよりもトータルコストパフォーマンスは良い場合もあります。

長期間使うと眼瞼下垂のリスクが高まる

ハードコンタクトの長期使用と「眼瞼下垂(がんけんかすい)」との関連性が指摘されています。眼瞼下垂とは、まぶたが下がってきて目が開きにくくなる状態のことです。

ハードコンタクトレンズはソフトコンタクトレンズに比べて厚みや硬さがあるため、装用した状態でまばたきを繰り返すことで、まぶたの内側を擦る刺激が加わり続けます。また、装着時や取り外す時に、上まぶたを引っ張りすぎる行為が何度も繰り返されます。

このような2つの繰り返しが原因となり、瞼を引き上げる筋肉の筋膜に影響を与え、眼瞼下垂を引き起こす危険性があると考えられます。

ソフトコンタクトとハードコンタクト、
どっちを選ぶのがいい?

ここでは、ソフトコンタクトレンズとハードコンタクトレンズの特徴を比較します。それぞれのメリット・デメリットを理解し、目の状態やライフスタイルに合った最適な選択をしましょう。

ハードコンタクトが持つ特徴

ハードコンタクトレンズには、以下のような特徴があります。

  • レンズが硬く形状が安定しているため、角膜の凹凸を補正し、シャープでクリアな視界が得られやすい
  • 角膜乱視に対する矯正効果が高い
  • 酸素透過性が高く、長時間の使用にも適している
  • 適切にケアすれば2~3年の長期使用が可能
  • 水分を含まないため、レンズ自体には細菌が繁殖しにくい
  • 毎日のケアが必要
  • 慣れるまで異物感がある

また、特に乱視がある場合には、同じ度数のソフトコンタクトよりも見え方が良いと感じることがあります。レンズと角膜の間の涙液がレンズの役割を果たし、強い乱視でも良好な視力が得られるためです。初期費用は高く感じることもありますが、長く使用できるため長期的には経済的と言えます。また、涙の交換がスムーズに行われやすく、ドライアイの人におすすめされることもあります。

ソフトコンタクトが持つ特徴

ソフトコンタクトには、以下のような特徴があります。

  • 水分を含んだ柔らかい素材でできているため、異物感が少なく、着け心地が良い
  • 乱視用・遠近両用、カラーコンタクトレンズなど種類が豊富
  • 酸素透過性が高い素材が主流になり、目の負担が軽減してきている
  • 1Dayタイプなどを含め、ケアが簡単で清潔に使い続けられる
  • 乱視矯正効果は限定的
  • 目にフィットしやすくズレにくいため、スポーツ時にも装用しやすい

ソフトコンタクトレンズは種類が豊富なため、目的やライフスタイルに合わせて多様な選択肢があります。1dayタイプはレンズケアが一切不要で、毎日新しいレンズを使うため非常に衛生的です。ただし、水分を含むため、ケアを怠ると細菌が付着・繁殖しやすい側面もあります。

また、乱視がある場合は、専用の乱視用ソフトコンタクトレンズ(トーリックレンズ)が必要です。レンズによっては、長時間装用すると乾燥を感じることがあります。

ハードコンタクトレンズの方が目にやさしい?

コンタクトレンズを装着する女性

昔は「ハードの方が酸素をよく通すから目にやさしい」といわれていましたが、現在はソフトでも高酸素透過性の製品が増えており、一概にどちらが優れているとはいえません。

特に、強度乱視の人や、特定の目の状態の人にはハードコンタクトレンズ、装用感や利便性、スポーツする習慣などを考慮するとソフトコンタクトレンズがおすすめなど、目的に応じた選択が重要です。大切なのは、自分の目の健康状態やライフスタイルに合ったレンズを選ぶことです。眼科医とよく相談し、検査を受けた上で最適なレンズを決定しましょう。

まとめ

ハードコンタクトには、慣れが必要な装用感、毎日のケアの手間、紛失・破損のリスク、初期値段の高さ、長期装用による眼瞼下垂の危険性といった側面から、「時代遅れ」と感じられることがあるようです。しかし、優れた乱視矯正力やクリアな視界といったメリットもあります。

一方、ソフトコンタクトも進化しており、着け心地の良さや利便性の高い製品が多くおすすめされています。結局どっちがいいかは、個々の目の状態、ライフスタイル、何を重視するかによって異なるのです。

この記事を参考に、それぞれの特徴を理解し、眼科医と相談の上で、ベストなコンタクトレンズを見つけて、快適な視生活を送ってください。

監修者プロフィール

内野 美樹

ケイシン五反田アイクリニック 院長

HP:https://www.keishin-eye.com/

山梨医科大学 医学部卒業後、慶應義塾大学 眼科学教室入局。米・ハーバード大学 公衆衛生学修士取得。慶應義塾大学 眼科学教室 特任講師。
眼科のなかでも「ドライアイ」を中心にした角膜の疾患を専門とする。日本におけるドライアイについての疫学研究の第一人者であり、近年増えている長時間のパソコン作業によるVDT(Visual Display Terminal)症候群などの研究を行っており、日本のドライアイの有病率、パソコン使用時間とドライアイとの関係について世界で初めて証明した。ドライアイにつながる危険因子を研究し、ドライアイ診断に関する国際的な基準づくりにも携わる。
予防医療の啓蒙活動にも力を入れ、『しまじろうとEye Care Book』幼稚園や保育園の先生の目の教科書となるような『子どもの目見守りサポートBook』を作成。
目の健康について学び、セルフケアができるよう、『ナカナイ涙』などのWebサイトの監修も手掛ける。

【所属学会】
日本眼科学会 / 日本眼科医会 / 日本角膜学会 / 小児眼科学会 / 日本弱視斜視学会 / ドライアイ研究会

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