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「コンタクトレンズをつけたまま、昼寝をした」という経験のある方は多いのではないでしょうか?短時間なら問題ないと感じるかもしれませんが、目には大きな負担となります。
今回は短時間でもコンタクトレンズを装用したままの睡眠が良くない理由についてご紹介するとともに、つけたまま寝てしまった時の対処法を解説します。目のトラブルを防ぐため、対処法をご確認ください。
コンタクトレンズをつけたまま昼寝してもいいの?
短時間であっても、コンタクトレンズをつけたままの昼寝や仮眠は、目に良くありません。
「夜寝る時はコンタクトレンズを必ず外している」という方でも、昼寝や仮眠の時には意識せずにつけたまま寝てしまうことも多いです。
目のトラブルを避けるためにも、コンタクトレンズをつけたままの昼寝・仮眠は避けましょう。実際、どのようなトラブルが起こるのか、解説していきます。
コンタクトレンズをつけたまま昼寝をするとどうなるの?
リスクやトラブルを解説
コンタクトレンズをつけたまま寝ることにより、レンズの張り付き・目の充血・目の病気など目のトラブルが起きやすくなります。トラブルによって、コンタクトレンズをしばらく装用できなくなってしまうこともあるでしょう。
目のトラブルを避けるため、コンタクトレンズは正しく使用してください。
コンタクトレンズのズレ・張り付き
コンタクトレンズを装用したまま寝ることで目が乾燥し、レンズがズレたり、張り付いたりしやすくなります。
睡眠中はまばたきをしないため、目に涙が供給されなくなります。裸眼で寝ていた場合でも、朝起きた時、目がかすむ・目がしょぼしょぼするといった症状を感じたことがある方も多いのではないでしょうか?こういった症状は、目の乾燥が主な原因です。
通常、コンタクトレンズは、涙の上に浮いた状態で目にフィットしています。目とレンズの間に涙があることで、摩擦が少なくなり、違和感なくレンズを装用できるのです。
目が乾燥するとうまくフィットせずにレンズがズレやすくなったり、目の表面に張り付いたりします。乾燥した状態のまま無理にレンズを外そうとすると、レンズと目との摩擦によって目の表面(角膜)に傷がついてしまうため、注意しましょう。
目のトラブル(充血・痛みなど)
レンズを装用したまま寝て目が乾燥した結果、充血や痛みを感じることがあります。
起きている間は、定期的に補充される涙によってコンタクトレンズに付着した汚れが洗い流されています。コンタクトレンズを装用したまま寝てしまうと、汚れがレンズに付着したままの状態となり、雑菌の繁殖などによって炎症を引き起こし、目の充血を招くのです。
また、涙には目をうるおすだけでなく、目の表面(角膜)に酸素を与える役割もあります。コンタクトレンズを装用したまま寝て目が乾燥すると、レンズが涙を介さずに直接角膜に張り付いたような状態となります。涙から酸素が得られなくなると角膜は酸欠状態となり、むくみ(角膜浮腫)が生じます。
むくんで弱くなった角膜から、レンズを無理やり外そうとすると傷がつき、痛み・違和感(ゴロゴロする・異物感)が出てしまいます。酸欠になると、涙ではなく血管から酸素を取り入れようとして、目の血管が拡張し、充血にもつながるのです。
また、カラーコンタクトレンズは、カラー剤の影響で、特に酸素を通す力が弱いと言えます。カラーコンタクトレンズを装用される方は、つけたまま寝ないこと、装用時間を守ることを意識しましょう。
目の病気を引き起こすこともある
短時間であっても、コンタクトレンズを装用したまま寝ると、目の病気を引き起こしてしまう可能性があります。
寝起きにレンズを装用したままの状態で目を擦ってしまったり、無理にレンズを外そうとしたりすると角膜に傷がつき、その傷から細菌が入り込み角膜炎となることがあります。
また、傷によって角膜の表面が剥がれると「角膜びらん」、傷が深い場合は「角膜潰瘍」と呼ばれる状態になり、視力に影響してしまう場合もあります。
さらに、直接的な病気の要因ではありませんが、コンタクトレンズの不適切な使用を繰り返すことで、将来の白内障の治療に影響するリスクがあります。
コンタクトレンズを装用したまま寝ると、目の表面に酸素が行き渡らず目が酸欠になり、角膜の裏側にある角膜内皮細胞がどんどん減少します。この細胞は、目の透明性維持に関わり、一旦死滅すると元にもどることはありません。角膜内皮細胞の数が少なすぎると、将来的に白内障の手術が行えないなど、目の健康に悪影響を及ぼします。
白内障は年齢とともに発症率が高くなる病気で、60代で30~40%、80歳以上ではほぼ100%が発症します。視力の低下は手術でしか改善できないため、将来のためにコンタクトレンズを正しく使用し、角膜内皮細胞を守ることが大切です。
装用したまま寝ると、コンタクトレンズはどうなる?
目の表面は、通常、まばたきによって供給される涙で覆われています。寝ている間はまばたきができないため、コンタクトレンズを装用したまま寝ると涙が供給されず、レンズや目の表面が乾燥します。また、まぶたが完全に閉じず、少し開いた状態で寝ている方もいます。
コンタクトレンズは、涙の上に浮かんだ状態で装着されるものです。涙がクッションとなっていれば、目の表面を傷つけることなくレンズを装着できます。
涙が減ると眼球に直接張り付くような状態になります。レンズは、目の動きによってわずかに動くため、ぴったり張り付くとレンズと目との摩擦が強くなり、目のトラブルにつながってしまうのです。
コンタクトレンズをつけたまま眠ってしまった時の対処法
コンタクトレンズをつけたまま、電車でうとうとしたり、つい昼寝をしてしまった場合には、目のトラブルを避けるため、以下のような対処法をとってください。
目をうるおす
目が乾燥しているため、まずは目をうるおしましょう。コンタクトレンズを装用したままでも使える目薬を差すか、ゆっくり何度かまばたきをして涙を分泌させます。
乾燥した状態のまま目を擦ったり、無理にレンズを外そうとしたりすると、目の表面に傷がついてしまうため注意してください。また、コンタクトレンズに対応していない目薬を使うと、レンズの変形によって余計に違和感や痛みが強くなる場合があります。必ずコンタクトレンズ対応の目薬を使いましょう。
また、目薬がない、涙が十分に出てこないという場合でも、コンタクトレンズを装用したまま水道水を目に入れるのは避けてください。
水道水に触れてしまうと、コンタクトレンズの変形や着色が起こる可能性があります。やむを得ず水道水で目をうるおした場合は、目がうるおった段階ですぐにレンズを外し、破棄してください。
新しいコンタクトレンズに変える
1dayタイプのコンタクトレンズの場合には、新しいコンタクトレンズへ交換すると良いでしょう。起きた時には目が乾燥しているため、外す際にも目がうるおっていることを確認するのも大切です。
乾燥によってレンズがわずかに変形している可能性がありますし、寝ている間に無意識に目を擦るなどして、レンズに傷がついているかもしれません。目のトラブルを誘発するため、もったいないという気持ちもありますが、1dayのコンタクトレンズを使用している場合には、新しいレンズに交換するのが安心です。また、外した後に、目に違和感や赤くなっていないかなど確認するのも大切です。
長期間使用できるコンタクトレンズは保存液につける
1dayタイプではないコンタクトレンズ(2week、1monthなど)を使用されている方は、十分に目をうるおした後、レンズを外して保存液へつけましょう。
汚れの付着したレンズをつけっぱなしにすると、アレルギーによって目やにや痒みといった症状が出たり、雑菌による炎症から充血を起こしたりと目のトラブルにつながります。保存液につけ、寝ている間にレンズに付着した汚れをきれいに洗い流すようにしてください。コンタクトレンズをつけて寝てしまった後は、コンタクトレンズを外しメガネに変えて目を休ませるのも良いでしょう。
眼科の受診を検討する
どうしてもコンタクトレンズが外れない、外した後に目の違和感が続くという場合は、眼科を受診しましょう。
自力で無理にレンズを外そうとすると、指で目を直接触ってしまうなどして、目に負担がかかってしまいます。また、目に傷がついたままコンタクトレンズの使用を続けると、傷がなかなか良くなりません。状態を確認して、点眼薬で治療をする、コンタクトレンズの使用を控えるなど、適切な対処が必要です。
土日であっても、地域に眼科の「休日当番」として開院しているクリニックがありますので、電話で問い合わせてみてください。
まとめ
今回は、短時間であってもコンタクトレンズを装用したままの睡眠が目のトラブルの原因になること、装用したまま寝てしまった場合の対処法についてご紹介しました。
コンタクトレンズによる目のトラブルで、視力低下など深刻な影響を受けることもあります。短時間でも、コンタクトレンズを装用したまま寝るのは避けましょう。もし寝てしまった場合は、すぐに目薬などで目を十分にうるおし、レンズを外してください。