目の病気
2021.10.07

緑内障とは?原因・症状・治療・予防方法等をご紹介

目次

緑内障は徐々に視野が狭くなる眼の病気です。緑内障の怖いところは、進行するまで自覚症状があまりなく、気づいた時には病状が悪化し、失明につながる可能性もあるという点です。日本では、40歳以上の約20人に1人が緑内障だともいわれており、珍しい病気ではありません。
今回は緑内障がどのような病気なのか、その種類と原因、症状や治療法について解説します。

緑内障とは

緑内障とは見え方の変化

目の奥には視神経があり、目で見た情報を脳に伝える重要な役割を担っています。緑内障とは、その視神経が何らかの原因で影響を受け、見える範囲が狭くなっていく病気のことをいいます。
視神経は、およそ120万本の束になっていますが、年齢と共に徐々に減っていくものの、通常はそのスピードは遅く、目の見え方に異常は出ません。ところが、緑内障になると、視神経繊維の減るスピードが早く、視野が狭くなり日常生活にも支障をきたすようになるのです。
冒頭でも述べたように緑内障は、自覚症状がはっきりぜず徐々に症状が進行するため、気づかず放置することで失明につながる可能性のある病気でもあります。

緑内障の原因

緑内障の原因には、眼圧が高いことが挙げられます。眼圧とは目の硬さで、硬くなりすぎると、視神経を圧迫して障害が起きやすくなります。

目の中には「房水」と呼ばれる液体が流れています。房水は、目を球状に保ち、角膜・水晶体・硝子体などの組織に栄養を与えて、老廃物を除去するという役割を担っています。房水は、遠近のピントを合わせる「毛様体」で作られており、角膜と虹彩の根元にある「隅角」から排出されています。正常な眼内では、房水が常にスムーズに循環しており「眼圧」が一定に保たれています。房水の流れが何らかの原因で滞り、眼圧が高い状態が続くと、目の奥にある視神経に影響をおよぼし、緑内障の原因になります。眼圧の正常値は10mmHg〜20mmHgとされており、20mmHgを超える眼圧が続くことで視神経が障害される可能性が高くなります。

緑内障の種類とその原因

緑内障の種類には代表的なものとして「閉塞隅角緑内障」「開放隅角緑内障」「正常眼圧緑内障」の3種類があります。

閉塞隅角緑内障

閉塞隅角緑内障は、房水の出口である隅角が狭くなり眼圧が上昇することが原因で発症します。

開放隅角緑内障

開放隅角緑内障は、隅角にある「繊維柱帯」が目詰まりを起こすことで、房水の流れに障害が起き眼圧が上昇することが原因で発症します。

正常眼圧緑内障

緑内障には上記の2種類の他に、眼圧が正常範囲内の値であっても緑内障を発症する「正常眼圧緑内障」というものもあります。正常眼圧緑内障とは、眼圧は正常範囲内であっても、その人の目にとって許容範囲を超える高さの眼圧によって視神経が障害されることで発症する緑内障のことです。
日本人が発症する緑内障では、正常眼圧緑内障が最も多いといわれています。正常眼圧緑内障の原因としては「視神経が弱いなどの遺伝的要因」や「視神経の血液循環が悪くなっている」など、眼圧以外のこともあると考えられていますが、その原因は明確には分かっていません。

緑内障の症状

緑内障の典型的な症状として、視野の一部が見えなくなる「視野欠損」があります。この視野欠損という症状は、病状がかなり進行するまで自覚症状が出ません。なぜなら、人は普段両目を使ってものを見ているため、片方の視野に異常が起こっていたとしても、もう片方の目でその異常をカバーすることができるので、視野の異常に気づかないことが多いからです。そのため緑内障は、治療が遅れると失明につながることもあります。

開放隅角緑内障や正常眼圧緑内障は、激しい症状がなく徐々に視野の異常が進行するため、病状が進行していることに気づきにくいのです。このような事態に陥らないために、定期的に眼科検診を受け、早期発見・早期治療を心がけることが大切といえるでしょう。

反対に閉塞隅角緑内障は激しい症状を伴います。そのため「急性緑内障」とも呼ばれています。具体的な症状としては、頭痛・眼痛・吐き気・目の充血などがあげられます。これらの症状は、房水の出口が狭くなることや隅角が目詰まりを起こすことによって、房水に排出が滞り房水の逃げ場がなくなるため、眼圧が急激に上昇して起こります。このような症状が起こった場合は、放置すると失明につながることもあるため、すぐに眼科を受診して、適切な処置をしてもらう必要があります。

緑内障の検査

緑内障を早期発見するためには、眼科での検査を行う必要があります。一般的な緑内障の検査としては、眼圧検査・眼底検査・視野検査があります。

眼圧検査

眼圧検査では、眼圧測定機器から発射される空気を眼に当てることで、眼球が適切な弾力を保っているかを計測します。

眼底検査

眼底検査では、瞳孔を開く効果のある点眼薬を使用し眼底の観察をします。検査の際に網膜の血管や神経の状態、緑内障や網膜疾患、眼底出血などの病気がないかを診察します。眼圧が上昇することにより視神経が障害され、視野が欠損してくると、視神経乳頭の陥凹が拡大していることがあるため、眼底検査をすることにより、そのような症状がないかを確認しています。

視野検査

視野検査では、どの部分の視野に異常があるかを調べ、実際に見えてないない範囲を計測します。視野検査は、緑内障が疑われる時には必ず行われる検査で、コンピューターが自動で計測する自動視野計と検査員が計測するゴールドマン視野計があります。

その他の検査

緑内障では、症状が進行することで視力を失う場合があるため視力検査も行います。また、眼球内の水分=房水の排出口である隅角が狭くなっていたり、塞がっていないかを調べる隅角検査、眼底を三次元で解析し、網膜の断面や視神経の厚みを測定することにより、緑内障の診断や経過観察に有効とされるOCT(光干渉断層計)検査があります。

緑内障の治療

緑内障の基本的な治療方法は、緑内障によって減ってしまった視神経繊維がこれ以上減らないように進行をくい止めることです。緑内障の治療では、症状が更に悪化しないように、眼圧をコントロールすることが有効とされています。

治療法としては、薬物療法、レーザー治療、手術があります。薬物用法で十分な効果が得られない場合は、レーザー治療や手術を行うことになりますが、その効果は半永久的に持続するとは限らず、複数回の治療が必要になる場合もあります。

点眼薬や内服薬による治療

点眼薬や内服薬による治療

緑内障では、眼圧を下げるためにまず点眼薬を使います。点眼には房水の産生を抑えるものと、房水の流出を促すものがあり、場合によって2〜3種類の点眼を併用することもあります。
また緑内障は、血流障害が悪化要因になることが知られており、血流改善を促す薬を使用したり、緑内障によって障害を受けた視神経に対して、ビタミンB12などの内服薬が処方される場合もあります。

レーザーによる治療

点眼薬を使っても十分に眼圧が下がらない場合や、視野障害が進行する場合は更に眼圧を下げる必要があり、その場合はレーザー治療を行います。
閉塞隅角緑内障の場合で発作を起こした時や、発作を起こす可能性が高い眼に対して、レーザー光線で虹彩に小さな穴を開けて、房水の流れ道を作る治療を行います。
開放隅角緑内障に対しては、房水の出口である繊維柱帯にレーザー光線を照射して、房水が外に流れ出る抵抗を減少させることにより眼圧を下げるという治療を行います。
どちらの治療も短時間で終了するため、日常生活の制限は殆どありません。

手術による治療

薬物療法やレーザー治療を行なっても、眼圧が下がらなかったり、症状が悪化する場合は手術が行われます。
手術には房水の流れを改善する流出路再建術、房水の流れ出る繊維柱帯を開く繊維柱帯切開術など術式がたくさんあり、症状に合わせて慎重に術式を選び治療を行います。

緑内障の予防

緑内障の予防

緑内障により一度障害を受けてしまった視神経は改善することはありません。今のところ、緑内障を完全に予防することはできません。そのため、緑内障に対しては、早期発見・早期治療が大切といえるでしょう。緑内障は自覚症状が出てきた時は、病状がかなり進行した時です。40歳以上の約20人に1人が緑内障を発症しているといわれているため、40歳を過ぎたら症状がなくても眼科で定期検査を受けることをお勧めします。

緑内障の予防はできなくても、日常生活の中で危険因子を減らすことはできます。例えば、眼を含め全身の血流が良くなるような軽めの運動をしたり、血管が収縮し、循環が悪くなるような喫煙、長時間スマホやテレビ、ゲームに熱中するなど眼に負担をかける行為を避けることです。

また、眼精疲労、視力改善効果があるとされているアントシアニンを摂取するという方法もあります。アントシアニンとは、ブルーベリーや黒胡麻、小豆、カシスなどに含まれる強い抗酸化力のあるポリフェノールの一種です。

アントシアニンの医学的効果は未だ明確になっていませんが、眼の健康のためにできる限り良いといわれるものは試してみたいと思うこともあるでしょう。
そのような場合は、一度かかりつけの眼科の先生に、アントシアニンの効果や摂取方法など相談してみると良いのではないでしょうか。

あなたは大丈夫?
眼病セルフチェック

40歳以上の20人に1人が発症していると言われている緑内障は、治療が遅れると失明の危険性もあります。そこで、緑内障の早期発見に役立つセルフチェックを急性緑内障と慢性緑内障に分けてご紹介します。ご自身の眼を守るためにお試しください。

急性緑内障の症状チェックポイント

  • 眼に激しい痛みを感じる
  • 吐き気がある、または実際に吐いた
  • めまいを感じる
  • 急激な頭痛に襲われる
  • 急に目の前が霞んで見える
  • 急激に目が充血する

これらの症状が急激に現れた時は放置せずに病院で受診をしましょう。激しい頭痛やめまい・吐き気や嘔吐などの症状は、眼科領域以外の疾患でもみられますので、できれば総合病院を受診した方が良いでしょう。夜間の場合は救急外来受診をすることも検討してください。

慢性緑内障の症状チェックポイント

  • 左右片方ずつの目でモノを見た時の見え方に差がある
  • 以前より視力が悪くなった気がする
  • 視野が欠けているような感じがする
  • 疲れ目になりやすい
  • まぶたの上から指で眼球を触ると硬い気がする
  • 親族に緑内障を発症した人または失明した人がいる
  • 頭痛やめまいなどの高眼圧の症状がある

慢性緑内障(開放隅角緑内障や正常眼圧緑内障)の場合は、症状が徐々に進行するため、いつもと違う違和感として症状を自覚することがあるでしょう。いつもと違う変化を感じた時は放置せず、眼科を受診して異常がないか診察してもらいましょう。

このセルフチェックは医学的診断に変わるものではありません。緑内障の診断には眼科を受診してください。

気になることがあるなら病院へ

緑内障は、完全に予防することができない病気です。そのため、緑内障は早期発見し、早期治療をすることがとても大切になります。急性緑内障の場合は激しい症状がでるため気づきますが、開放隅角緑内障や正常眼圧緑内障などの慢性緑内障は、症状が徐々に進行するため、自覚症状が現われた時には、かなり病状が進んでいるということもあります。ですので、眼にいつもと違う違和感を感じたら放置せず、早めに眼科受診をして診察をしてもらいましょう。

佐藤香

監修者プロフィール

佐藤 香

アイケアクリニック本院院長、アイケアクリニック銀座院 院長

著 書

『年間2,000件の白内障手術を手掛けるスゴ腕ドクター佐藤香院長の白内障治療Q&A』(幻冬舎) / 『スゴい白内障手術』(幻冬舎) / 『目は若返る 50歳からの眼科治療』(幻冬舎)

年間2,000件以上の手術を行う。とくに最先端の多焦点眼内レンズの豊富な知識を駆使して、多焦点眼内レンズと白内障レーザー手術において抜群の治療実績を誇る。その他、網膜硝子体や緑内障の手術も担当。
まぶたの手術やボトックス注射など、眼科医としての視点を活かした目周りの美容にも注力。また、校医を務めるなど、地元住民のかかりつけ医として地域医療にも貢献している。日々のちょっとした悩み相談から高度な治療まで、総合的な目のケア一「トータルアイケア」の提供を目指す。
現在、注目の眼科女医として、テレビやラジオ、新聞、雑誌など、さまざまなメディアに取り上げられている。

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