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おしゃれと品の良さが魅力のべっ甲メガネですが、べっ甲メガネの素材や特徴についてよく知らないという方も多いでしょう。
べっ甲メガネは天然素材で作られており、高い技術を持った熟練の職人にしか作れないといわれています。そのため、メガネの中でも非常に高価なメガネです。べっ甲の種類によっても魅力が異なり、ランクも変わってきます。
この記事では、べっ甲メガネの特徴や魅力、さらに種類とランクについても詳しく解説しています。また、べっ甲メガネが似合う人の特徴についても知ることができます。べっ甲メガネを購入しようか検討している方は、ぜひ参考にしてください。
べっ甲メガネとはどんなメガネ?
べっ甲メガネは、太平洋や大西洋、インド洋などの熱帯地域に生息するウミガメの一種「タイマイ」の甲羅を加工して作られています。日本では沖縄周辺に生息しており、石垣島付近でタイマイを見られるようです。
べっ甲は半透明の色をしており、赤みを帯びた黄色に濃褐色の斑模様をしているのが特徴です。その見た目の美しさは古くから人々を魅了し、徳川家康が老眼鏡として手で持つタイプのべっ甲メガネを使用していたことでも知られています。
タイマイの甲羅は1993年にワシントン条約で取引が禁止されているため、日本国内のべっ甲は条約以前に海外から輸入されたものになります。現在は輸入されたべっ甲素材が底をつき始めており、今以上に価格が高騰すると予測されます。
国内でタイマイ養殖事業の取り組みもされていますが、べっ甲が市場に安定供給できるようになるには10年以上かかるといわれています。さらに、タイマイ1匹からとれるべっ甲は少量です。そのため、べっ甲は希少価値の高い貴重な素材なのです。
プラスチック素材のべっ甲風フレームもありますが、天然素材が持つべっ甲メガネの色や模様は人工的に作ることはできません。甲羅の部位によって色が異なり、一つとして同じ色がないこともべっ甲メガネの良さだといえるでしょう。
べっ甲メガネの魅力
べっ甲メガネの魅力はなんといっても「色と模様」です。タイマイの甲羅は約1mm〜3mmと非常に薄いため、熟練の職人が1枚1枚重ねて圧着することで造られます。接着剤は使わずに、水と熱と圧力のみで貼り合わせて仕上げます。
不自然にならないように調整しながらつなぎ合わせていくため、職人の技術によっても仕上がりに差が出るといわれています。高い技術と時間をかけて完成させるべっ甲メガネは、人工ものにはない色や模様、風合いが魅力です。
べっ甲メガネは肌触りが柔らかく独特のしっとり感があり、かけ心地が良いことも魅力の一つにあげられます。長くかけるほど肌になじんでフィットしてくるでしょう。また天然素材のため、金属アレルギーの方でも安心してかけることができます。
長く愛用したいメガネだからこそ気になるのは、壊れてしまった時に修理ができるかどうかです。フレームが欠けてしまった、折れてしまったという場合、プラスチックメガネではパーツ交換が必要になります。
べっ甲メガネも修理が可能です。使っているうちにべっ甲にツヤがなくなったという場合も、磨きをかけることでべっ甲本来の美しい状態に戻すことができます。一生もののメガネとして使用できることもべっ甲メガネの魅力だといえます。
べっ甲メガネの素材にはランクがある!
べっ甲メガネにはランクがあることをご存じでしょうか。べっ甲は「色」「透明度」「斑」の状態によって価値が変わります。ランクは材料の採れやすさに関係しており、基本的に色が薄いべっ甲ほど高価だといわれています。
最高級とされているのは「白甲(しろこう)」です。タイマイの尾の回りの4枚の爪甲から作られています。黄みがかった透明感は最も美しいべっ甲と称されています。採れる量が非常に少なく、希少価値の高いべっ甲です。
2番目にあげられるのは「オレンジ甲」で、主に白甲と同じ尾の回りの4枚の爪甲から作られています。肚甲(はらこう)と呼ばれるおなか部分の甲羅を使用することもあるようです。白甲よりも透明度が低く、オレンジ色が強くなります。
3番目は白茨甲(しろばらこう)です。甲羅の背中の白い部分が使われており、少し斑が入ったべっ甲になります。斑がべっ甲らしいと、白甲やオレンジ甲よりも白茨甲を好む方がいるようです。また、斑の色が濃い茶色になるほど価値が下がり、斑が黒だとより安価になります。
4番目はべっ甲としてあまりなじみのない「黒甲(くろこう)」と呼ばれるものです。甲羅の背中の濃茶部分を集めて作られています。ただし「真黒(しんくろ)」と呼ばれる黒1色のものは特別で、白茨甲よりも価値が高くなります。
べっ甲メガネの製造過程
魅力的なべっ甲メガネですが、どのように製造されるのでしょうか?ここでは製造過程について解説します。以下はべっ甲ができるまでの工程です。
1. 材料選び
べっ甲メガネを作る最初の作業は材料選びです。仕上がりをイメージしてタイマイの甲羅を選びます。甲羅の部分や個体によって、色味や柄、強度なども異なります。
2. 切り出し
へらで腹側と表側を分け、素材を活かしながら糸鋸(いとのこ)を使って取り出したい部分を切り出します。
3. 粗削り
べっ甲は天然素材のため傷が多くあります。大きな傷をとるための粗削りを行い、さらにきれいに磨いていきます。
4. 削り
「貼り合わせ」を行うための重要な工程です。サンドペーパーなどを使って接着面を滑らかにしていきます。
5. 貼り合わせ
仮止めを行い、貼り合わせてべっ甲の板を作ります。水と熱と圧力を使った熟練の技術を要する工程です。
6. 成形・加工
それぞれの製品に応じて切断や曲げ、型抜き、削りなどの工程です。最近では3D CADデータなど最先端の機器を使用し、べっ甲の板をメガネフレームの形状に削ることもあります。0.01mm単位で正確に行います。
7. 仕上げ
最後に、段階的に表面を整えていきます。研磨してツヤ出しを行い、表面をクリアコーティングしてべっ甲メガネを完成させます。
べっ甲メガネが似合う人の特徴
1 : 日本人の肌に似合いやすい
べっ甲メガネは黄色〜茶色の斑模様をしているため、日本人の肌になじみやすい特徴があります。日本人の肌はオークルベースが多く、イエローやオレンジは肌なじみが良いカラーだといわれています。さらに、肌をきれいに見せる効果も期待できるでしょう。
2 : 髪がブラウン系
髪色がブラウン系の人にもべっ甲メガネは似合います。メガネと髪の毛は近い位置にあるため、同系色でまとめることで統一感が生まれ、洗練された雰囲気に仕上がります。特にべっ甲の透明感はブラウン系の髪色をより一層引き立ててくれる色味です。
3 : モノトーンコーデ
べっ甲メガネは、重くなりがちなモノトーンコーデを軽やかな雰囲気に仕上げます。メガネと服のコントラストが強くならないよう、少し濃いめのべっ甲メガネを選ぶのがおすすめです。モノトーンコーデになじみ、黒縁メガネよりも柔らかい印象を与えることができます。
4 : ファッションのアクセントに
上品でおしゃれ感のあるべっ甲メガネは、ファッションのアクセントにもなります。シンプルでベーシックなファッションにべっ甲メガネをかけるだけで、おしゃれに見せることができるでしょう。また、カジュアルコーデを知的な印象に変えるアクセントにもなります。
べっ甲メガネの注意点
1 : 直射日光・乾燥を避ける
高温や乾燥はべっ甲メガネに負担がかかります。直射日光の下で長時間過ごしたり、直射日光が長時間当たる場所に放置したりすることがないように注意しましょう。また、べっ甲メガネをかけたままドライヤーを使用するのも避けた方が無難です。
2 : 急激な温度差や高温を避ける
べっ甲は天然素材のため、急激な温度差や高温はべっ甲メガネの劣化を招きます。お風呂やサウナ、温泉、プールなどでの使用は避けてください。また、お湯や水での洗浄も変色や変質の原因となります。超音波洗浄器やメガネ調整用温風機の使用もNGです。
3 : 通常のお手入れは乾拭き
通常のお手入れは乾拭きで十分です。ほかに特別なお手入れは必要ありません。ただし、乾拭きする際は柔らかい素材を使用しましょう。硬い素材で拭いてしまうと表面に傷がつき、ツヤがなくなってしまう可能性があります。
4 : なるべく力を加えない
べっ甲メガネは甲羅に熱を加えて接着しており、プラスチックフレームなどと比べて繊細です。負荷がかかると破損する恐れがあるため、なるべく力を加えないようにすることが大切です。また、かけ外しの際は、必ず両手で持って行いましょう。
5 : メンテナンスを忘れずに
べっ甲メガネは使っているうちに細かい傷が入り、ツヤがなくなっていきます。そのため、2〜3年に1度は研磨によるメンテナンスを行いましょう。またクリアコーティングが剥がれてきた際は、再コーティングをすると耐久性も上がります。
まとめ
べっ甲メガネには種類があり、色や透明感によって価値が異なります。天然素材で作られた高価なメガネフレームで、ほかにはない見た目の美しさと上品でおしゃれな雰囲気が魅力です。
また、傷が入ったり折れたりしても修理すれば元の美しい状態に戻すことができ、長く愛用することが可能です。ただし、べっ甲メガネをきれいに保つには定期的なメンテナンスが必要となってきます。
べっ甲メガネを気軽に楽しみたいという方は、べっ甲柄のセルフレームを着用するのも一つの方法です。今回紹介したべっ甲メガネの魅力を参考に、自分に合ったべっ甲メガネをぜひ手に入れてください。