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コンタクトレンズを購入してから長期間使わずに保管していて、いざ使うときに期限が切れていないか心配になったことはありませんか?
コンタクトレンズには、未開封の状態であっても使える期限が決まっています。期限が切れていることに気付かずに使うと、レンズの品質が低下していたり眼障害が起こったりする可能性があります。
そこで今回は、コンタクトレンズを安全に使うための期限について解説します。この記事を読むことで、お手持ちのレンズがまだ使えるか判断できます。レンズだけでなくケア用品の期限、処分の方法についてもご紹介しますので、コンタクトレンズやケア用品を使っている方はぜひ参考にしてください。
コンタクトレンズに
消費期限はある?

コンタクトレンズの消費期限には「使用期限」と「使用期間」の2種類があります。どれほどきれいな状態で保管されていても、使用期限または使用期間が過ぎていれば使用できません。
まずは使用期限、使用期間それぞれの意味について解説します。レンズの種類や製品によってそれぞれの期限は異なるため、お手持ちのレンズがどの種類にあてはまるのか調べたうえで期限を確認しましょう。
使用期限とは?
使用期限とは、コンタクトレンズを未開封の状態で保管した場合の期限です。保管状態が良く見た目がきれいなコンタクトレンズでも、使用期限が切れていれば使用できません。購入してから時間が経っている製品は、装着前に使用期限を確認しましょう。
使用期間とは?
使用期間とは、コンタクトレンズを開封してから使用できる期間のことです。コンタクトレンズの種類によって使用期間は開封日当日から3年と幅広く、レンズのパッケージを見ても使用期間がいつまでか分からない場合があります。
種類ごとの使用期間については後半の「【種類別】コンタクトレンズの使用期限と使用期間」をご参照ください。
レンズを2週間以上使用する場合は、開封日をケースやカレンダーに記載しておくとレンズの交換日を忘れずに管理でき、使用期間が切れたレンズの使用を防げます。カレンダーアプリやスケジュール帳を活用し、使用期限をリマインドしたり記録しておくのも有効です。
使用期間の前でも汚れが落ちなかったり、装着していて違和感があったりする場合は交換したほうが良いこともあります。
使用期限の記載場所
外箱やコンタクトレンズのケース表面に年月の記載があります。数字だけ記載されている製品もあれば、EXP(Expiration date)と書かれている場合もあります。
例)2023.07またはEXP 2023.07と書かれていた場合
→ 使用期限は2023年の7月中であり、2023年8月以降は使用不可
洗浄液やコンタクトケースにも使用期限が存在する
コンタクトレンズだけでなく、洗浄液やコンタクトケースにも使用期限があります。各製品の外箱や容器に使用期限の年月が記載されているため、あらかじめ期限が過ぎていないか確認しましょう。
コンタクトレンズを清潔に保つため、使用期限内のケア用品を使っている場合でも開封後は早めに使い切りましょう。洗浄液は開封後、1~2ヶ月を目安に使い切ってください。レンズケースはソフトコンタクトレンズで1ヶ月半~3ヶ月に一度、ハードコンタクトレンズで6ヶ月~1年に一度は必ず新しいものと交換することをおすすめします。
【種類別】コンタクトレンズの
使用期限と使用期間

コンタクトレンズの種類ごとに、使用期限と使用期間をまとめました。
それぞれのタイプについて、使用期限と使用期間を解説します。
使い捨てソフトコンタクトレンズの使用期限と使用期間

使い捨てソフトコンタクトレンズの使用期限は、外箱やコンタクトレンズのケース表面に記載されています。使用前に必ず確認しましょう。
1 day・2week・1 monthなどの種類があり、それぞれ開封後の使用期間が異なります。
1dayは24時間ずっと装着できるというわけではなく、人によって装着できる時間が異なります。詳しくは各製品の説明書をご覧ください。また、1dayは同じ日であっても一度はずしたら再装着できないため、必ず捨ててください。
2week、1monthを使用する場合、毎日使用しなかったとしても開封日からそれぞれ2週間、1ヶ月を過ぎると使えません。使用する頻度と使用期間は関係がないため注意しましょう。
2week、1monthは繰り返し使えるかわりに使用後のケアが必須となり、1monthを使用する場合は、使用期間が長いため定期的なタンパク除去も行います。
繰り返し使えるソフトコンタクトレンズの使用期限と使用期間
繰り返し使えるソフトコンタクトレンズの使用期限は、外箱やコンタクトレンズのケース表面に記載されています。使用前に必ず確認しましょう。
使用期間は明確に決まっていませんが、交換時期の目安は使用してから約1年~1年半です。
ソフトコンタクトレンズは水分を多く含み、細菌などが繁殖しやすいため、長く使い続けるためには毎日の洗浄と正しい方法による消毒が必要不可欠です。
長期使用タイプは眼科医に相談を
繰り返し使えるソフトコンタクトレンズやハードコンタクトレンズは「無期限に使える」というわけではありません。レンズの素材や設計、そして使用者の目の状態や使い方によって、安全に使用できる期間は異なります。添付文書にも、定期検査時に継続して使用可能かどうかの使用期限を眼科医に相談する旨が記載されている場合があります。
自己判断で長期間使用し続けると、気づかないうちにレンズが劣化・汚損し、眼障害を引き起こすリスクが高まります。必ず眼科医の指示に従い、定期的に検査を受け、レンズの状態をチェックしてもらい、適切な交換時期について相談しましょう。
ハードコンタクトレンズの使用期限と使用期間
ハードコンタクトレンズの使用期限は、外箱やコンタクトレンズのケース表面に記載されています。使用前に必ず確認しましょう。
ハードコンタクトレンズに明確な使用期間はありませんが、交換時期は使用してから約2年~3年が目安となります。ただし使用開始から2年を過ぎていなくても、レンズに傷や汚れがついている場合は交換したほうが良いこともあります。眼科で定期健診を受けるタイミングでレンズのチェックも受けておくと安心です。
使用期限や使用期間が過ぎた
コンタクトレンズの危険性
使用期限や使用期間が過ぎたコンタクトレンズは使用できないため、処分しましょう。「もったいないため使いたい」と思う方もいるかもしれませんが、期限切れのコンタクトレンズを使うことには目にとって次のようなリスクがあります。
品質が低下しているおそれがある
コンタクトレンズは高度管理医療機器であり、製造にあたり品質を厳しくチェックされています。
例えばコンタクトレンズは目に酸素を供給する必要があるため、製造の段階で「酸素透過係数(DK値、酸素の通しやすさ)」や「酸素透過率(DK/L値、コンタクトレンズの厚みあたりのDK値)」などの数値が確認されています。
しかし性能が保証されているのはあくまで使用期限を守って使った場合であり、使用期限を過ぎたコンタクトレンズでも同様の品質を保つとは限りません。期限の切れたコンタクトレンズは品質が低下しているおそれがあるため、使わないようにしましょう。
目の痛みや炎症を起こす

国民生活センターによると、レンズの使用期限を守らずに装着していたことにより眼障害が発生したという情報が寄せられています。コンタクトレンズによる眼障害で多いのは「表層角膜炎」で、これは角膜に傷がつくことで痛みを感じたり、炎症を起こしたりする状態です。
コンタクトレンズは安全性や耐久性も確認されたうえで販売されていますが、使用期限が切れたものに関してはどちらも保証されていません。期限が切れたコンタクトレンズでは安全性、耐久性が低下している可能性があります。
巨大乳頭結膜炎・角膜感染症のリスクがある
眼障害は軽い症状であれば治療により1週間程度で治りますが、症状が進行すると巨大乳頭結膜炎・角膜感染症になることもあります。もし細菌や真菌、アメーバが角膜に感染すると、重篤な症状につながります。
巨大乳頭結膜炎は目のかゆみや充血、目やにが主な症状で、上まぶたの裏側(結膜)にブツブツ(乳頭)が生じる障害です。
角膜感染症は、眼の充血・痛み・流涙・眩しさ・視力低下などが代表的な症状です。悪化すると細菌が目の中に入って失明したり、角膜に穴が開いてしまったりする可能性があります。角膜への感染症が疑われる場合は、速やかに眼科専門医を受診する必要があります。
このように、使用期限または使用期間が過ぎたコンタクトレンズを使い続けることにはリスクが伴います。
期限を過ぎたコンタクトレンズ用品の処分方法
期限を過ぎたコンタクトレンズ用品は、未開封であってもそのまま処分してはいけません。開封して分別し、自治体の指示に従って捨てる必要があります。
期限を過ぎたコンタクトレンズやケア用品について、それぞれの処分方法を解説します。
コンタクトレンズの捨て方
処分の方法について、分別方法の一例をご紹介します。

コンタクトレンズを捨てる時は、コンタクトレンズ本体、蓋、ブリスターケースに分けて処分します。自治体によって処分の方法は異なるため、ご自身の住んでいる自治体の分別ルールに従って捨てましょう。
特に蓋、コンタクトレンズ本体は自治体によって扱いが分かれます。
一部の自治体や店舗では、コンタクトの空ケースをリサイクルするために回収していることもあります。近くに回収ボックスがある場合は、そちらも利用しましょう。
ケア用品の捨て方
ケア用品について、分別方法の一例をご紹介します。

未開封のケア用品はそのままゴミに出さず、開封してから自治体の指示に従って素材ごとに正しく分別します。ボトルの中身は直接排水溝に流すか、古紙・古布に染み込ませてから捨てましょう。
一般的に外箱や説明書は紙ごみ、ボトルはプラごみ、レンズケースは燃えるごみまたは不燃ごみとして回収されることが多いです。製品によって素材が異なる場合があるため、詳しくは製品の外箱や説明書を確認してください。
自治体によって分別方法は異なるため、事前にホームページなどで自治体のルールを確認してからケア用品を処分しましょう。
コンタクトレンズを
長く使うためのポイント
コンタクトレンズを長く使うためには、期限を守った上で適切なレンズケアをすることが大切です。
レンズケアをする際には以下の点に注意しましょう。
丁寧にお手入れを行う
コンタクトレンズは目に直接触れる高度管理医療機器です。レンズを長く安全に使い続けるためには、毎日の正しいお手入れが不可欠です。特にソフトコンタクトレンズは水分を含み、汚れや細菌が付着しやすいため、洗浄と消毒を怠ると角膜炎などの深刻な眼障害につながる可能性があります。
ケア用品の指示に従い、こすり洗いをしっかりして、レンズケースも清潔に保つことが重要です。正しいケアは、レンズの性能を維持し、目の健康を守るための基本です。
定期的にレンズに異常がないか確認してもらう
自覚症状がなくても、目やレンズにトラブルが起きていることがあります。視力は変化することもありますし、毎日ケアしていても、レンズには見えない傷や落としきれない汚れが蓄積している可能性があります。これらは目の負担を増やし、眼障害の原因となり得ます。
眼科医の指示に従った定期検査は必ず受けるようにしましょう。検査では、視力や目の健康状態だけでなく、レンズが目に合っているか、傷や汚れがないかなどもチェックしてもらえます。これにより、トラブルを早期に発見し、安心してレンズを使い続けられます。
サポート体制の整ったお店で購入する
コンタクトレンズは、購入後のサポートも重要です。信頼できるお店で購入すれば、レンズの選び方やケア方法について専門的なアドバイスを受けられます。また、万が一レンズが破損したり、紛失したりした場合や、度数が合わなくなった場合にも、保証や交換サービスが利用できると安心です。
視力の変化や使用感に違和感があった際に気軽に相談できる窓口があることも、長く快適にコンタクトレンズを使い続けるためには大切なポイントです。購入時には価格だけでなく、アフターサービスの充実度も確認しましょう。
まとめ
今回はコンタクトレンズの使用期限と使用期間の違いや、期限切れのコンタクトレンズを使用した時のリスクについて解説しました。この記事を読むことで、手持ちのレンズが安心して使えるかを判別できるようになるでしょう。
コンタクトレンズを安全に使うには期限を守るだけでなく、レンズのタイプに合ったケアを日々行うこと、定期的にレンズの状態を確認することが大切です。日々の管理をしっかり行い、気になる点があれば医師に相談しましょう。