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「最近、子供の視力が下がってきたかも…」と悩むご家族もいるのではないでしょうか。将来、度の強いメガネが必要になるのではないかと不安に思うこともあるかもしれません。
そういった子供の視力低下に対する不安も、早めの対策で軽減する可能性があります。近年、単に見え方を補正するだけでなく、2026年に日本で発売が開始された、小児の近視に考慮した特殊なレンズを使ったメガネが登場しました。
この記事では、子供用の特殊な構造をもつ近視用メガネの仕組みや選び方、眼科での作製の流れについて詳しくご紹介します。メガネ以外の治療法についても触れているため、子供の目の健康を守るためにぜひ参考にしてください。
増えている子供の近視と主な原因
近年、視力低下に悩む子供が増加しています。文部科学省の調査資料によると、裸眼視力が1.0未満の子供の割合は40年前に比べて増加傾向にあり、そのうちの約8~9割は「近視」が原因であるといわれています。
近視とは、眼球の形が前後方向に長くなって、目に入ってきた光が網膜より手前でピントを結んでしまい、遠くのものがぼやけて見える状態のことです。子供の近視が生じる主な原因には、親からの遺伝による「遺伝的要因」と、生活環境による「環境的要因」の2つが深く関わっていると考えられています。
近年は、スマートフォンやタブレット、ゲーム端末の普及や、学習環境のデジタル化により、近くをじっと見つめる作業の時間が長くなりました。それに伴い外で遊ぶ時間が減り、近視の進行をおさえるはたらきがある、太陽の光を浴びる機会が少なくなったことも、近視を進行させる環境的な要因として指摘されています。
近視の進行をおさえることが必要な理由
見えにくさを解消するだけでなく、「近視の進行をおさえる」ことが重要な理由は、将来的な目の病気のリスクを減らす必要があるためです。
子供時代は、体の成長に合わせて眼球も一緒に成長するため、眼球の奥行き(眼軸長)が伸びやすく、近視が急速に進行しやすい時期でもあります。近視の進行をそのまま放置して「強度近視」と呼ばれる状態にまで悪化してしまうと、大人になってから緑内障や網膜剥離、近視性黄斑症といった重篤な目の疾患を引き起こすリスクが高まります。最悪の場合、将来的な失明につながる恐れもあるのです。
そのため、見えにくくなったら度数の強いメガネに買い替えるだけではなく、子供のうちから近視の進行をできる限りおさえ、将来の目の健康を守るための対策や治療を取り入れることが世界的に重要視されています。
子供用の特殊な構造をもつ近視用メガネとは?
「子供用の特殊な構造をもつ近視用メガネ」とは、小児の近視を考慮した特殊な構造をもつメガネレンズです。
一般的な単焦点レンズのメガネの場合、中心部のピントは網膜に合いますが、周辺部の光は網膜より後ろでピントを結んでしまう(遠視性デフォーカス)という特徴がありました。これが、眼球をさらに後ろへ伸ばそうと刺激してしまい、近視の進行を早める原因になると考えられています。
これに対し、近年注目を集めている子供用の特殊な構造をもつ近視用レンズは、中心部でくっきりとした視界を保ちつつ、レンズ周辺に微細な構造を組み込み、周辺視野に近視性デフォーカスを作り出しています。
このはたらきにより、眼球が長くなるのを防ぎ、近視の進行を緩やかにする効果が期待できます。ただし、効果には個人差があるため、眼科医が適切と判断し、処方箋が発行される必要があります。
これらのメガネの一番のメリットは、低濃度アトロピン点眼などの薬物治療や、目の中に直接装用するコンタクトレンズと比べて、子供への身体的な負担が少ないことです。
普段の生活の中で毎日装用するだけで自然に近視対策ができるため、小さなお子さまや初めての近視治療を検討しているご家庭でも取り入れやすく、大掛かりなケアが必要ない点も魅力といえます。
子供用の特殊な構造をもつ近視用メガネの選び方
一般的なメガネ選びと共通する部分もありますが、活発に動き回る子供の生活スタイルに合わせて慎重に選ぶのがポイントです。ここでは、レンズの耐久性やフレームのフィット感など、具体的に気をつけるべき3つのポイントについて詳しく解説します。
レンズの耐久性はあるか
子供は大人に比べて動きが活発で、遊んだりスポーツをしたりする際にメガネを落としたり、ぶつけたりする危険性が高くなります。そのため、レンズの耐久性は非常に重要なポイントです。
レンズを選ぶ際にも、衝撃に強く、割れにくい素材(ポリカーボネートなど)が使われているかを確認しましょう。万が一の事故の際にも、レンズが割れて目を傷つけるリスクを大きく減らすことができます。
フレームがしっかりとフィットしているか
メガネがずり落ちてしまうと、レンズの特殊な設計が目の正しい位置からずれてしまい、十分な効果が得られなくなってしまいます。
そのため、子供の顔の形に合わせて、鼻あてや耳にかかる部分がしっかりとフィットし、ずれにくいフレームを選ぶ必要があります。成長に合わせてこまめにフィッティング調整ができる構造かどうかも確認しましょう。
正しい位置でかけ続けることが、治療の一環としても子供の近視の対応には大切です。
子供用メガネの選び方はこちらの記事もあわせて参考にしてください。
子供が気に入っているデザインか
子供用の特殊な構造をもつ近視用メガネは、毎日、長時間かけるのが推奨されるため、子供自身が喜んでかけてくれるかどうかが治療を続けるための大きなポイントです。
「かけたくない」と感じるデザインだと、親の見ていないところで外してしまう時間が増え、期待される効果が薄れてしまいます。
フレームの色や形など、子供が気に入っているデザインを選びましょう。親の視点だけで決めるのではなく、お子さまの意見をしっかりと尊重し、一緒にお気に入りの一本を見つける姿勢が大切です。
子供用の特殊な構造をもつ近視用メガネを作る時の流れ
メガネを作る時の流れは、一般的なメガネ作りと少し異なる部分があります。特殊なレンズを使用するため、自己判断で直接眼鏡店に行くのではなく、まずは医療機関での受診が必要です。ここでは、眼科の受診からメガネの完成、アフターフォローまでの5つのステップを解説します。
1.眼科で処方箋を作成してもらう
まず、眼科を受診して目の状態を正確に検査し、専用の処方箋を作成してもらう必要があります。子供の視力低下の原因は、近視だけでなく、遠視や乱視、あるいは別の目の病気が潜んでいる可能性もあり、眼科医による正しい診断が必要です。また、特殊な構造をもつ近視用レンズによる治療が適しているかどうかも医師に判断してもらいましょう。
2.処方箋を持参して眼鏡店へ行く
眼科で処方箋を受け取ったら、レンズを取り扱っている眼鏡店へ持参します。すべての眼鏡店で特殊な近視用のメガネレンズを扱っているわけではないため、事前にホームページや電話などで取り扱い店舗であるかを確認してから来店すると安心です。
3.フレームを選んでフィッティングしてもらう
眼鏡店では、処方箋をもとに子供に合うフレームを選びます。メガネがずり落ちたり、見え方に問題が生じたりしないように、適切な装用状態を維持することが何より大切です。
そのため、フレームはデザインの好みだけでなく、鼻あてや耳かけの調整が細かくできるか、顔にしっかりとフィットするかを重視して選びましょう。
フレームが決まったら、スタッフに黒目の位置とレンズの中心を合わせるフィッティング調整をしてもらいます。
4.完成したメガネを受け取る
メガネが完成したら再び店へ出向き、子供に実際にかけてもらいます。見え方に違和感がないかを確認するとともに、かけ心地や、動いた時にずれがないかをスタッフに細かくチェックしてもらい、問題がなければ受け取りとなります。
5.定期的なアフターフォローを受ける
特殊な構造をもつ近視用メガネは「作って終わり」ではありません。子供の目は成長とともに変化しやすいため、眼科での定期的な視力チェックや、眼鏡店での定期的なフィッティングが必須です。近視の進行具合や効果を確認し、必要に応じて度数の見直しをします。
また、活発な子供が毎日装用することで、フレームが歪んだりずれたりすることもあります。正しい位置でかけ続けるためにも、眼鏡店で定期的にフィッティングの再調整やメンテナンスを受けましょう。眼科と眼鏡店の両方でしっかりとしたアフターフォローを受けることが大切です。
メガネ以外にもある?
子供の近視対策法
子供の近視対策の選択肢は、今回ご紹介したメガネだけではありません。現在では点眼薬やコンタクトレンズを用いた方法など、様々なアプローチが登場しています。子供の年齢や目の状態、ライフスタイルによって適した方法は異なるため、眼科医と相談しながら無理なく続けられるものを選ぶことが大切です。
低濃度アトロピン点眼
低濃度アトロピン点眼は、就寝前に1日1回目薬をさす治療法です。本来、アトロピンという成分には瞳孔を開く作用があるため、眩しさや近くの見えにくさといった副作用がありました。しかし、成分を低濃度に調整することで副作用を最小限におさえつつ、近視をおさえる効果が期待できるようになっています。
点眼しない時と比べて、最初の1年間で近視の進行を30~70%程度おさえる効果があることが分かっています。身体的な負担が少なく手軽に始められる方法です。
多焦点ソフトコンタクトレンズ
多焦点ソフトコンタクトレンズは、遠くを見るための度数と、近視の進行をおさえるための特殊な構造を組み合わせたコンタクトレンズです。本来は老視(手元が見えにくい)を矯正するために開発されました。
日中に装用することで効果を発揮します。通常のソフトコンタクトレンズと同じように柔らかい素材でできているため、スポーツなど激しい運動をする子供に適した方法です。ただし、レンズのケアや着脱の管理が必要なため、衛生面を正しく管理できる年齢になってから検討するか、保護者のサポートが必要となります。
オルソケラトロジー
オルソケラトロジーは、夜寝ている間だけ特殊な形状のハードコンタクトレンズを装用し、角膜の形を平らに矯正する治療法です。
朝起きてレンズを外しても角膜の形が維持されるため、日中は裸眼で過ごすことが可能です。
水泳をはじめとする激しいスポーツをする子供に喜ばれます。また、近視の進行に対する効果も高いとされていますが、毎日のレンズケアをしっかりと行う必要があるため、保護者の管理が欠かせません。
レッドライト治療
レッドライト治療は、専用の機器を使って目に特殊な波長の赤い光を照射する、2014年に中国で開発された治療法です。
1回3分間、1日2回照射するのが一般的で、網膜の奥にある脈絡膜の血流を良くすることで、眼球(眼軸長)が伸びるのを防ぐ効果があるとされています。目薬やコンタクトレンズを目に入れるのが怖いというお子さまでも、痛みを伴わずに自宅で手軽に取り組める治療として近年注目を集めています。
サプリメント
食事や栄養面からのアプローチとして、近視の進行をおさえる効果が期待できる成分を含んだサプリメントも活用されています。
特に注目されているのが、クチナシなどの植物に含まれる「クロセチン」という成分です。
研究により、クロセチンには眼軸長の伸びをおさえるはたらきがあることが分かってきました。サプリメントだけで近視を完全に防ぐことは難しいですが、目薬や特殊な構造をもつ近視用メガネなどのほかの治療法と併用して取り入れるご家庭が増えています。
子供の近視進行をおさえるために知っておきたいこと
子供の近視は、一度進行してしまうと自然に回復することはほとんどありません。できるだけ早い段階で対策を始めることと、日常生活の中で目に負担をかけない工夫を継続することが大切です。ここでは、子供の近視進行をおさえるために、保護者が知っておきたい2つの重要なポイントを解説します。
早めに眼科を受診する
子供の視力は変化しやすく、本人が「見えにくい」と自覚して言葉で伝えるのが難しい場合も多いため、保護者が日頃の様子からサインに気づいてあげることが重要です。
以下のような場合は、近視が始まっているサインかもしれません。
- テレビを前の方に近づいて見るようになった
- 遠くを見る時に目を細める
- 頻繁に目を擦る
- 本やタブレットを極端に顔に近づけて見ている
こうした違和感を覚えたら、様子を見るのではなく、早めに眼科を受診させることが大切です。近視は早期に発見し、適切な治療や特殊な構造をもつ近視用メガネの装用などの対策を早く始めるほど、将来の強度近視を防ぐ高い効果が期待できます。
生活習慣を見直す
近視の進行をおさえるためには、メガネや点眼での治療だけでなく、毎日の生活習慣を見直すことも必要です。特に注意したいのが、スマートフォンやタブレット、ゲーム、読書などの近くを見る作業です。
近いところを見る作業の時は、次のような点に気をつけましょう。
- 画面や本と目の距離は30cm以上離し、背筋を伸ばして明るい部屋で正しい姿勢を保つ
- 30分見たら20秒以上遠くを見て目を休める
さらに、屋外で過ごす時間を増やすことも近視進行をおさえるのに効果的です。1日2時間程度を目安に、無理のない範囲で外遊びやスポーツの時間を積極的に取り入れましょう。
子供用の特殊な構造をもつ近視用メガネに関する
よくある質問
メガネの購入を検討する際、費用や保険の適用、対象年齢など、様々な疑問が浮かぶ保護者の方も多いでしょう。ここでは、子供用の特殊な構造をもつ近視用メガネについて眼科や眼鏡店でよく寄せられる疑問にお答えします。
Q.子供用の特殊な構造をもつ近視用メガネの費用相場は?
レンズ自体の費用相場は、おおよそ7万円〜8万円程度です。これに選んだフレームの代金が加わるため、トータルで8万円〜10万円ほどかかるケースが一般的です。一般的な単焦点レンズの子供用メガネと比べると高価になりますが、将来の目の健康への投資として選ばれています。取り扱い店舗によって価格設定や保証内容が異なるため、購入前に確認しておきましょう。
Q.子供用の特殊な構造をもつ近視用メガネは保険適用できる?
近視をおさえることを目的としたメガネの購入にかかる費用は、原則として健康保険適用の対象外となるため、全額自己負担(自費)となります。9歳未満の斜視・弱視などの治療用眼鏡に対する療養費支給とは扱いが異なるため注意が必要です。ただし、眼科での視力検査や診察、メガネの処方箋の作成にかかる費用については健康保険が適用されます。
Q.子供用の特殊な構造をもつ近視用メガネは何歳頃からかけられる?
特殊な構造をもつ近視用メガネは、一般的に就学前後の5歳頃から処方されることが多いです。この時期から小学生、中学生にかけては体の成長とともに眼球(眼軸長)も伸びやすく、近視が最も進行しやすい時期だからです。子供がメガネを嫌がらずに安全に装用・管理できるかどうかも考慮しながら、眼科医と相談して開始時期を決めましょう。
Q.子供用の特殊な構造をもつ近視用メガネの適切な装用時間はある?
効果的に活用するためには、起きている間は基本的に常にメガネを装用することが推奨されています。入浴時や就寝時、激しいスポーツをする時などを除き、日中の活動時間はできるだけ長くかけ続けることが大切です。途中で外してしまうと十分な効果が得られない可能性があるため、具体的な装用時間については眼科医の指示にしっかり従いましょう。
まとめ
今回は、子供の近視の原因をはじめ、特殊な構造をもつ近視用メガネの仕組みや選び方、その他の対処法についてご紹介しました。
子供の視力低下への不安も、メガネなどの適切な治療や対策を知ることで軽減できます。子供に合った方法を選び効果的に取り入れることで、将来の強度近視のリスクを減らすことができるでしょう。
視力の変化に気づいたら早めに眼科を受診し、メガネの適切な装用や生活習慣の改善を続けることが大切です。今回ご紹介した内容をぜひ参考にしてみてください。子供の健やかな目を一緒に守っていきましょう。



