この記事の執筆者
眼とメガネの情報室
みるラボ編集部
目次
PC作業の時間が長くなり目に疲労を感じると、PCメガネを試してみたいと考える方も多いでしょう。最近では20代、30代の若い世代でも、スマホなどを近距離で長時間利用する事で、近くが見えづらいなど老眼のような症状を訴える人が増えており、「スマホ老眼」と呼ばれています。
PCを使う機会の多い人に試していただきたいPCメガネについて、その仕組みと効果を解説します。疲れ目対策になるメガネレンズやブルーライトについても詳しく解説しますので参考にしてみてください。
PCメガネとは?
PCメガネとはパソコン作業をする時に使用するメガネのことです。「PCグラス」「ブルーライトカットメガネ」とも呼ばれることがあり、市販されています。
PCメガネの特徴と仕組み、注意点についても詳しく解説します。
PCメガネの特徴
PCメガネの特徴は、パソコンを見るのが快適な距離に度数を合わせる機能が付いていたり、ブルーライトをカットする性能が加えられています。
通常の遠くを見る用のメガネとは違い、老眼鏡を使用する世代だとパソコン作業専用でPCメガネを作成します。若い世代にも近くを見るのをアシストする機能の付いたメガネがあり、使用すると長時間の作業をサポートします。
ブルーライトとはパソコンやスマホなどのLEDの光の中に含まれる青い波長の光のことで、太陽光にも含まれています。太陽光は子供の目の成長に必要なため、最近、子供にブルーライトカットメガネを常時かけさせることで、かえって悪影響を及ぼす可能性も指摘されています。
PCメガネの仕組み
PCメガネはパソコン作業に適した仕組みになっています。
人間は目の中の水晶体というカメラでいうレンズの部分の厚みを調節し、近くにピントを合わせてモノを見ています。その調節力が老化現象により衰えることで老眼になります。
老眼鏡に必要な度数は、使用する人の目の屈折の状態と物との距離や使用方法などに合わせて調整が必要です。パソコン作業にはパソコン専用のPCメガネを処方してもらうのが望ましいでしょう。
パソコンの使用時間や使用方法などは人によって異なるため、適切なPCメガネは人それぞれに違います。
例えば、50代など老眼を感じ始めている世代には手元の伝票とパソコンの画面を交互に見る場合は中近両用メガネという、手元とパソコンの画面に合わせたPCメガネが必要です。また、使用する場所の明るさや見るモノとの距離に合わせてブルーライトのカット率も選択しましょう。
PCメガネの効果
PCメガネは自分の状態に合わせたレンズを選択して作成することで効果を発揮します。
例えば、まぶしさやちらつきが気になる方には、カラー付きレンズやブルーライトカットレンズがおすすめです。また、目の疲れが気になる方には、中近両用レンズやアシスト機能のついたタイプが良いでしょう。
ここからはPCメガネの効果について、それぞれ解説します。
まぶしさやちらつきを軽減
カラー付レンズやブルーライトカット対応のPCメガネにはまぶしさやちらつきを軽減する効果があります。
パソコンやスマホの画面に使われているLED画面からは青色の光が出ています。強いパワーを持つこの青色の光は目で見ることが出来る光の中でも一番まぶしく感じます。日常的にパソコンやスマホを長時間見続けることがあり、まぶしさやちらつきを強く感じる場合の対策としてPCメガネが有効です。
ただし、いつもと違ってひどいまぶしさを感じる時や違和感がある時は、眼疾患の可能性も考えられるため、眼科を受診しましょう。また、効果には個人差があり効果を実感出来ない場合もあります。購入時は眼鏡店で確認してから購入する方がよいでしょう。
目の疲れを軽減
近くを見る力(調節力)をサポートするタイプのPCメガネを使用することで目の疲れを軽減させることができます。
パソコンの画面は目から40~50cm程度の距離にあることが一般的です。その距離にある文字や数字にピントを合わせるために目は調節力を使っています。適切なメガネでこの目の調節力を補助することで、目の疲れが軽減される可能性があります。
近くはよく見えるからメガネは必要ないという近視の人でも、無意識に画面に近づくことで姿勢が悪くなっている可能性もあります。低めの度数の入ったPCメガネを使用すると姿勢が良くなり肩こりなどの症状が改善する場合もあります。
また、長時間のパソコン作業による目の疲れもPCメガネを使用することで軽減させることが期待できます。疲れを未然に防ぐという目的からもPCメガネはおすすめです。調節力をサポートするタイプのPCメガネには、年代によって中近両用レンズやアシストタイプなどがありますので、自分に合うレンズを眼鏡店や眼科で相談してみましょう。
ブルーライトカット
PCメガネはパソコンとの距離に合わせた度数を入れて、さらにブルーライトカット機能を付けたメガネを作成する方法があります。また、度なしでブルーライトカットの機能だけを付けたメガネを作成する方法もあります。
ブルーライトカット機能による疲れ目への効果の感じ方には個人差があります。
しかし夜間にパソコンやスマホの画面を近い距離で長時間見続けることで、睡眠障害を起こすことが懸念されています。睡眠障害やうつ病のリスクや視力低下の原因になる可能性もあるため、ブルーライトカットの効果があるPCメガネを使用するのも対策の一つになるでしょう。
ブルーライトが体に及ぼす影響
ブルーライトが体に及ぼす影響を主に2つ紹介します。
- 視力の低下
- 睡眠の質の
低下
視力の低下
ブルーライトが過剰に目に入ることは視力低下の原因になる可能性があります。
ブルーライトが視力へ及ぼす影響については、さまざまな研究がなされています。ブルーライトが直接的に眼疾患の原因となることは考えにくいです。しかし夜間に長時間近距離でLED画面を見続けることは睡眠障害を招く可能性があります。
太陽光に含まれる紫外線は大量に目に入ることで白内障や電気性眼炎(雪眼)の原因になります。ブルーライトは目に見える光の中でも一番紫外線に近く、パワーの強い光です。
ブルーライトは少し目に入るぐらいでは悪影響にはなりません。しかし、夜間に過剰に目に入ることを抑制することで、生活リズムの改善にもつながる可能性があります。
睡眠の質の低下
寝る前にスマホやパソコンの画面を近距離で見ると睡眠の質が低下する恐れがあります。
人間は本来、朝に日の光を浴びることで体内時計を合わせています。そして夜には眠くなるような体の仕組みなのです。
しかし寝る前にスマホで動画を長い時間見たりすることで、本来なら目に入るはずのない寝る前の時間に太陽光に近い光のブルーライトが目に入ってしまいます。これが原因で寝つきが悪くなったり、睡眠の質が下がる可能性があります。
就寝前はスマホの利用は控えましょう。ただし、どうしてもスマホを使わなければならない人には、PCメガネの利用で睡眠の質を下げないように対策をするのも一つの方法です。
PCメガネの選び方
実際にPCメガネを購入する際の選び方について解説します。
PCメガネにはいくつかの種類がありますので自分に合ったPCメガネを選びましょう。
PCメガネのブルーライトカットタイプには「反射するタイプ」と「吸収タイプ」の2種類がある
PCメガネには、ブルーライトなどの光を「反射するタイプ」と「吸収タイプ」の2種類があります。それぞれの特徴や仕組み、どんな人におすすめなのかなど詳しくご説明します。
反射するタイプの特徴
反射するタイプのPCメガネは普段使いのメガネにおすすめです。
- レンズの色:透明
- カット率:低い
- ブルーライトカットの方法:レンズに特殊なコーティングをする
反射するタイプのPCメガネはレンズに特殊なコーティングをすることでブルーライトを反射させる仕組みです。
ブルーライトだけでなく、照明などの光も反射してしまうため、レンズが鏡のように光る事があります。ブルーライトのカット率は吸収タイプに比べると低くなってしまいます。しかし、見た目は透明で普通のメガネと変わらないのでいつものメガネとして使用することが可能です。
生活や仕事がパソコン作業だけでない場合、いちいち付け替える必要がないので便利です。また、主に屋外での仕事をされている方にとっても紫外線カットとプライベートでのスマホのブルーライトカットに有効なのでおすすめです。
眼鏡店によっては今お使いのメガネのレンズをブルーライトカットのレンズに交換してもらえる場合もあります。価格はレンズによって異なりますので、一度眼鏡店で確認してみましょう。
反射するタイプのPCメガネはこんな人におすすめ
- パソコンを持ち歩いて作業をする営業マン
- スマホをよく使う学生や主婦
- オフィスワークの最中に接客することがある方
- 屋外の作業が中心の方
子供がブルーライトカットのメガネを使用することは目の発達を妨げる可能性があります。大人の場合は、ブルーライトカットで疲れ目に対して効果を感じる方には使用は問題ありません。
吸収タイプの特徴
吸収タイプのPCメガネはオフィス使いにおすすめです。
- レンズの色:半透明に着色があるカラーレンズ
- カット率:高い
- ブルーライトカットの方法:色のついたレンズでカットする
吸収タイプのPCメガネはレンズにカラーレンズを使用してブルーライトをカットする仕組みです。青色と反対の暖色系の色のレンズを使用するとカット率が高くなります。
カラーレンズを使用しているので、視界はそのレンズの色によって変化します。実際の色とは全く同じではなくなるので注意が必要です。
ブルーライトのカット率は反射タイプに比べて高く、自分の生活スタイルに合わせたレンズの色を選ぶことで、カット率を選択できます。
カラーの濃度によってはレンズの色が気になるものもあるので、接客業や営業職の人などは仕事に影響の無い程度のさりげない色を選ぶようにしましょう。最近では、テレワークの増加で、カラーレンズのメガネを楽しむ人が増えてきているので、ご自身の好みとライフスタイルに合わせて、レンズの色と濃度を選択しましょう。
吸収タイプのPCメガネはこんな人におすすめ
- オフィスワークでパソコンを長時間使用する方
- 寝る前にスマホで動画を見たい方
- プログラマー
- ゲームを長時間する方
LED画面を長時間見続ける必要がある方は、少しでも目の負担を減らすために、眼科で度数をしっかりと合わせてもらったメガネを吸収タイプのレンズで作成することをおすすめします。
PC操作にはこんなメガネも
おすすめ
PCメガネを選ぶ際には自分の年齢や使い方に合わせた選び方をする必要があります。
- 老眼世代:中近両用レンズ
- 若年世代:近くを見るのをアシストする機能のついたレンズ
室内全般の見るをアシスト
老眼を自覚する世代のPCメガネには室内用の中近両用レンズを使用することをおすすめします。
中近両用レンズは遠近両用レンズとは違い、主に室内での使用に役立ちます。
遠近両用メガネ
- レンズの仕様:運転や散歩などに使用する遠用のレンズの下部分に近くも見えるよう度数が加えられています。
- レンズの特徴:レンズの上部分で遠くのモノがハッキリ見えるレンズです。近くのモノはレンズの下の部分を使って見ることができます。
中近両用メガネ
- レンズの仕様:レンズの中央にパソコンとの距離に合わせた度数を入れます。上部分は室内の遠く(3~4m程度)がハッキリする度数、下部分で手元の距離に合わせた度数が入っています。
- レンズの特徴:パソコンの画面がハッキリ見える度数を入れて作るレンズです。人によっては新聞や雑誌との距離に合わせる場合もあります。少し離れたテレビの画面や手元にも対応しているため、室内で使用するのに有用です。
度数の入ったPCメガネを作成する際は眼科で処方してもらいましょう。その際に大切なのは、使用目的や方法、距離をしっかり伝えることです。
眼科によって方法は違いますが、合わせたレンズを試す時間がある場合がほとんどです。パソコンの距離がハッキリして見えるか少し時間をかけてチェックすると満足度の高いレンズになるでしょう。
近くを見るのをアシスト
若年世代のPCメガネにも近くを見るのをアシストする機能のついたレンズをおすすめします。
老眼をまだ自覚していない年齢であっても、近くを見るのに目は調節力を使っています。それが同じ距離で長時間になると、目の負担も大きくなります。一定の時間近くを見る作業が続いた後は遠くを見て休憩するなどの対策をしましょう。
目の負担を軽くして疲れなどの症状を予防する点からも、PCメガネは有効です。目の調節力を助ける機能が加えられたPCメガネを使用すると目の疲れを感じる頻度が減るかもしれませんので、気になる方はぜひ一度お試しください。
- レンズの仕様:近くを見るための度数がレンズの下半分に少しだけ加えられています。
- レンズの特徴:パソコンやスマホを長時間見る若年世代用に作られたレンズです。
アシストタイプのレンズの仕様はメーカーによってさまざまです。眼鏡店に相談してみると良いでしょう。
ただし、どのメーカーのレンズを選択しても共通していることは、遠く用のメガネの度数が基本になるということです。その度数が間違っていると快適なPCメガネにはなりません。眼科で視力検査を受けて、自分の目に合ったメガネの度数を調べてもらい処方を受けましょう。
まとめ
PCメガネは自分に合ったレンズを選択することが大切です。PCメガネを使う時間や環境、自分の目の状態などを合わせて考えましょう。
目の調節力は年齢や目の状態によって人それぞれ違いますので、眼科での検査を受けましょう。適切な度数のメガネを使用してパソコン作業をすると、今までと違って快適になる可能性があります。
また、ブルーライトが夜間に過剰に目に入ることで睡眠障害を引き起こす可能性があります。睡眠の質が気になる方は夜間のスマホの利用を控えるなど、普段の生活の見直しやPCメガネの利用を検討してみるのもよいですね。
参考文献
出典:気象庁ホームページ 紫外線とは
https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/uvhp/3-40uv.html