老眼
最終更新日:2023.07.31

「老眼かも?」と感じたときに試したい老眼改善方法・トレーニングを解説!

この記事の監修者

内野 美樹

ケイシン五反田アイクリニック 院長

「老眼かも?」と感じたときに試したい老眼改善方法・トレーニングを解説!

目次

近くのものが見えにくい、目がかすんできたという症状が出てくると、これが老眼なのかなと心配になりますよね。老眼を放っておくと、目の疲れだけではなく、頭痛や肩こりの原因にもなります。

さらに最近では、スマートフォンやパソコンを長時間見ることによる「スマホ老眼」という、若年層でも老眼と同様の症状が出る事例が増えています。

今回は老眼を予防する方法、症状を改善する方法をご紹介するのでぜひ参考にしてください。

そもそも老眼とは?

目の断面図

老眼は呼び名の通り、目の老化現象による視覚障害です。目の中のレンズの役割である「水晶体」が加齢に伴い硬くなることによりピント調節がうまく機能しなくなります。その結果、近くのものが見えづらくなってしまいます。老眼には男女差はなく40代あたりから老眼を感じる方が多いようです。

「若いころから近視の人は老眼になりにくい」と耳にしたことがあるかもしれませんが、老眼は老化現象によるものであるため、若いころに近視や遠視であっても老眼に影響することはありません。軽い近視でメガネやコンタクトによる矯正をしていない方は、日ごろから近くにピントが合っている状態です。そのため老眼による見えにくさに気づきにくいことから、近眼の人は老眼になりにくいと誤解されているようです。

逆にメガネやコンタクトで矯正をしている方、パソコン作業など日々細かいものを見る習慣がある方は、早いうちに老眼に気づく方が多い傾向があります。

老眼の主な症状

老眼の初期症状としては以下の症状を感じる方が多いです。

  • 目の疲れ
  • 目のかすみ
  • ドライアイ
  • 薄暗いところでものが見えにくい
  • 細かい文字が見えにくい
  • 近くのものが見えにくい

ピント調節がうまくできなくなるため、近くのものから遠くのものを見た時に、はっきり見えるようになるまで時間がかかるのも老眼の症状の一つです。

また、老眼の症状をそのまま我慢して生活すると眼精疲労を引き起こし、頭痛や肩こり、食欲不振などの体調に関わる症状にもつながります。

老眼が起こる原因

老眼が起こる原因

ものを見るための目の働きは、主にピント調節の役目をする「毛様体筋」と、レンズの役目をする「水晶体」の働きによって行われています。毛様体筋が弛緩していて水晶体が薄い状態では、遠くのものが見えるようになります。逆に毛様体筋が緊張して縮むと、水晶体は厚くなり近くのものが見えるようになります。

加齢に伴い水晶体の弾力が減って硬くなってくると、いくら毛様体筋が縮んでもレンズが厚くならなくなってしまい、近くのものが見えにくく感じたり、近くと遠くを交互に見たときにはっきり見えるまで時間がかかるようになります。この現象が「老眼」で、加齢が原因であるため誰にでも起こりうる症状であると言えます。

また老眼による自覚症状に多い目の疲れや頭痛、肩こりは、ピント調節をするために目を酷使したことによる眼精疲労が原因です。

近年ではスマートフォンやパソコンを長時間見る生活により、水晶体の弾力が減ったり、毛様体筋がうまく働かなくなり、若年層でも老眼と同様の症状を発症する「スマホ老眼」も増えてきています。この場合は、目を休ませたり、マッサージなどで目の筋肉のこりをほぐして血流を良くすると改善することが多いです。

老眼になった時の
対処・改善方法

老眼は前述の通り加齢現象であるため、薬や手術で治るものではなく適切な対処法によって症状をやわらげることが大切です。
老眼を感じるようになった時の対処法を6つご紹介します。

1.メガネ・コンタクトレンズを使用

メガネとコンタクトレンズ

老眼を矯正するレンズには、「近用レンズ」・「近近レンズ」・「中近レンズ」・「遠近両用レンズ」があります。

近用レンズ

「近用レンズ」は、一般的な老眼鏡(リーディンググラス)と呼ばれる手元専用のレンズです。見えにくい小さい文字などを大きく見えるようにしてくれる拡大鏡(ルーペ)とは異なります。老眼鏡(リーディンググラス)は、手元の近い距離のみに対応しているレンズであるため、遠くを見る時はメガネを外さなければなりません。

近近レンズ

「近近レンズ」は、「近用レンズ」より少し遠く、約50〜60cm程度の距離が見えるようになっています。パソコンなどを見るデスクワークの方におすすめのレンズです。近用レンズ同様、遠くを見ることはできません。

中近レンズ

「中近レンズ」は、手元から2〜3mの距離を見る方に適しています。レンズの上部は遠くが、下部は近くが見えるようなレンズの構造となっており、デスクワークや室内生活に適しています。

遠近両用レンズ

「遠近両用レンズ」は、手元から遠くまで見えるため、メガネをかけたまま日常生活を送ることができます。このレンズであれば、運転も可能です。レンズの上から下にかけて、遠くから近くが見えるようになりますが、構造上レンズの両端は歪んで見えてしまうため、正面でものを見るようにする必要があります。

老眼鏡を購入する際には、自分の見えにくいところや見たいところが目の位置から何cm離れているか、どんな時に見えにくいのか、見えにくいものを見る時間はどのくらいあるのかをきちんと把握して作る必要があります。頻度や見えにくい部分によって選ぶレンズが異なります。既製品が様々な店舗で販売されていますが、眼科を受診して自分の目の状態に合ったレンズを処方してもらう方が、より目の負担を軽減できるためおすすめです。また、老眼の度合いは年を重ねるたびに変化するため、度数が合っているか定期的に眼科を受診し確認しましょう。

次に、遠近両用コンタクトレンズは、近くのものと遠くのものが見えるように2種類のレンズで構成されています。遠くを見る度数と近くを見る度数が組み合わされたもので、レンズの構造設計は数種類あります。遠近両用メガネとは異なり、レンズによる見え方の歪みや揺れは少なく視野が広くなり、スポーツやアイメイクを楽しむこともできます。一方、コンタクトレンズのお手入れのわずらわしさや、クリアな視界はは遠近両用メガネに劣るというデメリットがあります。
老眼の程度によっては、遠近両用コンタクトと「近用レンズ」のメガネを併用することも可能です。

2.疲れ目に効果がある目薬を使う

目薬を差している女性

老眼症状であるピント調節機能の低下、疲れ目などの症状におすすめの成分は以下のものがあります。

ピント調節機能改善におすすめ

  • ネオスチグミンメチル硫酸塩

疲れ目におすすめ

  • ビタミンB6
  • ビタミンE(トコフェロール)
  • パンテノール
  • タウリン
  • L-アスパラギン酸

市販の目薬でも効果は十分にありますが、ネオスチグミンメチル硫酸塩は閉塞隅角緑内障の方には禁忌となっているなど注意点があります。購入前には薬剤師や登録販売者に確認しましょう。

3.目を温める

ホットアイマスク

温めたタオルやホットアイマスクで目を温めることで目の周りの血行が良くなり、疲れ目症状を改善します。また、温めている間は目を休ませることができるため一石二鳥です。

4.照明に気をつける

暗すぎたり明るすぎる部屋の中でものを見ることは、目に大きな負担となります。均一な明るさの照明であることも重要です。部屋の明るさが適正か確認してみましょう。

5.目に良い栄養を摂る

栄養不足や偏りがあると、目にも影響が出てきます。加齢により減りやすい栄養素もあるため、毎日継続的に摂取するようにしましょう。以下の栄養素が特におすすめです。

ルテイン

紫外線やブルーライトから目を守る働きがある、加齢とともに減少する
ルテインが多く含まれる食べ物:緑黄色野菜、アボカド

アスタキサンチン

アスタキサンチンの含まれている食材

活性酸素の除去に働き、眼精疲労だけでなく、白内障などさまざまな目のトラブルに有効
アスタキサンチンが多く含まれる食べ物:鮭・カニ・エビなどの赤い食品

ビタミンA

毛様体筋の弾力回復、涙の成分の「ムチン」の分泌を上げる、ビタミンAが欠乏すると夜間見えにくくなる「夜盲症」になるので注意
ビタミンAが多く含まれる食べ物:緑黄色野菜、レバー、うなぎ

ビタミンB群

ビタミンB群の多いナッツ系の食べ物

視神経の働きを促進、疲れ目予防に効果がある
ビタミンB群が多く含まれる食べ物:豚肉、大豆、牛乳・乳製品、卵、ナッツ類

ビタミンC

水晶体の酸化防止、「硝子体」の成分であるコラーゲンの生成に不可欠
ビタミンCが多く含まれる食べ物:いちご、レモン、キウイ、アセロラなどの果物、パプリカなどの野菜

ビタミンE

血行促進、抗酸化作用
ビタミンEが多く含まれる食べ物:かぼちゃ、アーモンド、植物性オイル

コンドロイチン

角膜の透明性を保つ
コンドロイチンが多く含まれる食べ物:納豆やオクラ、山芋、うなぎ

DHA

青魚イメージ

網膜の代謝、視神経の働きを促進
DHAが多く含まれる食べ物:青魚

また、東洋医学では栄養となる「血」の不足と、成長発育に関わる「腎」の機能が衰えると老眼が現れるといわれています。

  • 「血」の補充に良い食材:牛肉、レバー、鶏肉、いか、タコ、かぼちゃ、ほうれん草、はちみつ
  • 「腎」の働きを助ける食材:黒豆、小豆、きくらげ、ひじき、海苔、デーツ、レーズン

老眼改善に効果的な
簡単トレーニング

日ごろから意識して毛様体筋や水晶体を動かすことで、老眼やスマホ老眼を予防できる可能性があります。簡単にできる目のストレッチをご紹介します。

目のストレッチ

ストレッチをする際には、裸眼でもメガネやコンタクトレンズ装用でも構いませんが、より遠くのものを見るほうがおすすめです。

①:目から15cm離したところに指やペンを立てて、その先端にピントを合わせるように見る(1秒程度)

②:①の先端の一直線上にあるできるだけ遠くのものにピントを合わせるように見る(1秒程度)

③:①・②の作業を5往復繰り返す

このストレッチを1日10往復行うように意識したり、パソコンやスマホを見ることが多い方は、10分おきに行うなど、こまめに行う習慣をつけることがおすすめです。

老眼を予防するには?

老眼を予防するには、年齢に関わらず目を大切にする習慣が重要です。
以下のポイントを日ごろから意識しましょう。

①:定期的に目を休ませる
目を使う細かい作業や長時間視点を変えない作業をする作業をする際には、定期的に目を休ませましょう。ホットタオルやホットアイマスクを使うと、目を休ませながら目の周りの筋肉のコリをほぐし、血流改善にもなるためおすすめです。

②:目のストレッチを行う
毎日継続して目のストレッチを行うと、毛様体筋を鍛え、水晶体が硬くなるのを防げる可能性があります。

まとめ

老眼は加齢に伴う現象の一つではありますが若年層でもスマホ老眼が増えてきており、日ごろから少しの意識や目をいたわることで症状を遅らせたりつらい症状を緩和することができます。 また、老眼を感じた際には無理せず老眼鏡やコンタクトレンズで矯正したほうが、見えにくいものを無理に見ようとするより目にとって良い場合もあります。 今日からできる老眼対策と、老眼症状を感じた際の改善法をぜひ実践してみてください。

監修者プロフィール

内野 美樹

ケイシン五反田アイクリニック 院長

HP:https://www.keishin-eye.com/

山梨医科大学 医学部卒業後、慶應義塾大学 眼科学教室入局。米・ハーバード大学 公衆衛生学修士取得。慶應義塾大学 眼科学教室 特任講師。
眼科のなかでも「ドライアイ」を中心にした角膜の疾患を専門とする。日本におけるドライアイについての疫学研究の第一人者であり、近年増えている長時間のパソコン作業によるVDT(Visual Display Terminal)症候群などの研究を行っており、日本のドライアイの有病率、パソコン使用時間とドライアイとの関係について世界で初めて証明した。ドライアイにつながる危険因子を研究し、ドライアイ診断に関する国際的な基準づくりにも携わる。
予防医療の啓蒙活動にも力を入れ、『しまじろうとEye Care Book』幼稚園や保育園の先生の目の教科書となるような『子どもの目見守りサポートBook』を作成。
目の健康について学び、セルフケアができるよう、『ナカナイ涙』などのWebサイトの監修も手掛ける。

【所属学会】
日本眼科学会 / 日本眼科医会 / 日本角膜学会 / 小児眼科学会 / 日本弱視斜視学会 / ドライアイ研究会

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