この記事の執筆者
眼とメガネの情報室
みるラボ編集部
目次
最近になって近くの物がボヤけると感じたり、文字を見る時に遠ざけて見たりしていませんか?心当たりのある人は、老眼の可能性があります。近視用メガネをかけても「近距離・遠距離ともに見えづらくなった」という悩みを持つ人には、遠近両用のリーディンググラス(老眼鏡)がおすすめです。
しかし、初めて老眼鏡を作る時はレンズや度数、フレームなど、どのように選んだら良いか迷う人も多いのではないでしょうか。この記事では、近視向けリーディンググラス(老眼鏡)の正しい選び方やポイントについて解説していきます。
自分にピッタリ合うリーディンググラス(老眼鏡)を選びたい人、または目への負担を軽減する対策が知りたい人は、是非参考にしてください。
そもそも近視・老眼とは?
近視とは、網膜より前でピントが合ってしまい、遠くが見えづらい状態を指します。正視の基準は、リラックスしていてピント調整を行わない時、5m以上先の物体に焦点が合う状態です。しかし、近視になるとピントにズレが生じ、裸眼では遠方が見えにくくなります。
近視の要因として、眼球の長さ(眼軸)が正視の目よりも長い、もしくは角膜や水晶体の屈折率が強いと考えられています。
近視に関する詳細はこちらの記事をご覧ください。
老眼とは、加齢により目の中の組織が固くなり、さらにピント調節の機能低下が起きている状態です。目の老化現象の一つで、正式には老視と呼ばれています。発症時期に個人差はあるものの、一般的には40歳前後から始まり誰もがなる可能性があります。
老眼は少しずつ進行するため、症状が出ていても気づかない、もしくは放置してしまう人も少なくありません。
老眼の原因や症状に関する詳細はこちらの記事をご覧ください。
近視の人も老眼になる?
年を取れば目の調節機能は誰もが低下するため、近視の人だけでなく正視や遠視も含め、老眼はすべての人に発症する可能性があります。
老眼になると近くの物が見えづらくなります。近視はもともと網膜の手前でピントが合うため、近くは見えやすく、遠くが見えづらい状態です。そのため、老眼になって手元のピントを合わせづらい状態になると、他の人よりも老眼による症状を自覚しづらいのです。つまり、近視の人は老眼鏡が必要ないのではなく、必要と感じる時期が遅い傾向にあります。
遠視は近くが見えづらく、遠くがよく見えることから、老眼と勘違いする人もいます。老眼になると、遠くが見えるようになるわけではありません。また、遠視の人はもともと近くが見えづらいため、老眼による症状を自覚しやすいのです。
老眼と、近視と遠視では物が見えづらい仕組みが異なります。そのため、老眼の人が近視や遠視用のメガネをかけても、物が見えやすくなるわけではありません。
近視の人も遠視の人も、目の老化が進行して生活に支障が出始めている場合は、リーディンググラス(老眼鏡)が必要です。
近視の人が「老眼になったかな」と感じ始めるきっかけ
老眼は突然くるものではなく少しずつ進行し、様々な症状が起こり始めます。多くの人が「老眼になったかも」と感じ始めるきっかけは、下記の通りです。当てはまる項目が多いほど、老化が進んでいる可能性があります。
- 新聞や本などを見る時、遠ざけた方が見やすい
- 夕方になると視界がボヤける
- 目線を移した際、すぐにピントが合わない
- 目が疲れやすくなった
近視でもリーディンググラス(老眼鏡)が必要な場合とは?
ここでは、老眼を自覚し始めた近視の人に向け、リーディンググラス(老眼鏡)が必要な場合について解説していきます。項目別に紹介していくので、是非参考にしてください。
近視用メガネをかけても近くがボヤける
近視用メガネはレンズが目のピント調整を補い、正しい状態(正視)へと近づけてくれます。しかし、加齢による目の水晶体の衰えから調節しづらくなった老眼は、近視用メガネでは補えません。そのため、メガネをかけていても手元が見えにくくなります。
ただ単に、現在の視力とメガネの度数が合わなくなったとも考えられますが、老眼の場合はリーディンググラス(老眼鏡)が必要です。安易に自己判断せず、眼鏡店での測定や眼科で検査を受け、自分の目の状況を確認することをおすすめします。
明るくしないと文字が読めない
薄暗い場所で文字が見えにくく感じ、手元を明るく照らさないと読めない場合は老眼の可能性が高くなります。例えば、間接照明の効いた雰囲気の良いお店では、メニューがボヤけて見えにくい。もしくは、寝室のベッドサイドランプだけで小説やスマホを見ようとした時、結局部屋の電気をつけるといった状態です。
自覚症状がある人は、リーディンググラス(老眼鏡)の購入をご検討ください。ただし、老眼の症状によく似た目の病気も存在します。長年紫外線に晒され続けた水晶体の内部で、タンパク質が変性し起こる白内障という病気です。そのため、一度眼科での受診をおすすめします。
白内障についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
肩こりや頭痛など体調不良が続く
老眼が原因でピントが合っていない場合、日常生活の中で目にかかる負担が大きいため、疲れ目を起こす可能性が高くなります。疲れ目による身体症状は下記の通りです。
- 肩や首がこる
- 頭痛が起こる
- めまいやふらつきがある
- 倦怠感(けだるさ)が続く
- 吐き気が起きる
40歳以上で体に不調が続く場合は、老眼が原因の可能性を考慮して早めに眼科へ相談に行きましょう。その後、リーディンググラス(老眼鏡)を作るのがおすすめです。適切なメガネを活用すれば疲れ目を軽減し、体調不良の改善も期待できます。
近視向けリーディンググラス(老眼鏡)の選び方 ①レンズ
ここでは、近視向けリーディンググラス(老眼鏡)のレンズの選び方として、重要なポイントを解説していきます。近視・老眼向け、それぞれに最適なレンズを紹介するので参考にしてください。
近視用レンズ
近視用レンズに用いられている凹レンズは、単焦点レンズとも呼ばれています。凹レンズは球面で厚みがあり、一定の距離に対する視力を補正し、ピントを遠くに合わせて視野を広くするレンズです。適切な度数のメガネやコンタクトレンズを使用すると網膜にピントが合い、遠くの物が見えやすくなります。
老眼の状態で近視用レンズを使用する場合は、近用・中間用・遠用として目的別に距離を定め、複数作る必要があります。老眼初期で近視が強い人なら、度数の弱い近視用メガネを老眼鏡の代用にすることも可能です。ピントの合う位置が遠くなるので、遠方の物も問題なく見えるでしょう。
老眼対策用レンズ
老眼対策用レンズに用いられているのは、多焦点レンズです。デスクワークで使用したい場合は「近近レンズ」、室内では「中近レンズ」、常用するなら「遠近両用レンズ」と、3タイプに分かれています。
近視から老眼になった人は、自身の生活スタイルに合わせてレンズを選びましょう。リーディンググラス(老眼鏡)を常用したい人は、遠近両用レンズをおすすめします。遠近両用レンズの主流は「累進レンズ」です。
別名「累進多焦点レンズ」とも呼ばれており、レンズの中でグラデーションのように度数が変化します。そのため、近用・中間用・遠用と視力を幅広く補える設計があるのが特徴です。一つのレンズで近用~遠用の度数に設計されているため、用途によってメガネをかけ替える手間がなくなるだけでなく、費用も抑えられます。ただし、老眼の度数(加入度)が進んだ場合は目的に合わせた累進レンズの設計と室内用や遠近両用の使い分けが必要になる可能性があります。
レンズについてもう少し詳しく知りたい方は、「メガネレンズの基礎知識!どうやって選ぶ?」の記事を参考にしてください。
上記の3タイプ以外に、若い世代の方でも利用できるアシストタイプというレンズもあります。近くを見るのをサポートするレンズで、 老眼初期から使い始めることで、老眼鏡や上記の老眼対策用レンズをかける時にスムーズに慣れることができます。疲れ目予防にもなるのでおすすめです。
近視向けリーディンググラス(老眼鏡)の選び方 ②度数
老眼は年齢を重ねていくほど進行し、ピントの合う位置も年々遠くなっていきます。そのため、自分に適したリーディンググラス(老眼鏡)の度数は、年齢ごとに変化します。
既製品のリーディンググラス(老眼鏡)の場合は「+1.0・+2.0」のように表記されており、この数字が大きい程、度数が強くなるので分かりやすいです。既製品から選ぶ際は、必ず試しに装着して見やすい度数を確認しましょう。
近視の人は老眼と近視の兼ね合いがあるため、眼病のチェックも兼ねて眼科を受診して医師に目の状態を診断してもらい、処方箋を持って眼鏡店に行くのがおすすめです。もちろん、眼鏡店でも視力測定はしてもらえます。
しかし、医師による診断結果があれば度数選びで迷うことなく、スムーズに自分にピッタリのリーディンググラス(老眼鏡)を作成できるでしょう。
近視向けリーディンググラス(老眼鏡)の選び方 ③フレーム
近視向けリーディンググラス(老眼鏡)を購入する際は、なるべく縦幅が30mm以上あり、横幅は少し狭いフレームを選ぶのがおすすめです。フレーム型は、スクエア型・ウェリントン型・ボストン型が比較的遠近両用に向いています。後から調整しやすい鼻パッド付きタイプを選ぶと、なお良いでしょう。
フレーム型が決まったら実際に店舗でメガネをかけ、耳が痛くならないか、または視界にフレームが入ってこないかなど、つけ心地を確認してください。メガネはデザイン性も重要ですが、かけていて疲れるフレームを使用し続けるとストレスを感じてしまいます。デザイン性だけでなく機能性も併せて考え、選ぶようにしましょう。
目への負担を減らすための対策
最後に、目への負担を軽減する方法を3つご紹介します。長時間、テレビの視聴やパソコン・スマホの使用によって酷使しがちな目を労り、疲れ目の軽減に役立ててください。
休憩をしっかりとる
仕事や勉強でパソコンやスマホを長時間使う場合は、適度に休憩をとることで目の疲れを軽減できます。作業に没頭して休憩を忘れがちな人は、タイマーを使った「ポモドーロ・テクニック」がおすすめです。
ポモドーロ・テクニックは、集中する時間と休憩時間を繰り返すことで、仕事のペースを生み出す時間管理術で、25分間の集中と5分間の休憩を4回行い、2時間経過したら30分休憩することを推奨しています。そうすることで作業効率や成果物の質がアップするとされています。
目を温める
目を温めると、血管が拡張し血流を促進するだけでなく、気分のリフレッシュにも効果的です。目が疲労すると、筋肉の緊張により血流も悪くなります。家にあるタオルを水で濡らして軽く絞り、電子レンジに入れて30秒程度加熱すれば、簡単にホットタオルができます。
自分でホットタオルを用意するのが面倒な人は、市販のホットアイマスクで目元を温めるのも良いでしょう。
疲れ目用の目薬を使う(乾燥対策にも)
適切な目薬の使用も、目の負担の軽減につながります。疲れ目専用の目薬は、市販でも様々なメーカーから発売されているので、選択肢が多いのが利点です。種類が豊富で、どれがいいのか迷ってしまう人は、薬剤師に相談してみてください。
基本的に、ドラッグストアには薬剤師が常駐しています。そのため、薬剤師に自分の目の症状や悩みを伝えれば、適切な目薬を一緒に選んでくれます。
まとめ
今回は、近視向けリーディンググラス(老眼鏡)の選び方についてご紹介しました。選び方の他に老眼に気づくきっかけについても解説してきたため、老眼鏡を作るタイミングが把握できた人も多いでしょう。
目への負担を軽減する対策も行いつつ、自分に合ったリーディンググラス(老眼鏡)を使用しましょう。快適なライフワークを過ごすためにも、是非本記事を参考にしてみてください。