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パソコンやスマホの普及とともに、私たちの身の回りには年々ブルーライトが増えています。しばしば「目に悪い光」と表現されるブルーライトですが、本当に目に悪い光なのでしょうか。
結論からいうと、ブルーライトは目にとって一長一短のある光です。この記事では、そんなブルーライトの概要や目に与える影響について解説します。ブルーライトカットメガネの選び方や使い方もまとめているため、「ブルーライトから目を守りたい」と考えている人は、ぜひ参考にしてください。
ブルーライトとは
ブルーライトとは、波長380~495nm(ナノメートル)の青色光です。厳密には青と紫の光をもっています。波長380~430nmの光は紫色、430~495nmの光は青色です。
光の波長が紫色(380nm)より短くなると、紫外線に変わります。紫外線は目に見えないため、目に見える光の中ではブルーライトが「最も波長が短い光」です。このため、ブルーライトは「可視光短波長光」とも呼ばれます。
さらに、紫外線に近いためエネルギーが強いことも、ブルーライトの特徴です。この特徴から、高エネルギー可視光線(HEV Light)という別名ももっています。
ブルーライトの波長は、厳密に区切られていません。上限は400~500nm、下限は360~400nmと諸説があります。一般的にイメージされるブルーライトは、スマホやパソコンの画面が発する光です。しかし、太陽光などの自然光にもブルーライトが含まれています。空が青く見える理由も、ブルーライトが空の一面に散乱しているためです。
ブルーライトと紫外線の違い
ブルーライトと紫外線の違いは3つあります。①目に見えるか、②波長がいくつか、③目に有害か、の3点です。ブルーライトは目に見え、紫外線は目に見えません。波長は、ブルーライトが380~495nm、紫外線が100~380nmです(紫外線の波長にも諸説があります)。
目への有害性については、紫外線は確実に有害とされるものです。たとえば、角膜に紫外線が当たると電気性眼炎(雪眼)を発症することがあります。また、日常の小さな紫外線ダメージの蓄積は、白内障の代表的な原因の一つです。この他、翼状片や加齢黄斑変性など、紫外線はさまざまな眼科疾患を引き起こします。
ブルーライトは、夜であれば目にとっても有害です。しかし、日中であれば有害かどうかは不明であり、逆にいくつかのメリットもあります。
ブルーライトは目に悪い?
日中のブルーライトが目に悪いという、科学的根拠はありません。このことは、日本眼科学会などの6団体、米国眼科アカデミーなどが揃って指摘しています。
しかし、夜間のブルーライトには2つの健康リスクがあります。1つ目は睡眠障害、2つ目はうつ病のリスクです。このうち、睡眠障害は視力低下などの原因になることがあります。
夜間のブルーライトが睡眠障害につながる理由は、メラトニンを減少させるためです。メラトニンは眠るのに必要な物質で、不足すると「眠れない」「熟睡できない」状態になります。このリスクは、上記6団体とアカデミーも指摘するものです。
うつ病リスクについては、マウスを用いた実験で確認されました。人間での実験は倫理的問題もあり、まだ実行されていません。しかし「体内時計の乱れがうつ病につながる」ことは広く指摘されています。
ブルーライトカットメガネの
選び方
最近ではブルーライトカット機能のついたメガネも販売されています。
ブルーライトカットメガネの選び方には、3つの基準があります。1つ目は「色があるかないか」、2つ目は「カット率は何%か」、3つ目は「紫外線もカットできるか」です。
色がある「吸収タイプ」は、ブルーライトのカット率が高くなります。色がない「反射タイプ」はカット率が低く、代わりに視界の色味が変わらないことが利点です。
カット率は20~60%前後で「高いほどいい」とは限りません。日中のブルーライトには後述するメリットもあるため、用いる状況や自身の眼の特性に合わせて選択しましょう。
紫外線は先述のとおり、さまざまな点で目に有害なものです。このため、ほぼ100%カットできるメガネを選ぶことをおすすめします。
ブルーライトカットメガネの
正しい使い方
ブルーライトカットメガネの正しい使い方には、3つのポイントがあります。
①日中に装着する場合は適度に太陽光を浴びる
太陽光から浴びるブルーライトには、3つのメリットがあります。
①生体リズムを整える、②集中力を高める、③気分を高揚させる、
というメリットです。
①の生体リズムについては、ブルーライトは体を覚醒させるため「夜間は悪玉、日中は善玉」となります。
②の集中力については「日中は明るい窓際で作業する」ことが、産業衛生分野で推奨されている働き方です。
③の気分については、青色も含めた強い光は、網膜を経由して脳を刺激します。この刺激により、アドレナリンやセロトニンなど、気分を高揚させるホルモンが分泌されるのです。青空は古今東西「明るいもの」の象徴でした。このことを考えても、太陽光のブルーライトは、人間にとってメリットが多いと考えられます。
紫外線をカットできるメガネを選び、その他の紫外線対策も徹底していれば、太陽光に当たるデメリットはほぼありません。外に出ることは、次で述べる「目の休憩」にもつながるものです。
②眼精疲労の軽減はブルーライトカットメガネだけに頼らない
長時間のパソコン作業による眼精疲労は、まばたきの減少が主な原因です。この対策として、米国眼科アカデミーは「小まめな休憩」、日本眼科医会は「1時間につき15分ほどの休憩」を推奨しています。メガネを装着しつつ、これらの眼精疲労対策も並行することが必要です。
③子どもには日中の屋外で着用させない
日中の太陽光を2時間以上浴びることは、子どもの近視リスクを下げます。この「太陽光」にブルーライトが含まれるかは、まだわかりません。しかし、含まれるとしたら「カットしない方がいい」といえます。このため、少なくとも子どもが日中屋外にいるときは、着用させないようにしましょう。
参考文献
出典:気象庁ホームページ 紫外線とは
https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/uvhp/3-40uv.html