目の病気
最終更新日:2025.04.25

乱視の見え方とは?対処法や近視・白内障との違い

乱視の見え方とは?対処法や近視・白内障との違い

目次

眼科や目の検査をして「少し乱視だね」などと言われた経験のある方もいるかもしれません。乱視は、ものが二重に見えたり、ぼやけたりする状態のことですが、見えにくいだけではなく、目の疲れや頭痛など、様々な影響があります。
この記事では、「乱視」がどういった見え方の状態を指すのかをご紹介するとともに、矯正方法をお伝えします。

乱視とは?

乱視表

乱視は、角膜や水晶体を通過する光がいびつに屈折することによって見え方が変化した状態です。
角膜や水晶体が目に入る光を屈折させて網膜上に焦点を結ぶ事で、はっきりとものが見えるようになります。これらの厚みやカーブの形状が方向によって均一でなくなってしまうと、焦点が1つにまとまりません。その結果、ものが二重に見えたり、ぼやけて見えたりするようになるのが「乱視」です。

長さ・濃さ・太さが同じ線で書かれた放射線状の「乱視表」がどのように見えているかで、乱視があるかどうかを簡単に検査することができます。軽度の乱視であれば矯正しなくても問題ありませんが、乱視が進んできた場合は矯正するのがおすすめです。

ものが二重になったりにじんで見えたりすることで、無意識のうちに目に力が入ってしまい、目の疲れや、それに伴う頭痛・肩こりなどを感じることがあります。

乱視の見え方

乱視は角膜や水晶体の屈折が歪む症状です。乱視は特に、暗い時間に見えにくさを感じます。暗くなると、目は瞳孔を開くことでたくさんの光を取り込もうとします。光の幅が広がると歪みも大きくなり、より視界がぼやけて見えにくくなります。

また、暗い時間ほどではないものの、明るい時間帯でも文字がぼやけて見えることがあります。

【暗い時間の見え方】

乱視なしの見え方

夜間の車内イメージ

乱視の見え方

夜間の車内イメージ

【明るい時間の見え方】

乱視なしの見え方

昼間の車内イメージ

乱視の見え方

昼間の車内イメージ

乱視は「正乱視」と
「不正乱視」の2種類がある

乱視は「正乱視」と「不正乱視」の2つに大きく分けられます。ほとんどの方は正乱視です。原因や見え方について、それぞれご紹介します。ご自身に乱視があるかどうか気になる方は参考にしてください。

正乱視

正乱視と倒乱視の比較

正乱視は、角膜や水晶体が特定の方向に歪んでいる状態のことです。生まれつきの場合もありますが、加齢によって徐々に現れることもあります。歪みの方向によって3種類に分けられ、見え方も異なります。

直乱視

直乱視は、縦方向に歪んで見える乱視です。角膜が縦方向に潰れたような形になっています。乱視表では、縦方向が濃く見えて、それ以外の部分はぼやけて見えます。文字や光などが、上下にぶれたように見えるのが特徴です。

倒乱視

倒乱視は、横方向に歪んでみる乱視です。角膜が横方向に潰れたような形になっています。乱視表では、横方向が濃く見えて、それ以外の部分がぼやけて見えます。文字や光なども、左右にぶれたように見えるのが特徴です。

斜乱視

斜乱視は、斜め方向に歪んで見える乱視です。角膜が斜めに潰れたような形になっています。乱視表では、特定の斜め方向が濃く見えて、それ以外の部分がぼやけて見えます。文字や光などが、斜め方向にぶれたように見えるのが特徴です。

不正乱視

不正乱視の見え方イメージ

正乱視以外の乱視を、不正乱視と呼びます。一般的には目の外傷や炎症または円錐角膜などが原因です。外傷などによって角膜や水晶体の表面がでこぼこした状態になった結果、乱視となります。原因が取り除かれれば、不正乱視は改善することもあります。
乱視のある目でものを見ると、何重にもぶれて見えます。

乱視によって
引き起こされる症状

軽度の乱視では自覚症状はないことが多いです。しかし、ある程度乱視が強くなると、ものの見え方に違和感を生じます。
乱視によって起こる症状の例を下記にまとめました。

  • 遠くでも近くでも、ものがぼやけて見える
  • ものが歪んで見える
  • ものが二重に見える
  • 眩しく感じる、ライトが見えにくい
  • 目の疲れを感じる

乱視を放置していると、見えにくい状態であるにもかかわらず物を見るため、目に負担がかかります。目の疲れから頭痛、肩こりを引き起こす場合があります。

乱視は症状だけでは診断できないため、上記に当てはまってるからといって乱視とは限りません。乱視の診断には、機械で角膜の形状を調べる必要があります。

乱視と似た症状とは

乱視と似た症状として、次の症状があります。

  • 近視・遠視
  • 白内障

これらの病気と区別するには、医師の診断や検査が必要です。「乱視かな?」と思っても、自己判断せずまずは眼科を受診しましょう。ここでは、それぞれの症状と乱視との違いをまとめました。

近視・遠視

近視は遠くがぼやけて見える症状、遠視は近くがぼやけて見える症状のことです。
通常、目では水晶体の厚みが変わることで焦点距離を調節して、ピントを合わせます。しかし、近視や遠視では目の調節力を駆使してピントを合わせようとしても、ぼやけてしまいます。

近視

  • 症状 : 遠くがぼやける
  • 焦点 : 前方にずれる
  • 矯正に使用するレンズ : 凹レンズ

遠視

  • 症状 : 近くがぼやける
  • 焦点 : 後方にずれる
  • 矯正に使用するレンズ : 凸レンズ

近視や乱視は距離によって見えやすさが変わりますが、乱視は距離に関わらず見えにくさを感じる症状です。近視・遠視と乱視が合併することもあります。

白内障

白内障は水晶体が白く濁る病気です。白内障になると、目がかすむ、物が二重に見える、眩しさを感じるなどの症状が起こります。加齢により発症することが多く、早い人では40代から進行し、80代ではほぼ100%の人が白内障を発症します。

不可逆的に視力が低下するため、白内障が疑われる場合は早めに眼科を受診しましょう。乱視や近視・遠視と違って、白内障が進行するとレンズによる矯正ができません。一般的には手術により、眼内レンズを挿入する治療が行われます。

乱視の対処法と
メリット・デメリット

乱視の矯正には主にメガネ・コンタクトレンズが使われていますが、近年は根本的な治療法として手術も行われています。それぞれの対処法について、メリット・デメリットをまとめました。

メガネ

一般的な正乱視はメガネで対応できます。屈折度を測定し、目に合ったレンズを作製します。
メガネのメリットは、レンズが直接目に触れないため、目に感染症や充血などの症状があっても使用できる点です。付け外しも簡単で、コンタクトレンズと違って日々の消毒・洗浄も必要ありません。

一方、デメリットとして不正乱視の場合はメガネで矯正するのが難しい点が挙げられます。不正乱視の場合は、ハードコンタクトレンズや手術で矯正・治療する必要があります。

メリット

  • 目の状態に関わらず使用できる
  • 付け外しが簡単
  • 毎日の消毒・洗浄が必要ない

デメリット

  • 不正乱視の矯正は難しい

コンタクトレンズ

コンタクトレンズで乱視を矯正することも可能です。コンタクトレンズのメリットは、正乱視だけでなく不正乱視も矯正できることです。一般的に正乱視はソフトコンタクトレンズ、不正乱視はハードコンタクトレンズが使われます。

しかし、目に感染症や炎症が起きている時はは使えない点がデメリットです。繰り返し使うタイプは使うごとに消毒、洗浄が必要です。不衛生なレンズを使うと目に菌やウイルスが侵入し、感染症を発症するリスクがあります。

メリット

  • ハードコンタクトレンズの場合には不正乱視にも対応できる

デメリット

  • 目に感染症や炎症が起きている時は使えない
  • 付け外しに慣れが必要
  • 繰り返し使うタイプは毎回消毒・洗浄が必要

レーザー手術

レーザー手術とは、レーザー光線で角膜の屈折度を変えて乱視を矯正する治療法です。一度手術をすれば、メガネやコンタクトレンズがなくてもおおむね見えるようになります。

一方で、乱視を矯正するレーザー手術では費用が通常より高額になり、30~40万円程度かかります。
また、次に当てはまる方は手術を受けられない場合があります。

  • 角膜が薄い
  • 近視の度数が強い
  • 重度の糖尿病、アトピー疾患など傷の治りに影響を与えうる持病を持っている
  • 目に白内障などの疾患がある

メリット

  • メガネ、コンタクトレンズなどの装用が原則不要になる

デメリット

  • 費用が高額になる
  • 目の状態、持病によっては手術を受けられない

有水晶体眼内レンズの手術

有水晶体眼内レンズ(ICL)は、近視・遠視だけでなく乱視も矯正できます。ICLとは、水晶体を残したまま目の中にレンズを入れ、見え方を矯正する方法です。レーザー手術と同様に一度手術を受けるとメガネ・コンタクトレンズを装用しなくても見えるようになります。レンズには目の組織への刺激もほとんどありません。

デメリットとしてはコストがあげられます。手術費用に加えてレンズを作製するコストもかかるため、費用はレーザー手術より更に高額になります。

メリット

  • メガネ、コンタクトレンズなどの装用が原則不要になる

デメリット

  • 費用がレーザー手術より更に高額になる
  • 目の状態、持病によっては手術を受けられない

乱視の見え方を知って
対処しよう!

今回は、乱視の種類と見え方、矯正方法についてご紹介しました。乱視には、メガネで矯正可能な「正乱視」と、目のケガや炎症や円錐角膜などが原因の「不正乱視」の2種類があります。
乱視と似た症状として、近視・遠視や白内障があります。これらは必要な矯正や治療が乱視とは異なるため「乱視かな?」と思ってもまずは眼科を受診しましょう。

乱視は、コンタクトレンズやメガネで矯正できることが多いです。近年はレーザー手術、有水晶体眼内レンズの手術により乱視を治療する方法もあります。
ご自身の見え方に問題を感じている方は、視力や乱視の検査をしてみましょう。適切な矯正で、見え方を改善させることができますよ。

監修者プロフィール

原 修哉

原眼科クリニック 院長

HP:https://www.haraganka.jp/

名古屋大学医学部卒業後、名古屋市の中京病院へ入局し13年勤務。その期間中に、ハイデルベルク大学(ドイツ)へ留学。
大雄会第一病院 診療部長として7年の勤務を通じて、地域の重症例、難疾患、専門性の高い疾患などの医療に携わり、白内障手術、緑内障手術、角膜移植、屈折矯正手術、結膜手術など10,000件以上執刀。
現在は、原眼科クリニックを開業し、地域住民のかかりつけ医として地域医療にも貢献している。

【所属学会】
日本眼科学会 専門医 / 日本眼科手術学会 / 日本緑内障学会 / 日本角膜学会

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