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40代を迎え、細かい小さい文字が見えにくくなったと感じることありませんか?ふと、遠くを見た時にピントが合うまでに時間がかかるようになっていませんか?
それは、もしかしたら「老眼」が原因かもしれません。老眼は誰にでも起こる老化という生理現象の一つです。しかし、その「見えにくさ」には白内障や緑内障といった老眼以外の原因が隠されているかもしれません。
この記事では、40代の視力が低下する原因について、老眼と白内障、緑内障などの目の病気について分かりやすく解説していきます。それぞれの違いを正しく理解しておくことで、目に違和感を感じた時に早めに対処することができます。
40代の視力の平均は?
急に視力が低下することはある?
2013年ソフトブレーン・フィールド株式会社が実施した、20~70代の男女4,476名への「目」に関するアンケート調査によると、40代の50.8%が平均視力が0.4未満ということが分かりました。この調査結果からすると、40代では近視の人が2人に1人はいることになります。
パソコンやゲーム、スマホを使用する機会が多い世代で、視力低下の割合が高くなっている傾向があります。50代以降になると、その割合は減っていきます。
近視は一般的には小中学生から始まり、20代で進行が止まるといわれていました。しかし、パソコンやスマホを見る時間が増えている現代では、30~40代でも近視が進行することも少なくありません。近視は遠くがぼやけて見え、近くはよく見えるため、40歳前後で近くのものが見えづらくなってきた場合は、老眼の初期症状かもしれません。
小さい文字が見にくい、目が疲れやすい、ピントが合いづらいといった場合は老眼の可能性が高いです。
もし「急に目が悪くなったな…」「片目だけ見えづらくなったな…」といった急激な視力の低下や視野の変化を感じた時は、目の病気が潜んでいる可能性があるため注意が必要です。
ソフトブレーン・フィールド株式会社のプレスリリース 目に関する4400人アンケート~2人に1人が視力0.4未満!「パソコンの長時間使用」が「テレビをよく見る」を超える!(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000025.000007449.html)を加工して作成
40代に多い視力低下の原因
40代に多い視力低下の原因には以下の3つが考えられます。
① 老眼
老眼には「近くのものが見えにくくなる」「ピントが合わせづらくなる」といった症状があります。また、老眼の見えづらさを抱えたまま生活していると「目や頭が重くなる」「頭痛や肩こり」といった身体症状が出ることもあります。老眼が進むと脳の機能が落ちるといった報告もあります。
老眼の目の中ではどのような変化が起きているのでしょうか。
目の中には、水晶体というカメラのレンズの役割をしている組織があります。この水晶体の厚さを変化させることで遠くのものや近くのものにピントが合って見えるようになります。
この水晶体の厚みを変えているのが毛様体という組織です。毛様体が水晶体を引っ張ったり、弛めたりすることで厚みを変えています。
しかし、加齢に伴い水晶体は硬くなり、毛様体の収縮機能は落ちます。そのため、毛様体が水晶体を引っ張っても、弛めても厚みに変化が起きにくくなるのです。これが原因で、ピントが合いにくくなるなどの老眼の症状が出てきます。
老眼の治療法は、メガネやコンタクトレンズを使った視力矯正です。老眼かもしれない?と感じたらまずは眼科で検査を受けることをおすすめします。
② 白内障
白内障は加齢に伴い水晶体が濁ることが原因で生じるため、白内障も目の老化現象といわれています。70代では80%、80歳以上ではほとんどの人が白内障になるといわれています。
白内障の症状は水晶体の濁り方によっても変わってきますが、主な症状は以下になります。
- 視界がぼやける・かすむ
- 光が眩しく感じる
- 視力の低下
- ものがだぶって見える
白内障の治療方法には薬物療法と手術療法があります。
薬物療法では、点眼薬を規則正しく使用することで白内障の進行を遅らせることができます。
一方で手術療法は白内障を治すことができる唯一の治療法です。濁った水晶体を取り除き、水晶体の代わりにレンズの役目を果たす眼内レンズを埋め込みます。これで、クリアな視界と視力を取り戻すことができます。
白内障は加齢以外に起因する場合もあります。「糖尿病性白内障」「外傷性白内障」「アトピー性白内障」「紫外線や放射線が原因の白内障」など、それぞれ原因が異なる白内障があります。
③ 緑内障
緑内障は40代で発症することが多い眼病です。緑内障はゆっくりと進行するため自覚症状がなく、かなり病状が進行してから気づく人も多いです。進行すると失明することもあり、日本人の失明の原因の第1位の病気です。
緑内障の主な原因は眼圧の上昇です。眼圧とは眼の硬さのことです。眼圧が高い状態が続くと視神経(目で見た情報を脳に伝える役割を果たす器官)に障害をきたし、視野狭窄や視野欠損が生じます。ただし、眼圧が正常でも、その人にとって適正な眼圧よりも高い眼圧が長時間維持されると、視神経に障害をきたします。
緑内障には代表的なものとして、「閉塞隅角緑内障」「開放隅角緑内障」「正常眼圧緑内障」の3種類があります。
「閉塞隅角緑内障」「開放隅角緑内障」は眼圧上昇が原因です。「正常眼圧緑内障」の発症メカニズムはまだ分かっていませんが、遺伝的原因や血液循環不良などの眼圧以外のことが影響している可能性も指摘されています。
主な症状はゆるやかに進行する視野狭窄や視野欠損ですが、閉塞隅角緑内障では頭痛・吐き気・ 眼の痛み・充血といった激しい症状を伴います。
緑内障の治療法は薬物治療、レーザー治療、手術療法の3種類があります。
多くの緑内障の治療は点眼や内服による薬物治療になります。複数の点眼薬を使用することもあります。
点眼治療の効果が十分に得られない場合はレーザー治療が行われます。薬物療法やレーザー治療を行っても症状が進行する場合は手術が行われます。術式は複数あるため症状に合わせて慎重に選択してください。
視力の低下や見え方に違和感を感じた場合には、自己判断せず、目の病気と関係していないか眼科で診察してもらいましょう。
視力低下を防ぐための対策は?
視力低下を防ぐための対策は以下の4つがあります。
目の疲れやドライアイの回復
目の使いすぎによる疲れ目によって、ピント合わせができず見えづらくなることがあります。定期的に目を休ませるようにしましょう。休憩時には軽くストレッチをしてみたり、目を閉じて休ませると良いでしょう。
特に、長時間パソコンの画面を見る人や細かい作業をする人はドライアイになりやすいといわれています。目薬を使って目の乾燥を予防したり、ホットアイマスクを使うのも疲れ目の改善になります。
目に優しい環境を整える
環境を整えることも視力低下予防に大切です。
暗い部屋での作業はピント調整がしづらくなるため目への負担が大きくなり、視力低下につながります。明るい部屋で作業を行いましょう。
パソコンなどのモニターに近づいて見る癖のある人も、目が疲れやすくなります。姿勢を正すことを意識し、モニターと距離をとるように配置の調整を行ってください。
メガネやコンタクトレンズの定期的なメンテナンス
見えづらさの原因はメガネやコンタクトレンズにあるかもしれません。
度数の合わないメガネやコンタクトレンズの使用は疲れ目や眼精疲労の原因になります。
また、度数が合わなくなっているのは、視力や視野に異変が起きていることも考えられます。40代以降は老眼を含む様々な目の変化が起きやすい年齢です。定期的に眼科や眼鏡店でメガネやコンタクトの視力のチェックを行うようにしましょう。自分に合ったメガネやコンタクトを使うことで眼精疲労や視力低下の予防につながります。
目に良い食べ物を取り入れる
ビタミンA、ビタミンB群、タンパク質は目に良い栄養素といわれています。
ビタミンAには目の粘膜の新陳代謝を保つ働きがあります。そのため、目の細胞や粘膜が保護され眼精疲労や乾燥を防ぐことができます。特にビタミンAはドライアイに効果的です。
ビタミンAを多く含む食品には、にんじん、ほうれん草などの緑黄色野菜やレバー、うなぎ、卵などがあります。
ビタミンB群は視神経の働きの促進や、眼精疲労の回復が期待できる栄養素です。その中でも、ビタミンB2は眼精疲労の回復をサポートします。ビタミンB1は視神経の働きを促進することで視力低下を予防する働きがあります。
ビタミンB群を多く含む食品には豚肉、レバー、ゴマ、納豆などがあります。
タンパク質には、目を含む全身の細胞の老化を予防する働きがあります。タンパク質を多く含む食品には、大豆、チーズ、卵、ナッツ類などがあります。
まとめ
今回は40代の視力低下の原因や対策について解説しました。
40代以降の視力低下の原因は「老眼」の可能性が高いです。しかし、白内障や緑内障といった治療が必要な目の病気の可能性もあります。見え方に変化を感じたら、眼科を受診してください。
年齢を重ねると様々な眼病のリスクが高くなるため、見え方に変化がなくとも、年に1回は眼科で定期的な健診をおすすめします。
この記事で紹介した視力低下を予防する方法も参考にして、是非大切な「目」の健康にお役立てください。