目の病気
公開日:2021.10.07 / 最終更新日:2022.03.04

眼精疲労とは?原因・症状・治療・予防方法等をご紹介

眼精疲労とは?原因・症状・治療・予防方法等をご紹介

目次

目の疲れや痛みなどの症状は、単なる疲れ目ではなく慢性的な眼精疲労の可能性があります。この記事では、眼精疲労の原因と症状、自宅でできる対処法、病院での検査や治療法、予防方法やセルフチェック方法までご紹介します。

眼精疲労とは

眼精疲労とは目の酷使を続けたことが原因で、目の疲れやだるさ、目の痛みなどの症状をきたすことです。一晩休息して症状が改善された場合は疲れ目とされますが、十分に睡眠をとっても目の不調が続く場合は眼精疲労が考えられます。症状が進行すると目だけでなく肩こりや頭痛、めまいといった全身にも影響が及ぶことがあります。
近年スマートフォンやタブレット端末の普及により、仕事以外のプライベートの時間でも長時間の近見作業を余儀なくされています。それに伴うVDT症候群(Visual Display Terminals症候群)の一つとして眼精疲労を発症するとされています。VDT症候群とはパソコンやスマートフォンなどのデジタル機器を長時間使用したことによって、目や全身、心に現れる様々な不快な症状のことを指します。
眼精疲労の原因は人によって様々であり、精査してそれぞれ原因に応じての治療が必要です。

眼精疲労の原因

眼精疲労の原因は主に5つに分けられます。

屈折異常(遠視、近視、乱視)や老視

屈折異常(遠視、近視、乱視)や老視

近くの物を見るときは目の中にある毛様体筋という筋肉が働き、ピント調節を行っています。屈折異常があると像がぼやけて見えるためピント調節が上手くできません。また加齢に伴う老眼はピント調節機能が衰え、近くの像がぼやけてしまいます。長時間の近見作業で毛様体筋の調節機能に負担が生じ、眼精疲労となります。その人の目に合った度数の眼鏡やコンタクトレンズで適正に矯正することが大切です。

斜視

斜視

目は外眼筋という6つの筋肉が付着しており、それぞれが働くことによって上下左右斜めの眼球運動が可能になります。外眼筋が何らかの原因で上手く働かなくなった場合、目はまっすぐ向くことができず斜視になってしまいます。通常近くのものを見るとき目は寄り目の状態になりますが、目が外に向いてしまう外斜視になると、普通の人より目を大きく動かさないといけなくなるため外眼筋の負担が増加し目の疲れが出てきてしまいます。

左右の視力の差

視力の左右差が大きい場合、両目とも同等の視力に眼鏡で矯正すると右目で見たものと左目で見たものの像の大きさが異なって見えます。その現象を不等像視といいます。像の大きさに左右差が生じることで脳が一つの像と認識できなくなり眼精疲労を起こします。

ドライアイ、白内障、緑内障などの眼病

眼精疲労の原因が眼病の場合、ドライアイ、白内障、緑内障などが挙げられます。近見作業に集中するとまばたきの回数が減ってしまい、ドライアイが発症して眼精疲労になることがあります。白内障や緑内障は病気の進行度合いによって遠くも近くも見えづらくなります。それが原因で目に負担がかかり疲れてしまいます。

ストレス

眼科的要因の疾患がなくても眼精疲労が生じることがあります。ストレスや心身の不調による精神的なことが原因です。しっかり睡眠時間が確保出来ていなかったり、長時間の仕事で全身に疲労が残っていたりした場合、自律神経に不調を来たしその結果として目にも影響を及ぼします。

眼精疲労の症状

眼精疲労の症状

眼精疲労の症状は軽度から重度なものまで様々です。軽度なものは疲れ目(眼疲労)とも言い、十分な休息や睡眠を取ると症状が改善する傾向にあります。しかし症状が重度なものになると休養をとってもなかなか症状が緩和されません。さらに症状は目だけに留まらず、全身に現れることもあります。
主な眼症状は目の疲れや痛み、充血、涙目、かすみ、眩しさ、ぼやけ、まぶたの痙攣などが挙げられます。主な全身症状はだるさ、頭痛、肩こり、めまい、吐き気などがあります。また眼精疲労によってストレスがかかり、気分の落ち込みやイライラ、食欲不振など精神症状が出てしまう場合もあります。
平成20年に厚生労働省が実施した「技術革新と労働に関する実態調査」によると、パソコンなどのVDT作業をしている人のうち、約9割が眼症状である目の疲れや痛みを訴えています。さらにそのうちの約7割が首の付け根の痛みや肩こりを感じ、約2割が頭痛を感じていると報告されています。長時間のVDT作業による眼精疲労で眼症状と全身の症状の両方とも現れることが分かりました。

眼精疲労の検査

眼精疲労の検査

眼精疲労と診断するために重要なことは問診です。眼科検査において結果の良し悪しで眼精疲労と確定するような検査項目はありません。自覚症状が最も重要視されており、詳細な問診が必要不可欠です。
普段の仕事の様子や日常生活のスタイル、1日におけるVDT作業の時間、ストレスの有無など様々な内容を詳細に聞き取ります。眼精疲労は目だけでなく全身にも症状が現れるため、既往歴や内服歴なども聴取します。さらに症状を眼精疲労と決定づけるために、必要に応じて次のような眼科検査を施行します。

屈折検査

オートレフケラトメーターという機械を覗き込んで気球の絵を見てもらいます。検査時間約5秒で目の近視、遠視、乱視の度数、目のカーブなど一気に測定することが出来ます。ここで得た情報を元に視力検査を行います。

視力検査

屈折検査で得られた度数情報を元に、最良視力を測定します。眼精疲労は近くのものを見たときに症状が現れることが多いため、遠方だけでなく近方の視力検査も行うこともあります。

調節検査

近づいてくる視標を凝視し、どこの位置でぼやけるかで調節力を計測します。検査方法は、完全矯正した状態で片目を隠します。眼前50cmから視標をゆっくり近づけてぼやけた位置がその人の近点距離です。近点距離とは極度に調節させた場合にピントが合う最も近い点のことを指します。調節力=100/近点距離(cm)という公式から調節力を導き出すことができます。調節力は年齢を重ねるにつれてどんどん低下して近点も遠くなります。得られた調節力が年齢相応かどうか確認します。検査機器を使用して調節力を測定する方法もあります。

涙液検査

目の表面は適正な量と質の涙で覆われています。ドライアイとは正常な涙の量または質の異常によって角膜が障害される病気です。涙液検査で涙の量を調べます。方法は、下まぶたにシルマー試験紙という目盛りのついた細い用紙を引っ掛け、5分後どのくらい用紙が濡れたか確認します。正常値は10mm以上であり、10mm未満だとドライアイとされます。

眼精疲労の治療

問診や検査によって眼精疲労と診断された場合、まずは発症原因の排除が一番の治療です。多岐に渡る原因それぞれに対し、適切に対処していくことが大切です。

遠視、近視、乱視、老眼などが原因の場合

遠視、近視、乱視、老眼などが原因の場合

使用している眼鏡やコンタクトレンズが自分の目に適正な度数かどうか調べる必要があります。もし眼鏡が過矯正になっていた場合、近くを見るとき過剰に調節力が働いてしまい眼精疲労になりやすくなります。
「まだ自分は若いから」と老眼鏡を頑なに使用しない場合も、目は常にピントを合わせようと頑張っているため、疲労が溜まってしまいます。自分の目に合った度数の眼鏡やコンタクトレンズを装用することが大切です。

斜視が原因の場合

斜視が原因の場合

左右の目がまっすぐ向かない斜視の状態が続く場合、眼鏡にプリズムという特殊なレンズを組み込むことが有用です。目が内に寄る内斜視、外れてしまう外斜視、上下にずれる上下斜視どのタイプの斜視でもプリズムレンズで眼位が改善される可能性があります。
しかし眼鏡に組み込めるプリズム度数は限度があり、その度数を越えるような斜視の場合は眼鏡で治療せず、外眼筋の位置を移動させてまっすぐ向かせるような斜視手術を行うことがあります。

左右の視力の差が原因の場合

左右の視力差によって生じる不等像視は、眼鏡で無理に矯正すると余計に不等像視が明確になってしまいます。眼鏡ではなくコンタクトレンズで矯正すると不等像視が緩和され、眼精疲労が軽減されます。

ドライアイ、白内障、緑内障などの眼病が原因の場合

いずれの眼病も眼科専門医で検査と治療を受けることをお薦めします。
ドライアイの場合は意識的にまばたきをすること、点眼薬を使用し常に目の潤いを保つことが大切です。職場や学校の席で空調の風が直接顔に当たる場合も、目が乾きやすくなるので注意が必要です。目薬で改善されない場合は、涙の通り道である涙道の処置を行うこともあります。
白内障の場合、程度によっては手術治療が眼精疲労の治療ともなります。
緑内障の場合はまず眼圧を下げるという治療が最優先です。進行度合いによって点眼治療かレーザー治療か手術治療か変わります。

ストレスが原因の場合

ストレスが原因の場合

十分な睡眠時間を確保したり、休日は一日中趣味に没頭したり、ストレスを溜め込まずに発散することで自然に症状が緩和されることもあります。

眼精疲労の予防

眼精疲労の予防の一番は目に負担をかけないようにすることです。ゲーム機やスマートフォンの普及により若年でも眼精疲労を生じる人が増加しています。眼精疲労にならないようにするために、次の内容を意識してみましょう。

VDT作業時、休憩をとる

VDT作業中、集中しているとあっという間に時間が過ぎてしまいます。ふと目の疲れを感じたとき、それと同時に肩こりや首の痛みを感じてしまうこともあるでしょう。意識的に休憩を取り入れることが大切です。1時間作業したら10分程度休む、遠くを眺めるといった対策を講じる必要があります。

姿勢を正す

VDT作業時、自分に合った高さの椅子や机で作業していますか?ディスプレイの距離は近すぎたり遠すぎたりしていませんか?姿勢が悪い状態で作業を続けると目や身体に疲労が溜まります。猫背になっていないか、足を組んでいないかと常に良い姿勢であることを意識しましょう。長時間座っている人は休憩時に散歩してストレス発散することも有効です。

眼鏡、コンタクトレンズは度数の合ったものを使用する

眼鏡、コンタクトレンズは度数の合ったものを使用する

眼鏡は現在プラスチックレンズが主流となっており、プラスチックレンズの寿命は約2、3年と言われています。しかし使用頻度や傷、汚れで経年劣化していき、2年持たずに変色してしまうこともあります。毎日使用する眼鏡のメンテナンスとして、時々見えにくくなってないかの確認をしましょう。
VDT作業中はどうしてもまばたきの回数が減ってしまうため眼精疲労予防にはコンタクトレンズより眼鏡がおすすめです。使用ニーズに合わせて、遠近両用レンズや近々両用レンズなどを活用し、作業距離に合わせて眼鏡の掛け替えや度数の調整をすることが大切です。

あなたは大丈夫?
眼病セルフチェック

長時間のデスクワークや読書などで目の酷使を続けると、目の疲労が溜まっていき疲れ目となります。疲れ目が続くと肩こりや吐き気など目の不調だけでなく全身の不調も現れます。下記の項目を確認し、眼精疲労のセルフチェックをしてみましょう。

  • 1日の中で長時間パソコンやスマートフォンを使用している
  • 目の奥に重い痛みがある
  • ストレスを感じている
  • 夕方になると目がかすむ
  • 目の乾きがあり目薬を点すことが増えた
  • 首の付け根や肩こりがひどい
  • まぶたがぴくぴく痙攣する
  • 目が充血している
  • 睡眠時間が少ない
  • 頭痛があり、ひどい時は吐き気を催すことがある

チェックの数が多ければ多いほど眼精疲労を疑い、早期の治療が必要です。自分の体調と向き合い、無理せず休息を取ったり目薬を点眼したり、肩や首のマッサージをしたり様々なケアをしていくことが大切です。ビタミンA、B1、B2、Cなども眼精疲労の改善に役立つ栄養素とも言われています。睡眠などでしっかりとストレスを発散し、健康に良い栄養素の摂取をするように心がけましょう。

気になることがあるなら病院へ

私たちは起きている間、目を開けていれば無意識に目を使い続けています。足や手が疲れたら動かさなければ疲労は改善されますが、目はそうはいきません。常に頑張っている目を酷使したら疲れ目になるのは当然のことです。
忙しさを理由に疲れ目を我慢して、眼精疲労に悪化させてしまうことは大変危険です。まずは一日一日しっかり休息を取り、疲れを翌日に残さないようなケアが大切です。それでも目の疲れが長期間改善されない場合、眼精疲労以外の病気が隠れているかもしれません。一度眼科を受診して精査してみましょう。

参考文献

厚生労働省ホームページ 平成20年技術革新と労働に関する実態調査

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/saigai/anzen/08/index.html

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