この記事の執筆者
眼とメガネの情報室
みるラボ編集部
目次
メガネのかけ心地がしっくりこなかったり、ずり落ちたり、痛みなどの不快感があって、煩わしさを感じたことはないでしょうか。そんな時、自分でメガネを調整することはできる?フィッティングってどうするの?と疑問に思いますよね。
この記事では、メガネのフィッティングの概要や、メガネを調整する頻度やタイミング、眼鏡店でのフィッティングの手順について解説し、メガネの調整に関するよくある質問にお答えします。
フィッティングとは?
メガネのフィッティングとは、顔の形や鼻の高さ、耳の位置など使用者の顔の特徴に合わせて、メガネのフレームの形状を調整することです。
適切なフィッティングにより、快適な装着感や見え方を得ることができます。
フィッティングは専門知識と技術が必要であり、眼鏡店で経験豊富なスタッフが行います。
メガネを快適に使用するためには、プロの手によるフィッティングが欠かせません。
メガネが合っているか
チェックする方法
メガネのフィッティングが正しく行われているかを確認する方法はいくつかあります。
まず、メガネを装着した際に、耳や鼻へのフィット感を確認します。フレームが耳に食い込んでいたり、鼻の上で不快な圧迫感を感じたりしないか確認しましょう。
次に、鏡に向かって顔を見ながら、メガネが顔の左右中心に位置しているか、傾いていないか、メガネのレンズが目の中心より上すぎたり、下すぎたりしていないかを確認します。
最後に、メガネをかけた状態で頭を左右に振ったり、大きくうなずいたりした際に、メガネがズレないかどうかを確認してください。
上記の内容を確認して違和感や不具合があれば、テンプル(つる)の幅やレンズと目との距離(頂点間距離)・角度、鼻パッドや耳に掛かる部分などのフィッティングに問題がある可能性があります。
メガネのフィッティングに問題があると、装着感や視力矯正効果が損なわれる恐れがあるため、早めに眼鏡店で相談しましょう。
メガネを調整する頻度は?
どのタイミングで調整すればいいのか?
快適なフィット感を保つために、メガネは定期的に調整する必要があります。
ここでは、メガネを調整する頻度とタイミングについて解説します。
メガネの調整は3ヶ月に1度程度がおすすめ
メガネの調整は3ヶ月に1度程度が理想的ですが、厳密に回数や頻度は定められていません。
実際には、使用者の使い方や環境によって調整すべきタイミングは異なります。
毎日のように長時間使用するメガネには、想像以上の負荷がかかっているものです。
フレームやパーツの変形のほか、ネジのゆるみなども生じるため、気になる方はクリーニングを兼ねて月に1度程度眼鏡店でメンテナンスを依頼するのも良いでしょう。
メガネを常に最適な状態に保つことで、破損などの大きな問題を未然に防ぐことができます。
メガネをかけて違和感がある時が調整のタイミング
長期間使用していると、フレームや鼻パッド、テンプルが少しずつ変形することがあります。
メガネをかけていて違和感を感じたら、それが調整が必要なタイミングです。
例えば、鼻パッドが当たって痛い、耳が痛くなる、メガネがズレる、目が疲れるなどの不快な感覚があれば、調整が必要です。
快適な装着感やクリアな視界を保つために、定期的に自分のメガネの違和感をチェックし、必要に応じてプロの手で調整してもらいましょう。
メガネの調整は
自分でできるのか?
メガネのかけ心地に違和感がある時、自分で調整することはできるのでしょうか。
自分で調整できる範囲と、眼鏡店に依頼した方が良い範囲について解説します。
ネジ締めだけはよく注意しながらであれば可能
メガネのネジがゆるんでいる時、市販の精密ドライバーを使って自分でネジ締めを行うことができます。
ただし、ドライバーが滑ってフレームやレンズを傷つけたり、力加減を誤ってネジ穴やネジ頭をつぶしてしまったりする恐れがあるためには、注意が必要です。
安全かつ確実に調整するため、眼鏡店に依頼してプロの手で調整してもらうことをおすすめします。
緊急で自分でネジ締めをしなければいけない場合は、メガネ拭きでメガネのフロント部分を覆うなどして、レンズとフレーム保護に配慮してください。
その他の調整はお店に依頼
メガネの調整は簡単そうに見えても、フレーム調整を含むバランスの整え方や、壊れた部品の修理、細かなパーツの調整には専門知識と技術、道具が必要です。
ネジ締め程度であれば自分で行うことも可能ですが、万が一のことがあるため、基本的には自分で調整しようとせず、眼鏡店に依頼することをおすすめします。
お店でのフィッティングの手順
眼鏡店でのメガネのフィッティングは、以下の手順で行われることが一般的です。
フレーム(テンプル)の幅
メガネのフィッティングでは、最初にフレーム(テンプル)の幅を調整します。
理想は、テンプルがこめかみに軽く触れる程度の幅です。
フレームの幅が閉じすぎていると顔に食い込んでメガネが前方に押し出され、幅が開きすぎていると支えがなくなりメガネがズレやすくなります。
一般的に、メタルフレームの場合は「智(ち)」を、セルフレームの場合は「ヨロイ」と呼ばれるテンプルのつけ根部分を広げたり狭めたりして調整します。
前者は専用の工具を使い、後者はヨロイ部分をヒーターであたためて柔らかくし、手で形状を変化させます。
メガネをかけると傾く場合、高い方の智・ヨロイを上にねじるようにし、低い方を下にねじるようにして左右の高さを調整することもあります。
また、目とレンズまでの距離(頂点間距離)が左右で異なる場合は、距離が広い側の智・ヨロイを広げ、距離が狭い側を狭めて左右が均等になるように調整します。
目とレンズの角度
ある程度フレームの幅を調整したら、レンズと目の間の距離、前傾角、そしてレンズの高さを調整します。
レンズと目の距離は「(角膜)頂点間距離」とも呼ばれ、この距離が合っていないと視野がぼやけたり、違和感を感じたりします。
頂点間距離を正確に測定し、左右でバランスを整えるために、鼻パッドやフレームの幅などを調整します。
前傾角はレンズの傾きを意味し、目からやや下の角度に5°〜10°程度傾けるのが良いとされています。
この角度が正しくないと、視線とレンズの光軸が合わず、視力矯正効果が十分に得られません。
前傾角を調整する際は、フレームの付け根部分(智・ヨロイ)でテンプルの角度を調整します。
そして、正面から見たメガネの高さと角度も重要です。
顔の形や用途によって適した高さや角度を設定することで、快適な装着感と、適切な視力矯正効果を引き出すことができます。
鼻パッド
鼻パッドはメガネが顔からずり落ちないように固定する重要なパーツで、鼻筋に沿うように調整することが重要です。
適切にフィットしていないと、痛みなどの不快感や目の疲れ、メガネ跡ができるなどの問題が生じます。
眼鏡店でフィッティングを行う際は、まず鼻パッドの位置を確認し、黒目がレンズの中央にくるように調整します。
次に鼻パッドの左右に傾きや隙間がないかも確認し、傾きがあれば工具を使って鼻パッドの角度を微調整します。
隙間が広すぎるとメガネがズレ、狭すぎると鼻に跡がつく可能性があるため、程々の隙間を保つことが重要です。
また、鼻パッドは汚れたり劣化したりするため、定期的にクリーニングと交換をしてください。
このほか、一体型の鼻パッドは基本的に調整ができません。
自分の顔に合わせてフィッティングできるフレームであるかどうかを、購入前に確認すると良いでしょう。
テンプル(つる)
「テンプル」とは、メガネの耳にかける部分で、かけ心地を左右するパーツです。
顔の形に合わせて、テンプルの角度や幅を調整します。
テンプルの幅が閉じすぎていると顔に食い込み、開きすぎているとメガネがずり落ちるのは先述の通りです。
横から見た時のテンプルの角度も重要で、左右で角度が大きく違うと視力矯正効果にも悪影響を及ぼします。
テンプルが湾曲している場合は、真っ直ぐにしたり丸みを持たせたりして頭をやさしく抱き込むような形状に修正し、先端部分(モダン)も耳の形に合わせて角度を調整します。
耳介(耳の後ろのライン)に沿わせるのが一般的ですが、きっちり合わせすぎると痛みが出る恐れがあるため、少し余裕を持たせ、テンプルの先端部分で軽くメガネを支えるのが理想的です。
最終チェック
メガネのフィッティングが完了したら、メガネをかけて最終的なバランスを確認し、必要に応じて微調整を行います。
正面から幅や水平のバランスを整え、鼻パッドのフィッティングや、目とレンズの間の距離を確認します。
次に、横から見て前傾角が適切かチェックし、耳にかかる部分のテンプルの曲げ位置やテンプルの先端部分の角度を調整して、顔に沿うようにします。
フィッティングの最終チェック時には、痛みや違和感など少しでも気になることがあれば遠慮せず、眼鏡店のスタッフに伝えることが大切です。
最後に、テンプルを折りたたむ時に動きが悪かったりゆるすぎたりしないか確認します。
折りたたみがスムーズにできない場合は、ネジで調整を行ったり、メガネ用オイルを差すなどして適切な動きに調整します。
お店でのメガネ調整に関して
よくある質問
眼鏡店でのメガネの調整にはお金がかかるのか、他店で購入したメガネの調整はできるのかといった、メガネの調整に関するよくある質問にお答えします。
メガネの調整はお金がかかる?
メガネの調整は、購入店舗であれば基本的な調整は無料で行う眼鏡店が多いです。
基本的な調整には、鼻パッドやフレーム、テンプルの角度調整などが含まれます。
ただし、メガネの状態が悪い場合や複雑な調整、購入店舗のアフターサービス期間をすぎた後の再調整などは有料となる可能性があります。
無料か有料かは眼鏡店によって異なるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
重要なのは、メガネが快適に使えるよう正しくフィッティングすることです。
安全かつ確実に調整するためには、眼鏡店でプロに依頼する必要があります。
ネジ締め程度であればご自身で行うこともできますが、フレームやレンズを傷つけないように注意しなければなりません。
眼鏡店に調整を依頼すれば、メンテナンスやクリーニングも無料で行ってくれる場合もあります。
メガネを長持ちさせるためにも、定期的に眼鏡店で調整しましょう。
他店で購入したメガネは調整できる?
他店で購入したメガネでも、多くの眼鏡店で調整可能です。
ですが、フレームが著しく曲がっていたり、フレームの素材が劣化している場合は、調整・修理が難しいことがあります。
また、一部の素材や特殊なフレームも、調整・修理が難しい傾向にあります。
他店で調整することを検討している場合は、いつ頃どこで購入したかを伝えて直接メガネの状態を見てもらい、調整や修理が可能かどうか、その店舗のスタッフに相談すると良いでしょう。
とはいえ、メガネの調整・修理は、基本的に購入店舗に依頼することが推奨されます。
調整にかかる料金は、店内で直せる場合は無料が一般的であり、パーツ交換やメーカーへの委託が必要な場合には有料となるケースが多いです。
なんといっても、購入店舗では顧客として丁寧に対応してもらえることが期待できます。
取り扱っているフレームについても熟知しているため、スムーズかつ確実に調整してもらえるでしょう。
ズレるメガネを使用し続けるとどうなる?
かけるとズレるメガネを使用し続けることには、様々なデメリットがあります。
まず、ズレた状態ではメガネ本来の視力矯正効果を得ることができません。
目が余計に緊張し、眼精疲労や視力の低下につながる可能性があります。
次に、メガネがフィットしていないことにより耳や鼻に圧迫感や不快感がもたらされ、長時間装着することが難しくなります。
さらには、メガネが適切に調整されていないことにより、メガネが落下するなどしてフレームやレンズが破損する恐れがあります。
こうした見え方やかけ心地、安全性の問題のほかにも、メガネがズレる状態で使用していることで顔の印象が損なわれることもあります。
ストレスなく視力を矯正し、おしゃれを楽しむためにも、きちんと調整されたメガネを使用することが大切です。
メガネの調整は眼鏡店で行うのがおすすめ
今回は、メガネのフィッティングの概要、メガネを調整する頻度やタイミング、お店でのフィッティングの手順などを解説し、メガネの調整に関するよくある質問にお答えしました。
メガネを正しく調整することで、フィット感を向上させ、メガネをズレにくくすることができます。
メガネの調整には専門的な知識や技術、工具などが必要となるため、眼鏡店に依頼するのがおすすめです。またフレームによっては調整がしにくいものもあります。メガネ購入時にかけ心地、調整のしやすさも眼鏡店に相談、確認し長く使用するメガネを選ぶことも大切です。
この記事を参考に、快適なメガネライフを楽しんでください。