目の病気
公開日:2021.10.07 / 最終更新日:2022.07.25

網膜剥離とは?原因・症状・治療・予防方法等をご紹介

この記事の監修者

佐藤 香

アイケアクリニック本院院長、アイケアクリニック銀座院 院長

網膜剥離とは?原因・症状・治療・予防方法等をご紹介

目次

眼の奥には網膜が広がっており、モノを見るために重要な役割を担っています。その網膜が剥がれてしまう病気を「網膜剥離」といいます。網膜剥離は、放っておくと失明につながる危険性のある病気です。網膜剥離の原因・症状・治療・予防方法等をご紹介します。

網膜剥離とは

網膜剥離とは

眼の奥・眼底には、薄い膜状の組織が一面に広がっており、それを網膜といいます。網膜は、眼の中に入った光を映し出す場所で、カメラで例えるとフィルムの部分に相当し、モノを見るために重要な役割を担っています。
何らかの原因で網膜の一部に穴や裂け目ができ、眼底から剥がれてしまう病気のことを「網膜剥離」といいます。

網膜剥離の原因

網膜剥離が起こると視野(モノが見える範囲)の一部が欠けてしまい、モノが見えにくくなります。網膜剥離は以下の原因で起こります。

加齢が原因で起こる網膜剥離

加齢が原因で起こる網膜剥離

眼の中には、網膜と接している無色透明のゼリー状の液体があり、これを「硝子体」といいます。
網膜はその硝子体の表面と接しており、年齢を重ねると共に、硝子体が徐々にサラサラの液体に変化して、ゼリー状の液体の中に空洞ができます(硝子体の液体変性)。
硝子体の液化が進むと硝子体と後方の網膜が離れていき隙間ができます(後部硝子体剥離)。
この現象は、50〜60歳以降の中高年に起こる加齢変化で、生理的なものです。
後部硝子体剥離が起こる際に硝子体と網膜が癒着していたり、網膜が弱くなっていた場合には、網膜が硝子体に引っ張られ、網膜に亀裂や穴ができる「網膜裂孔(網膜が裂けてしまう)」が起こることがあります。

強い近視が原因で起こる網膜剥離

近視が強い方は、眼の奥行きが通常よりも長いため、近視が進行する過程で眼の壁が薄くなります。
近視の方の場合は、網膜が薄く引き伸ばされることでそこに穴があき、網膜剥離を起こすことがあります。

外傷が原因で起こる網膜剥離

スポーツなどで眼に強い衝撃を受けると、その衝撃で網膜裂孔が起こることがあります。
ボクシングなどの激しいスポーツをする方によくみられます。

ストレスが原因で起こる網膜剥離

網膜には「黄斑」という部分があり、黄斑には視細胞(光を感じる部分)が密集しています。
ストレスや過労が原因でこの黄斑に水が溜まり、部分的な網膜剥離を起こす場合があります。それを「中心性漿液性網脈絡膜症(ちゅうしんせいしょうえきせいもうみゃくらくまくしょう)」といいます。
この病気は、30〜40歳代の働き盛りの男性に多くみられます。

網膜剥離の症状

網膜剥離を起こしている前兆として「飛蚊症」「光視症」「視野がかすむ」「ものが歪む・視野が欠ける」などの症状があります。

飛蚊症

飛蚊症

網膜裂孔ができる際に「飛蚊症」を自覚することがあります。飛蚊症とは、目の前に糸くずや虫のようなものが見える症状のことで、加齢によって硝子体の濁りが原因で生じる生理的なものです。
飛蚊症により急激に大きな影のようなものが見えるようになった場合は、網膜剥離が疑われるため注意が必要です。

光視症

光視症

「光視症」は、網膜裂孔が生じる際によく現れる症状の一つです。光視症とは、硝子体が網膜から離れる際の刺激が視覚信号として認識され、キラキラとした光を感じる症状のことをいいます。
光視症は、網膜剥離の前兆として特徴的で、カーテンや膜がかかって見え、視野が欠けるような症状が現れます。

視野全体がかすむ

視野全体がかすむ

後部硝子体剥離が起こった際に、網膜裂孔が生じて出血を起こすことがあります。硝子体の中に出血が広がると、視野が暗くなったり、飛蚊症が増える、視野がかすんで見えるなどの症状が現れます。

モノが歪んで見える・視野が欠ける

モノが歪んで見える・視野が欠ける

網膜にある黄斑が異常をきたすと、たちまち視力低下を起こします。網膜剥離が黄斑に及ぶと、モノが歪んで見えたり、視野が欠ける、視力が低下するなどの症状が現れます。

これらの症状が現れた場合は放置せず、眼科専門医を受診するようにしましょう。

網膜剥離の検査

網膜剥離の検査

網膜剥離の診断をするために、一般的な視力検査や眼圧検査に加えて、目の奥を詳しく調べる眼底検査などを行う必要があります。

視力検査

網膜剥離で黄斑に異常をきたすと、急激な視力低下を起こします。そのため、一般的な視力検査も行う必要があります。

眼圧検査

網膜剥離が起こると眼圧が下がることがあるため、眼圧検査を行います。眼圧検査の結果、数値が極端に下がっている場合は、網膜剥離が疑われます。

眼底検査

網膜剥離の検査は、網膜に剥がれている部分があるか検査をして詳しく観察します。網膜の隅々まで観察する必要があるため、瞳を広げる散瞳薬と言われる点眼を投与して、瞳孔から光を入れ観察する眼底検査を行います。散瞳薬の効果は3〜4時間続くため、検査が終わってから薬の効果が切れるまでの間、眩しく感じたり、ピントがぼやけたりします。そのため、薬の効果が持続している間は車・バイクの運転をすることはできません。

超音波検査

硝子体出血があり眼底の観察ができない場合は、眼科用超音波検査を行います。

ERG検査

網膜剥離や網膜裂孔があるかを診察するために、目の上にコンタクトレンズ電極を乗せ、強い光を当てて網膜から出る弱い電流を測定する検査(ERG検査)を行うことがあります。
この検査では、網膜細胞がどの程度傷んでいるかを調べることができます。ERG検査は超音波検査と同様に、硝子体出血などで眼底が観察できない場合に行います。

網膜剥離の治療

網膜剥離と診断されると、治るのかどうか不安になる方もいらっしゃると思います。しかし、網膜剥離は早期発見・早期治療することで視力への影響が少ない病気ともいわれています。網膜剥離の前兆が見られた場合は、放置せず早めに眼科を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
網膜剥離の治療法としては、剥離の進行度合いにより治療方法が異なります。網膜が剥がれていない場合に行う「光凝固術」と、網膜が剥がれている場合に行う「強膜バックリング術」「硝子体手術」があります。

光凝固術

光凝固術

光凝固術は、網膜裂孔を起こしていても、網膜が剥がれていない場合に行う治療です。光凝固術では、レーザー光線を使用し、網膜裂孔の周りを固めることによって、網膜剥離への進行を予防することができます。
しかし、網膜裂孔の大きさや、硝子体が網膜を引っ張る程度によっては、予防効果が弱いこともあります。

強膜バックリング術

強膜バックリング術は、網膜裂孔を起こしている部分を外側から治療する方法です。「強膜」とは、眼の一番外側にある「白目」の部分をいいます。
強膜バックリング術では、剥離した網膜の外側から強膜にシリコンのバンドを縫い付け、裂孔の周りを熱凝固や冷凍凝固で固め治療します。
この方法は比較的、眼に対する負担が少ないため、軽症の場合に行います。

硝子体手術

硝子体手術は、重症の網膜剥離に対して内側から治療をする方法です。眼球から硝子体を取り除いて、網膜裂孔の周りをレーザーで固め、眼内にガスを注入し膨らませます。硝子体手術では、眼内に注入したガスで網膜を抑える目的があるため、数日ほど下向きか横向きで安静にする必要があります。

網膜剥離の予防

網膜剥離の予防

網膜剥離の予防は、やはり定期的に眼科を受診して、眼の病気がないかをチェックしてもらうことです。特に飛蚊症や光視症の症状がある方は、網膜剥離を起こす可能性があるため、早めに眼科専門医を受診するようにしましょう。
また、ストレスや過労が原因といわれている中心性漿液性網脈絡膜症を予防することも大切です。
まずは病気にならないように、健康な生活を心がけましょう。過労や体力の低下、食生活の乱れは病気につながります。普段からバランスの良い食事、適度な運動、睡眠をしっかりとるようにしましょう。
眼の健康のためにも、ゆっくり体と心を休めリフレッシュし、規則正しい生活を送ることはとても大切です。
加えて、有害光線から眼を守ることも大切です。眼も肌と同じように、有害光線によるダメージを受けています。有害光線とは紫外線、LEDライトやスマートフォン、パソコンなどが発しているブルーライト(可視光短波長光)のことです。有害光線は、眼の病気や眼精疲労の原因になるともいわれているため、眼を保護するためにも有害光線を防ぐ対策が必要です。
夏の強い日差しの紫外線やブルーライトから眼を守ってくれるものとして、紫外線カットレンズやブルーライトカットレンズの眼鏡、サングラスがあります。眼のダメージを防ぐためにも、これらの効果のある眼鏡を使用し、眼の病気を予防するよう努めましょう。

あなたは大丈夫?
眼病セルフチェック

加齢や近視、30〜40歳の働き盛りでも起きる可能性がある網膜剥離は、発見と治療が遅れた場合、失明につながる危険もあります。
日頃から眼の病気はないか、セルフチェックをすることで、網膜剥離の早期発見と早期治療につながるでしょう。
そこで、網膜剥離やその他の眼の病気の発見に役立つセルフチェックをご紹介します。ご自身の眼の健康維持にお役立てください。

  • 以前より視力が悪くなった気がする
  • 目の前に紐や虫のような黒いものが見える
  • キラキラした光を感じる
  • カーテンや膜がかかっているように見える
  • 左右片方ずつの眼でモノを見たときの見え方に差がある
  • 視野が欠けているような感じがする
  • モノが歪んで見える
  • 視野が暗くなった
  • 目の前がかすんで見える
  • 疲れ目になりやすい

このセルフチェックは医学的診断に変わるものではありません。これらの症状が見られた場合は、眼科専門医を受診し、適切な診察を受けることをおすすめします。
網膜剥離の症状として特徴的なものに、飛蚊症と光視症があります。これらの症状が見られた場合、網膜剥離になる可能性も否定できません。ですので、早期受診・早期治療が大切です。
特に飛蚊症は、加齢による生理的なものといわれているため、問題ないと自己判断をして受診が遅れることがないようにしましょう。

気になることがあるなら病院へ

網膜剥離は、治療が早ければ早いほど、視力への影響が少ない病気といわれています。反対に、発見が遅れたり放置した場合は失明につながる危険性もある病気です。そのため、網膜剥離の早期発見と早期治療のために、日頃からセルフチェックを行い、規則正しい生活を送る、眼を有害光線から守る眼鏡を使用するなどして、予防にも努めましょう。
万が一、網膜剥離の前兆である飛蚊症や光視症などの症状を感じた時は、すみやかに眼科専門医を受診し検査を受けるようにしてください。

監修者プロフィール

佐藤 香

アイケアクリニック本院院長、アイケアクリニック銀座院 院長

HP:https://www.eye-care-clinic.jp/

著 書

『年間2,000件の白内障手術を手掛けるスゴ腕ドクター佐藤香院長の白内障治療Q&A』(幻冬舎)/ 『スゴい白内障手術』(幻冬舎) / 『目は若返る 50歳からの眼科治療』(幻冬舎)

年間2,000件以上の手術を行う。 とくに最先端の多焦点眼内レンズの豊富な知識を駆使して、多焦点眼内レンズと白内障レーザー手術において抜群の治療実績を誇る。その他、網膜硝子体や緑内障の手術も担当。
まぶたの手術やボトックス注射など、眼科医としての視点を活かした目周りの美容にも注力。また、校医を務めるなど、地元住民のかかりつけ医として地域医療にも貢献している。日々のちょっとした悩み相談から高度な治療まで、総合的な目のケア一「トータルアイケア」の提供を目指す。
現在、注目の眼科女医として、テレビやラジオ、新聞、雑誌など、さまざまなメディアに取り上げられている。

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