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乱視は、近視や遠視と同じように目の異常の一つです。正常な見え方では光は角膜と水晶体で屈折し、網膜の上に焦点を結びます。乱視は角膜や水晶体の光学的な歪みにより、網膜に焦点がうまく合わないため、モノがはっきり見えにくくなります。
「もしかして乱視かも?」と思っている方へ、この記事ではセルフチェックの方法や乱視の検査方法についてご紹介します。この記事を参考に自分の症状を確認してください。
乱視とは?
乱視とは角膜や水晶体の歪みにより、モノがぼやけたり二重に見えたりする症状のことです。目がモノを見る時、光は角膜と水晶体により屈折して網膜で焦点を結びます。乱視になると角膜と水晶体の光学的な歪みにより焦点が1箇所に集まらず、視界がぼけて見えます。角膜の病気が原因で起こる不正乱視を除いて、乱視の多くは補正レンズにより矯正が可能です。
乱視のチェックリスト
遠視は近くのものが、近視は遠くのものがぼやけて見えますが、乱視は距離に関わらず見えにくさを感じることが特徴です。
以下では、自分が乱視かどうか知りたい方向けの乱視チェックリストをご紹介します。当てはまる症状がないか確認してみましょう。
- 遠く、近くに関わらずモノが見えにくい
- モノが二重に見える
- 眼精疲労や頭痛、肩こりがある
- 片目で月を見ると、月が2つ~3つに見える
- 距離を変えても、見えにくさが変わらない
- 視力はいいのに目が疲れやすい
- 暗くなるとモノが見えにくい
- 電光掲示板の文字が滲んで見える
- 信号や車のヘッドライトがぼやけて見える
- 顔をしかめてモノを見ることが多い
※チェックリストはあくまで目安です。正式な診断を受けるには、眼科を受診してください。
乱視の簡単なセルフチェック
乱視を簡単にセルフチェックするための方法として、放射線乱視表があります。
片目で以下の表をご覧ください。
乱視がない場合、線の太さや濃さはどの方向も均一に見えます。特定の方向だけ線の太さや濃淡が変わって見える場合は、乱視の可能性があります。
放射線乱視表の濃さが不均一に見える原因は、角膜や水晶体の屈折率です。「モノが見える」という状態は、目に入った光が角膜や水晶体によって屈折し、網膜の上に焦点を結ぶことで起こります。
乱視のない角膜や水晶体はきれいな球面をしているため、どの方向から光が入っても焦点が一点に定まります。網膜の上で焦点が定まれば、放射線乱視表の線も均一に見えるでしょう。
しかし乱視のある目では、角膜や水晶体はラグビーボールのような楕円形です。光の方向によって像を結ぶ位置が変わるため、焦点が網膜の上に定まりません。放射線乱視表を見ると方向によって焦点が変わり、上下左右で濃淡に差が生じます。
片目にだけ乱視が入っている場合もあれば、両目が乱視の場合もあります。放射線乱視表でセルフチェックをする時は、必ず片目ずつ確認しましょう。
乱視の検査方法
乱視を診断するには、検査で目の状態を確認する必要があります。乱視の主な検査方法は次の4つです。
- オートレフケラトメーター
- レチノスコープ
- 自覚的屈折検査
- 角膜形状解析(トポグラフィ)
検査を受ける場所や年齢、目の状態によって検査方法は異なります。
オートレフケラトメーター
眼科や眼鏡店で機械の前に座り、中を覗き込んで赤い気球を見たことがあるでしょう。その機械をオートレフケラトメーターといいます。オートレフケラトメーターのように、客観的に目の屈折を測定する検査が他覚的屈折検査です。
オートレフケラトメーターは、瞳孔から赤外線を照射して、反射した光を算出することで近視や遠視、乱視の度数を測定します。台にあごを乗せるだけで、目の状態を測定できます。
オートレフケラトメーターでは度数のほか、角膜のカーブも測定が可能です。角膜の表面にリング像を投影し、像の大きさからカーブを計測します。
レチノスコープ
レチノスコープは光の束を投射する装置です。目の中に光を投影する検影器と、度数の異なるレンズを切り替えられる板付レンズを用いて検査を行います。
検査を行う人が被検者と向かい合って座り、光を目に当てて網膜表面や光の屈折を観察して乱視の診断を行う検査方法です。検査光を回転させて、瞳孔内に映る像の動きを確認します。
レチノスコープも他覚的屈折検査の一つで、オートレフケラトメーターが普及する前から使われています。レチノスコープはオートレフケラトメーターより簡便に測定できる反面、熟練した人が検査を行う必要があります。
自覚的屈折検査
自覚的屈折検査とは、本人の見え方を確認しながら度数を検査する方法です。視力検査でアルファベット「C」のような環(ランドルト環)を見せられ、切れ目の方向を答えたことがあるでしょう。ランドルト環を用いた検査も、自覚的屈折検査の一つです。自覚的屈折検査で乱視の度数を測定するには、乱視表を使います。
オートレフケラトメーターで測定したデータをもとに検査用のレンズを装用し、目に合ったレンズの度数を確認します。矯正した視力を検査して、見え方によりレンズを微調整します。この度数がメガネやコンタクトレンズを作る際の基準です。
角膜形状解析(トポグラフィ)
角膜の歪みも乱視の原因になるため、乱視の診断では角膜の形も測定する必要があります。角膜形状解析(トポグラフィ)は、目の表面にある角膜の形を解析する装置です。測定の原理として、角膜上にリング状の像を投影する方法や、スリットから光を当てる方法があります。
角膜のカーブをカラーマップで表示することで、角膜の形状を分析できます。画像データから角膜の歪みが計測できるため、乱視の状態が予想できます。角膜形状解析は乱視の度数を測定するほか、角膜のカーブに合ったコンタクトレンズを処方するためにも使われる方法です。
まとめ
今回は乱視の症状とセルフチェック、乱視を検査する方法について解説しました。ほとんどの場合、乱視はメガネやコンタクトレンズで適切な矯正を行えば、問題なく日常生活を送れます。
乱視は放っておくと目の疲れや頭痛、肩こりにつながることもあります。「もしかして乱視かも?」と思ったら、眼科や眼鏡店で検査を受けてみましょう。
また、急にモノが見えにくくなった場合は、ほかの病気が隠れている可能性があります。病気によっては治療が必要になるため、おかしいと感じたら眼科を受診しましょう。