

目次
つらい目の疲れに悩まされている方は多いのではないでしょうか。スマホやパソコン作業が日常に欠かせないわたしたちにとって、目の疲れは現代病とも言えます。
目の疲れはツボやマッサージをはじめ、食事や生活習慣、パソコン作業環境を整えることで予防や解消が可能です。
この記事では疲れ目の原因から、簡単にできる予防法・解消法を紹介します。疲れ目に悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
目の疲れの原因は?
目が疲れる原因として、例えば次のようなものがあります。
- パソコン、スマートフォンの使いすぎ
- 老眼の初期で目に負担のかかる作業を行った場合
- 緑内障や白内障、ドライアイ
- ストレスによる自律神経の乱れ
- 全身疾患などほかの病気による合併症
近年疲れ目が増えている理由
近年疲れ目を訴える人が増えており、これは現代のライフスタイルによるものと考えられます。年代を問わずパソコンやスマートフォン、タブレットを長時間使用する習慣が定着し、目の疲れを引き起こす原因になっています。
目の疲れが解消されない場合は受診が必要
目の疲れを放置していると、悪化して頭痛や肩こりの原因になる場合があります。また、目の疲れには緑内障やドライアイなど目の病気が潜んでいる可能性もあります。
目の疲れが長期にわたって続いている場合は、我慢せず眼科を受診しましょう。
目の疲れ(疲れ目)の対処法
目の疲れには様々な原因があり、対処法は原因によって異なります。代表的な原因として、次の3つが挙げられます。
- PCやスマホでの作業が多い場合
- 老眼の症状が出てきている場合
- ドライアイの症状がある場合
原因ごとにそれぞれの対処法をまとめました。
PCやスマホでの作業が多い場合
PCやスマホの作業が多いと、疲れ目は起きやすくなります。画面を長時間見続けるため、手元にピントが合ったまま目の筋肉がこり固まり、老眼に近い状態になることもあります。
この症状は実際の老眼とは異なり一時的な症状のため、休養や環境の改善を行えば症状は改善しますが、PCやスマホを頻繁に使っていて、目が疲れやすいと感じる人は注意が必要です。PCやスマホによる疲れ目を防ぐためには、長時間の作業を避けてこまめに休憩をとりましょう。また、文字サイズや明るさを調整して画面と適切な距離をとると目の負担を軽減できます。
根本的な改善をするための対処法としては、作業時間や環境の見直しを行うほか、目薬を使うのも効果があります。
老眼の症状が出てきている場合
老眼の症状があると、特に近くを見る時に目が疲れやすくなります。年齢とともに疲れ目が気になるようになったら、老眼が進んでいるサインかもしれません。
老眼とは、ピントを調節する力が衰えて手元などの近くが見えづらくなる症状です。自然には治らないため、老眼により目が疲れる場合は対策が必要になります。老眼の対処法には、メガネやコンタクトレンズの使用が一般的です。目の状態やライフスタイルに合わせて適切な矯正を行うことにより、目の疲れを感じにくくする効果を期待できます。
ドライアイの症状がある場合

目が疲れる背景として、ドライアイが原因になっている可能性もあります。ドライアイは涙が目を十分に保護できず、目の表面が乾燥してしまう状態です。このため、目に不快感や視界のぼやけなどが生じます。疲れ目のほかに目が乾く、目がかすむ、目が痛いなどの症状があれば注意が必要です。
ドライアイは年齢やライフスタイル、生活環境のほか、コンタクトレンズの装用が原因になることもあります。
軽いドライアイであれば、目薬で改善が可能です。眼科では目薬を処方するほか、涙が溜まりやすくなるよう涙が排出される涙点という穴をふさぐ治療を行うこともあります。日常生活では画面を見る作業やコンタクトレンズの装用を減らして目の負担を避ける、エアコンや加湿器で部屋の湿度を調整するのもおすすめです。症状が気になる方は眼科で相談をしましょう。
目の疲れ(疲れ目)の解消法
ここまで様々な疲れ目対策について紹介してきましたが、そのほか効果的な解消法を3つ紹介します。疲れ目に悩んでいる方は、ぜひ併せて参考にしてください。
- ① 遠くの景色を見る
- ② まぶたを
温める - ③ 目薬を
差す
解消法①遠くの景色を見る

スマホやパソコンなど近くを見続ける場合は1時間に1回休憩をはさみ、窓の外の景色など遠くをぼんやりと見つめるようにしましょう。オフィスなど景色を見るのが難しい場合は、5m以上先を見るだけでもかまいません。
「遠くの景色を見ることは目によい」とよくいわれますが、近くを見たときに比べ遠くを見たときのほうが目はリラックスしている状態になります。
わたしたちが物を見るとき、レンズを支えている毛様体筋という筋肉が緊張したり緩んだりすることでレンズの厚さを変え、ピントを合わせています。
毛様体筋は遠くをぼんやり見ているときには緩んでいますが、近くを見るときにはレンズを厚くしてピントを合わせる必要があるため、毛様体筋が常に緊張している状態です。そのため、スマホやパソコンなど長時間近くを見続けていると毛様体筋が凝り固まってしまい、疲れ目の原因となるのです。
解消法②目元を温める

疲れ目を解消するには、蒸しタオルなどで目元を温めることも効果的です。温めることで目の周りの血行が良くなり、筋肉の緊張をほぐすことができます。
蒸しタオルを作る時は、水に濡らしたタオルをよく絞り、600wの電子レンジで約40秒加熱してください。熱く感じる場合は少し冷まし、気持ち良いと感じる温度になってから目元に乗せて温めましょう。やけどには十分注意してください。
市販のホットアイマスクも携帯に便利で簡単に目元を温められるため、活用するとよいでしょう。
目の周りには自律神経の働きを切り替えるスイッチがあるため、温めることで副交感神経が優位になってリラックス効果も期待できます。
解消法③目薬を差す

ドライアイは疲れ目の原因となるため、疲れ目対策には目薬が効果的です。目の乾燥を感じたときに加え、パソコンやスマホ作業を長時間行う場合は休憩のタイミングなどに定期的に目薬を差しましょう。
通常、まばたきは1分間に20回ほど無意識に行われていますが、パソコンやスマホ作業に集中している時は、約4分の1から5分の1まで減少するといわれています。その結果、目が乾きやすくなりドライアイを招いてしまうのです。
また、目薬にはドライアイ対策に加えて、ビタミン類などの成分が配合された目薬を選ぶことで目に直接栄養素を取り込めるというメリットもあります。ドラッグストアにはたくさんの目薬が販売されているため、その中から自分に合った目薬を選びましょう。
「目薬の正しい差し方」についてはまとめた記事があります。意外と知られていない点眼時の注意点や、うまく差すための裏技なども紹介しているため、本記事とあわせてご覧ください。
目の疲れ(疲れ目)に
効くマッサージ
目の疲れを解消する方法の一つはマッサージです。簡単にできるマッサージやストレッチの方法を紹介します。
目のツボのマッサージ
目の疲れに対するセルフケアとして、ツボ押しもおすすめです。目の周りには目の疲れに効くといわれるツボがあり、目の疲れに対して効果が期待できます。
目周りの皮膚は薄くデリケートなため、ツボを押すときは力を入れすぎず優しくマッサージするように触りましょう。
目のストレッチ
ストレッチは目の周りの筋肉をほぐして血行を良くするため、疲れ目やリフレッシュに効果的です。目のストレッチについて、手順とやり方を紹介します。
まばたきストレッチ
まばたきやウインクをすると眼球やまぶたを支えている筋肉など、目の周りの筋肉をほぐすことができます。
- ウインクするように左右の目を交互に10~20回まばたきする
- 1よりも少し速いペースで10~20回、同様にまばたきする
- あまり力を入れず、ゆっくり10~20回交互にまばたきする
- 目にギュッと力を入れて、10~20回交互にまばたきする
- 両目をギュッと力を入れて閉じたあと、大きく開く動きを3回繰り返す
上下左右のストレッチ

目線を上下左右に動かすことで、眼球を支えている筋肉をほぐしていきましょう。
注意点として、顔は動かさずに目線だけ動かすことを意識してください。見つめる方向の順番は自分がやりやすいように変えてもかまいません。
右上、左下などの斜め方向は普段見る機会が少ないため、慣れないうちは目を動かしにくいことがあります。その場合は目の前に人差し指を出し、見つめる方向までゆっくりと動かして視線を誘導するとよいでしょう。
- まずは右上を3秒間見つめ、視線を戻したあとに左上を3秒間見つめる
- 次に右横を3秒間見つめ、視線を戻して左横を3秒間見つめる
- 右下を3秒間見つめ、視線を戻して左下を3秒間見つめる
- 最後に真上を3秒間見つめ、視線を戻して真下を3秒間見つめる
- 慣れてきたら、各方向を3秒から5秒に増やして行う
ストレッチ中に痛みや疲労を感じた場合は無理せず中断してください。
ぐるぐる回すストレッチ

- 右回りで大きく円を描くように1周、眼球をゆっくり回し動かす
- 同じ方向で2~3周繰り返す
- 今度は右回りで大きく2~3周、眼球をゆっくり回し動かす
速いスピードで動かすと目が回ってしまいます。ゆっくりと大きな円を描くように意識して行ってください。痛みや疲労、めまいなどを感じた場合はすぐに中断してください。
ストレッチを行ったあとは、目を閉じてゆっくり休ませましょう。温かいタオルで目元を温めるとより血行が良くなり、目も休ませることができるためおすすめです。
肩・首まわりのストレッチ
肩・首まわりの血行不良やコリは、疲れ目の原因となる場合があります。目だけではなく、ストレッチで肩・首まわりの筋肉もほぐしていきましょう。
パソコン作業の合間や休憩時間にも行いやすい、椅子に座ったままできるストレッチを紹介します。
肩のストレッチ①

肩から肩甲骨にかけて伸ばすストレッチです。伸びている部分を意識しながら行うと効果的です。
- 椅子に座り、後ろで両手を組む
- 鼻から息を吸い、吐きながら肩甲骨を寄せて胸を伸ばす(15~30秒間)
- 鼻から息を吸い、吐きながら組んだ両手を20cmほど引き上げる(15~30秒間)
- ゆっくりと腕を下ろして手を離し、全身の力を抜いて深呼吸する
肩のストレッチ②

- 椅子に座り、胸の高さで両手を組む
- 鼻から息を吸い、吐きながら背中を丸めて肩の後ろを伸ばす(15~30秒間)
- 鼻から息を吸い、吐きながら組んだ手のひらを返して気持ちいいと感じるところまで伸ばす(15~30秒間)
- ゆっくりと背中を伸ばし、全身の力を抜いて深呼吸する
首まわりのストレッチ

パソコン作業やデスクワークでは前かがみの姿勢になりやすいため、頭の重さを支える首まわりの筋肉が凝ってしまいます。こまめにストレッチを行い筋肉をほぐしましょう。
- 椅子に座り、両足を肩幅よりもやや広く開く
- 両手を組んで後頭部に置きます。腕の重さに任せて、首の後ろ側を伸ばします。背中は丸くならないよう伸ばして頭だけ下を向くようにします。(15~30秒間)
- 鼻から息を吸い、ゆっくり口から吐きながら上体を起こす
- 全身の力を抜き、リラックスした状態で深呼吸する
目の疲れ(疲れ目)の予防法
目の疲れを起こさないように予防することも大切です。ここでは食事とメガネの観点から、予防方法を紹介します。
予防法①食事
食事や栄養を意識することで、目の疲れを予防したり、疲労を回復したりすることが期待できます。しかし、以下の成分だけを摂取すればよいというものではありません。主食、副菜、主菜、乳製品、果物などバランスの良い食事を心がけましょう。

栄養素・成分
- ビタミンA→レバーや緑黄色野菜
- ビタミンE→卵、ナッツ類、魚介類など
- ビタミンB群→レバー、うなぎ、豚肉など
- アスタキサンチン→エビやカニなど
- アントシアニン→ブルーベリーやカシスなど
- ルテイン→緑黄色野菜など
目の疲れに効果がある栄養素に関しては、「眼精疲労に効果があるサプリとは?重要な栄養素や選び方をご紹介!」で詳しく解説しています。
予防法②メガネ

度数の合っていないメガネやコンタクトレンズを使用していると、疲れ目の原因となります。特に「過矯正」と呼ばれる度数が強すぎる状態は目に負担がかかり、目の疲れを招きやすいため注意が必要です。
メガネの見え方に違和感があったり、目の疲れを感じたりする場合は、眼科や眼鏡店などの専門機関で度数が合っているかどうかチェックしてもらいましょう。
予防法③こまめな休憩をとる
長時間目を使った作業を続けると、目の緊張が続き疲れやすくなります。こまめに休憩をとり、意識的に目を休める時間を確保しましょう。休憩の間は目を閉じたり遠くの景色を見たりすると、目の緊張を緩和できます。
また、目を休めるには目を温めるのもおすすめです。温かいタオルやホットアイマスクを目に当てると、目の血行が改善し、目の疲れを防げます。
予防法④作業環境の改善
作業環境も目の疲れに大きく影響します。目に負担のかかりにくい環境を整えるため、照明やデスクの配置を調節するのがおすすめです。
具体的には、次のポイントを意識すると良いでしょう。
- 部屋を適度な明るさに保つ(一般的な事務作業では300ルクス以上)
- 猫背を避け、パソコンから目の距離は30cm以上離す
- モニターやスマートフォンの画面は暗めにする
予防法⑤しっかり睡眠をとる
目を休める時間を確保するためにも、睡眠は十分にとりましょう。
また、睡眠時間を確保するだけでなく、睡眠の質を高めることも重要です。寝る前にパソコンやスマートフォンを見ると、光による刺激で寝つきが悪くなってしまうことがあります。就寝時間が近づいたら電子機器の使用はなるべく控え、部屋を暗くして眠る準備を整えましょう。
予防法⑥ストレスの発散をこまめに行う
ストレスを感じると交感神経が優位になり、目が乾いたりまばたきが減ったりします。目に負担がかかり疲れを感じやすくなるため、ストレスをためないように心がけることが大切です。ストレスは目の疲れだけでなく、心身の不調を起こす原因にもなります。
休憩や趣味、運動でストレスを発散すると、目だけでなく心身の健康につながります。
目の疲れを軽減させる
パソコンの使い方
パソコン作業は目の疲れの原因の一つですが、使い方を意識することで疲れ目を軽減させることができます。目が疲れないためのパソコンの使い方について、以下の3つのポイントを説明します。
- ① 距離
- ② 時間
- ③ 明るさ
ポイント①距離

顔からパソコンのモニターまでの距離は、約50~70cmが理想的です。デスクに座って手を伸ばした距離を目安にするとよいでしょう。椅子の背もたれで背中を支え、前かがみの姿勢にならないよう注意してください。
また、モニターを見上げるような首の角度はドライアイや疲れ目を引き起こします。モニターの位置が視線の正面かやや下向きになるよう、角度や高さを調整しましょう。
ポイント②時間

モニターまでの距離や姿勢を正しく保っていても、長時間同じ姿勢で作業を続けると疲れ目や肩こりを引き起こしやすくなります。
1時間に1回は10分程度の休憩をとりましょう。休憩中は目を閉じたり軽く体を動かしたりしてリラックスしてください。目のツボマッサージやストレッチを行うのも効果的です。
休憩をとるのが難しい場合は、コピーや資料を取りに行く・トイレに行くなど、短時間でもよいのでパソコンから完全に離れる時間を作りましょう。
ポイント③明るさ
モニターは明るすぎても暗すぎても疲れ目の原因となります。新聞の文字サイズでも無理なく読める程度を目安に、適度な明るさに調整しましょう。
また、モニターに外からの光や室内照明などの光が映りこむと、無意識のうちに疲労感や不快感が増加してしまいます。光が映り込まないようにパソコンを使う場所を工夫し、窓際の場合はカーテンなどで光を調節してください。
疲れ目対策には調節力をサポートする機能やブルーライトカット機能などがついたPCメガネもおすすめです。PCメガネの効果や選び方については「PCメガネの効果や選び方のポイント!疲れ目対策につながるメガネを紹介」で詳しくまとめているため、本記事とあわせてご覧ください。
まとめ
今回は目の疲れを取る方法についてご紹介しました。
目の疲れはスマホやパソコン作業が生活の一部となっているわたしたちにとって、身近な症状であると言えるでしょう。疲れ目の予防や解消法には、ツボやマッサージ、食事、パソコン作業時の環境整備などさまざまなものがあります。
PCやスマホの使いすぎ、老眼、ドライアイが原因となっている場合もあるため、生活習慣の見直しや環境の改善も大切です。対策として、目薬やメガネが有効な場合もあります。
目の疲れに悩んでいる方は、本記事で紹介した予防法や解消法をぜひ参考にしてみてください。また、目の疲れには病気が隠れている場合もあるため、気になる場合には早めに眼科を受診しましょう。
メガネ、目の情報はみるラボ
みるラボは、日常生活における「見る」ことの疑問や悩みを持つ方に寄り添い、情報や解決策を発信しているサイトです。目の悩みや目の病気、メガネなどに関する多くの記事を掲載しているので「見る」ことへの理解を深めるためにぜひご活用ください。
疲れ目の原因となるドライアイや、白内障、緑内障などの目の病気などについてまとめた記事もあります。本記事と併せてご覧ください。