目の悩み
最終更新日:2024.04.26

目頭が痛い原因は病気の可能性もある?痛みを感じた際の対処法などを紹介

この記事の監修者

内野 美樹

ケイシン五反田アイクリニック 院長

目頭が痛い原因は病気の可能性もある?痛みを感じた際の対処法などを紹介

目次

目が痛む原因としては、ゴミやホコリなどの異物やコンタクトレンズの誤使用などが一般的です。異物を取り除いたりコンタクトレンズを外したりすれば治る一時的な症状だと、ついつい放置してしまうことも多いかもしれません。

目の痛みは、急性緑内障発作や角膜上皮障害、結膜炎といった目の病気や、帯状疱疹や副鼻腔炎といった全身性の病気が原因で起こることもあります。目の痛みを放置すると、原因として隠れている病気を進行させてしまう可能性もあるため注意が必要です。

本記事では、目頭や目の奥が痛む原因となり得る病気や、痛みを感じた際の対処法について解説します。

目頭・目の奥が痛い原因と
考えられる病気

急性緑内障発作

急性緑内障発作は、目の内部の圧力のことを指す「眼圧」が急激に上昇することで、目の痛みや頭痛、吐き気などの症状が出る病気です。

一般的な緑内障は徐々に進行するのが特徴で、このような激しい症状が起こることは稀です。急性緑内障発作の場合は見え方に急激な変化が起こり、即座に失明に至る可能性もあります。急激な強い目の痛み、視力低下に加えて頭痛や吐き気などの症状がある時は、一刻も早く受診することが重要です。必要に応じ、救急車による緊急搬送も検討しましょう。

角膜上皮障害

角膜のイメージ図

角膜上皮障害は、目の表面にある「角膜」と呼ばれる組織が傷つくことで、痛みや異物感などの症状が出る病気です。角膜は、いわゆる「黒目」の部分にあたる非常に繊細な組織です。わずかな傷でも痛みを感じやすく、痛みが強い場合は目が開けられなくなることもあります。

角膜が傷つく主な原因は、目に入ったまつ毛やゴミやホコリなどの異物です。角膜にできた傷から細菌に感染し炎症が起こると「角膜炎」や「角膜びらん」の状態に進行していきます。症状が更に悪化し「角膜潰瘍」の状態に至ると、視力に影響が出る場合もあります。

結膜炎

結膜のイメージ図

結膜炎は、まぶたの裏側や白目を覆う「結膜」が何らかの原因で炎症を起こし、目の痛みや痒み、充血、目やにといった症状が出る病気です。

結膜炎は、細菌やウイルスが原因で起こる「細菌性結膜炎」や「ウイルス性結膜炎」、花粉やダニ、ハウスダストなどに対するアレルギー反応が原因で起こる「アレルギー性結膜炎」など、原因に応じていくつかの種類に分類されます。

眼精疲労

眼精疲労による肩こり

眼精疲労は、目に疲れが溜まった結果、目の痛みやかすみ、頭痛や肩こりなどの症状が出る病気です。

眼精疲労の原因は、目の乾きや視力低下、度数の合わないメガネやコンタクトレンズの使用など様々ですが、特に最近はパソコンやスマートフォンなどデジタル機器の長時間使用に伴う眼精疲労が問題となっています。

ドライアイ

ドライアイは、涙の量や質の異常によって目の表面が乾燥し、目の痛みやかすみ、疲れ、異物感、充血、涙目などの症状が出る病気です。

症状が軽い段階では発症に気づきにくいものの、放置して重症化すると角膜や結膜に深刻なダメージを及ぼすこともあります。

ものもらい(麦粒腫)

ものもらいの種類

ものもらいは、まぶたにある汗や脂を分泌する「腺(せん)」や「マイボーム腺」が細菌に感染し、化膿する病気です。地方によっては「めばちこ」や「めいぼ」と呼ばれることもありますが、医学的には「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」と呼ばれます。

目の痛みや腫れ、痒み、充血、異物感などの症状が代表的で、化膿した部分から膿が出ることもあります。

逆さまつ毛

まつ毛は本来、まぶたの縁から眼球とは反対側へ向かってカールしています。何らかの原因によって、まつ毛が眼球へ向かって生えた状態が「逆さまつ毛」です。

まつ毛が眼球にあたると、目の痛みや異物感、涙目などの症状を引き起こす可能性があります。

視神経炎

視神経炎とは、目の奥にある「視神経」が何らかの原因で炎症を起こす病気です。

主な症状は急激な視力低下や視野の欠けなどですが、見え方に異常が出る数日前から、眼球を動かした際の痛みや目の奥の痛みが出ることがあります。多発性硬化症などの病気が原因で起こることもあれば、原因不明の場合もあります。

副鼻腔炎

副鼻腔炎イメージ

副鼻腔炎は、鼻の奥にある副鼻腔と呼ばれる空洞に細菌やウイルスが感染し、炎症を起こす病気です。

鼻水や鼻づまりといった鼻症状のほかに、目の奥の痛みや目の周りの腫れなど、目に症状が出る場合もあります。また、頻度は稀ですが、炎症の範囲が目に及ぶとまぶたの腫れや視力低下、物が二重に見えるなどの症状が出て、緊急手術が必要となる場合もあります。

帯状疱疹

帯状疱疹は、「水痘・帯状疱疹ウイルス」への感染によって、皮膚にピリピリとした痛みや水疱が生じる病気です。鼻のあたりに症状が出た際は、目に合併症を起こす確率が高いとされています。目に合併症を起こすと、まぶたの発疹や腫れ、目の痛みや充血、視力低下といった症状が見られます。

帯状疱疹は皮膚科で治療を行うことが多い病気ですが、目の周辺に症状がある場合は眼科での治療も検討する必要があります。

目頭・目の奥が痛い時の
対処方法

目薬をさす女性

目にゴミやホコリなどの異物が入った場合は、市販の人工涙液や洗眼薬などで取り除けば痛みが改善します。また、コンタクトレンズの長時間装用やレンズの劣化・汚れが原因の場合は、すぐにレンズを外して目を休め、レンズの交換や適切なケアを行いましょう。

目の疲れや乾燥が原因の場合は、デジタル機器の長時間使用を避けて目を休めたり、市販の目薬を使用したりすることで緩和できる可能性があります。

目に痛みを感じたら
早めに受診を

目に痛みを感じたら早めに受診を

自分でできる対処法を試しても痛みが続く場合や、普段感じないような強い痛みがある場合には、何らかの病気が潜んでいる可能性もあります。
放置することで病状が進行し、視力低下や重い症状へつながる懸念もあるため、違和感がある時には早めに眼科を受診することが大切です。目に痛みを感じたら自己判断はせず、医師の診察を受け、原因を確認した上で適切な治療を受けましょう。

まとめ

目の痛みは自分で対処できる場合もあるものの、急性緑内障発作や角膜上皮障害、結膜炎といった目の病気や、帯状疱疹や副鼻腔炎といった全身性の病気が潜んでいることもあります。

痛みを放置すると、原因の病気を進行させてしまう可能性もあるため注意が必要です。市販の人工涙液や洗眼薬で目を洗っても痛みが続く場合やコンタクトレンズを外しても痛みが続く場合、目を開けられないような強い痛みがある場合などは、すぐに眼科を受診しましょう。

監修者プロフィール

内野 美樹

ケイシン五反田アイクリニック 院長

HP:https://www.keishin-eye.com/

山梨医科大学 医学部卒業後、慶應義塾大学 眼科学教室入局。米・ハーバード大学 公衆衛生学修士取得。慶應義塾大学 眼科学教室 特任講師。
眼科のなかでも「ドライアイ」を中心にした角膜の疾患を専門とする。日本におけるドライアイについての疫学研究の第一人者であり、近年増えている長時間のパソコン作業によるVDT(Visual Display Terminal)症候群などの研究を行っており、日本のドライアイの有病率、パソコン使用時間とドライアイとの関係について世界で初めて証明した。ドライアイにつながる危険因子を研究し、ドライアイ診断に関する国際的な基準づくりにも携わる。
予防医療の啓蒙活動にも力を入れ、『しまじろうとEye Care Book』幼稚園や保育園の先生の目の教科書となるような『子どもの目見守りサポートBook』を作成。
目の健康について学び、セルフケアができるよう、『ナカナイ涙』などのWebサイトの監修も手掛ける。

【所属学会】
日本眼科学会 / 日本眼科医会 / 日本角膜学会 / 小児眼科学会 / 日本弱視斜視学会 / ドライアイ研究会

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