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最終更新日:2025.09.29

結膜炎のときにコンタクトレンズを使用したり、装用したまま昼寝しても大丈夫?リスクや対処法を紹介

結膜炎のときにコンタクトレンズを使用したり、装用したまま昼寝しても大丈夫?リスクや対処法を紹介

目次

結膜炎は、充血や痒み、異物感を引き起こす目の病気です。症状がある時にコンタクトレンズを使用すると症状が悪化する場合があるため注意が必要です。

一方で「コンタクトレンズをつけたまま、昼寝をした」という経験のある方は多いのではないでしょうか?短時間なら問題ないと感じるかもしれませんが、目には大きな負担となります。

今回は、コンタクトレンズを使用している方が結膜炎になった時の注意点と、コンタクトレンズを装用したままの昼寝のリスクや対処法を解説します。目のトラブルを防ぐため、ぜひご確認ください。

結膜炎とは

結膜炎の原因イメージ

結膜炎とは、目の白目部分やまぶたの裏側を覆う「結膜」と呼ばれる粘膜に炎症が生じた状態を指します。
結膜は外部に接しているため、ウイルス・細菌・アレルギーなど様々な原因によって炎症を起こしやすい部位です。結膜炎を発症すると、充血や痒み、目やになどの症状が見られ、感染性の場合は周囲にうつる可能性もあるため、早めの対応が重要です。

結膜炎の症状

結膜炎では、目の充血、痒み、異物感、目やに、白目がぶよぶよするといった症状が見られます。細菌性の場合には黄色っぽい目やにが大量に出たり、朝まぶたが開かないほど固まることもあります。アレルギー性では、痒みやゼリー状の目やにが特徴的です。片目だけに現れることもあれば、両目に広がることもあります。

結膜炎の3つの原因

結膜炎の原因は主に「ウイルス感染」「細菌感染」「アレルギー」の3つに分類されます。それぞれの原因によって症状や対処法が異なるため、正しい見極めと対応が必要です。

ウイルス感染

アデノウイルスなどによって引き起こされるウイルス性結膜炎は、非常に感染力が強く、学校や職場で流行することもあります。発熱やのどの痛みなどの風邪症状を伴う場合もあり、結膜が強く充血し、大量の目やにが出ることが特徴です。感染拡大を防ぐためには早めの受診と周囲の人への感染対策が必要です。

細菌感染

細菌が原因で発症する細菌性結膜炎は、黄色ブドウ球菌やインフルエンザ菌などの常在菌が目に感染して起こります。特に、手指の汚れや汚染されたタオル・化粧品などを介して目に細菌が入ることで発症するため注意が必要です。
目やにが多く、粘り気のある黄色の分泌物が出ることが特徴とされています。抗菌薬の点眼で改善することが多いため、早期に眼科を受診して適切な治療を行うことが重要です。

アレルギー

花粉やダニ、ハウスダストなどが原因で起こるアレルギー性結膜炎は、痒みやゼリー状の目やにが主な症状です。春先などの花粉シーズンに多く見られ、コンタクトレンズ使用者は症状が悪化しやすいため注意してください。アレルゲンの除去と抗アレルギー薬による対策が有効です。

結膜炎になったらどうする?

結膜炎が疑われる場合、自己判断せず、原因に応じた適切な対応が必要です。コンタクトレンズを装用している場合はレンズの使用を一時中止し、目を清潔に保つことが基本となります。また、周囲の人へ感染させる可能性がある場合は、感染拡大を防ぐための配慮も求められます。

結膜炎の人がコンタクトレンズを使用してもいい?

結膜炎の症状がある場合は、コンタクトレンズの使用は中止してください。レンズの表面に細菌やウイルス、アレルゲンなどが付着し、炎症を悪化させるおそれがあります。また、治療薬が角膜に届きにくくなるため、回復が遅れる原因にもなります。症状が完全に治るまでの間は、メガネで過ごすようにしましょう。

病院を受診しよう

目の充血や痒み、目やになどの症状が続く場合は、眼科を受診して原因を特定してもらうことが大切です。特にウイルス性結膜炎は強い感染力があるため、自己判断での市販薬使用や放置は避けましょう。眼科医の診断を受けて、適切な治療を開始することが早期回復につながります。

結膜炎の治療方法とは

結膜炎の治療は、原因に応じて異なります。
ウイルス性の場合は基本的に対症療法となり、目を清潔に保ちながら自然回復を待ちます。
細菌性の場合は抗菌薬の点眼が使用されます。
アレルギー性では抗ヒスタミン薬やステロイド点眼薬が処方されることもあります。
いずれの場合も自己判断せず、医師の指示に従って治療を進めましょう。

コンタクトレンズによる結膜炎を予防するには

コンタクトレンズの使用により結膜炎を引き起こすリスクはゼロではありません。予防のためには日頃のレンズケアや使用習慣を見直すことが大切です。以下のようなポイントを意識することで、トラブルを未然に防ぐことができます。

長時間の装用を避け、適切な装用時間を守る

コンタクトレンズの長時間装用は、目の乾燥によってレンズと結膜の摩擦を引き起こし、結膜炎の原因になります。使用時間は製品ごとの目安を守り、目の負担を減らすことが大切です。特に夜間の装用や就寝時の装用は避け、必要に応じてメガネとの併用を検討しましょう。

毎日のレンズケアを丁寧に行う

レンズの洗浄や保存液の交換を怠ると、細菌や汚れが蓄積され、目に炎症を引き起こす可能性があります。特にソフトレンズは汚れがつきやすいため、こすり洗いを基本とし、定期的に保存ケースも清潔に保つようにしましょう。使い捨てタイプのレンズも、再使用は絶対に避けてください。

定期的に眼科検診を受ける

目に異常がなくても、定期的に眼科を受診して目の健康状態を確認することが重要です。装用方法が合っているか、レンズの種類が目に合っているかなど、専門的な視点で評価してもらうことで、結膜炎などのトラブルを未然に防ぐことができます。

コンタクトレンズをつけたまま昼寝してもいいの?

短時間であっても、コンタクトレンズをつけたままの昼寝や仮眠は、目に良くありません。
「夜寝る時はコンタクトレンズを必ず外している」という方でも、昼寝や仮眠の時には意識せずにつけたまま寝てしまうことも多いです。

目のトラブルを避けるためにも、コンタクトレンズをつけたままの昼寝・仮眠は避けましょう。実際、どのようなトラブルが起こるのか、解説していきます。

コンタクトレンズをつけたまま昼寝をするとどうなるの?
リスクやトラブルを解説

コンタクトレンズをつけたまま寝ることにより、レンズの張り付き・目の充血・目の病気など目のトラブルが起きやすくなります。トラブルによって、コンタクトレンズをしばらく装用できなくなってしまうこともあるでしょう。
目のトラブルを避けるため、コンタクトレンズは正しく使用してください。

コンタクトレンズのズレ・張り付き

コンタクトレンズのズレ・張り付きイメージ

コンタクトレンズを装用したまま寝ることで目が乾燥し、レンズがズレたり、張り付いたりしやすくなります。
睡眠中はまばたきをしないため、目に涙が供給されなくなります。裸眼で寝ていた場合でも、朝起きた時、目がかすむ・目がしょぼしょぼするといった症状を感じたことがある方も多いのではないでしょうか?こういった症状は、目の乾燥が主な原因です。

通常、コンタクトレンズは、涙の上に浮いた状態で目にフィットしています。目とレンズの間に涙があることで、摩擦が少なくなり、違和感なくレンズを装用できるのです。
目が乾燥するとうまくフィットせずにレンズがズレやすくなったり、目の表面に張り付いたりします。乾燥した状態のまま無理にレンズを外そうとすると、レンズと目との摩擦によって目の表面(角膜)に傷がついてしまうため、注意しましょう。

目のトラブル(充血・痛みなど)

目の充血のイメージ

レンズを装用したまま寝て目が乾燥した結果、充血や痛みを感じることがあります。

起きている間は、定期的に補充される涙によってコンタクトレンズに付着した汚れが洗い流されています。コンタクトレンズを装用したまま寝てしまうと、汚れがレンズに付着したままの状態となり、雑菌の繁殖などによって炎症を引き起こし、目の充血を招くのです。

また、涙には目をうるおすだけでなく、目の表面(角膜)に酸素を与える役割もあります。コンタクトレンズを装用したまま寝て目が乾燥すると、レンズが涙を介さずに直接角膜に張り付いたような状態となります。涙から酸素が得られなくなると角膜は酸欠状態となり、むくみ(角膜浮腫)が生じます。

むくんで弱くなった角膜から、レンズを無理やり外そうとすると傷がつき、痛み・違和感(ゴロゴロする・異物感)が出てしまいます。酸欠になると、涙ではなく血管から酸素を取り入れようとして、目の血管が拡張し、充血にもつながるのです。

また、カラーコンタクトレンズは、カラー剤の影響で、特に酸素を通す力が弱いと言えます。カラーコンタクトレンズを装用される方は、つけたまま寝ないこと、装用時間を守ることを意識しましょう。

目の病気を引き起こすこともある

角膜潰瘍イメージ

短時間であっても、コンタクトレンズを装用したまま寝ると、目の病気を引き起こしてしまう可能性があります。

寝起きにレンズを装用したままの状態で目を擦ってしまったり、無理にレンズを外そうとしたりすると角膜に傷がつき、その傷から細菌が入り込み角膜炎となることがあります。 また、傷によって角膜の表面が剥がれると「角膜びらん」、傷が深い場合は「角膜潰瘍」と呼ばれる状態になり、視力に影響してしまう場合もあります。

さらに、直接的な病気の要因ではありませんが、コンタクトレンズの不適切な使用を繰り返すことで、将来の白内障の治療に影響するリスクがあります。
コンタクトレンズを装用したまま寝ると、目の表面に酸素が行き渡らず目が酸欠になり、角膜の裏側にある角膜内皮細胞がどんどん減少します。この細胞は、目の透明性維持に関わり、一旦死滅すると元にもどることはありません。角膜内皮細胞の数が少なすぎると、将来的に白内障の手術が行えないなど、目の健康に悪影響を及ぼします。

白内障は年齢とともに発症率が高くなる病気で、60代で30~40%、80歳以上ではほぼ100%が発症します。視力の低下は手術でしか改善できないため、将来のためにコンタクトレンズを正しく使用し、角膜内皮細胞を守ることが大切です。

装用したまま寝ると、コンタクトレンズはどうなる?

涙が減り眼球に直接張り付くような状態

目の表面は、通常、まばたきによって供給される涙で覆われています。寝ている間はまばたきができないため、コンタクトレンズを装用したまま寝ると涙が供給されず、レンズや目の表面が乾燥します。また、まぶたが完全に閉じず、少し開いた状態で寝ている方もいます。

コンタクトレンズは、涙の上に浮かんだ状態で装着されるものです。涙がクッションとなっていれば、目の表面を傷つけることなくレンズを装着できます。
涙が減ると眼球に直接張り付くような状態になります。レンズは、目の動きによってわずかに動くため、ぴったり張り付くとレンズと目との摩擦が強くなり、目のトラブルにつながってしまうのです。

コンタクトレンズをつけたまま眠ってしまった時の対処法

コンタクトレンズをつけたまま、電車でうとうとしたり、つい昼寝をしてしまった場合には、目のトラブルを避けるため、以下のような対処法をとってください。

目をうるおす

目をうるおすイメージ

目が乾燥しているため、まずは目をうるおしましょう。コンタクトレンズを装用したままでも使える目薬を差すか、ゆっくり何度かまばたきをして涙を分泌させます。

乾燥した状態のまま目を擦ったり、無理にレンズを外そうとしたりすると、目の表面に傷がついてしまうため注意してください。また、コンタクトレンズに対応していない目薬を使うと、レンズの変形によって余計に違和感や痛みが強くなる場合があります。必ずコンタクトレンズ対応の目薬を使いましょう。

また、目薬がない、涙が十分に出てこないという場合でも、コンタクトレンズを装用したまま水道水を目に入れるのは避けてください。
水道水に触れてしまうと、コンタクトレンズの変形や着色が起こる可能性があります。やむを得ず水道水で目をうるおした場合は、目がうるおった段階ですぐにレンズを外し、破棄してください。

新しいコンタクトレンズに変える

使い捨てコンタクトレンズ

1dayタイプのコンタクトレンズの場合には、新しいコンタクトレンズへ交換すると良いでしょう。起きた時には目が乾燥しているため、外す際にも目がうるおっていることを確認するのも大切です。

乾燥によってレンズがわずかに変形している可能性がありますし、寝ている間に無意識に目を擦るなどして、レンズに傷がついているかもしれません。目のトラブルを誘発するため、もったいないという気持ちもありますが、1dayのコンタクトレンズを使用している場合には、新しいレンズに交換するのが安心です。また、外した後に、目に違和感や赤くなっていないかなど確認するのも大切です。

長期間使用できるコンタクトレンズは保存液につける

1dayタイプではないコンタクトレンズ(2week、1monthなど)を使用されている方は、十分に目をうるおした後、レンズを外して保存液へつけましょう。

汚れの付着したレンズをつけっぱなしにすると、アレルギーによって目やにや痒みといった症状が出たり、雑菌による炎症から充血を起こしたりと目のトラブルにつながります。保存液につけ、寝ている間にレンズに付着した汚れをきれいに洗い流すようにしてください。コンタクトレンズをつけて寝てしまった後は、コンタクトレンズを外しメガネに変えて目を休ませるのも良いでしょう。

眼科の受診を検討する

眼科の受診を検討する

どうしてもコンタクトレンズが外れない、外した後に目の違和感が続くという場合は、眼科を受診しましょう。

自力で無理にレンズを外そうとすると、指で目を直接触ってしまうなどして、目に負担がかかってしまいます。また、目に傷がついたままコンタクトレンズの使用を続けると、傷がなかなか良くなりません。状態を確認して、点眼薬で治療をする、コンタクトレンズの使用を控えるなど、適切な対処が必要です。

土日であっても、地域に眼科の「休日当番」として開院しているクリニックがありますので、電話で問い合わせてみてください。

まとめ

今回は、結膜炎の原因や症状、コンタクトレンズとの関係、そして装用したまま寝てしまった際の対処法についてご紹介しました。

結膜炎はウイルスや細菌、アレルギーなど複数の原因で発症し、早期の対応が大切です。また、結膜炎が疑われる場合にはコンタクトレンズの使用を控え、清潔な環境を保ちつつ眼科を受診することが回復への近道となります。

さらに、コンタクトレンズをつけたまま昼寝や仮眠をすることで、目の乾燥・充血・炎症・酸欠状態など、様々なリスクがあることも理解いただけたのではないでしょうか。目の健康を守るためには、正しい装用時間の管理と日頃のケアが欠かせません。

目のトラブルは生活の質を大きく左右します。今回の記事を参考に、日々のコンタクトレンズ使用を見直し、安全で快適なコンタクトレンズ生活を心がけていきましょう。

監修者プロフィール

原 修哉

原眼科クリニック 院長

HP:https://www.haraganka.jp/

名古屋大学医学部卒業後、名古屋市の中京病院へ入局し13年勤務。その期間中に、ハイデルベルク大学(ドイツ)へ留学。
大雄会第一病院 診療部長として7年の勤務を通じて、地域の重症例、難疾患、専門性の高い疾患などの医療に携わり、白内障手術、緑内障手術、角膜移植、屈折矯正手術、結膜手術など10,000件以上執刀。
現在は、原眼科クリニックを開業し、地域住民のかかりつけ医として地域医療にも貢献している。

【所属学会】
日本眼科学会 専門医 / 日本眼科手術学会 / 日本緑内障学会 / 日本角膜学会

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