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視力と度数は同じものと考えられることが多いですが、実際は違います。視力とはモノが見える力のことを指しますが、度数とは別のものです。この記事では、視力とは何か、視力の測り方、視力と度数の違いや関係性などについて詳しく解説します。
視力とは
視力とは、モノがどれだけ細かくはっきり見えているのか、目の「見える力」を数値化したものです。
静止視力と動体視力
視力には「静止視力」と「動体視力」があります。静止視力とは、止まっているモノを見る能力のことをいい、動体視力とは、動いているモノを見続け見分けて判断する能力のことをいいます。視力には、その他にもさまざまな種類があります。一般的にいわれる視力とは、静止視力のことを指しています。
裸眼視力と矯正視力
視力には「裸眼視力」と「矯正視力」があります。裸眼視力とは、メガネやコンタクトレンズを使わずにモノを見た時の視力のことをいいます。矯正視力とは、メガネやコンタクトレンズを使いモノを見た時の視力のこといいます。
眼科で毎回視力測定をする理由
裸眼視力はメガネをかけるかどうかの判断基準になりますが、眼科で重要になるのは矯正視力の方です。矯正視力の数値は変わらないことが重要といわれています。矯正視力が下がった時は、目に障害が起きていることも考えられます。ですので、眼科では毎回矯正視力を測定しているのです。
視力の測り方
学校の健康診断や、眼科の検査で目にすることがあるCマークを「ランドルト環」といいます。これは世界共通の視力検査用記号で、視力検査を行う時は、ランドルト環を用いた検査を行うのが一般的です。
ランドルト環を使った視力検査では、5メートル離れた位置からCマークの穴が開いている方向を、上・下・左・右・斜めから答えてもらいます。この視力検査では、どのサイズのランドルト環の切れ目まで見えているかどうかで視力を導き出します。
例えば、最も大きいCマーク(全長75ミリ・切れ目の幅が15ミリ)の切れ目の位置が分かった場合、視力0.1と判定されます。また、最も小さいCマーク(全長7.5ミリ・切れ目の幅が1.5ミリ)の切れ目の位置が分かった場合は、視力1.0と判定されます。
しかし、ランドルト環を用いた検査の場合、実際はっきり見えていなくても、偶然言った答えが当たることもあります。そのため、同じ視力に該当するCマークを複数回答えてもらいテストをします。
視力検査では、複数回その視力に該当する視標をみてもらうことで「見えているのか」「見えていないのか」の境界線をはっきりさせ、正答率も評価に入れながら、最終的な視力を判定しているのです。
視力と度数の関係
「視力」と「度数」は、同じ意味と考えられることも多々あります。しかし、視力と度数は全く異なるものです。視力と度数は関連はありますが、視力から度数を、または度数から視力を導き出すことはできません。次に視力と度数の関係について説明します。
度数とは
視力とは、目の「見える力」を数値で表したものですが、度数とは、目の「見える力」を十分発揮するために必要なレンズの強さを数値で表したものです。度数は、メガネやコンタクトレンズが持つ「矯正力」を表しています。矯正力とは、レンズの屈曲する力や屈折する方向のことをいいます。
度数の単位は「ディオプター」といいDで表されます。近視の場合は「マイナス(−)」遠視の場合は「プラス(+)」で表示します。プラス・マイナスに関わらず、0から数字が離れるほど度数は強くなります。
モノが見えにくくなるメカニズム
人は、黒目を覆う「角膜」や「水晶体」を光が通り、目の奥にある「網膜」に映し出された像を認識する形でモノを見ています。視力には、角膜や水晶体の屈折力や眼軸(角膜から網膜までの長さ)が影響しています。
屈折力が強かったり眼軸が長いと、網膜でうまくピントを合わせることができません。そのような時は、ご自分に合った度数のレンズを選ぶことで、正常な屈折・ピントが合った状態でモノを見ることが出来るようになります。
しかし、目に障害がある場合は、メガネやコンタクトレンズを使って度数を調整しても、モノの見え方が回復しないこともあります。
同じ視力の人同士でも度数は人それぞれ違う
裸眼視力が同じ人同士でも、度数が同じとは限りません。また、視力から度数を導き出すこともできません。その理由は、人によって水晶体の大きさや網膜までの距離など目の構造に違いがあるためです。
さらに、近視・遠視・乱視などが影響して度数は変わります。ご自分の目の度数を知るためには、眼科を受診して検査をしてもらう必要があります。
あなたのメガネの度数は
合ってる?
メガネやコンタクトレンズを使っているにも関わらず、モノを見る時に目を細めてしまったり、見にくい・圧迫感があると感じるようであれば、それは度数があっていないのかも知れません。そのような場合は、使っているメガネやコンタクトレンズを一度見直す必要があります。
度数が合っていないと目に負担をかける
度数が合っていないメガネやコンタクトレンズを使い続けると、目に負担をかけてしまいます。合わないメガネを使い続けるとストレスがたまり、場合によっては、近視が進んでしまったり、眼精疲労・頭痛・肩こりなどの原因になる恐れもあります。
また、度数が合っていないメガネやコンタクトレンズを使うことにより、近視が進む可能性も否定できません。
メガネとコンタクトレンズの度数は違う
メガネとコンタクトレンズの度数は同じだと考えられていることもありますが、実際は異なります。
その理由は、角膜に直接触れているコンタクトレンズと違い、メガネはレンズと角膜の間に距離があるため、同じ視力矯正をした時には、メガネの方がコンタクトよりも度数が強くなる場合があるからです。
メガネやコンタクトレンズを選ぶ時は、自己判断で選ぶのではなく、眼科を受診して検査をしてもらいましょう。
正しい度数を測るには病院へ
視力から度数を導き出すことは出来ないため、ご自分に合っている度数のレンズを選ぶためには、眼科を受診して検査を受ける必要があります。また、普段使っているメガネやコンタクトレンズでも、度数が合わないと感じた時には速やかに眼科を受診しましょう。
視力低下には、目の病気が関係している場合もあります。視力を矯正しても目に障害があれば視力は回復しません。そのため、目の病気がないかを確認するためにも、定期的に眼科で検査を受けるとよいでしょう。