目の悩み
最終更新日:2023.07.31

目の充血の原因は?症状や治療法、対処法を分かりやすく解説!

この記事の監修者

内野 美樹

ケイシン五反田アイクリニック 院長

目の充血の原因は?症状や治療法、対処法を分かりやすく解説!

目次

何気なく鏡を見た時に、白目が真っ赤に充血していたら不安になる方も多いのではないでしょうか。

目の充血の原因は様々ですが、多くの場合は炎症によるものです。
自然に治癒することもあれば、病気の可能性も考えられます。となると、病院に行くべきかどうか迷ってしまいますよね。

そうした目の充血のお悩みを解消すべく、この記事では目の充血の原因や症状、治療法や対処法について分かりやすく解説します。

充血を改善・予防したい方は是非参考にしてください。

目の充血の原因とは?

目の充血の多くは炎症によって生じるため、その原因は多岐にわたります。
ここでは炎症による目の充血と、それ以外の原因についてそれぞれ解説します。

炎症による目の充血

結膜炎の原因のイメージ

炎症による目の充血には、大きく分けて、アレルギー性結膜炎、ウイルス性結膜炎、細菌性結膜炎があります。
それぞれの炎症の症状と治療法などについて解説します。

アレルギー性結膜炎

アレルギー性結膜炎は、目の周りが痒くなり、充血や目やに、涙目、異物感などの症状が現れる目の病気です。
花粉やハウスダストといったアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)による過剰な免疫反応が原因で発症します。

アレルギー性結膜炎は、花粉症(季節性アレルギー性結膜炎)、通年性アレルギー性結膜炎、春季カタル、巨大乳頭結膜炎の4つに分類されます。

治療には、抗アレルギー薬やステロイド薬などが使用されます。
また、血液検査などでアレルゲンを特定し、原因物質を避けるなどの対策も有効です。

ウイルス性結膜炎

ウイルス性結膜炎とは、アデノウイルスなどによって引き起こされる結膜炎の一種です。
感染者が自分の目を触った後、家庭内で共有しているタオルなどを介して、周囲の人にも感染します。

感染後は目の充血、痒み、涙目などの症状が現れ、約2〜3週間程度で治ります。

ウイルス性結膜炎に特別有効な薬はなく、感染拡大防止のための抗生物質点眼と炎症をおさえるステロイド点眼薬を使用します。

家庭内や学校・職場内などで集団感染が起こりやすいため、手洗いの徹底や、タオルや洗面用具の共用を避けるなどの対策を講じると良いでしょう。

細菌性結膜炎

細菌性結膜炎は、細菌感染によって引き起こされる目の病気です。
主に目の充血や痒み、痛み、目ヤニなどの症状が現れます。細菌性結膜炎の原因となる細菌はインフルエンザ菌や肺炎球菌、黄色ブドウ球菌など様々です。

治療法としては、抗生物質の点眼薬や抗生物質の経口薬の処方が一般的です。また、目の周りを清潔に保つことも重要です。

早期治療が必要な場合もあり、症状が重い場合は眼科医の診察を受けることをおすすめします。

炎症以外の目の充血の原因

炎症以外の目の充血の原因については以下になります。

ドライアイ

ドライアイ

ドライアイとは、目の表面が乾燥している状態のことです。
目の乾きの他、目の充血、目の中に異物が入ったような不快感、眼精疲労、かすみ目、視機能の低下などの症状を引き起こします。

通常目の表面は涙で覆われて保護されていますが、ドライアイになると涙の量と質が低下するため、傷つきやすくなります。
放っておくと角膜炎や結膜炎などを引き起こす場合もあるため、早期治療が大切です。

ドライアイになる原因には、加齢や空気の乾燥、目の酷使、コンタクトレンズの長期装用などがあげられます。

症状の緩和には、目の休養、加湿器の利用、点眼薬の使用などが効果的です。

眼精疲労(疲れ目)

眼精疲労(疲れ目)

眼精疲労はドライアイの症状の一つです。パソコンやスマートフォンの操作など、長時間にわたって目を酷使することで引き起こされます。一晩休息して症状が改善された場合は疲れ目とされますが、十分に睡眠をとっても目の不調が続く場合は眼精疲労が考えられます。

眼精疲労の状態になると、目の疲労回復に必要な栄養や酸素を多く運ぼうとして血流量が増えます。その結果、目の表面にある血管が膨らんで目が赤く充血します。

他にも、かすみ目や頭痛、肩こり、吐き気などの症状も現れることがあります。

正しい姿勢を保ち、デジタルデバイスの使用時間を制限し、こまめに休憩をとることが予防につながります。
目元のマッサージや点眼薬の使用なども有効です。

異物混入

異物混入

ゴミやホコリ、虫などの異物が目に入って刺激が与えられることで、目の表面にある血管の血流が増え、目が充血して赤くなります。

目に異物が入ると痛みを感じ、涙が出ます。まばたきを繰り返すうちに、涙と共に異物が排出されることがほとんどです。

しばらくしても異物感が続く場合は、異物がまぶたの裏に入り込んでいる可能性があります。
その状態で目をこするとまぶたと眼球の間で異物がこすれてしまい、傷や炎症が悪化しかねません。

また鉄粉や化学物質などが目に入ってしまった場合、放置していると視力障害が残る恐れもあります。目に異物が入ったらすぐに目を洗浄し、早急に眼科を受診しましょう。

コンタクトレンズ

コンタクトレンズイメージ

コンタクトレンズが目の表面に直接触れることで、摩擦や刺激を与え、目の充血を引き起こすことがあります。

長時間の装用や自分の目のカーブ形状に合っていないコンタクトレンズを使用することによる眼精疲労も、目の充血の原因となります。

さらに、コンタクトレンズは水分を吸収する性質があるため、目の表面を覆う涙を奪い目の乾燥(ドライアイ)を助長します。

規定の装用時間を守り、点眼薬を使用するなどして目の疲れと乾燥を防ぐことが大切です。
また、洗浄方法を見直す、1dayタイプにして毎日清潔なものを使用する、症状が落ちつくまではコンタクトレンズのかわりにメガネを使うなどの対策も有効です。

睫毛内反、睫毛乱生(逆さまつ毛)

睫毛内反、睫毛乱生(逆さまつ毛)のイメージ

睫毛内反(しょうもうないはん)は、まつ毛(睫毛)が内側(黒目の方)を向いている状態です。乳幼児に多く見られる疾患です。

原因として、まつ毛を外に向けるまぶたの発達が弱いことと、まぶたの前と後ろのバランスがとれてないという2つの要素があります。小さいうちはまつ毛が柔らかく角膜が傷つきにくいため、子供自身が異常に気づかないことがあります。
成長とともに自然に治ることもありますが、放置すると角膜乱視や近視、遠視など、眼球にも影響が出ることがあります。

睫毛乱生(しょうもうらんせい)は、まつ毛(睫毛)が色々な方向を向いている状態でシニアに多いとされます。
様々な原因で生じますが、まぶたの炎症により毛根が異常な場所にできてしまう場合がほとんどです。

どちらもまつ毛が眼球とこすれ、目のゴロゴロ感や痛みを感じ、目が充血することがあります。また、角膜びらんや結膜炎を併発することがあります。

目が充血した際の対処法は?

炎症が原因で目が充血した時に有効な対処法をご紹介します。

アレルギー性結膜炎の対処法

アレルギー性結膜炎の場合、何よりも原因物質を避けることが重要です。
その上で、アレルギー症状をやわらげるために抗アレルギー薬や点眼薬を使用すると良いでしょう。

防塵効果の高い花粉対策メガネや目の洗浄なども効果的です。

症状が軽い場合にはこれらの対処法で改善されますが、重症の場合は眼科を受診してください。

ウイルス性結膜炎の対処法

ウイルス性結膜炎は、風邪やインフルエンザなどの感染症が原因となることがあります。
そのため、手洗いやマスクの着用など普段から感染を予防することが大切です。

ウイルス感染には特効薬がないため、症状が落ち着くのを待つしかありません。
そのため、症状を緩和させるために、目の炎症をおさえたり細菌感染の合併を防いだりする点眼薬を使用します。

充血に関しては、目を冷やすことで症状を緩和することができます。しかし、症状が悪化する場合には眼科医の診察を受けてください。

細菌性結膜炎の対処法

細菌性結膜炎も、ウイルス性結膜炎と同様に普段から感染の予防を徹底することが重要です。

発症した場合は、抗生物質を含む点眼薬や抗炎症薬の使用が効果的です。
これらの薬剤には、細菌の繁殖をおさえ、症状を軽減する効果があります。

充血が気になる場合も、目を冷やすことで症状を緩和することができます。しかし根本的治療にはならないため、眼科を受診して適切な治療を受けるようにしましょう。

炎症以外の原因による目の充血の対処法

炎症以外の原因によって目が充血した場合に、症状を緩和する対処法について解説します。

1:目を休める

目を休める

長時間にわたってパソコンやスマホを使用する時は、1時間の間に10〜15分ほど目を休ませる時間を作ることが大切です。
この時、目を閉じるか遠くの景色を眺めるなどすると良いでしょう。

軽くまぶたをマッサージしたり、キョロキョロと辺りを見回したりして目の緊張をほぐすのもおすすめです。

点眼薬を使って目をうるおすことで、目の充血の緩和も期待できます。
ただし、充血の原因によって有効な成分が異なるため、判断が難しい場合は薬剤師や登録販売者に確認すると安心です。

2:目を冷やす

目が充血している場合は、温めるのは逆効果です。
目を冷やすことで早く症状を緩和できる場合があります。

目の周りに冷たいタオルやガーゼなどに包んだ保冷剤を当てることで血管が引き締まり、充血をおさえられます。

ただし、冷やしすぎると目が痛くなる可能性があるため、5分程度を目安にしましょう。

3:意識してまばたきをする

目が充血する原因の一つに、長時間のパソコン作業など目の酷使があげられます。
集中して作業をしているとまばたきの回数が減少するため、目に十分に涙が行き渡らず、充血が起こります。

意識的にまばたきをすることで目の表面に涙が広がり、ドライアイ(目の乾燥)を防ぐことができます。

軽くパチパチとまばたきするのではなく、ゆっくりと目を開けたり閉じたりする動きを繰り返すことで、目の周りの筋肉をしっかりと使うことができます。血行が良くなり、眼精疲労の軽減も期待できます。

4:栄養補給をする

栄養補給イメージ

ビタミンB2が不足すると、目の充血が起こりやすくなります。
そのため、目が充血している時は食事やサプリメントで栄養補給をすることが大切です。

ビタミンA・B群・C・Eや、ルテイン、アントシアニン、アスタキサンチンなど抗酸化作用が強い成分が含まれる食品を摂取することで、目の疲れなどのダメージを軽減させ、目の充血を防ぐことができます。

ドライアイが原因で目が充血している場合は、オメガ脂肪酸やDHA、EPAなどが含まれる食品を摂取することも効果的です。

5:日常生活を改善する

目の充血には、日々の生活習慣が大きく関係しています。
例えば、喫煙やアルコールの過剰摂取、夜ふかし、長時間にわたるデジタルデバイスの使用などが目の充血の原因になります。

目が充血した時は、生活習慣を見直す良い機会です。
十分な睡眠の確保とバランスの良い食事、目に負担をかけないように心がけましょう。

どうしてもパソコンやスマートフォンから離れられない時は、照明を柔らかくしたり、加湿器を使用したり、適度な休憩を挟むなどの工夫を取り入れてください。

6:眼科を受診する

眼科を受診イメージ

目の充血の多くは炎症によるもので、自然に治癒することもあります。しかし、緑内障などの重篤な病気が潜んでいる可能性も否定できません。

また、目に異物が入ったことによる目の充血も、混入物が入っている位置によっては医師による処置が必要です。

自己判断で放置していると症状が悪化し、視力機能の低下などを引き起こす可能性があります。症状が続く場合は、可能な限り早く眼科を受診しましょう。

睫毛内反、睫毛乱生(逆さまつ毛)の対処法

睫毛内反は成長とともに自然に改善することが多いですが、10歳以上になっても改善がない場合は手術が必要になります。また、幼少期であっても目の表面が強く傷ついている場合や、強い乱視など、見え方に大きな影響が出る場合には手術が必要になります。

睫毛乱生の場合は、目の表面の傷が軽度であれば、定期的にまつ毛を抜いたり、点眼薬で目の表面をうるおす治療が行われます。自分でまつ毛を抜くのは危険ですので、眼科を受診しましょう。
目の表面の傷が高度な場合には手術治療が必要となる場合があります。

まとめ

今回は目の充血の原因や症状、治療法や対処法について分かりやすく解説しました。

目の充血は多くが炎症によるもので、アレルギー性結膜炎、ウイルス性結膜炎、細菌性結膜炎などの病気が原因で引き起こされます。自然に治癒することもありますが、病気の可能性もあるため注意が必要です。

炎症による目の充血の対処法としては、アレルギーの場合は原因物質を避け、ウイルス性や細菌性の場合は薬剤の使用が効果的です。
炎症以外が充血の原因となっている場合は、目を休めたりまばたきを意識したり、生活習慣を改善すると良いでしょう。

目の充血を改善・予防したい方は、ぜひ参考にしてください。

監修者プロフィール

内野 美樹

ケイシン五反田アイクリニック 院長

HP:https://www.keishin-eye.com/

山梨医科大学 医学部卒業後、慶應義塾大学 眼科学教室入局。米・ハーバード大学 公衆衛生学修士取得。慶應義塾大学 眼科学教室 特任講師。
眼科のなかでも「ドライアイ」を中心にした角膜の疾患を専門とする。日本におけるドライアイについての疫学研究の第一人者であり、近年増えている長時間のパソコン作業によるVDT(Visual Display Terminal)症候群などの研究を行っており、日本のドライアイの有病率、パソコン使用時間とドライアイとの関係について世界で初めて証明した。ドライアイにつながる危険因子を研究し、ドライアイ診断に関する国際的な基準づくりにも携わる。
予防医療の啓蒙活動にも力を入れ、『しまじろうとEye Care Book』幼稚園や保育園の先生の目の教科書となるような『子どもの目見守りサポートBook』を作成。
目の健康について学び、セルフケアができるよう、『ナカナイ涙』などのWebサイトの監修も手掛ける。

【所属学会】
日本眼科学会 / 日本眼科医会 / 日本角膜学会 / 小児眼科学会 / 日本弱視斜視学会 / ドライアイ研究会

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