目の悩み
最終更新日:2023.10.25

目の充血の原因は?症状や治療法、対処法を分かりやすく解説!

この記事の監修者

内野 美樹

ケイシン五反田アイクリニック 院長

目の充血の原因は?症状や治療法、対処法を分かりやすく解説!

目次

何気なく鏡を見た時に、白目が真っ赤に充血していたら不安になる方も多いのではないでしょうか。

目の充血の原因は様々ですが、多くの場合は炎症によるものです。
自然に治癒することもあれば、病気の可能性も考えられます。となると、病院に行くべきかどうか迷ってしまいますよね。

そうした目の充血のお悩みを解消すべく、この記事では目の充血の原因や症状、治療法や対処法について分かりやすく解説します。
充血を改善・予防したい方は是非参考にしてください。

目の充血の原因とは?

目の充血の多くは炎症によって生じるため、その原因は多岐にわたります。
ここでは炎症による目の充血と、それ以外の原因についてそれぞれ解説します。

炎症による目の充血

結膜炎の原因のイメージ

炎症による目の充血には、大きく分けて、アレルギー性結膜炎、ウイルス性結膜炎、細菌性結膜炎があります。
それぞれの炎症の症状と治療法などについて解説します。

アレルギー性結膜炎

アレルギー性結膜炎は、目の周りが痒くなり、充血や目やに、涙目、異物感などの症状が現れる目の病気です。
花粉やハウスダストといったアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)による過剰な免疫反応が原因で発症します。

アレルギー性結膜炎は、花粉症(季節性アレルギー性結膜炎)、通年性アレルギー性結膜炎、春季カタル、巨大乳頭結膜炎の4つに分類されます。

治療には、抗アレルギー薬やステロイド薬などが使用されます。
また、血液検査などでアレルゲンを特定し、原因物質を避けるなどの対策も有効です。

ウイルス性結膜炎

ウイルス性結膜炎とは、アデノウイルスなどによって引き起こされる結膜炎の一種です。
感染者が自分の目を触った後、家庭内で共用しているタオルなどを介して、周囲の人にも感染させてしまいます。
感染後は目の充血、痒み、涙目などの症状が現れ、約2〜3週間程度で治ります。

ウイルス性結膜炎に特別有効な薬はなく、感染拡大防止のための抗生物質点眼と炎症をおさえるステロイド点眼薬を使用します。

家庭内や学校・職場内などで集団感染が起こりやすいため、手洗いの徹底や、タオルや洗面用具の共用を避けるなどの対策を講じると良いでしょう。

細菌性結膜炎

細菌性結膜炎は、細菌感染によって引き起こされる目の病気です。
主に目の充血や痒み、痛み、目やになどの症状が現れます。細菌性結膜炎の原因となる細菌はインフルエンザ菌や肺炎球菌、黄色ブドウ球菌など様々です。

治療法としては、抗生物質の点眼薬や抗生物質の経口薬の処方が一般的です。また、目の周りを清潔に保つことも重要です。

早期治療が必要な場合もあり、症状が重い場合は眼科医の診察を受けることをおすすめします。

流行性角結膜炎(はやり目)

流行性角結膜炎は、ウイルス性結膜炎の中でもアデノウイルスが原因で起こる結膜炎です。新型コロナウイルスが5類感染症に移行した後、感染者が急増し始めました。流行性角結膜炎も5類感染症に分類されます。

主な感染経路は接触感染です。特に家庭内および学校で感染が広がりやすく、感染予防対策が欠かせません。学校伝染病であり感染力が非常に強いことから「はやり目」とも呼ばれ、感染した場合は通学ができません。

家庭内ではタオルなどの共用はせず、入浴は感染者が最後にするようにします。また、日頃からこまめな手洗いや手指消毒を行うことも大切です。感染者が触れたドアノブなどを介してもうつるため、手で目をこすらないようにしましょう。どうしても目を触る場合はティッシュペーパーを使うようにしてください。

炎症以外の目の充血の原因

炎症以外の目の充血の原因については以下になります。

ドライアイ

ドライアイ

ドライアイとは、目の表面が乾燥している状態のことです。
目の乾きの他、目の充血、目の中に異物が入ったような不快感、眼精疲労、かすみ目、視機能の低下などの症状を引き起こします。

通常目の表面は涙で覆われて保護されていますが、ドライアイになると涙の量と質が低下するため、傷つきやすくなります。
放っておくと角膜炎や結膜炎などを引き起こす場合もあるため、早期治療が大切です。

ドライアイになる原因には、加齢や空気の乾燥、目の酷使、コンタクトレンズの長期装用などがあげられます。

症状の緩和には、目の休養、加湿器の利用、点眼薬の使用などが効果的です。

眼精疲労(疲れ目)

眼精疲労(疲れ目)

眼精疲労はドライアイの症状の一つです。パソコンやスマートフォンの操作など、長時間にわたって目を酷使することで引き起こされます。一晩休息して症状が改善された場合は疲れ目とされますが、十分に睡眠をとっても目の不調が続く場合は眼精疲労が考えられます。

眼精疲労の状態になると、目の疲労回復に必要な栄養や酸素を多く運ぼうとして血流量が増えます。その結果、目の表面にある血管が膨らんで目が赤く充血します。

他にも、かすみ目や頭痛、肩こり、吐き気などの症状も現れることがあります。

正しい姿勢を保ち、デジタルデバイスの使用時間を制限し、こまめに休憩をとることが予防につながります。
目元のマッサージや点眼薬の使用なども有効です。

異物混入

異物混入

ゴミやホコリ、虫などの異物が目に入って刺激が与えられることで、目の表面にある血管の血流が増え、目が充血して赤くなります。

目に異物が入ると痛みを感じ、涙が出ます。まばたきを繰り返すうちに、涙と共に異物が排出されることがほとんどです。

しばらくしても異物感が続く場合は、異物がまぶたの裏に入り込んでいる可能性があります。
その状態で目をこするとまぶたと眼球の間で異物がこすれてしまい、傷や炎症が悪化しかねません。

また鉄粉や化学物質などが目に入ってしまった場合、放置していると視力障害が残る恐れもあります。目に異物が入ったらすぐに目を洗浄し、早急に眼科を受診しましょう。

コンタクトレンズ

コンタクトレンズイメージ

コンタクトレンズが目の表面に直接触れることで、摩擦や刺激を与え、目の充血を引き起こすことがあります。

長時間の装用や自分の目のカーブ形状に合っていないコンタクトレンズを使用することによる眼精疲労も、目の充血の原因となります。

さらに、コンタクトレンズは水分を吸収する性質があるため、目の表面を覆う涙を奪い目の乾燥(ドライアイ)を助長します。

規定の装用時間を守り、点眼薬を使用するなどして目の疲れと乾燥を防ぐことが大切です。
また、洗浄方法を見直す、1dayタイプにして毎日清潔なものを使用する、症状が落ちつくまではコンタクトレンズのかわりにメガネを使うなどの対策も有効です。

睫毛内反、睫毛乱生(逆さまつ毛)

睫毛内反、睫毛乱生(逆さまつ毛)のイメージ

睫毛内反(しょうもうないはん)は、まつ毛(睫毛)が内側(黒目の方)を向いている状態です。乳幼児に多く見られる疾患です。

原因として、まつ毛を外に向けるまぶたの発達が弱いことと、まぶたの前と後ろの長さや張りのバランスがとれてないという2つの要素があります。小さいうちはまつ毛が柔らかく角膜が傷つきにくいため、子供自身が異常に気づかないことがあります。
成長とともに自然に治ることもありますが、放置すると角膜乱視や近視、遠視など、眼球にも影響が出ることがあります。

睫毛乱生(しょうもうらんせい)は、まつ毛(睫毛)が色々な方向を向いている状態でシニアに多いとされます。
様々な原因で生じますが、まぶたの炎症により毛根が異常な場所にできてしまう場合がほとんどです。

どちらもまつ毛が眼球とこすれ、目のゴロゴロ感や痛みを感じ、目が充血することがあります。また、角膜びらんや結膜炎を併発することがあります。

目の充血の症状別!
目薬の選び方

充血を改善する目薬の選び方を症状別にご紹介します。

ものもらいなど細菌感染による充血

細菌に感染して起こるものもらいや結膜炎による目の充血には、抗菌剤に加え抗炎症剤が配合された目薬が有効です。

市販薬で抗菌作用のある成分はスルファメトキサゾール、抗炎症成分はグリチルリチン酸二カリウムやアラントイン、イプシロン-アミノカプロン酸です。痒みと炎症をおさえるクロルフェニラミンマレイン酸塩が配合されている目薬も効果を実感できるでしょう。

抗菌剤は細菌にのみ効果を示すため、ウイルス性結膜炎には効果はありません。

アレルギーによる充血

花粉やほこりなどアレルギーが原因の場合は、痒みをおさえる成分の抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤に加え、炎症をおさえる成分が配合された目薬で改善が期待できます。

市販の目薬に配合されている抗アレルギー剤はクロモグリク酸ナトリウムやアシタザノラスト水和物、抗ヒスタミン剤はクロルフェニラミンマレイン酸塩です。抗炎症剤はグリチルリチン酸二カリウムやアラントイン、イプシロン-アミノカプロン酸などです。

痒みがひどい場合は抗ヒスタミン剤を配合した目薬がおすすめです。

眼精疲労・ドライアイによる充血

眼精疲労にはそれぞれの悩みに対する成分を選びます。
疲れ目には栄養補給成分のタウリンやパンテノールが効果的です。
目の奥に痛みを感じる充血にはネオスチグミンメチル硫酸塩やビタミンB12、目のかすみがある時はビタミンAを配合した目薬を選ぶと良いでしょう。

ドライアイを伴う充血には、角膜保護成分のコンドロイチン硫酸エステルや高い保水効果を持つヒアルロン酸ナトリウムが配合されている目薬がおすすめです。ほかに涙の成分である塩化カリウムや塩化ナトリウムも効果的です。

それぞれの原因を改善する成分に加えて、抗炎症剤のグリチルリチン酸二カリウムやアラントイン、イプシロン-アミノカプロン酸などが配合されている目薬を選ぶと、より効果を実感できるでしょう。

今すぐ充血を改善したい時は

原因に関わらず今すぐに充血を改善したい時は、血管収縮剤が配合された目薬が有効です。
ただし、血管収縮剤は使い続けると効果がなくなるほか、かえって充血をひどくすることがあります。また、血管を一時的に収縮させる効果しかないため、症状に対する根本的な治療にはなりません。短期間の使用であれば問題ありませんが、症状が改善しない場合は眼科に相談しましょう。

目の充血を予防する
日常的なケア・対処方法

炎症が原因で目が充血した時に有効な対処法をご紹介します。

目を休める

目を休める

充血に最も効果的なのは目を休めることです。
睡眠中に目は、日中の様々なダメージを修復します。寝不足は目を乾燥させ充血の原因になります。睡眠を十分にとり、目を休ませるようにしましょう。

また、スマホやパソコンの長時間作業などで疲れた目は、酸素を取り込むために血管を膨張させ、充血します。積極的に休憩時間を作りましょう。目を休める時間の目安は、スマホやパソコン作業1時間につき10~15分です。

目を乾燥させない

加湿器

部屋の乾燥はドライアイを悪化させ、目の充血を引き起こす原因の一つです。
加湿器などを利用して部屋の湿度を上げれば、目の表面を保護する涙の蒸発を防ぐことができます。加湿器を利用できない場合は、濡れたタオルを近くに置くだけでも加湿できます。
一般的に室内の適正湿度は40~60%です。
また、パソコン作業などで近くを見続けるとまばたきの回数が減ります。意識してまばたきの回数を増やすと涙の蒸発を防ぐことができ、ドライアイに効果的です。

目を冷やす

目を蒸しタオルなどで温めることは疲れをとるのに効果的ですが、充血している場合は逆効果です。

疲労により充血した目は、多くの酸素や栄養を取り込むために膨張しています。冷やすと血管が収縮して充血を改善できる場合があります。目をつむり、水で濡らしたタオルをまぶたに置くと効果的です。
ただし、長時間冷やすと血行が悪くなるため注意しましょう。

コンタクトレンズを外す

コンタクトレンズケース

目が充血している時にコンタクトレンズを着けたままにすると目はさらに酸素不足になり、充血を悪化させます。
充血している時は酸素を補給できるようにコンタクトレンズを外し、必要であればメガネで過ごすようにしましょう。

コンタクトレンズを外して過ごしても充血が改善しない時は、目の病気が疑われます。そのような時は早めに眼科を受診してください。

まとめ

目の充血の原因は主に8つあり、炎症によるものとそれ以外に分けられます。

炎症による充血

  • アレルギー性結膜炎
  • ウイルス性結膜炎
  • 細菌性結膜炎

炎症以外の充血

  • ドライアイ
  • 眼精疲労
  • 異物混入
  • コンタクトレンズ
  • 逆さまつ毛

充血の多くは、原因に適した市販の目薬を使うことで改善が期待できます。また、今すぐに充血をとりたい時は、血管収縮剤が配合された目薬を使うことも有効です。ただし、血管収縮剤は一時的な使用にとどめるようにしましょう。
軽い充血であれば、目を積極的に休めるほか、室内の湿度管理や目を冷やすなど日常的なケアを行うと改善できる場合があります。
しかし、充血は目が訴える不調のサインです。重大な病気が隠れていることもあるため、ひどい充血が続く時や明らかな腫れを伴う場合は放置せず、早めに眼科を受診しましょう。

監修者プロフィール

内野 美樹

ケイシン五反田アイクリニック 院長

HP:https://www.keishin-eye.com/

山梨医科大学 医学部卒業後、慶應義塾大学 眼科学教室入局。米・ハーバード大学 公衆衛生学修士取得。慶應義塾大学 眼科学教室 特任講師。
眼科のなかでも「ドライアイ」を中心にした角膜の疾患を専門とする。日本におけるドライアイについての疫学研究の第一人者であり、近年増えている長時間のパソコン作業によるVDT(Visual Display Terminal)症候群などの研究を行っており、日本のドライアイの有病率、パソコン使用時間とドライアイとの関係について世界で初めて証明した。ドライアイにつながる危険因子を研究し、ドライアイ診断に関する国際的な基準づくりにも携わる。
予防医療の啓蒙活動にも力を入れ、『しまじろうとEye Care Book』幼稚園や保育園の先生の目の教科書となるような『子どもの目見守りサポートBook』を作成。
目の健康について学び、セルフケアができるよう、『ナカナイ涙』などのWebサイトの監修も手掛ける。

【所属学会】
日本眼科学会 / 日本眼科医会 / 日本角膜学会 / 小児眼科学会 / 日本弱視斜視学会 / ドライアイ研究会

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