目の病気
最終更新日:2023.07.21

結膜下出血とは?症状や原因、検査方法、治療方法などを徹底解説!

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結膜下出血とは?症状や原因、検査方法、治療方法などを徹底解説!

目次

「鏡を見たら白目が真っ赤になっていてあせった」という経験はありませんか。

白目に赤い血だまりができてしまう症状を結膜下出血といいます。外見がかなり痛々しいため、大慌てで眼科を受診する人も少なくありません。

結膜下出血はなぜ起こるのか、どのように治療するのか、詳しく解説します。

結膜下出血とは一体何?

結膜の位置説明の画像

結膜下出血とは、結膜の中を走る血管が何らかの原因によって破れ、流れ出した血液が結膜と白目の間に溜まってしまう症状を指します。

眼球の白目の部分を強膜といい、強膜は結膜に覆われています。結膜と強膜の間に沿って、べったりとした血が広がるのが結膜下出血です。

結膜下出血と結膜充血の違いの図

「目が赤い」点では結膜下出血と充血は同じように聞こえますが、出血と充血では症状や原因が異なります。

充血の原因にはアレルギーやウイルス性の結膜炎、緑内障やぶどう膜炎などの眼疾患の他、乾きや痒み、痛みなどの自覚症状を伴うことがあるのが特徴です。

結膜充血は血管そのものが拡張するため、赤くなったり膨張したりする血管を確認できますが、結膜下出血では血管は見えません。

結膜下出血の症状

結膜下出血の症状

結膜下出血では結膜と強膜の間に血液が広がるため、その広がる範囲によっては、点状ですむこともあれば、白目全体が真っ赤に染まることもあります。広範囲に出血が広がった場合は外見上の変化も大きく、眼帯やサングラスで真っ赤な目を隠して眼科へ来る人も見られます。

自覚症状はほとんどないか、あっても多少ゴロゴロする違和感程度であり、多くの場合で視力を含めた視機能への影響はありません。ただし、結膜弛緩症や外傷に伴う結膜下出血では、より強い異物感や視力低下を引き起こす可能性があります。

結膜下出血の原因とは?

結膜下出血の原因には、結膜弛緩や外傷によるもの、コンタクトレンズの装用や全身疾患に伴うものがあげられます。しかし原因が不明なことも多々あり、自覚症状がなければ「人に指摘されないと気づかなかった」「いつから・なぜ発症したか分からない」ということもよくあります。

外傷

外傷によって眼球が傷つき、結膜下の血管が切れて出血することがあります。
外傷には以下のような状況があげられます。

  • 眼球を圧迫する
  • 鋭利な物で突いてしまう
  • 目を強くこすり過ぎてしまう
  • ボールが当たるなど強い衝撃を受ける
目を強くこすり過ぎてしまう

外傷と聞くと大げさに聞こえるかもしれませんが、花粉症で目をこすり過ぎてしまったり、コンタクトレンズのつけ外しの際に傷つけてしまったり、日常的にケガを負う可能性はあります。

明らかにケガをした自覚がある、または視力低下を伴う場合は迷わず眼科を受診し、外傷の状態を診てもらうようにしましょう。

結膜弛緩症

結膜弛緩症とは、結膜がたるんでしまう病気です。結膜弛緩症による結膜下出血は、目を動かしたり瞬きをしたりするたびに結膜の血管に刺激がおよび、結果として破れた血管から出血して発症します。
結膜弛緩症の直接的な原因は分かっていませんが、加齢とともに増加する傾向にあり、皮膚のたるみと同じようなものと考えられています。

結膜のたるみは下まぶたの辺りに溜まるため、涙が溜まっているような異物感やゴロゴロ、ショボショボする不快感を感じやすいです。結膜が瞳孔にかかるほど盛り上がることもあり、こうなると視力や視界にも影響を及ぼします。

全身疾患

外傷や結膜弛緩症ではなく頻繁に繰り返す結膜下出血では、血液や高血圧、代謝に関連する全身疾患を疑うことがあります。血液の疾患として白血病と血小板減少性紫斑病、血圧に関わる疾患としては動脈硬化や心疾患があげられます。また、代謝性の疾患としては糖尿病が代表的です。

特に白血病や血小板減少性紫斑病では、血液を固める血小板の数が減るため、ちょっとした刺激やケガで出血が止まりにくくなります。
例えば、歯磨き後に歯ぐきから出血する、ぶつけたわけでもないのに青あざができやすいなどは出血しやすい疾患です。このように出血しやすい疾患では結膜下出血も起こりやすくなります。

原因不明

本人もいつから出血が起きたのか気づいていない

結膜下出血の多くは原因が不明で、日常生活の普通の行動で結膜下出血が起こります。ただせきをする、いきむ、くしゃみをするだけでも結膜の血管は切れやすくなるのです。

見た目に反して痛みはなく、あっても多少の異物感程度のため、
「朝起きて鏡を見たら赤くてびっくりした」
「友達に指摘されるまで気づかなかった」
「全然痛みはないし、見え方も変わらない」
というように、患者さん本人もいつから出血が起きたのか気づいていないことがよくあります。

原因不明とされる場合は外傷や眼疾患、全身疾患が影響していないことが前提となるため、もし出血を繰り返すなど「おかしいな」と思う時は、症状を眼科医に相談してください。

眼手術後の合併症

目の手術をした後に、合併症として結膜下出血が起こることがあります。白内障や緑内障など目の手術をする際、手術をしやすくするため、開瞼器(かいけんき)と呼ばれる「まぶたを開きっぱなしにする器具」を装着します。

手術中、どうしても開瞼器が眼球の上部と下部に当たるため、結膜が押され、出血しやすくなるのです。また、手術で結膜や強膜を切開すると、結膜の血管が切れて結膜下出血につながることもあります。

手術後の合併症については、手術を受ける前のインフォームドコンセントにて説明があるはずですので、しっかりと話を聞き手元の資料をよく読み返してください。

眼科を受診した方がいいケース

結膜下出血のような目の赤みに加えて、痛みやまぶたの腫れ、目ヤニなどの自覚症状がある場合は必ず眼科にかかってください。

ただの結膜下出血と間違いやすい疾患の一つに、急性出血性結膜炎や流行性角結膜炎があります。

いずれも痛みや異物感、結膜下の出血や充血を伴い、非常に強い感染力を持ちます。ウイルス性の結膜炎は完治するまで登校が禁止され、仕事も休むのが望ましいとされているため、診断してもらうためにも眼科の受診が必須です。

結膜下出血の検査・診断方法

結膜下出血の検査

結膜下出血そのものを診断するためには特別な検査はなく、一般的には医師の視診によって判定されます。医師は出血の状況や自覚症状、その他の眼症状がないか確認し、素人では判断のつきにくいウイルス性の結膜炎と区別します。

結膜下出血が何らかの外傷によって生じている場合は、眼球の内側にもケガの影響があることが考えられるため、視力検査や眼底検査、視野検査など複数の検査結果をもとに状態の把握が必要です。

特に眼底検査では瞳孔を開きっぱなしにする散瞳薬を使う可能性が高く、数時間は見づらくなるため、車の運転はできなくなります。

結膜下出血の治療方法とは?

結膜下出血には特別な治療法はありません。原因にもよりますが、多くの場合は無治療のまま経過を観察し、血液の自然吸収を待ちます。

原因が分かっている場合は原因そのものの治療をし、原因不明の場合は様子を見るケースがほとんどです。

自然治癒

結膜下の出血は放っておくと1~2週間ほどで白目に吸収されていきます。広範囲にわたる結膜下出血では血液の吸収に時間がかかることもありますが、「出血痕が一生残る」ことはありません。

早急に出血を軽減したい場合、眼科で血管収縮剤を処方してもらえますが、根本的な治療法ではなく、長期的な薬の使用にはリスクもあるため、できれば自然治癒が望ましいでしょう。

原因疾患の治療

結膜下出血を引き起こしやすい原因が特定できれば、原因疾患の治療が推奨されます。
結膜弛緩であれば、結膜のたるみを焼き固めて(熱凝固)取り除いたり、たるんだ結膜を奥の方に引っぱって縫いつけたりして治療します。

外傷が原因なら、外傷によって引き起こされる他の症状(視力低下や眼内の出血など)とともに経過を診るのが一般的です。
その他、全身疾患が関係している場合は、他科との連携を図りながら治療を進めていきます。

結膜下出血になった場合に
生活上で注意すること

コンタクトは爪をしっかり切り、結膜に傷がつかないよう丁寧なつけ外しを心がける

日常的には結膜を刺激しないような意識が必要です。アレルギーなどで目が痒くなりやすい人は、点眼薬を併用して目をこする回数を減らしましょう。

コンタクトレンズを使用している人は、爪をしっかり切り、結膜に傷がつかないよう丁寧なつけ外しを心がけてください。症状が出ている時はコンタクトレンズの装用を控えると早く治る可能性があります。

まとめ

今回は結膜下出血の原因や治療法、対策について解説しました。白目が真っ赤になると見た目が怖くなるため、不安を感じて眼科を受診する人も多くいます。

しかし、一般的な結膜下出血は結膜の下の血管が切れただけで自覚症状はほとんどなく、特に治療を必要としません。

なお、感染力の強い急性出血性結膜炎のようなウイルス性の充血と間違いやすいため、注意が必要です。痒み、痛み、異物感など強い症状がある場合は、ただちに眼科を受診してください。

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