
この記事の執筆者
眼とメガネの情報室
みるラボ編集部

目次
老眼の人にとって、スマホや本など手元を見るときには、老眼鏡(リーディンググラス)は欠かせないものですよね。しかし、老眼鏡をかけて遠くを見ても、ピントが合いづらく、かけたり外したりするのを面倒に感じている方も多いのではないでしょうか?
この記事では老眼鏡を外さなくても良い理由や、かけっぱなしを可能にする方法について詳しく解説しています。
老眼鏡(リーディンググラス)は外さなくてもいい?

老眼は手元の細かい文字などが見づらくなったり、ピントを合わせるのに時間がかかったりする状態です。これは目の中のピント調節に関わる水晶体が、加齢により硬くなることで引き起こされます。
一般的な老眼鏡は単焦点レンズで近くに焦点を合わせているため、遠くを見る際は外す必要があります。かけっぱなしは見え方の違和感やフィット感の問題を引き起こすため、おすすめできません。
老眼鏡をかけっぱなしにしたいなら累進レンズがおすすめ
老眼鏡をかけっぱなしにしたい方には、1つのメガネで近くも遠くも見やすくする累進レンズがおすすめです。
1つの焦点のみに合わせた単焦点レンズと違い、累進レンズは、一枚のレンズの中に複数の度数が入っています。上から下へ度数が段階的に変化して入っており、上は遠くに合わせる度数、下は手元に合わせる度数となっています。そのため、メガネをわざわざ外したりかけ直さなくても、同じメガネで過ごすことができます。
最も知られている累進レンズは、遠近両用レンズですが、焦点を合わせたい距離によって複数の種類があります。
遠近両用レンズ

遠近両用レンズは遠くも見たいけど、手元が少しぼんやりしてきたという方におすすめです。ドライブや旅行などで活躍するでしょう。ただし、老眼が進んでいる方には手元が見えづらいと感じる場合もあります。
中近レンズ

中近レンズは、スマホを見た後にテレビを見たり、パソコンを見てから誰かと会話したりなど、室内の範囲での使用に向いているレンズです。1日のほとんどを室内で過ごすという方であればかけたり外したりという手間がなく快適に過ごせます。
近近レンズ

近近レンズはさらに手元が見える度数を広く取ったレンズで、主にデスクワーク用です。読書やスマホ、パソコンの使用時に使いやすいですが、遠くはぼやけてしまうので注意が必要です。
累進レンズにするメリットは?
累進レンズにはどんなメリットがあるのでしょうか?累進レンズのおすすめのポイントについてさらに詳しく解説します。
近くも遠くもはっきり見える

累進レンズの最大のメリットは、近くも遠くもはっきりと見えることです。
一般的な老眼鏡では、近くを見やすくするための度数が入っているため、遠くを見ようとしてもピントが合いません。累進レンズは複数の度数が入っているため、遠くも見やすく、手元にもピントが合うようになります。
かける・外すなどの手間がない
累進レンズには、どの距離までを見たいかによって、遠近両用レンズ、中近レンズ、近近レンズが選べます。ご自身のライフスタイルに合わせて、1つのメガネで複数のピントを合わせることができるため、メガネをかけ外す手間が省けます。
累進レンズだと、目線を大きく動かさなくては見えづらいのでは?と思われる方もいますが、心配はいりません。私たちの目は、遠くを見るときは自然に上向きになり、手元を見るときは下向きになります。そのため、大げさに目線を動かさなくても、いつも通りの自然な見方をすれば、ピントが合うようになっています。
普通のレンズと同じように使えて老眼鏡とバレにくい

従来の遠近両用メガネには、レンズの上下に度数の境目があります。誰から見ても、いかにも遠近両用をかけていると気付かれてしまうので抵抗がある方も多いのではないでしょうか?
しかし、最近主流の累進レンズには度数の境目がなく、かけていても普通のメガネと見た目が変わりません。また、普通のメガネと同じように自然な見方で遠くも近くも見えるので、老眼鏡をかけていてもほとんど気付かれません。
累進レンズにする
デメリットは?
累進レンズのメガネを購入するなら、デメリットについても知っておきたいですよね。デメリットを知って、自分に合った老眼鏡選びをしましょう。
レンズの端で物を見ると歪みが生じる場合がある

累進レンズにはレンズの端で歪みが出るという特性があります。特に老眼鏡を使ったことがない方は、レンズの端の部分でピントが合いづらく慣れるまでに時間がかかる場合があります。
そのため階段を降りるときなど視線を落とす場面では、目線だけを動かすのではなく、顔ごと下に向けるように注意する必要があります。また、歪みを感じにくくするには、縦幅が広めのフレームを選ぶのも良いでしょう。
累進レンズのデメリットである歪みについては「遠近両用レンズの正しい使い方」の記事でシーン別の正しい使い方を解説していますので、参考にしてみてください。
一般的な老眼鏡よりも高額
累進レンズのメガネは一般的な老眼鏡に比べて価格が高くなることが多いです。単焦点レンズに比べて幅広い度数を1枚のレンズの中に設計されているため、加工するのに手間がかかるからです。
また、累進レンズの歪みをより少なくする設計がされた高性能なレンズなどもあり、性能が良い分、さらに高額になります。
メガネはレンズだけでなくフレームの種類によっても値段が変わります。眼鏡店で、累進レンズのメガネを作るときは、レンズやフレームの性能と金額のバランスを見て選びましょう。
自分に合った
老眼鏡の選び方は?
せっかく老眼鏡を買うのなら、自分に合ったものを選びたいですよね。
レンズを選ぶ上で重要なのが、どんなシーンでメガネを使用するかです。レンズの特徴を知って、自分にぴったりなレンズを選びましょう。
遠近両用レンズは遠くを見たい方に

遠近両用レンズは、手元30cmから遠くまでの広い範囲を見やすくするレンズです。
遠くから手元までの度数の移りが幅広いため、視界が歪みやすくなります。
また、老眼の度数が進むとゆれや歪みの範囲が増えるため手元の視界が狭く感じられ、ピントが合いづらいと感じる方もいます。そのため、初めて遠近両用のメガネを使用する人は、初期老眼のころから使用すると慣れやすいでしょう。
車の運転時や旅行、ビジネス、釣り、買い物といった、外出の際に遠くもしっかり見たいけど、スマホや本などの手元の見え方が少しぼやけてきたという方は遠近両用レンズがおすすめです。
中近レンズはオフィスや室内で過ごすことが多い方に

中近レンズは、遠く用の度数の幅を狭めて、中間から近くの度数の幅を広く取り、手元30cmから2mまでの距離が見えやすいように設計をされたレンズです。
日中、職場や家で遠くを見るよりも、パソコンや資料、スマホなどを見る時間が長いという方は多いのではないでしょうか。そういった方には、遠近両用レンズよりも手元の視野が広い中近レンズが快適に使えるでしょう。
オフィスで事務仕事をしている方や医師、美容師、調理師、主婦など室内で過ごす方には特におすすめです。外回りがある営業職の方は、中近レンズでは運転に適した度数が出ないため、室内では中近レンズ、外出時や運転時には遠近両用レンズと使い分けても良いでしょう。
また、通常の老眼鏡よりも視野が広く、見える範囲が広い老眼鏡として試してみるのもおすすめです。日常生活で幅広く使える便利さがあり、老眼鏡に慣れるための最初の一歩としても最適です。
裁縫やパソコン作業には近近レンズを

近近レンズは、手元30cmから70cmまでの間を見やすくするレンズです。
デスクワークや裁縫など、着席して作業する範囲内での使用を前提に設計されています。
手元を見やすくする度数が幅広く設定されており、遠近両用レンズや中近レンズと比べても度数の幅が少なくゆるやかなため、歪みも少なく慣れやすいでしょう。そのため、初めての方でも違和感なく使えます。
ただし、遠くを見るのに適していないため、近近レンズをかけたままでは車の運転はできません。運転するときや外に出るときには、遠くを見る用のメガネとの併用か、メガネを外しましょう。
老眼鏡の選び方についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もおすすめです。
よくある質問
累進レンズに関して多くの方が疑問に思われる「遠近両用レンズと車の運転について」と「老眼鏡と拡大鏡の違い」を解説します。ご自分に合ったレンズを選ぶ際の参考にしてみてください。
遠近両用レンズは運転中も使える?
遠近両用レンズは運転中にも使用できます。ただし、最初は自宅や職場などで慣れておき、使用する場合には注意点をしっかり理解しておくことが重要です。
遠近両用レンズは手元から遠くまで見えるレンズを埋め込んでいるため、視野が狭くなる可能性があります。また、遠くの標識を見た後に近くのカーナビを見るなど、視野を切り替えるときには歪みを感じてしまうかもしれません。
特に、レンズの両端は歪みを生じやすく注意が必要になります。遠近両用レンズに早く慣れるコツは以下に3つご紹介します。
- 遠くを見るときはあごを引き、レンズの上部で見る
- 近くを見るときはあごを上げ視線は下げて、レンズの下部で見る
- 左右を見るときは頭ごと動かして、レンズの正面で見る
そのほか、縦幅の広いフレームやフチなしレンズを選ぶと、歪みや視野の狭さを軽減できます。遠近両用メガネを作る際は運転にも使うことを伝えて、適したものを選ぶようにしましょう。
老眼鏡と拡大鏡の違いは?
老眼鏡は加齢により低下した目の調節機能を補い、近くの物をはっきりと見えるようにするメガネです。自分が見たい距離にピントを合わせることができ、近視や遠視、乱視を含めて調整が可能です。日常生活で手元にピントが合わせづらいと感じたら検討すると良いでしょう。
一方、拡大鏡は物を大きくして見ることができます。例えば新聞の文字を大きくして読みたいときや手芸など細かい作業をするときなど、一時的なシーンに適しています。
まとめ
今回は、老眼鏡(リーディンググラス)を外さなくても良い理由や、老眼鏡をかけっぱなしにするためのレンズの選び方についてご紹介しました。
老眼鏡は手元に焦点を合わせやすくしたレンズのため、遠くを見るのには適していません。しかし、スマホを見てからテレビを見ようとするとピントが合わず、メガネをつけたり外したりするのが面倒だと感じる人もいるでしょう。そんな方には、累進レンズがおすすめです。
累進レンズであれば、遠くと手元の両方にピントが合うため、かけっぱなしで生活することができます。ご自分の視力やライフスタイルに合ったメガネで快適に過ごしてください。

この記事の執筆者
眼とメガネの情報室
みるラボ編集部
目に関するの様々な悩みについての情報や解決策を発信しています。あなたの「見る」ことに対しての不安や疑問の解決のお手伝いをさせていただきます。
おすすめコラムRECOMMENDED COLUMN
-
コンタクト 2024.03.27 眼科の先生に怒られた理由はコンタクトレンズ?原因とコンタクトレン… 眼科で怒られた経験は、コンタクトレンズを使用する多くの人が一度はあるでしょう。怒…
-
メガネ 2023.10.31 自分でメガネを調整するやり方は?ポイントやおすすめの調整頻度をご… メガネのフィッティングとは、顔の形や鼻の高さ、耳の位置など使用者の顔の特徴に合わ…
-
メガネ 2022.10.27 メガネをかけると鼻が痛い場合の原因や対処法、日頃の注意点などを徹… メガネをかけると鼻が痛い…と悩んでいる方に朗報です。メガネは生活に欠かせないため…
-
コンタクト 2022.09.29 コンタクトの処方箋を貰う方法・眼科の受診方法や検査内容、値段につ… コンタクトレンズを買いたいけど、どこで購入すべきか迷っている方は多いのではないで…
-
メガネ 2022.09.29 ボストンメガネの魅力とは?似合う人や顔型は?ウェリントンとの違い… メガネは実用性としてだけでなく、おしゃれに欠かせない注目のファッションアイテムで…
-
目の悩み 2022.06.16 両眼視とは?両眼視機能検査を行うメリット・自分でできる方法を解説… 最近「眼精疲労が激しい」という方や「子供が読書している時の目線が少し変」と思う親…
-
老眼 2021.10.21 老眼でもコンタクトを使用できる!メリットやデメリット、老眼鏡との… コンタクトを使う人が老眼になった時、コンタクトをどう調整すべき?この記事では「老…
-
コンタクト 2021.10.07 遠近両用コンタクトのメリット・デメリットは? 老眼に悩む方は老眼鏡だけではなく、遠近両用のコンタクトレンズでも対応することがで…
人気コラムランキングRANKING
その他老眼コラムOTHER COLUMN

見る 閉じる