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最近手元が見えにくく、悩んでいませんか?近い距離の文字や物が見えにくくなる「老眼」は、加齢に伴って多くの人が経験する自然な現象です。老眼鏡は、老眼によって手元が見えにくくなった状態を矯正する便利なアイテムですが、どのように選ぶべきか、選ぶ際には何を考慮すれば良いかなど、特にはじめて老眼鏡を購入する人にとっては、少々分かりにくいかもしれません。
本記事では、老眼鏡が必要となる見え方の目安や、老眼鏡を選ぶ際に気をつけたいポイントについて詳しく解説しています。老眼とつき合いながら、快適な視界を維持するための参考にしてみてください。
ピントが合う距離と老眼鏡
老眼鏡の必要性を見極めるには、「近点」と呼ばれる、手元でピントが合う一番近い距離を測定しましょう。
加齢により目の中でレンズの役割を果たす「水晶体」が硬くなり、調節機能が低下するため、近点は次第に遠くなり、日常生活において手元の文字や小さい物体を見る際に不便さを感じることが多くなります。通常、加齢に伴って手元の物が見えにくくなる40歳以降に老眼鏡が必要と感じる方が増えますが、早い人では30代後半から症状が現れることもあります。
通常、近点距離が30cm以上になると、老眼鏡の使用を検討するタイミングとされています。
老眼鏡を使用することで近くの物を楽に見ることができ、特にスマートフォンの画面を見る際や、細かい作業の際に便利になります。
老眼鏡の度数には4段階ある
年齢と老眼鏡度数の目安をまとめました。
この度数はあくまで一般的な目安であり、近視や遠視がある場合や、特定の作業に合わせて度数を調節する必要がある場合もあります。自分の状態に最適な度数を知るためには、眼科で検査を受けるのがおすすめです。
老眼鏡の度数を調べる方法
自分に合った老眼鏡の度数を調べるには、主に以下のような方法があります。
- セルフチェックで調べる
- 眼科で調べる
- 眼鏡店で調べる
それぞれの調べ方について、詳しく確認してみましょう。
セルフチェックで調べる
まずは、セルフチェックで調べる方法です。指先を利用しておおまかな近点距離を測定し、その後「老眼度数自己診断表」で具体的な度数を確認します。
正確な度数を知るためには眼科で検査を受ける必要がありますが、そもそも眼科に行く必要があるか分からない場合や、取り急ぎ既製品の老眼鏡を調達したい場合などにはセルフチェックが便利です。
ステップ①指先で近点距離を確認
度数を測定する前に、そもそも老眼鏡が必要な状態かどうかを確認しましょう。
老眼鏡は、手元でピントが合う一番近い距離(近点距離)が30cm以上になった時点で検討するのが一般的です。自分の指を使って近点距離を簡易的に測ることで、老眼鏡が必要かどうかを知る目安となります。
近点距離を簡単に測定するには、以下の手順を試してみてください。
- 人差し指の腹を目のすぐ前にかざします。
- 指先を徐々に遠ざけ、指紋がくっきり見えるポイントを確認します。この指紋が鮮明に見える位置が近点距離です。
近点距離が30cm以上だった場合は、老眼鏡の使用を検討する必要があります。「ステップ②老眼度数自己診断表で度数を確認」へ進みましょう。
ステップ②自己診断表で度数を確認
老眼鏡の度数をセルフチェックするには、インターネット上に公開されている「老眼度数自己診断表」や「度数目安表」と呼ばれるツールを使うと便利です。
インターネット上で「老眼度数自己診断表」や「度数目安表」を探し、A4サイズで印刷し、目から約30cm離した位置で固定します。裸眼の状態でこの表を見て、読みづらい文字の位置が度数の目安となります。
これにより、おおまかな老眼鏡の度数を把握できます。ただし基本的には、より正確な度数を測定し、目の状態の個人差も考慮した上で老眼鏡を選ぶ必要があります。日常的に使用する老眼鏡を購入する際は、眼科で検査を受けるのがおすすめです。
眼科で調べる
セルフチェックが難しい場合や、左右の目で度数に大きな差がある場合は、眼科での検査が推奨されます。特に、普段使用しているメガネの左右のレンズの度数が異なる場合は、老眼鏡の度数もそれに合わせた微調整が必要になるかもしれません。
乱視やほかの目の病気がある場合も、自己判断で適切な老眼鏡を選ぶのは難しくなります。また、遠近両用メガネで近くと遠くの両方にピントの合ったメガネを作りたい場合にも、眼科を受診してメガネの処方箋を発行してもらうのが良いでしょう。
眼科での診察を受けることで、視力の正確な状態が分かり、必要に応じて目に合った度数を選んでもらうことができます。自己判断ですませず、医師に相談しましょう。
眼鏡店で調べる
眼鏡店でも、簡易的な視力測定によって老眼鏡の度数を確認できます。
眼鏡店は、生活スタイルや好みに合わせた老眼鏡を多数の商品の中から提案してくれるのが強みです。パソコン作業やデジタル機器の使用が多い方にはブルーライトカットレンズ、屋外での使用が多い方にはUVカットレンズなどのオプションも、親身に相談にのってくれます。また、アフターサービスも充実しており、後から度数やレンズを調整する際も安心です。
時間の都合などで病院に行くことが難しい場合は、眼鏡店に相談するのもおすすめです。
老眼鏡の選び方のポイント
老眼鏡を選ぶ際は、以下の点を意識することが大切です。
- 用途に合わせた度数を選ぶ
- 定期的に度数を見直す
- かけ心地の良いフレームを選ぶ
- デザインにこだわる
続いては、それぞれのポイントについて解説します。よく確認した上で、快適に使用できる老眼鏡を選びましょう。
用途に合わせた度数を選ぶ
老眼鏡を選ぶ際には、どのような目的で使用するのか、どの距離で物を見ることが多いかを考慮して、用途に合わせた適切な度数を選ぶことが非常に大切です。
例えば、スマートフォンや本などの近距離の物を見る機会が多い方は、やや強めの度数がおすすめです。手元を見る時間が多い場合、その距離でしっかりピントを合わせられる度数の老眼鏡をかけることで目に負担をかけず、快適に見えるようになります。逆に、パソコン作業や料理など距離がある物を見る機会が多い方は、弱めの度数の老眼鏡でも問題ないかもしれません。
度数が強ければすべてがクリアに見えるわけではなく、誤った度数の老眼鏡は、目の疲労や視力低下につながる恐れもあります。そのため、用途に合った適切な度数を選ぶことが、老眼の進行をゆるやかにし、快適な視界を長く保つためにも重要です。
また、度数とともに、用途に合わせて近近両用レンズや中近両用レンズも検討すると良いでしょう。
近近両用レンズは、レンズ上部に中間から近距離の度数が入っており、レンズ下半分を近方度数に累進させています。1m程先から手元までの距離がよく見えるため、手元とパソコン画面などを交互にみる場合などに便利です。
中近両用レンズは4m程先から手元までを見ることができるレンズです。レンズ上部に中間距離の度数が入っており、レンズ下半分を近方度数に累進させています。遠方ははっきりしないため、運転など遠くを見ることが多い場合には使用できませんが、遠くを見ることが少ないオフィスや屋内での生活などではとても便利です。
迷った時は、眼科や眼鏡店に相談しましょう。日常の使用シーンやライフスタイルに合わせた度数の提案を受けられるため、安心して老眼鏡を選ぶことができます。
定期的に度数を見直す
老眼は年齢とともに徐々に進行するため、老眼鏡の度数も年齢や生活習慣によって変化していきます。一般的には、40代から60代の間に視力が大きく変わりやすく、この間は特に定期的に度数を見直すことが重要です。
例えば、最初に作った老眼鏡の度数では文字がぼやける、もしくは疲れやすくなってきたと感じる場合には、度数を見直しましょう。2〜3年ごとに眼科や眼鏡店で視力を再測定し、最新の度数に調整することで、視界をクリアに保ち、目にかかる負担も軽減できます。
度数が合わないまま古い老眼鏡を使い続けると、見えにくさや不快感が生じ、頭痛や目の疲労を引き起こすこともあります。定期的に度数を確認し、目の変化に応じた老眼鏡を使うことで、視力の低下を予防しながら、長く快適な視界を維持することができます。
かけ心地の良いフレームを選ぶ
老眼鏡は、日常生活で長時間使うことも多いため、フレームのかけ心地がとても重要です。
フレーム選びでは、デザインだけでなく、実際にかけた時のフィット感や軽さが使用感に大きく影響します。軽量タイプのフレームは鼻や耳にかかる負担を軽減することができるため、長時間の使用でも疲れにくく、かけていることを忘れるほどの快適さを提供してくれる商品も存在します。
また、顔の形に合ったフレームや鼻あて部分の角度を調整できるフレームを選ぶことで、老眼鏡のズレを防ぎ、視界を安定させることができます。さらに、柔軟なテンプル(つる)を備えたフレームであれば、かけ外しがしやすく、フィット感も良いため、快適に使うことができます。
このように、細かなポイントにこだわって選ぶことで、かけ心地が格段に向上し、日常的な老眼鏡の使用がさらに快適になります。フレーム選びで迷った時は、眼鏡店のスタッフに相談しましょう。
デザインにこだわる
老眼鏡は実用性だけでなく、ファッションの一部としても楽しむことができます。デザインにこだわることで、ファッションスタイルや使用シーンに合わせたおしゃれを楽しむことが可能です。
例えば、ビジネスシーンでは、知的で真面目な印象を与えるスクエア型やメタルフレームの老眼鏡を選ぶことで、信頼感や誠実な印象が高まり、相手に好印象を与えることができます。カジュアルな場面や自宅でくつろぐ時には、顔なじみが良く親しみを感じやすいオーバル型や、軽くて明るい色合いのフレームで、リラックスした雰囲気を楽しむことができます。フレームの素材も重要で、メタル素材はフォーマルでシンプルな印象、プラスチック素材はカジュアルで柔らかな印象を与えます。
フレームの形状や素材をうまく利用することで、老眼鏡をおしゃれなアクセサリーとして取り入れ、自分の個性を演出するアイテムとして活用するのも、年齢に応じた楽しみ方の一つです。
よくある質問
続いては、老眼鏡に関して迷いがちな、以下のご質問に回答していきます。
同じような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?老眼鏡を選ぶ際の参考にしてみてください。
度数の合っていない老眼鏡を使うとどうなる?
度数が合わない老眼鏡を使うことで、見えにくさを感じるだけでなく、健康へ悪影響が出てしまう可能性もあります。
特に、強い度数の老眼鏡をかけ続けると、近くの物にピントが合いやすくなる一方で、目の疲れが増し、眼精疲労や頭痛の原因となる場合があります。パソコンや書類などの中距離を見る際には、少し弱めの度数を選びましょう。目が疲れにくく、より快適に作業を行うことができます。
逆に、度数が極端に弱すぎると、手元の小さな文字や細かい作業が見えにくくなります。目を細めたり焦点を合わせるために無理をすることで、目の筋肉に余分な負担をかけ、結果として視力に悪影響を与えてしまう可能性もあります。
老眼鏡を選ぶ際には、自分の見え方に合った度数を確認し、購入後も定期的に検査を受けることが大切です。強すぎず弱すぎず、適切な度数の老眼鏡を使い、目の健康を保ちましょう。
老眼鏡を使うと老眼が進行する?
老眼鏡を日常的に使うことで、老眼が進行してしまうのではないかと心配される方も多くいらっしゃいますが、これは誤解です。老眼は加齢に伴う自然な生理現象の一つで、老眼鏡を使用するかどうかに関わらず、誰もが徐々に進行していくものです。
老眼が進行するにつれて、ピントが合う距離が遠くなり、目の疲労感や見え方の不快感が増していきます。老眼が悪化すると、裸眼では日常的な作業が難しくなる場合もあります。しかし、適切な度数の老眼鏡をかければ、目の負担を軽減しながら、快適に生活することができます。
無理して弱い度数の老眼鏡を使用し続けると、目にかかるストレスが増え、結果的に老眼の症状が悪化することもあるため、自分に合った度数の老眼鏡を選ぶことが大切です。
近視の人は老眼にならない?
近視の人は、一般的には手元が見えやすい状態にあるため、老眼にはならないと誤解されることが多いです。しかし実際には、近視の人でも老眼は進行します。
近視の人は、近くにピントが合わせやすい状態にあるものの、加齢とともに水晶体の弾力性が低下し、近くにピントを合わせる能力も徐々に低下していきます。軽い老眼の場合は老眼鏡を使用しない人も多いですが、知らず知らずのうちに目に負担がかかり、視力に悪影響を与えてしまうこともあります。
近視の人でも、少しでも見え方に不安を感じた場合は医師に相談し、自分の目の状態を確認することが大切です。近視があるからといって老眼鏡を使用しないのではなく、定期的に視力をチェックし、必要に応じて老眼鏡の使用を検討しましょう。
近視と老眼の両方に対して正しく対処することが、目の健康を長く保つ秘訣と言えるでしょう。
老眼鏡とルーペは何が違う?
老眼鏡とルーペは、どちらも近くの物を見やすくするための道具ですが、役割と機能がそれぞれ異なります。
老眼鏡は、主に目のピント調節をサポートし、手元や近距離の視界をクリアにするために設計されたメガネです。通常、長時間の読書やパソコン作業など、日常的な手元の作業を快適に行うために活用されています。
一方、ルーペは特定の物を特定の倍率で拡大するための道具で、ピント調整機能はありません。細かい文字や小さな物体を確認するために一時的に使用されることが多く、細かい作業や趣味の分野での利用に特化しています。
このように、役割と機能が異なる老眼鏡とルーペは、用途に応じて使い分ける必要があります。日常生活の中で長時間手元の作業を行う際には老眼鏡を、特定の物を拡大して見る必要がある場合にはルーペを使用することで、それぞれの特性を活かして快適に作業することができるでしょう。
まとめ
この記事では、老眼鏡の度数をセルフチェックする方法や老眼鏡の選び方など、快適に「見える」生活を長く続けるためのヒントについて詳しく解説しました。
加齢に伴う視力の変化に対応するためにも、老眼鏡をうまく活用していかなければなりません。読書やパソコン作業など、様々な場面で快適に過ごすためには、度数・フレーム・レンズの種類など、多くの選択肢の中から、自分のライフスタイルに合った最適な老眼鏡を選ぶことが大切です。
購入後は、定期的な検査も忘れずに行い、常にクリアな視界を確保しましょう。