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目尻の痛みは、角膜に何らかの疾患が生じて、反射的にに多くの涙液が分泌させることで起こると考えられます。目尻が痛いと感じたら、早めに眼科や皮膚科の受診がおすすめです。
医師に診てもらわないと正確な病名は分かりませんが、目尻が痛む理由としてどんなものがあるか気になりますよね。そこで今回は「目尻が痛い」「涙がしみて目尻が痛む」という人に向けて、考えられる症状を解説します。この記事を読めば、心当たりのある原因・病気が見つかるかもしれません。
目尻が痛い時に考えられる病気
角膜炎、角膜潰瘍、角膜異物
角膜とは目の表面にあり、中央にある「黒目」と呼ばれる部分のことです。目尻の痛みは、角膜の炎症や異物によって涙が過剰分泌されることが原因です。過剰分泌された涙が排出されずに目尻に多く溜まってしまい、かぶれて起こっている可能性があります。
角膜に起こる症状とその特徴は下記の通りです。
角膜炎
- 角膜に炎症が起こり、目の痛みを引き起こす
- 原因として細菌や真菌、アカントアメーバやヘルペスウイルスがあげられる
角膜潰瘍
- 角膜炎が悪化すると角膜潰瘍を発症する
- 視力障害の原因になる
角膜異物
- 鉄片や微細な異物が角膜に入り、角膜を刺激して違和感がある
角膜炎の治療には抗菌薬や角膜上皮を改善させる点眼薬を使います。自然に治ることはなく、治りにくい場合もあるため、角膜炎が考えられる場合は早めに眼科を受診しましょう。
結膜炎、結膜異物
結膜とは、まぶたの裏側と白目部分を覆う膜のことです。結膜に炎症や異物による刺激が起こると、目の痛みを引き起こします。痛みを改善するためには、原因となる結膜の異常を治療する必要があります。
結膜の異常による目の痛みについて、症状と特徴をまとめました。
結膜炎
- アレルギーや細菌、ウイルスにより炎症が起こる
- 目の痒みや充血、痛みを感じる
結膜異物
- ほこりやまつ毛が結膜に入り、刺激して違和感がある
- 異物による結膜炎が起こることも
結膜炎は症状により、抗アレルギー薬や抗菌薬を点眼します。結膜異物は目を洗い流し、異物を除去する必要があります。
眼瞼炎
眼瞼(がんけん)とはまぶたのことで、眼瞼炎(がんけんえん)とはまぶたのふちに炎症が起こる症状です。目のふちやまぶたに異常を感じる場合、眼瞼炎を起こしている可能性があります。
眼瞼炎の症状として、目のふちに「目やに」や赤み、痒みが生じます。症状によっては目尻に痛みを感じる場合もあるでしょう。
眼瞼炎の原因としては、細菌による感染性のものと、非感染性で皮膚科的疾患に合併するものの大きく分けて2つあります。加えてアトピーや季節性アレルギーも眼瞼炎の原因になります。
治療には抗菌薬やステロイド、まぶたの洗浄や患部を温める治療が行われます。
麦粒腫(ものもらい)
麦粒腫は、まぶたの分泌腺や毛穴に細菌が感染することで起こります。「ものもらい」という呼び方が一般的ですが、正式な名称は「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」です。
麦粒腫の症状として、まぶたの腫れ、痛みや痒みがあげられます。麦粒腫の場所によっては、目尻の痛みを引き起こす可能性もあるでしょう。化膿が進むと腫れた部分が自然に破れ、膿が出る場合があります。
治療には抗菌薬の内服薬や目薬を使い、化膿がひどい場合は切開して膿を出す治療もあります。細菌が目に入るのを防ぐため、患部には触らないように注意しましょう。
涙がしみて目尻が痛む時に
考えられる原因
涙がしみて目尻が痛む場合、涙に関わる眼疾患や目薬の差しすぎが考えられます。それぞれの原因について、具体的に解説します。
流涙症
流涙症(りゅうるいしょう)とは涙が急にたくさん出てくる、あるいは涙が目からあふれてくる症状です。流涙症の原因として涙の分泌が多いケースと、涙の出口(涙道)が塞がっているケースが考えられ、原因は以下が挙げられます。
涙の分泌が多い
- 花粉やゴミ、ほこりが目に入る
- 逆さまつ毛が目を刺激する
- ウイルスや細菌、アレルギーによる結膜炎
涙の出口(涙道)が塞がっている
- 涙道閉塞
- 結膜弛緩症
原因により治療法は異なり、涙の出口が塞がっている場合は手術が必要になるケースもあります。
また、新生児は涙道が開通しないまま生まれてくることがありますが、そのうち9割は1歳頃までには自然に治ります。
ウイルス性結膜炎
ウイルス性結膜炎になると白目の充血や目やに、涙が出るなどの症状が現れます。ウイルスによる結膜炎の中で人にうつりやすいものを「はやり目」といいます。
「はやり目」として知られる疾患は以下が挙げられます。
流行性角結膜炎
- 大量の目やに、まぶたの腫れ、リンパ節の腫れが特徴
咽頭結膜熱
- 結膜炎に加えて、39度前後の発熱と喉の痛みが起こる
急性出血性結膜炎
- 潜伏期間が短く急に発症する
- アデノウイルスによる結膜炎と似た症状
- はじめのうち、目の異物感が強い
ほとんどのウイルス性結膜炎は1~2週間程度で自然に治ります。
対症療法として細菌の感染や炎症をおさえる目薬、症状が重い場合はステロイドの目薬が使われることもあります。
アレルギー性結膜炎
アレルギー結膜炎になると、目の炎症や痒み、異物感や目やに、涙が出るなどの症状が出ます。
アレルギー性結膜炎は以下の種類と症状が挙げられます。
季節性アレルギー性結膜炎
- 花粉によるものが多く、鼻炎を合併する確率が高い
通年性アレルギー性結膜炎
- ダニやハウスダストによるものが多く、季節や気候によって症状が変動するが、1年中自覚症状がある
アトピー性角結膜炎
- アトピー性皮膚炎、通年で慢性的な痒み、目やにが現れる
巨大乳頭結膜炎
- コンタクトレンズや眼科手術に使用した糸等、異物の刺激により発症する
アレルギー性結膜炎の治療には、抗アレルギー薬や目薬が使われます。またアレルギーの原因に触れないよう、防御メガネをかけたり、生活範囲のこまめな掃除も有効です。
目薬の差しすぎ
目薬の差しすぎが刺激になり、目尻の痛みを引き起こしている可能性もあります。日頃から目薬を使っている人は、決められた用法を守りましょう。
目薬を差す際は、次の点に注意すると安全に使用できます。
- 目薬を差す量は1滴にしましょう。目薬の量が多いと、薬液が目からあふれてしまいます。
- 1日あたりの回数を守りましょう。目薬によって使用できる頻度が決まっています。
- 目薬を差す時は手を洗い、清潔な状態を保ちましょう。汚れた手で目薬を差すと、細菌やウイルスが目に入る可能性があります。
- 目薬を差した後は目を閉じ、目頭をおさえて薬液が流れ出るのを防ぎます。目からあふれた薬液は拭き取りましょう。
目尻が痛い時は
どこを受診する?
目尻が痛い時は、眼科または皮膚科を受診すると良いでしょう。
目に原因がある場合は、目の症状に対する治療が必要になるため、基本的には眼科の受診をおすすめします。
目周りの皮膚は薄いため、目薬または特殊な塗り薬(眼軟膏)を処方してもらう必要があります。眼軟膏以外の塗り薬は原則として目周りには使えず、眼軟膏は市販薬では販売していません。目周りの皮膚に異常や違和感がある場合には、皮膚科の受診が必要です。
眼科でも目だけでなく目周りの症状に対応しているため、目薬だけでなく眼軟膏も処方してもらえます。必ず目尻の症状を診てもらい、症状にあった薬を処方してもらいましょう。
眼科、皮膚科のどちらを受診したらいいか分からない場合、こちらを参考にしてください。
眼科を受診した方がいい場合
- 目の痒みや充血、目やにがある
- 涙が止まらない、涙があふれる
- 日常的にコンタクトレンズや目薬を使用している
皮膚科を受診した方がいい場合
- 目や涙に異常は見られない
- 眼科を受診すると、皮膚科の受診をすすめられた
まとめ
今回は目尻が痛い時、考えられる原因と病気について解説しました。目尻が痛む原因には様々なものがあり、原因によって治療法は異なります。
また、コンタクトレンズや目にゴミが入るなど目に対する刺激や、目薬の使い方が原因になることもあります。思い当たる場合は日頃の習慣を見直しましょう。
診断に検査が必要な病気も多いため、自己判断せず医師に相談すると安心です。目尻が痛い時は眼科、または皮膚科の受診をおすすめします。