
この記事の執筆者
眼とメガネの情報室
みるラボ編集部

目次
日差しが強くなってくると、サングラスを購入する方もいると思います。常に同じ色のサングラスと違い、調光レンズは室内では無色で屋外など紫外線に対して発色しカラーレンズに変わります。1本の眼鏡でかけ替えをしなくても2役こなすレンズです。使う目的や生活スタイルに合ったレンズを選びましょう。
色が変わるから「へんこうレンズ」と間違って覚えている方も多くいらっしゃいます。ここでは調光レンズと偏光レンズの違い、調光レンズの仕組みとおすすめの調光レンズをご紹介します。
調光レンズとは

調光レンズとは「紫外線によって色が変化するレンズ」です。屋外など紫外線が多い場所では発色し、室内では普通のメガネのように無色に変化するのが調光レンズの特徴です。
調光レンズの濃度は紫外線の強さや温度により左右されます。強い紫外線を受けると発色が促進されますが、温度が高くなると発色が抑制されます。
調光レンズは、ご自分の目の度数にあった度付きのものを作ることができるため、メガネとカラー付のレンズの2つの役割を1本で兼用することも可能です。
調光レンズの仕組み

ここでは調光レンズの仕組みについて説明します。
調光レンズは、紫外線を当てると色が変化する感光物質が使われています。この感光物質の構造が変化することで、レンズが発色します。
調光レンズの色の変化は、発色は約3分、退色は約7分程度時間がかかります。レンズの表面を感光物質でコーティングして作られているため、表面に傷がついたりコーティングが剥がれるとその部分の色は変化しなくなります。
調光レンズと
偏光レンズの違い
調光レンズは紫外線の量に応じて色が変化し、まぶしさを軽減します。屋内外問わず1日中使用できるレンズです。一方、偏光レンズは光の乱反射を抑えて眩しさを軽減するレンズで、主に日中の屋外での使用に適しています。
調光レンズは紫外線に反応して色が変わる特徴がありますが、光の乱反射を軽減する効果はありません。対して偏光レンズは、特殊なフィルムやコーティングによって光の乱反射をカットし、眩しさをカットしながらも明るくクリアな視界をキープします。
ここでは偏光レンズについて詳しくご説明します。
偏光レンズとは

偏光レンズは、特殊な偏光膜のコーティングが施してあります。単焦点レンズだけでなく遠近両用タイプなど様々なレンズに組み合わせができ、合わせるフレームも選びません。カラーレンズは色で眩しさを抑えますが、偏光レンズは窓にかかっているブラインドのような機能があり、単に暗くするのではなく眩しい光の反射をカットしてくれます。運転時のフロントガラスの映り込みをカットしたり、水面の反射を抑えるので釣りなどの趣味をお持ち方にも人気です。

また、偏光レンズはコーティングタイプ以外にレンズとレンズの間に偏光フィルムを挟み込むタイプもあります。レンズの設計や対応フレームの自由度などがコーティングタイプより低くなりますが、価格は抑えられます。詳しくは眼鏡店でご相談ください。
偏光レンズも調光レンズと同じように、ご自分の度数にあった度付きのものを作ることができます。偏光レンズには、光の一部の透過を抑えるため、スマホやカーナビなど液晶画面が見にくくなったりする場合もあります。
偏光レンズの利用シーン

偏光レンズを使うと、次のような効果が期待できます。
- 釣りをする際、水面の光の乱反射だけをカットして水中が見えやすくなる
- 車の運転時、対向車からの光を抑えたり、路面反射をカットするため白線がはっきり見えるようになる
- スキーやスノーボードなどウィンタースポーツをする時に雪面の反射を軽減できる
- ゴルフやテニスなどのスポーツで使うと、芝による光の反射が抑えられる
調光レンズと
UVカットレンズの違い
調光レンズは紫外線に反応して色が変わり、屋内外問わず使用できます。屋外など紫外線が多い場所では発色し、室内では普通のメガネのように無色に変化するのが特徴です。
調光レンズの濃度は紫外線の強さや温度により左右されます。強い紫外線を受けると発色が促進されますが、温度が高くなると発色が抑えられます。また、調光レンズは発色の有無にかかわらず、UVカット機能がついています。
対してUVカットレンズは、紫外線をカットして眼を保護するためのもので、紫外線に反応して色が変わることはありません。
また調光レンズは、メガネとサングラスをかけ外しする手間が要らず、常時かけて使うことができます。そのため、1本で屋内外のまぶしさ対策ができ、いつでも快適な視界を維持することができます。さらにご自身の目に合った度付きのものを作ることができるため、メガネとカラー付のレンズの2つの役割を1本で兼用することも可能です。
UVカットレンズとは

UVカットレンズは、紫外線から目を守るメガネのことをいいます。
素材に紫外線吸収剤が配合されているレンズや、レンズ表面に紫外線をカットする特殊なコーティングを施すことによって、目に紫外線が到達するのを防ぎます。レンズにUVカット効果が施されているレンズをUVカットレンズと総称するため、無色透明のレンズからカラーレンズまで含まれます。
UVカットレンズの利用シーン
紫外線は季節に関係なく降り注いでいるため1年を通して使用でき、以下のような効果も期待できます。
- レジャーやアウトドアでの紫外線防止になる
- 洗濯や買い物に出かけるなど日常生活での紫外線防止ができる
- 運転可能な濃度のカラーレンズを選べば、運転中の紫外線も防止できる
- UVカットの好きなカラーレンズを選択することでファッションにも活用できる
調光レンズの
メリット・デメリット
調光レンズには、メリットとデメリットがありますので、しっかりと把握し使うようにしましょう。
メリット① 持ち運びぶメガネが1本で済む
一本二役の調光レンズは、1本あれば全天候に対応できるため、複数本のメガネを持ち歩く必要がありません。
バッグの中のメガネケースというものは、けっこう場所を取るものです。調光レンズであればメガネケースは不要なので、バッグがスッキリします。また「替えのメガネはどこだっけ?」とバッグの中をひっかきまわさなくても済みます。
メリット② 紫外線量に応じて眩しさよけになる

調光レンズは紫外線量に応じた濃さになるのがうれしい点です。普通のサングラスだと、晴れた日は存分に眩しさよけになったとしても、曇りの日にはレンズの色が濃すぎて、視界が暗くなってしまうことがあります。
調光レンズは晴れた日は濃く、紫外線量の少ない曇りの日は薄い色づきになるため、視界が暗くて使いにくいということがありません。ただし、気温が高いとレンズの色が濃くならなかったり、低いとレンズが濃くなったりなど、気温によっては色の濃度が変わることがあります。
メリット③ オシャレで機能的なサングラスになる

豊富なレンズカラーから選べるので、機能的なだけではなく、オシャレなサングラスとして使えます。かつての調光レンズのカラーはブラウンとグレーしか選択の余地がありませんでした。
ただし今では技術が進歩し、ピンクやパープル、ブルーや淡いグレーなど、選べるカラーが増えています。これによって、好きな色や服に合わせて作れるため、ファッション的要素も高まっています。
メリット④ コストパフォーマンスが高い
調光レンズを選択すると、結果的にコストパフォーマンスが高くなることがあります。そもそも、調光レンズは通常のレンズよりも高い料金設定になっています。
しかし調光レンズにしない場合、度付きのサングラスを作りたいときは、度付きのクリアレンズと度付きのサングラスの2本を購入しなければなりません。調光レンズであれば1本購入すれば事足りるので、2本買うより安く済むのです。
メリット⑤ プラスチック製が主流のため、軽くて割れにくい
プラスチック製の調光レンズはガラスレンズと比較して様々なメリットがあります。
まず、プラスチック製の調光レンズは表面に調光膜があるため、色の変化が安定しています。
さらに軽量で割れにくいため、縁なしフレームなど様々なデザインのフレームで作製が可能です。
調光レンズを使用することで、機能性とファッション性の両立が叶います。
デメリット① 車内ではレンズが濃くならない

ドライブに適した調光レンズですが、車の作りによっては調光機能を十分に活かせないことがあります。車のフロントガラスや窓ガラスにUVカット処理がされている場合、調光レンズまで紫外線が届かず、色がほとんど変わらないのです。
「調光レンズのためにUVカットをしない」のは本末転倒なので、この場合は光に反応して色が変わる可視光調光レンズ、または、光の反射を抑える偏光レンズを利用しましょう。
デメリット② 色の変化に時間がかかる
濃い・薄いの色の変化が速くなったとは言え、色が一瞬で変わるわけではありません。かつての調光レンズは濃い色になるまでに数分、濃い色から透明に戻るまで10分近くかかっていました。最近の調光レンズは濃い色になるまで約30~90秒、薄い色に戻るまで約3〜7分と、だいぶ速くなっています。
デメリット③ 紫外線量や気温で色の変化に差がある

紫外線の量や気温によって色の濃さに差が生じる、という特性を理解していないと、使いづらく感じることがあります。
紫外線量が強いほど発色は濃くなるので、曇りより晴れている方がサングラスは濃くなります。また、気温が低いほど色が濃くなるという特性もあります。夏より冬の方がレンズの色が濃くなるのです。近年では、紫外線ではなく光の明るさに反応して色が変わる「可視光調光レンズ」も開発されました。色の濃さが環境によって左右されるのを避けたい場合は、可視光調光レンズを選択してもよいでしょう。
※装用環境(気温・天候・紫外線量・太陽光とレンズの角度)の条件の違いによって、濃度変化および色調変化が異なります。
(例:ブラウンの場合、条件によっては、グレイに見えることがございます。)
※カラー濃度は紫外線量及び、温度に大きく影響されます。
※画像はイメージです。実際のカラーとは色が異なります。
デメリット④ 調光機能に寿命がある
色の移り変わる調光機能には寿命があります。調光レンズの寿命とは、色の変化が起こりにくくなり、レンズが薄く色づいたままそれ以降は濃くも薄くも変化しないというものです。
この寿命は「何年」という単位で測るものではなく、色の変化が「何回」起こったかによって決まります。つまり、色の変化を繰り返すほど、寿命を迎えるのが早くなるということです。使用していないときに、メガネを窓際に置きっぱなしにすることは控えましょう。
おすすめの調光レンズ

調光レンズはカラーバリエーションがいくつかあります。グレーやブラウン、グリーンなど濃い色に発色するタイプや、サングラスカラーまでは濃く発色しない淡いカラーのタイプもあります。その他にもブルーやパープル、ロゼなど豊富なカラーがあります。ご自身に似合う色や使いたいシーンでカラーを選びましょう。
調光レンズの色選び
調光レンズのカラーは、コントラスト、眩しさよけ、疲れにくさ、ファッション性のどれを重視するかで選び方が変わります。
ブラウン系

眩しさよけの効果が高く、コントラストをハッキリさせたいときにおすすめのカラーです。長時間の使用はやや疲れが出る可能性があります。
グレー系

とにかく眩しさを軽減したい人のためのカラーです。視界全体の色なじみが良く、長時間使っていても疲れにくいのが特長です。
ロゼ系

眩しさよけというよりは、コントラストをハッキリさせ、視界を明るく保つ効果があります。
ブルー・パープル系

暖色系の色をカットし、全体的にやわらかい見え方になります。コントラストははっきりしないため、目を使うスポーツなどにはあまり向きません。
調光機能に寿命が来たら?
調光機能に寿命が来たら、眼鏡店でレンズの交換をしましょう。度付きの調光レンズを交換する場合は、視力検査をし直すちょうど良い機会となります。
ただし、もともと調光サングラスとして販売されていたフレームだと、レンズ交換に対応していないこともあります。また、フレームの劣化が著しい場合も、レンズ交換を断られる可能性があります。必ず眼鏡店でご相談ください。
レンズの交換は「メガネのレンズ交換はいつする?交換にかかる費用・時間も解説」の記事も参考にしてください。
まとめ
今回は調光レンズの仕組みやメリット、デメリットまで解説しました。色の変化のタイムラグや、UVカットガラスがあると調光効果が出ないなどの点を理解すれば、コストパフォーマンスも良く、オシャレで機能的なサングラスとして重宝します。
調光レンズには寿命があるため、長持ちさせるには使用中以外は紫外線にさらさないようにしましょう。調光レンズをうまく使いこなして、快適な見え方を体験してください。

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みるラボ編集部
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