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目がかゆくて、思わず掻いたり擦ったりしたことのある方は多いのではないでしょうか。
実は、掻いたり擦ったりするのは逆効果で、目を掻けば掻くほどかゆみが悪化してしまうこともあります。目のかゆみは様々な原因によって引き起こされるため、原因に応じて適切に対処することが大切です。
本記事では、目のかゆみの原因や正しい対処法について解説します。
目がかゆい原因と対処法
目のかゆみには、病気以外にも様々な原因が考えられます。
目がかゆいと、つい我慢できずに掻いてしまいがちですが、目を掻けば掻くほど炎症やかゆみが悪化し、目に負担もかかります。掻くのはなるべく我慢し、正しく対処しましょう。
目の乾燥
涙には、ハウスダストや花粉など外からの異物を洗い流す役割があります。目が乾燥して涙の量が少ない状態では、異物を十分に洗い流すことができず、目のかゆみが起こりやすくなります。
また、目が乾燥する原因として近年よく見られるのが、スマートフォンやパソコンの長時間使用です。画面を長時間見ていると、まばたきの回数が少なくなるため、目の乾燥につながります。
対処法
スマートフォンやパソコンを使用する際には、長時間連続の作業は避け、こまめに休憩をはさみましょう。
また、乾燥した場所で長時間過ごすのは避け、加湿器などを使って適度な湿度を保ち、乾燥が気になる時にはドライアイ用の点眼薬を使うのも効果的です。
コンタクトレンズを使用している場合は可能な限り装用時間を短くし、メガネなどで過ごす時間を増やすようにしましょう。
化粧品やコンタクトレンズによるアレルギー反応
人によっては化粧品でアレルギー反応を起こすことがあります。化粧品に含まれる香料や色素、化粧品のベースとなる基剤成分などがアレルギーの原因となる場合があるためで、体質的に合わない場合、化粧品を使った際に目のかゆみや赤みなどの症状が繰り返しみられるようになります。特定の化粧品を使った時にだけ目にかゆみなどの症状が出る場合は、化粧品によるアレルギー反応が起こっている可能性があります。
また、コンタクトレンズの汚れが原因で起こるアレルギー反応で、目にかゆみが出ることがあります。コンタクトレンズの洗浄が不十分な場合など、誤った使用法を続けた際に見られます。
対処法
化粧品が原因で目のかゆみが発生した場合、かゆみの原因となっている化粧品が特定できている時は、原因となっている化粧品の使用を中止し、すぐに洗い流しましょう。洗う時は、ゴシゴシと力を入れて洗うのではなく、目や目の周りの皮膚に刺激を与えないよう、優しく洗い流してください。水で洗い流しても落ちない場合は、刺激の少ない石鹸や洗顔料をよく泡立てて使用しましょう。
それでも症状が続いたり、悪化したりするような場合は、早めに眼科を受診し医師の診察を受けてください。
コンタクトレンズを使用する時は、洗浄保存液による擦り洗いや「タンパク質除去剤」を使用するなど、正しいケアを行うことが大切です。使い捨てタイプのコンタクトレンズを使用する場合は、レンズ交換までの期間を必ず守りましょう。
かゆみが治まるまでは、原則としてコンタクトレンズを中止してください。
異物の混入
目に化粧品や砂などの異物が入ると、目のかゆみや痛み、ゴロゴロとした異物感などを感じることがあります。
対処法
目に異物が入った時は、目を擦らず静かにまばたきをして、涙と一緒に流しましょう。うまく流れ出ない時は「洗眼」も効果的です。水や市販の洗眼薬を使用して目を優しく洗いましょう。ただし水道水による洗眼を日常的に行なうと眼表面組織を傷める可能性があるため、異物が入った時の応急処置にだけ行うようにしましょう。
目がかゆい場合に
考えられる疾患は?
何らかの疾患により目の「結膜」が炎症を起こすと、目のかゆみが生じます。
結膜とは、目の表面を覆う透明な薄い粘膜で、白目の表面とまぶたの裏を覆う部分から構成されています。
結膜に炎症を起こす疾患としては、以下の3つが代表的です。
1:ものもらい
「ものもらい」は、目に生じる細菌感染の一つです。まぶたの一部分の腫れや痛みの他、目のかゆみが出ることもあります。ものもらいという呼び方は俗称で、医学的には感染する場所によって「内麦粒腫」、「外麦粒腫」、「霰粒腫」などに種類が細分化されています。
特にかゆみの症状が出やすいのは、内麦粒腫と外麦粒腫です。麦粒腫は、まぶたのふちや内側に細菌が感染し、赤く腫れた状態です。まぶたの一部分が赤くなり、痛みやかゆみが出ます。主に、細菌がついた手で目に触れることで発症します。
2:感染性結膜炎
感染性結膜炎は、ウイルスや細菌が目に感染し結膜に炎症を起こした状態で、目やにや目のかゆみ、ゴロゴロした感覚や涙目といった症状が出ます。
アデノウイルスが原因で起こるプール熱では、目の症状だけでなく、発熱や喉の痛みといった、風邪に似た症状が出ることもあります。ウイルス性結膜炎は他人への感染力が強く、学校での集団感染や家族内感染の原因になります。
3:アレルギー性結膜炎
目の結膜にアレルゲンがつくことで、目のかゆみや充血、異物感、目やに、涙などの症状が出ます。スギ花粉がアレルゲンとなる「花粉症」は、アレルギー性結膜炎の中でも有名です。
その他、小学生~中学生の男児に多い重症型のアレルギー性結膜炎である「春季カタル」や、アトピー性皮膚炎で見られる「アトピー性角結膜炎」、コンタクトレンズの使用が原因で起こる「巨大乳頭結膜炎」なども、アレルギー性結膜炎の一種です。
アレルギーは外から侵入した異物から体を守るための反応ですが、結膜にはアレルギーを引き起こす「マスト細胞」と呼ばれる免疫細胞が多く存在しています。花粉やハウスダストといったアレルゲンが結膜に侵入し、マスト細胞表面のIgE抗体に結合すると「ヒスタミン」という物質が大量に放出されます。このヒスタミンが結膜を刺激し、かゆみを引き起こすのです。
市販薬は使ってもいいの?
アレルギーが原因のかゆみには抗アレルギー剤の点眼薬で治療することが多く、市販薬としても販売されています。また、抗菌成分が配合されている点眼薬も市販されており、ものもらい(麦粒腫)や細菌性結膜炎に使用しても問題ありません。
ただし、市販の点眼薬を使用する場合、かゆみが治まらないからといって長期間使い続けないよう注意しましょう。2~3日試してみて症状が治まらないようであれば、眼科の受診が必要です。
目がかゆい場合に眼科を
受診する目安はある?
目のかゆみが長期間続いている、徐々に悪化している、かゆみ以外の症状が出てきた場合には、早めに眼科を受診しましょう。
特に、充血やまぶたの腫れ、痛みがあるなど、目の炎症が強い時には、抗アレルギー点眼薬やステロイド点眼薬などを使った治療が効果的です。ステロイド点眼薬は市販薬としては販売されていないため、眼科を受診して処方してもらい適切に使用しましょう。
目のかゆみを予防する4つの習慣
1 : メガネの着用
目のかゆみを予防するためには、かゆみの原因をできるだけ「回避」し「除去」することが大切です。
空気中を舞う花粉やほこりなどが原因で目のかゆみが出る場合は、外出時にメガネを着用し、花粉やほこりがなるべく目に入らないようにしましょう。メガネの縁にガードのついた「花粉症防止用ゴーグル」を使用すると、より効果的です。
※出典 : 平成22年度厚生労働科学研究補助金 免疫アレルギー疾患予防・治療研究事業発行「的確な花粉症の治療のために」より
2 : 洗眼薬の使用
花粉やほこり、化粧品などが目に入るとかゆみが出やすい場合は、市販の「洗眼薬」で目に入った異物を洗い流しましょう。
花粉症の季節に外出した後などは、かゆみがなくても予防的に使用するのがおすすめです。目のかゆみの原因となる異物を洗い流すことで、かゆみの予防につながります。洗眼薬を使う際は、製品パッケージなどに記載されている使用方法を守り、正しく使いましょう。
3 : 部屋の掃除
外出時だけでなく室内にいる時にも目にかゆみが出る場合は、室内の環境が原因かもしれません。部屋の環境を衛生的に整えることで、目のかゆみの予防につながります。こまめに掃除をし、カーテンやシーツなどのファブリック類も定期的に洗濯しましょう。
4 : 花粉やほこりを室内に持ち込まない
屋外の花粉やほこりが原因で目のかゆみが出る場合は、花粉やほこりを室内に持ち込まないようにすることも大切です。外から帰った際は、玄関で衣類や髪の毛についた花粉やほこりを払い落としましょう。上着や帽子・マフラーなどを室内に持ち込まないようにするのも効果的です。上着や衣類は、花粉やほこりのつきにくいツルツルした素材のものがおすすめです。
また、洗濯物干しや布団干しを屋外で行うのもなるべく避けましょう。
まとめ
今回は、目のかゆみの原因や正しい対処法についてご紹介しました。
目のかゆみは、アレルギーや感染症などによる結膜炎、目の乾燥、化粧品によるアレルギー、コンタクトレンズの誤使用など、様々な原因で生じます。
症状や原因によっては市販薬やセルフケアで対応できますが、自己診断でかゆみの原因を正しく特定するのは難しい場合もあります。市販薬を2~3日試して症状が治まらない場合や、症状が重い場合は、早めに眼科を受診し、目の健康を保ちましょう。