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最近、目の焦点が合わないと感じることはありませんか?
現代人はスマホやパソコンを長時間使い、目が疲れている人が増えています。目の焦点が合わない原因は単なる疲れ目だけでなく、メガネの度数が合っていない、目の病気など様々で、放置すると視力低下や失明につながる可能性もあるため注意が必要です。
この記事では、目の焦点が合わない原因や、考えられる病気、そして日常生活でできる対処法について詳しく解説します。
目の焦点が合わない原因
目の焦点が合わない原因には、主に以下のようなものがあります。
- 眼精疲労
- 調節異常(老眼)
- 屈折異常、不適切な矯正
まずは、それぞれの原因について詳しく見てみましょう。
眼精疲労
現代社会では、スマートフォンやパソコンを長時間使う傾向にあり、多くの人が眼精疲労に悩まされています。
眼精疲労とは、目を酷使した結果、目に疲労が溜まり、目を休めたり睡眠を十分にとったりしても症状が回復しない状態のことを指します。症状としては、目の焦点が合わない、視界がぼやける、目の乾きや痛みといった目の症状だけでなく、頭痛、肩こり、吐き気など、全身に症状が現れることもあります。
眼精疲労の原因は多岐にわたり、長時間画面を見続けることや不適切な照明環境、乾燥した空気、そして眼の病気などが代表的です。
眼精疲労を放置すると、視力低下やドライアイ、頭痛、肩こりなどの症状が慢性化し、日常生活に支障をきたす可能性があります。気になる症状がある時はなるべく目を休め、症状が続いたり悪化したりする場合は、眼科受診も検討しましょう。
調節異常(老眼)
老眼とは、加齢によって目の焦点を合わせる力が弱まり、近くのものが見えにくくなる「調節異常」の一種です。私たちの目は、見たいものにピントを合わせるため、カメラのレンズにあたる「水晶体」という部分を調整しています。
老眼は、年齢を重ねるにつれて水晶体が硬くなり、近くのものにピントを合わせるのが難しくなることで発症します。
老眼の症状は一般的に40代頃から始まり、徐々に進行します。近くのものが見えにくいだけでなく、細かい文字を読むのがつらい、目が疲れやすいといった症状が現れることがあります。
老眼を放置すると、眼精疲労がひどくなり、頭痛や肩こりなどの症状を引き起こす可能性があります。老眼鏡や遠近両用コンタクトレンズを使うことで、これらの症状を矯正できます。気になる症状がある場合は、眼科で検査を受けましょう。
屈折異常・不適切な矯正
焦点が合わない状態を、医学的には「屈折異常」と呼び、代表的なものには近視、遠視、乱視などがあります。
私たちの目は、目に入った光に対して網膜の上でピントを合わせることで、見たいものをクリアに認識することができています。しかし、様々な原因によって、網膜上でピントがうまく合わない状態になってしまうことがあり、これを屈折異常と呼びます。
屈折異常によって焦点が合わない場合は、メガネやコンタクトレンズで視力を矯正する必要があります。視界がぼやけるなど、視力に違和感がある時は早めに眼科を受診し、適切な検査や治療を受けるのがおすすめです。
また、度数が合っていないメガネやコンタクトレンズを使うと、ピントが合わずに視界がぼやけてしまいます。目の負担が増して、眼精疲労を含め、目の病気の原因になることもあるため、メガネやコンタクトレンズを使用している方は、定期的に眼科を受診し、度数が合っているかどうかをチェックすることが大切です。
ストレス
心身の疲れや睡眠不足などのストレスによって自律神経が乱れると、目の血行が悪くなり、焦点を合わせることができずに視界がぼやけることがあります。
このような状態の時は、こまめに休憩をとる、きちんと睡眠時間を確保するなど、ストレスを溜めない生活が重要です。症状が続く場合には、ドライアイや薬の副作用など、ほかの原因が考えられる場合もあります。眼科を受診し、目の病気など隠れている原因がないか、検査を受けることをおすすめします。
目の焦点と自律神経の
関係性とは
目の焦点合わせは、「自律神経」という体の機能を調整する神経のはたらきに大きく左右されています。
自律神経には、体を活動モードにする「交感神経」と、リラックスモードにする「副交感神経」の2種類があります。基本的には、仕事や運動など活発に活動している時には交感神経が、就寝時や休息時などリラックスしている時には副交感神経が強く作用します。
目に関しては、近くのものを見る時に必要な毛様体筋が副交感神経の命令によって収縮し、ピントを合わせる仕組みです。
しかし、現代人はパソコンやスマートフォンなど近い位置にある画面を長時間見ることが多く、目ではリラックスモードの副交感神経が働いているにも関わらず、体は活動モードの交感神経が働いているという状態が続くことがあります。
例えば、パソコン作業中は、目では近くの文字にピントを合わせているため副交感神経が優位になっていますが、集中して作業をしているため体は緊張状態にあり、交感神経が優位になっています。このような矛盾した状態が長時間続くと、自律神経のバランスが崩れ、眼精疲労などの不調につながる可能性があると考えられています。
目の焦点が合わない場合に
考えられる病気
目の病気が原因で、目の焦点が合わなくなる場合もあります。焦点が合わない疾患は、片目では矯正視力が1.2など良好にも関わらず、調節の異常でピントが合わずに視力が出ない病気です。病気の種類によっては、放置することで視力低下や失明につながる可能性もあるため、注意が必要です。
仮性近視
目の焦点が一時的に合わない場合、仮性近視を発症している可能性があります。
仮性近視とは、一時的に遠くのものが見えにくくなる状態を指します。長時間のスマホやタブレットの使用、本を近い距離で長時間読んだりすることで、目のピントを合わせるために働く筋肉(毛様体筋)が緊張しっぱなしになります。この状態が続くと、水晶体というレンズのはたらきをする部分が、厚くなったままの状態になり、遠くのものが見えにくくなってしまうのです。
特に成長期の子供は、目の筋肉がまだ発達途上にあるため、大人のように柔軟に調節することができません。そのため、長時間近くのものを見続けると、簡単に疲労してしまい、仮性近視になりやすいとされています。
仮性近視は、生活習慣の見直しや適切な治療によって、視力の回復が期待できます。仮性近視を疑う症状がある場合は、早めに眼科を受診しましょう。
斜視
斜視が原因で、目の焦点が合わなくなる場合があります。
斜視とは、左右の目がそれぞれ違う方向を向いている状態のことです。通常、私たちは両目を使って立体的にものを見ていますが、両目でものを見にくい斜視の状態では、ものが二重に見えたり、奥行き感が分からなくなったりすることがあります。
斜視には、目が内側に向く「内斜視」や、外側に向く「外斜視」、上下にずれる「上下斜視」など、様々な種類があります。
特に、子供に起こる斜視は、視力が発達する時期に起こるため、両目で物を見る能力が育ちにくくなったり、弱視になったりする可能性があり注意が必要です。
斜視は早めの治療が大切です。「最近、子供の目がいつもとは違う方向を向いているような気がする」と感じたら、早めに眼科を受診しましょう。
また、大人が突然斜視になる場合は、糖尿病や脳の病気などが原因になっていることがあります。こちらも、早めの受診が必要になるため注意しましょう。
目の焦点調節機能を
悪くする習慣
目の焦点調節機能を悪くする習慣として、以下のようなものが知られています。
- 画面を長時間見る
パソコン、スマートフォン、タブレットなどの液晶画面を長時間見ることで、目のピント調節機能に負担がかかり、目の疲れを引き起こします。
- 暗い場所で画面を見る
暗い場所で明るい画面を見ると、目の焦点調節機能がうまく働かず、目が疲れやすくなります。
- 不適切な姿勢での作業
猫背や首を傾けた姿勢で長時間作業をすると、目のピントが一定の距離で固定され続けます。目の筋肉に負担がかかり、肩こりや頭痛を引き起こす可能性があります。
目の健康を守るためにも、思い当たる習慣のある方は改善していきましょう。
若者に老眼のような症状が
増加している理由
近年若者を中心に、見たいものに焦点が合わないなど老眼のような症状を訴える人が増えています。この症状は、スマートフォンやタブレットといったデジタル機器を長時間利用することで、目のピント調節機能が低下し、近くのものにピントが合わせにくくなることが原因で起こり、「スマホ老眼」と呼ばれています。
スマートフォンやタブレットの画面は非常に小さく文字も細かいものが多いため、長時間の使用で目が常に近くのものにピントを合わせ続けることになります。この状態が続くと、目の筋肉が疲労してピント調節機能が低下し、スマホ老眼を発症するとされています。
目の焦点が合わない時の
対処方法
続いては、目の焦点が合わない時の対処方法を解説します。軽い目の疲れであればセルフケアで改善できる場合もあるため、目の焦点が合わずに困った時は試してみてはいかがでしょうか。
目を休める
スマートフォンやパソコンの画面など、近くのものばかりを見ていると、目のピントを合わせるはたらきをする毛様体筋が長時間緊張し続け、目の焦点が合わなくなってしまいます。
毛様体筋の緊張をほぐし、目の疲れを解消するためにも、こまめに遠くを見る時間を取り入れることが大切です。1時間に一度、2~3分間、遠くの景色をぼんやりと眺めるだけでも、毛様体筋がリラックスし、目の疲れを軽減する効果があります。
まばたきを意識する
まばたきは目を潤し、疲れを予防する大切な役割を果たします。目の焦点が合いにくい時は、意識的にまばたきの回数を増やすようにしましょう。パソコンやスマートフォンを使用している間は、特にまばたきが少なくなりがちです。タイマーなどを活用して、意識的にまばたきをするようにすると疲労回復やドライアイに効果的です。
目薬を使う
市販の目薬には様々な有効成分が含まれており、それぞれ効果のある症状が異なります。目の焦点が合いにくい時には、「ネオスチグミンメチル硫酸塩」が配合された目薬がおすすめです。
ネオスチグミンメチル硫酸塩は、目のピント調節機能を改善する成分として知られています。目のピント調節には、水晶体の周りの毛様体筋が重要な役割を果たしますが、ネオスチグミンメチル硫酸塩は、毛様体筋のはたらきをサポートし、目のピント調節をスムーズにする効果が期待できます。
目薬は、用法・用量を守って使用することが大切です。また、目薬をしばらく使用しても症状が改善しない場合は、自己判断で継続せず、眼科を受診しましょう。
注意が必要な症状
目の焦点が合わなくなり、次のような症状が同時に現れた場合は、脳出血や脳梗塞などの重篤な病気が疑われます。このような症状が出た際は、一刻も早く医療機関を受診してください。
- 殴られたような激しい頭痛
- めまい
- うまく歩けない
- 物につまずいてしまう
- ろれつが回らず、話しにくい
- 言葉が理解できない
- 手足に力が入らない
- 片足を引きずる
- 体の片側が痺れる
- 急にぼーっとする
これらの症状は、脳の血管がつまったり破れたりすることで起こるもので、治療が遅れると体に麻痺や言語障害などの後遺症が残る可能性があります。これらの症状に心当たりのある場合は、決して自己判断せず、すぐに医療機関を受診してください。
まとめ
目の焦点が合わない原因と、その対処法について詳しく解説しました。
目の焦点が合わない原因は、眼精疲労や老眼、屈折異常といった一般的なものから、仮性近視、斜視などの病気まで様々です。また、スマートフォンやパソコンを長時間使用する現代人の生活習慣は、目の健康に悪影響を与えやすいとされています。
目の焦点が合わない状態を放置すると、その原因によっては、日常生活に影響を与えてしまうため、注意が必要です。不調を感じたら早めに眼科を受診し、目の健康を守りましょう。