目の悩み
最終更新日:2025.07.31

目の周りが痛い原因は?考えられる疾患や対処法を紹介

目の周りが痛い原因は?考えられる疾患や対処法を紹介

目次

最近、目の周りがズキズキしたり、まばたきするたびに違和感を覚えたりすることはありませんか?目の周りに痛みを感じると、日常生活にも大きな支障が出てしまいます。原因がはっきりしないと、どう対処すれば良いのか悩んでしまう方も多いでしょう。

そんな目の周囲の痛みには、様々な要因や疾患が関わっている可能性があります。放置しておくと症状が悪化してしまうケースもあるため、早期に原因を見極めることが大切です。

今回は、目の周りに痛みを感じる原因や考えられる疾患、その対処法について詳しくご紹介します。適切に対応するための参考として、ぜひご覧ください。

目の痛みには目の表面の痛みと目の奥の痛みがある

目の痛みと一口にいっても、その部位や痛みの種類は様々です。特に目の痛みは、大きく「目の表面が痛む場合」と「目の奥が痛む場合」の2種類に分けられます。

目の表面の痛みは、乾燥や異物混入、結膜炎などが原因になることが多く、目の充血や目やに、まばたきの違和感などを伴います。

一方、目の奥に感じる痛みは、視神経や眼球の奥の組織が関係していることがあり、頭痛を伴うことや、眼精疲労、緑内障などが原因になることもあります。

それぞれの痛みによって対処法が異なるため、まずは自分の痛みがどこから来ているのかを見極めることが大切です。

目の表面が痛い場合の疾患

目の表面が痛む場合には、目の充血や目やに、まばたきの違和感などを伴いやすく、目の外側の組織に異常があることが多いとされています。続いては、目の表面に痛みが出ることのある代表的な疾患をいくつかご紹介します。

結膜炎

結膜炎の原因

結膜炎は、目の白目部分を覆う結膜に炎症が起こる病気で、原因としてウイルスや細菌、アレルギーなどがあげられます。感染性のウイルス性結膜炎は、プール熱(咽頭結膜熱)などの形で集団感染することがあり、特に子供に多く見られます。一方、アレルギー性結膜炎の多くは季節性で、花粉やダニなどのアレルゲンが原因です。

症状としては、目の充血や目やに、まばたきをした時の痛み、異物感、痒みなどがあり、目を開けるのもつらい状態になることがあります。

治療法は原因に応じて異なり、細菌性結膜炎では抗菌薬の点眼、ウイルス性では対症療法、アレルギー性では抗アレルギー薬やステロイド点眼薬が使われることもあります。正確な診断と適切な治療のために、早めに眼科を受診しましょう。

角膜びらん

角膜びらんのイメージ

角膜びらんは、角膜の最も外側にある上皮が剥がれたり傷ついた状態のことで、鋭い痛みを伴うことがあります。

主な原因は、外傷、コンタクトレンズの長時間使用、目を強く擦る、異物混入など外からの刺激です。また、ドライアイやまぶたの構造異常によっても起こることがあります。

症状には痛みのほか、目の異物感、充血、涙が止まらない、光に対する眩しさなどが見られます。

治療としては、抗菌薬の点眼や眼軟膏を使い、感染予防と角膜の保護を行います。重症例では治癒を促すためにコンタクトレンズの一種である治療用ソフトレンズを装着することもあります。目に強い痛みを感じた場合は、すぐに医師の診察を受けてください。

ドライアイ

ドライアイで目を抑える女性

ドライアイは、涙の分泌量が不足したり、涙の質が低下することで、目の表面が乾燥してしまう状態です。まばたきの回数が減ることで涙が蒸発しやすくなり、長時間の画面作業やコンタクトレンズ装着、加齢、空調による乾燥などが主な原因とされています。マツエクやまつ毛パーマ、まぶたのタトゥーが原因でまつ毛の根もと近くにあるマイボーム腺の障害により角膜や結膜に炎症が出ることがあります。
逆まつ毛やまぶたの裏に体内から生じる石状の老廃物である結膜結石が眼球に接触することで、痛みが出ることもあります。

主な症状としては、目の乾き、ゴロゴロ感、充血、痛み、目の疲れ、視界のかすみなどがあげられます。ひどい場合には角膜に傷がついて炎症を起こすこともあり、放置することで慢性化や視力低下の原因になることがあります。

自分でできる対策としては、人工涙液の点眼、加湿器の使用、こまめなまばたき、パソコン使用時の画面調整などが有効です。症状が改善しない場合は眼科での診察を受け、専門的な治療を検討することもあります。気になる症状が続く場合は、早めに医師の診察を受けましょう。

コンタクトレンズの破損

コンタクトレンズを日常的に装用している方は、レンズの破損や異常が原因で目の表面に痛みを感じることがあります。特にハードレンズやソフトレンズを長時間使用した際には、レンズの傷やひび割れ、変形が起こりやすく、それが角膜や結膜を刺激して痛みや違和感、異物感を引き起こします。

破損に気づかずに装用を続けた場合、角膜びらんや感染症のリスクが高まり、痛みだけでなく赤みや目やに、視力の低下などの重い症状が見られることもあります。

このようなトラブルを防ぐためには、レンズを装用する前に破損や汚れがないか毎回確認し、異常を感じた場合はすぐに使用を中止することが大切です。使い捨てレンズであっても、清潔な手で扱い、保存液やケースの衛生管理を徹底することが目の健康を守ります。

異物混入

目にまつ毛やほこりなどの異物が入ることで、角膜や結膜が刺激されて痛みや赤み、異物感が生じることがあります。まばたきによって異物が角膜表面を傷つけると、さらに強い痛みが現れることがあります。

異物が入った際には、目をこすらないようにして、清潔な流水や人工涙液などで優しく洗い流すことが重要です。ただし、異物が見えない・とれない、あるいは痛みが残る場合は、角膜に傷がついている可能性があるため、早めに眼科を受診してください。

なかでも、金属片や薬品などが入った場合は緊急対応が必要です。異物の種類によっては深刻な角膜損傷を引き起こすおそれがあるため、自己判断は禁物です。また、これらを扱う作業時には保護メガネなどで異物混入を防ぐことも、予防策として効果的です。

まぶたが痛い場合の疾患

まぶたに痛みが生じる場合には、炎症や感染、腫れなどが関係していることが多いとされています。ここでは、まぶたに痛みを引き起こす代表的な疾患をご紹介します。

ものもらい(麦粒腫)

ものもらいのイメージ

ものもらいは麦粒腫とも呼ばれ、まぶたのふちにある皮脂腺に細菌が感染して炎症を起こす疾患です。

まぶたの一部が赤く腫れ、押すと痛みがあり、しこりや膿が溜まることもあります。目の疲労や不衛生なコンタクトレンズの使用、免疫力の低下が原因になります。

初期には軽い違和感やチクチクした感覚があり、徐々に痛みが強くなります。まばたきをした時の痛みや腫れによって視界が妨げられることもあります。自然に膿が出て治ることもありますが、症状が強い場合には、医師の指導のもと抗菌薬の点眼や内服薬が必要です。目元を清潔に保ち、アイメイクやコンタクトレンズの使用を中止することが回復を早めます。

霰粒腫(さんりゅうしゅ)

霰粒腫のイメージ

霰粒腫は、まぶたの内部にあるマイボーム腺が詰まり、慢性的に腫れが生じる疾患です。

ものもらいとは異なり、感染が主な原因ではないため、炎症や痛みは比較的少ない傾向がありますが、大きくなるとまぶたの圧迫感や軽度の痛みを伴うことがあります。

触ると、硬く感じる痛みのない「しこり」が特徴で、視界に影響する場合もあります。初期のうちは自然に吸収されることもありますが、改善しない場合は眼科での治療が必要となることがあるため注意が必要です。

衛生管理を徹底し、目元を清潔に保つことが予防につながります。アイメイクの残りやコンタクトレンズの長時間装着を避け、定期的にまぶたを温めるのも効果的です。

目・目の奥・目の周りが
痛い場合の疾患

目の奥や目の周囲に痛みがある場合は、視神経や周りの組織、あるいは頭部の疾患が痛みに関係している可能性があります。

ここでは、目の奥や目の周囲に痛みを引き起こす代表的な疾患をご紹介します。

眼精疲労

眼精疲労は、目を長時間使うことによって目の機能が一時的に低下し、痛みや違和感、視力の低下を引き起こす状態のことです。パソコンやスマートフォンなどのディスプレイを長時間見続けるデジタルワークが増えた現代では、非常に多くの方が眼精疲労を訴えています。

症状には、目の奥の重だるさや痛み、充血、視界のかすみ、目の乾きに加え、頭痛や肩こり、集中力の低下などの全身症状を伴うことがあります。まばたきの減少や姿勢の悪さ、睡眠不足も眼精疲労を悪化させる原因です。

対策としては、1時間に1回程度の休憩をとり、遠くを見て目をリラックスさせること・作業環境の明るさやディスプレイの位置を調整すること・まばたきを意識的に行うことなどがあげられます。目の疲労が長引く場合や症状が強い場合には、眼科での検査や、点眼薬・内服薬による治療が必要です。

副鼻腔炎

副鼻腔炎のイメージ

副鼻腔炎とは、鼻の周囲にある副鼻腔と呼ばれる空洞部分に炎症が起こる病気で、蓄膿症とも呼ばれます。

この炎症が目の奥や目の周囲の骨に広がると、圧迫感や鈍い痛みを引き起こします。風邪や花粉症の後に発症することも多く、慢性化しやすいのが特徴です。

目の痛みだけでなく、鼻づまり、黄色い鼻水、せき、発熱などの症状を伴うことがあり、頭全体が重たく感じられることもあります。特に頬や額のあたりに痛みや圧迫感がある場合、副鼻腔炎の可能性が高まります。

治療には、抗菌薬や去痰薬(きょたんやく)、抗炎症薬などの内服薬が使われます。アレルギーが原因の場合は抗アレルギー薬も併用されます。慢性副鼻腔炎では手術による治療が行われるケースもあります。目の奥の痛みと合わせて鼻の症状が見られる場合は、耳鼻科で診察を受けましょう。

三叉神経痛(さんさしんけいつう)

三叉神経痛は、顔の感覚を司る三叉神経に沿って突然鋭い痛みが走る疾患で、目の周囲にもその症状が現れることがあります。痛みは瞬間的で、電気が走るような鋭さをもち、片側の目の下、頬、あご、こめかみなどに強く感じられます。食事や洗顔、歯磨き、風にあたるといった何気ない刺激が発作の引き金になることもあり、発作は数秒から数十秒続き、1日に何度も繰り返されることがあります。

原因としては、血管が神経を圧迫している場合や、脳の腫瘍・血管奇形などによる場合もあります。治療は内服薬を中心に行い、効果が乏しい場合は神経ブロックや手術も検討されます。該当する痛みが目の周囲にある場合は、神経内科の受診を検討しましょう。

群発頭痛

群発頭痛は、目の奥に強烈な痛みを引き起こすことが特徴の頭痛で、特に成人男性に多く見られます。目の奥をえぐられるような、あるいは刺すような激しい痛みが片側に集中して現れ、発作は1日に1~数回、数週間から数ヶ月の間に集中的に起こります。

痛みの発作は決まった時間帯に起こることが多く、寝ている間に発症する例も少なくありません。痛みと同時に目の充血、涙、鼻水、まぶたの腫れなどの症状を伴うこともあります。群発頭痛は「自殺頭痛」と呼ばれるほどの激しい痛みにより、生活の質に大きな影響を与える病気です。

原因はまだ完全には解明されていませんが、飲酒や喫煙が発作の引き金となる場合もあり、発作が出やすい時期にはこれらを避けることが推奨されています。

専門医による診断と治療が不可欠な疾患のため、目の奥に規則的で強い痛みを感じた場合は、速やかに神経内科や頭痛外来を受診してください。

急性緑内障発作

緑内障のイメージ

急性緑内障発作は、眼圧(眼の内部の圧力)が急激に上昇することによって生じる目の病気で、突然の激しい目の痛みや頭痛、視力の低下を引き起こします。目の奥に強い圧迫感を感じたり、目の周りやこめかみにかけて強い痛みが現れるのが特徴です。目が赤く充血し、目やにが増え、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。

この痛みは、閉塞隅角緑内障と呼ばれるタイプの緑内障で起こることが多く、虹彩と水晶体の間の房水の流れが滞ることで眼圧が上昇します。

急性緑内障発作は、早期に治療しないと視神経が損傷し、失明に至る可能性があります。緊急対応が必要な疾患の一つのため、該当する痛みがある場合は直ちに眼科を受診しましょう。

目が痛くなるのを予防する方法

目の痛みを予防するためには、生活習慣の見直しと日常的なケアが欠かせません。

まず、デジタル機器の使用時間を調整することが重要です。長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用は、まばたきの回数を減らし、ドライアイや眼精疲労の原因になります。1時間に1回は意識的に遠くを見て目を休ませましょう。また、ディスプレイの明るさや文字サイズを調整することも、目への負担軽減につながります。

さらに、まばたきを意識的に行うことも目の乾燥予防になります。特に、コンタクトレンズを装着している方は、装着時間を守り、乾燥対策を徹底しましょう。

加えて、加湿器を使用する・エアコンの風が直接目に当たらないようにする・花粉やハウスダスト対策として室内を清潔に保つことも効果的です。目に違和感がある時にはこすらず、必要に応じて目元を冷やす・温めるなどの対処を心がけましょう。

そして何より、定期的に眼科を受診して、自覚症状がない段階でも目の健康状態を確認しておくことが予防の第一歩となります。

目の周りの骨が痛む時は
どうすればいい?

目の周囲の骨に痛みを感じる場合、副鼻腔炎や神経痛、外傷などの可能性が考えられます。

痛みが持続する、押すと痛い、目の動きに伴って痛みが強くなる場合は、単なる目の疲れや炎症ではないことがあります。まずは安静を保ち、痛い部分を冷やすなどの応急処置を行いましょう。ただし、症状が改善しない場合は早めに耳鼻科や眼科を受診し、必要であればレントゲンなどの画像検査を受けることが重要です。

目の周りが痛い時は
何科を受診すればいい?

目の痛みの原因が分からない場合、まずは眼科を受診するのが基本です。特に視力の低下や充血、目やに、見え方の異常がある場合は眼科を受診しましょう。

一方で、目の奥や周囲の痛みが強く、鼻づまりや頭痛を伴う場合には耳鼻科、神経痛の可能性がある場合には神経内科や脳神経外科の受診も検討してください。

目の痛みを医師に伝える時のコツ

医師に症状を伝える際は、「いつから」「どのような時に」「どこが」「どのように」痛むかを具体的に説明することが重要です。

例えば、「片側の目の奥が朝からズキズキ痛む」「まばたきをすると痛い」「目やにが出て赤くなっている」など、客観的な情報を伝えることで正確な診断につながります。可能であれば、症状が出た時の写真や、痛みの強さを0~10(無痛~想像しうる最大の痛み)のスケールで伝えられると、より具体的な診療に役立ちます。

市販薬を使用する場合

市販薬で目の痛みを一時的に緩和することは可能ですが、使用にあたってはいくつか注意点があります。市販薬の使用を検討する場合は、事前によく確認しておきましょう。

使用する時の注意点

市販の目薬は、症状に応じて使い分けが必要です。ドライアイ用やアレルギー用、抗菌成分入りなど様々な種類があるため、パッケージをよく確認して自分の症状に合った商品を選びましょう。

また、自己判断で使用し続けることで症状が悪化したり、別の病気を見逃す恐れもあります。3日以上使用しても症状が改善しない場合は、速やかに医師の診察を受けてください。

副作用

市販の目薬にも副作用があります。例えば、防腐剤の入った目薬を長期間使用すると、角膜や結膜にダメージを与える可能性があります。また、血管収縮剤が含まれる目薬は一時的に充血をおさえる効果がありますが、使い続けることにより、かえって目の赤みや乾燥が悪化するケースも見られます。

使用がNGな人とは

妊娠中や授乳中の方、小児、高齢者、持病がある方は、市販薬の使用に制限がある場合があります。パッケージの表示をよく見て、自分の状況が「してはいけないこと」や「相談すること」に当てはまらないことを確認しましょう。

特に、緑内障をわずらっている方は一部の市販薬が症状を悪化させることがあるため、使用前に必ず医師または薬剤師に相談してください。

まとめ

今回は、目の周りが痛い時に考えられる原因や疾患、対処法や予防方法について詳しくご紹介しました。

目の痛みは、表面の軽い炎症から、骨や神経に関連する深刻な疾患まで多岐にわたります。見た目の症状だけでは原因を特定しにくいことも多く、正しい知識と早めの対応が重要です。目の奥がズキズキ痛む場合や、まぶたが腫れて赤い時、あるいは骨が押して痛いようなケースにおいても、慌てず落ち着いて対応することが大切です。

ぜひ本記事の内容を参考に、普段から目の健康を意識してケアを心がけましょう。違和感を感じた時は無理をせず、早めに眼科や専門医を受診することをおすすめします。

監修者プロフィール

原 修哉

原眼科クリニック 院長

HP:https://www.haraganka.jp/

名古屋大学医学部卒業後、名古屋市の中京病院へ入局し13年勤務。その期間中に、ハイデルベルク大学(ドイツ)へ留学。
大雄会第一病院 診療部長として7年の勤務を通じて、地域の重症例、難疾患、専門性の高い疾患などの医療に携わり、白内障手術、緑内障手術、角膜移植、屈折矯正手術、結膜手術など10,000件以上執刀。
現在は、原眼科クリニックを開業し、地域住民のかかりつけ医として地域医療にも貢献している。

【所属学会】
日本眼科学会 専門医 / 日本眼科手術学会 / 日本緑内障学会 / 日本角膜学会

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