この記事の執筆者
眼とメガネの情報室
みるラボ編集部
目次
コンタクトレンズを買おうと思ったものの、どんなレンズが自分の目に合っているのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ソフトコンタクトレンズとハードコンタクトレンズの違い、それぞれの素材や大きさ、見え方、寿命などの特徴を詳しくご紹介します。
柔らかく快適なソフトコンタクトレンズと、優れた矯正力を誇るハードコンタクトレンズのそれぞれの利点を理解すれば、自分の目に合ったレンズが選べるようになるため、ぜひ参考にしてください。
コンタクトレンズの
ソフトとハードは何が違う?
コンタクトレンズには、ソフトとハードの2つのタイプがあり、それぞれ特徴が異なります。
ソフトコンタクトレンズは柔らかい素材でできており、1日や2週間の使い捨てタイプが存在するなど、初心者でも扱いやすいです。
ハードコンタクトレンズは硬い素材でできており、乱視矯正に適しています。
ここでは、それぞれのレンズの素材、大きさ、見え方、寿命の違いや、乱視矯正力の有無について詳しく解説します。
素材の違い
コンタクトレンズは、素材によって使用感や取り扱い方法が異なります。
ソフトコンタクトレンズは水分を多く含み、柔軟で快適なつけ心地が特徴です。ただし、目が乾きやすいというデメリットがあります。
一方で、ハードコンタクトレンズは水分を含まず、乾きにくいですが、硬さからくる異物感が感じられるかもしれません。
また、ソフトコンタクトレンズにはHEMAハイドロゲル素材の「旧素材のコンタクト」と、シリコーンハイドロゲル素材の「ハイスペックコンタクト」の2つがあります。ハイスペックコンタクトは旧素材のコンタクトと比較して酸素透過性が高く、長時間の装用に適します。
対してハードコンタクトレンズはシリコンやアクリル系の素材が使われ、硬さがあるためつけ心地はソフトコンタクトレンズに劣るとされています。
目の状態や使用目的によって異なりますが、酸素透過性や装用感にこだわりたい場合はソフトコンタクトレンズを選び、乾きにくさや耐久性を求める場合はハードコンタクトレンズを選ぶなど、自身のニーズに合った素材を選ぶと良いでしょう。
ソフトコンタクトレンズ
- メリット
水分が多い
柔軟でつけ心地が快適
- デメリット
乾きやすい
ハードコンタクトレンズ
- メリット
乾きにくい
耐久性がある
- デメリット
素材が硬いため、つけ心地に違和感を感じることがある
大きさの違い
ソフトコンタクトレンズとハードコンタクトレンズの違いとして、レンズの大きさも重要なポイントです。
一般的に黒目と呼ばれる角膜の平均サイズは約11〜12mmで、大人から子供までほぼ個人差はないとされています。
ソフトコンタクトレンズの大きさは角膜よりも大きい約13.5〜14.5mmで、ハードコンタクトレンズは約8.0〜9.5mmです。
ハードコンタクトレンズの大きさは小さいため、まばたきのたびに角膜の上でレンズが動き、涙の交換がスムーズに行われます。
一方ソフトコンタクトレンズは角膜よりも大きいため、ずれにくく落ちにくい特徴があります。
さらに、レンズの大きさによりつけ心地も異なります。
レンズのふち部分が白目に触れるソフトコンタクトレンズのつけ心地は比較的良好ですが、レンズが小さくふち部分が角膜に触れるハードコンタクトレンズは異物感を感じることがあります。
また、ハードコンタクトレンズは小さいため目を大きく開けなくてもつけられるのに対し、ソフトコンタクトレンズは目を大きく開ける必要があり、人によってはつけ外しの難易度にも差を感じるでしょう。
見え方の違い
ハードコンタクトレンズは素材が硬いことから光学性に優れており、クリアな見え方が期待できます。
特に強度の近視や乱視の矯正に向いています。
しかし、まばたきをするたびに目の中でレンズが動くため、慣れるまでは「見えにくい」と感じることがあります。
ソフトコンタクトレンズは、まばたきをしても動きが少ないため、初めてコンタクトレンズを使用する方でも見え方の違和感が少ないでしょう。フィット感が高く、初心者でも慣れやすいとされています。
乱視矯正効果があるかの違い
ソフトコンタクトレンズで乱視矯正をする場合は「乱視用レンズ」を使用しますが、度数などの制作範囲が限られており、強い乱視や特殊なケースには適しません。
また、ソフトコンタクトレンズを用いた乱視矯正では角膜の上でレンズが安定する必要があるため、アレルギー症状が強く涙でレンズが動く場合には、乱視矯正効果が十分に発揮されないことがあります。
一方、その素材の硬さと優れた光学性により不規則な角膜のカーブを補正できるハードコンタクトレンズは、乱視の程度に関わらず高い矯正効果が期待できます。
ほかにも、円錐角膜を発症している方やソフトコンタクトレンズでは矯正が不可能な方に対して、ハードコンタクトレンズが選択されることがあります。
目の状態は人それぞれ異なるため、コンタクトレンズで乱視矯正が必要な場合は、必ず眼科医と相談の上で素材を選んでください。
寿命の違い
コンタクトレンズの寿命は素材によって異なります。
ハードコンタクトレンズは水分を含まない素材であるため、汚れにくく約2〜3年使用できます。対してソフトコンタクトレンズは、水分を含むため汚れが付着しやすく、約1〜1年半が寿命とされています。
コストをおさえたい方はハードコンタクトレンズを選択し、使い捨ての便利さなどを重視する方はソフトコンタクトレンズを選ぶと良いでしょう。
また、使い捨てソフトコンタクトレンズの寿命も種類によって異なります。
1day
- 1日のみ使用可能(毎日交換が必要)
- 再利用不可
- 毎日新しいレンズを使用するため洗浄(ケア)不要
2week
- 使用開始後、約2週間(14日間)が使用期限
- レンズを外した後は洗浄(ケア)が必要
- 洗浄後は清潔なケースで保管
1month
- 使用開始後、約1ヶ月(30日間)が使用期限
- レンズを外した後は洗浄(ケア)が必要
- 洗浄後は清潔なケースで保管
- 使用期間が長くなるにつれ汚れが蓄積しやすくなる点に注意
目の健康を守るため、それぞれのレンズの寿命を必ず守りましょう。
また、シリコーンハイドロゲル素材のソフトコンタクトレンズは酸素透過性が高く目に優しいのが特徴ですが、汚れが蓄積しやすく寿命が短い傾向がある点に注意が必要です。
寿命に限らず目に不調を感じたら、新しいレンズに交換または買い替えを検討してください。
ソフトコンタクトレンズと
ハードコンタクトレンズの
メリット・デメリット
ソフトコンタクトレンズとハードコンタクトレンズには、それぞれ以下のようなメリットとデメリットがあります。
ソフトコンタクトレンズ
メリット
- レンズが柔らかく装着しやすいため、初心者にも適している
- ずれにくく、つけ心地が良い
- 使い捨てタイプがあり、視力が急激に変化した場合にも対応しやすい
- 1dayタイプを使用すれば、洗浄(ケア)の手間が省け、常に清潔なレンズを使用できる
デメリット
- 寿命が短く定期的な交換が必要なため、コストがかかる
- 汚れがつきやすく、使い捨てタイプでなければ洗浄が必要
- 破れやすい
ハードコンタクトレンズ
メリット
- 寿命が約2〜3年と長い
- 酸素透過性が高いため目が乾きにくい
- 強度近視や特殊な乱視に対しても視力矯正効果が期待できる
デメリット
- レンズの硬さや厚みからつけ心地に違和感がある
- 装着後、目が慣れるまでに時間がかかる
- 洗浄(ケア)が必要
- 初期費用が高い
- 紛失しやすいため追加の費用がかかる可能性がある
用途に合わせた
コンタクトレンズの選び方
ソフトコンタクトレンズとハードコンタクトレンズにはそれぞれ異なる特徴があります。
1種類のレンズで間に合わせても良いですが、用途に合わせて使い分けると快適に過ごすことができるでしょう。
ここでは用途に合わせたコンタクトレンズの選び方をご紹介します。
スポーツで激しく動く
激しく動くスポーツをする際には、柔らかくてずれにくいソフトコンタクトレンズがおすすめです。
普段はメガネを使用していてスポーツをする時だけコンタクトレンズにしたいという場合も、使い捨てタイプを選べばコストをおさえられます。
ハードコンタクトレンズは外れやすく、人や物と接触した場合に紛失したり破損したりする恐れがあるため運動やスポーツをする際は避けましょう。
使用頻度が低い
使用頻度が低い場合は、1日使い捨てタイプのコンタクトレンズがおすすめです。
毎回新しいレンズを使用するため、清潔で衛生的にレンズを使用できます。
保存液(洗浄液)やケースも不要で手間がかかりません。
保湿効果が高く酸素透過性が優れているレンズを選べば、たまに使用する場合も快適に過ごせます。
酸素透過性の高いコンタクトレンズを選びたい
酸素透過性の高いコンタクトレンズを選びたい場合は、シリコーンハイドロゲル素材が使用されたソフトコンタクトレンズを選びましょう。酸素透過性の指標は「Dk/t」で表され、Dk/t値が高いほど酸素透過性が高くなります。
ただし、シリコーンハイドロゲル素材を使用したレンズは汚れが蓄積しやすいというデメリットがあるため、使用頻度や用途に合わせて検討してください。
目の乾きを軽減したい
ソフトコンタクトレンズには「含水率」という水分量を示す割合があります。
目の乾きを軽減したい場合、含水率が高いレンズを選びたくなりますが、高含水レンズが元々保持していた水分が蒸発した後は、目の表面の水分(涙)をレンズが吸収しようとするため、より目が乾燥しやすくなります。
そのため、低含水レンズの方が目が乾きにくいという説がありますが、個人差があるため一概に言えません。
ドライアイの可能性もあるため眼科医に相談し、必要であればレンズの種類を変更したり、コンタクトレンズ用の目薬を使用すると良いでしょう。
コンタクトレンズの
外し方のコツ
ソフトコンタクトレンズとハードコンタクトレンズの外し方にはいくつか違いがありますが、手指をよく洗い、鏡を用意することは共通です。指に水分が残っているとレンズを外しにくくなるため、しっかりと水分を拭き取ってください。
ソフトコンタクトレンズの場合は、目を大きく開いた状態で、利き手ではない方の中指で上まぶたを持ち上げ、利き手の中指で下まぶたを引き下げます。利き手の親指と人差し指をピンセットのような形にして、レンズを優しくつまみ、ゆっくりと取り外します。
ハードコンタクトレンズの場合は、目を大きく開いて、レンズを外す目尻よりのまぶた内側を軽く押さえ、こめかみ側に優しく引っ張ります。レンズのふちが上まぶたと下まぶたに引っかかり挟まることで外れるため、目を大きく開けてから引っ張ることがポイントです。
まとめ
今回は、ソフトコンタクトレンズとハードコンタクトレンズの違いと特徴、選び方についてご紹介しました。
ソフトコンタクトレンズとハードコンタクトレンズは、それぞれ素材や大きさ、見え方、寿命が異なります。
スポーツシーンでは柔らかくてずれにくいソフトコンタクトレンズを、高い矯正力を求めるのであればハードコンタクトレンズというように、用途により使い分けることが大切です。
この記事を参考に、自分の目に合ったコンタクトレンズを選んでみてください。