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日常生活を便利にしてくれるコンタクトレンズですが、使用中に目の痛みを感じたことがある方も多いでしょう。
コンタクトレンズ使用中の痛みはレンズ自体の問題だけでなく、目の健康に影響を及ぼす可能性もあります。角膜に傷がついてしまうこともあるため、早めの対処が重要です。
この記事では、コンタクトレンズが引き起こす目の痛みの原因や対処法について解説します。
コンタクトレンズで
目が痛くなる原因
まずは、レンズ装用中に感じる目の痛みの主な5つの原因を解説いたします。
ゴミや異物
コンタクトレンズ装用中、目にまつ毛やホコリなどの異物が入ると、痛みを感じることがあります。また、まつ毛や異物が角膜(黒目の表面)に傷をつけることで、強い痛みを伴うこともあります。
「今まで大丈夫だったのに、なぜか急に目が痛い」と感じた時は、目に何か異物が入っている可能性があります。すぐにレンズを外し、目やレンズに異物が付着していないか確認してください。
ドライアイ
ドライアイが原因で目の痛みが生じることがあります。ドライアイは、涙不足や涙の質の低下により、目の表面が乾燥して傷つきやすくなる状態です。
レンズは目の表面を覆う涙の中に浮かんでいるため、涙はレンズを安全に装用するために重要な役割を果たしています。ドライアイで涙が足りなくなると、レンズが目の表面に直接触れ、痛みを感じる場合があります。また、ドライアイによって涙の蒸発が増加すると、レンズが乾燥して硬くなり、摩擦によって痛みを感じることもあります。
コンタクトレンズの不適切な使用
レンズの不適切な使用が原因で、目の痛みが生じることもあります。
交換期限を過ぎたレンズを使ったり、ケア時に強くこすり洗いを行ったりすると、レンズが変形してしまう場合があります。変形したレンズを使うと、ゴロゴロとした痛みを感じたり、角膜に傷がついたりして強い痛みを生じることもあります。水分を多く含むソフトレンズは乾燥によっても変形しやすいため、レンズケースに保存する際は、保存液に十分に浸しましょう。
また、亀裂の入ったレンズや欠けたレンズを使用した場合も同様です。レンズを装着する前に、レンズに破損や変形がないかどうかを確認しましょう。
消毒が正しくできていない場合も、微生物の繁殖が進み、痛みや角膜の傷といった目のトラブルの原因となります。レンズの洗浄と同様に、レンズケースの洗浄も忘れずに行うようにしましょう。
目に合わないコンタクトレンズ
目の形状に合わないレンズを使うと、不快感や痛みが生じる可能性があります。
レンズを購入する際には、適切な度数とベースカーブ(BC)の製品を選ぶ必要があります。BCは、レンズのカーブを数値化したものです。数字が大きいほどカーブがゆるく、小さいほどカーブがきつくなります。BCを知るためには眼科での検査が必要です。自己診断でレンズを選択するのは避けましょう。
低酸素
目が低酸素の状態に陥ると角膜に傷がつきやすくなり、痛みを感じる場合があります。
低酸素になる主な原因として代表的なものには、レンズを長時間装用する、寝る時にレンズをつけたままにする、酸素透過率の低いレンズを使用するなどがあります。低酸素の状態が続くと、角膜の表面だけでなく、角膜の内側に障害(角膜内皮障害)が発生する可能性もあるため注意しましょう。
目の低酸素状態を確認するためには「角膜内皮細胞数」の検査が参考になります。調べたい方は、眼科の受診しましょう。ただし、すべての眼科が専用の検査機器を備えているわけではないため、検査を希望する方は事前に問い合わせてから受診すると良いでしょう。
コンタクトレンズで
目が痛い時の対処法
ここからは、コンタクトレンズで目が痛い時の5つの対処法を解説します。
目の痛みや違和感がある場合は放置せずに、以下の対処法を試してみてください。
眼科を受診する
コンタクトレンズによる目の痛みは、眼科で治療を受けることで改善が期待できます。痛みを感じる原因は一人ひとり異なります。特に、痛みが続いている時の自己判断は避け、眼科で適切な治療を受けましょう。
また、新しいレンズを購入する際にも眼科で検査をすることで対策ができます。眼科では、レンズの度数やカーブに変更がないかどうかだけでなく、目の状態や涙の量なども検査が可能です。目の障害は自覚症状なく進行することもあるため、定期的に健診を受けるのがおすすめです。
目が乾かないよう対策をする
ドライアイが原因で目に痛みが出ている場合は、目が乾かないよう対策をすることで改善する可能性があります。
エアコンの効いた部屋や風が直接当たる場所では涙が蒸発しやすくなるため、部屋の湿度を保ち、風が直接当たらないように心がけましょう。
パソコンやテレビを見ている時は、通常よりもまばたきの回数が減っている可能性があります。意識的にまばたきを増やすよう心がけましょう。まばたきを増やすことで、涙が行きわたり、目の乾燥を軽減できます。
また、目が低酸素状態の場合も、まばたきは重要です。角膜は主に涙から必要な酸素を取り入れ、老廃物を排出しています。まばたきによって角膜とレンズの隙間の涙が交換され、目に酸素が供給できます。
目の乾燥を感じた時には、涙液を補助する成分や目のうるおいを保つ成分の入った目薬を使用するのも有効です。
コンタクトレンズを正しく使用する
目の痛みを防ぐためには、レンズの正しい使用法も重要です。
レンズの正しい使用方法を確認するために、説明書を再度読み返してみましょう。特に、レンズを長時間装用しすぎていないか、就寝時に外しているか、装着の際に手を清潔にしているかなど、細かい部分まで再確認し、常に正しい方法で使用するよう心がけましょう。
コンタクトレンズを清潔に保つ
レンズを清潔に管理できているかも大切です。レンズだけでなく、保存液やケースにゴミや菌が付着していることもあります。日々のレンズケア(洗浄・すすぎ・保存・消毒)が正しく行えているかも再度確認してください。特に保存液については、つぎ足しをせず定期的に交換し、使用期限を守れているかチェックすると良いでしょう。
コンタクトレンズケースも1~3ヶ月を目安に交換するのがおすすめです。見た目がきれいでも、細かい傷に汚れや細菌が付着していたり、洗面所などの微生物がレンズケースに付着して感染症の原因となる可能性もあります。
なお、水道水での保存は避けましょう。水道水には微生物が含まれており感染症のリスクがあるため、適切な保存液を使用することが重要です。
市販の目薬や装着液を使う
市販の目薬や装着液を使うことで、目の痛みが改善できる場合もあります。
ドラッグストアや薬局では、症状に応じた様々な目薬が市販されています。コンタクト用の目薬には、ハードコンタクトはもちろんのこと、ソフトコンタクトやカラーコンタクトに使える目薬もあります。ドライアイ・疲れ目・充血などの症状や使用目的に合った目薬を選び、大切な目をトラブルから守りましょう。
装着薬は、コンタクトレンズ装用中に起こる目の乾燥やゴロゴロ感を予防します。装着薬の使用方法は、レンズを装着する前に数滴なじませるだけです。目薬のように、直接目に点すことはできません。
市販の目薬で対処する時の
注意点
市販の目薬で対処する時の注意点をご紹介します。
ドラッグストアや薬局では、薬剤師や登録販売者が必要に応じて症状などを確認し、商品の提案や説明を行っています。不安や疑問がある場合は、遠慮せずにしっかり相談しましょう。
コンタクト用の目薬を選ぶ
市販の目薬は、コンタクト用の目薬と普通の目薬に分類されます。コンタクトレンズを装用中に目薬を使用する際は、必ずコンタクトレンズ用の目薬を選びましょう。
普通の目薬には、コンタクト用に含まれていない成分が配合されています。特に、防腐剤成分がレンズに吸着して目の中に長時間残ると、レンズが変形・変色したり、目に障害を引き起こしたりする可能性があるため、注意が必要です。
痛みの原因に合った目薬を選ぶ
スマートフォン・パソコンの長時間使用やコンタクトレンズの長時間装用などによりドライアイが気になる方には、涙液を補助する成分を含んだ目薬がおすすめです。例えば、ミネラル成分である「塩化カリウム」や「塩化ナトリウム」は、涙と同じ成分であり、乾燥した目に潤いを与えるはたらきがあります。目のうるおいを保つ成分である「コンドロイチン硫酸エステルナトリウム」「ヒアルロン酸ナトリウム」などを配合した目薬もおすすめです。
眼精疲労が気になる場合には、目の新陳代謝を促進する「ビタミンA」が配合された目薬がおすすめです。
使用期限に注意する
まず注意しなければならないのは、点眼瓶やパッケージに記載されている使用期限は「未開封の状態の使用期限」であることです。
開封後の使用期限は、極端に短くなります。開封後の使用期限は約2〜3ヶ月とされていますが、目薬の種類によっては1〜2ヶ月のものもあります。開封後の使用期限が分からない場合は、薬の説明書を確認するか、メーカーに問い合わせてみましょう。
使用期限をすぎた目薬は効果が低下するだけでなく、雑菌などで汚染されている可能性も高まるため、使用しないでください。
コンタクトレンズをつけると
角膜に傷がつく?
角膜とは、目の表面を覆っている薄い膜のことを指します。
角膜は皮膚などで保護されておらず、非常に傷つきやすい組織です。しかし、傷を自己修復する機能があるため、通常であれば傷がついたとしても1週間以内に元の状態に戻ります。しかし、コンタクトレンズを長時間装用している人やデジタル機器の使用で目を酷使している人などは特に角膜に傷がつきやすく、修復が間に合わないほどのダメージを受ける場合もあります。
レンズ装用中は特に目が乾燥しやすく、角膜に傷がつきやすい状態です。日頃から目のケアを心がけましょう。「ビタミンA」などの角膜修復成分が配合された目薬を使い、細胞の生まれ変わりを促すのもおすすめです。
自分の角膜の状態を
チェックしてみよう
コンタクトレンズ使用中に痛みを感じる方は、角膜に傷がついているかもしれません。次のチェックリストに該当する項目がある方は、病状が悪化する前に早めに眼科を受診しましょう。
- 目が痛くなることがある
- 1日中、目がゴロゴロする
- 目を10秒以上開けていられない
- 常に目が乾いてショボショボする
- 1日合計5時間以上、テレビ・パソコン・スマートフォンなどの画面を見ている
これ以外にも、目に何らかの症状が続いている時は眼科医の診察を受けることをおすすめします。
目が痛い場合は病院で
診察してもらおう
コンタクトレンズを装用している際に痛みを感じる原因は様々で、自己判断で原因を見つけることが難しい場合もあります。
コンタクトレンズを使用していて目が痛む時は、まずはレンズ自体に問題がないか確認しましょう。激しい痛みがある場合や痛みが治まらない場合は、ドライアイや角膜の傷といった目そのものに問題がある可能性も考えられます。これらの症状を放置すると感染症を引き起こし、視力の低下などにつながる恐れもあります。症状が悪化する前に眼科で検査・診察を受け、適切な治療を受けましょう。
また、もしも定期検査を受けずにコンタクトレンズを使用している場合は、レンズの度数やカーブが現在の自分の目に合っているか確認する必要があります。目の健康のためにも、3ヶ月に一度は定期健診を受けることをおすすめします。