目の悩み
公開日:2022.03.25 / 最終更新日:2022.10.03

目のかすみは何故起こる?改善するための対処法・予防法を解説

この記事の監修者

内野 美樹

ケイシン五反田アイクリニック 院長

目のかすみは何故起こる?改善するための対処法・予防法を解説

目次

目をよく使う生活をしていて気になるのは目のかすみです。スマホを見る時間が増えてしまい、さらに目のかすみが気になる方が増えています。
この記事では、わずらわしい目のかすみを改善したり、未然に防ぐ方法を紹介します。目のかすみを放置すると危険な場合もあるので、自分の症状と照らし合わせてチェックしてみてください。

目のかすみとは

目のかすみとは見えにくさの事を言います。

目がかすみ、見えにくい状況になるとピントが合いづらく視力の低下が起こります。遠くや近くの物がハッキリしない状況です。かすみ方は人それぞれですが、次のような見え方が視界の全体で起こっていることが多いでしょう。

具体的な見え方は人によって様々ですが、視界に霧がかかったように見えたり、モヤモヤした煙のように感じる場合もあるかもしれません。いずれにせよ、通常の見え方とは異なります。

目のかすみは眼疾患や疲労によって発症する事もありますが、脳の病気で緊急を要する場合など、様々な原因が考えられます。

目のかすみに伴う症状

目のかすみに伴って、他に様々な症状がある場合があります。見え方や感じ方は人それぞれですが、以下のような症状を伴う事があります。

光がまぶしく感じるイメージ
  • 目が乾いているような乾燥感がある
  • 光がまぶしく感じる
  • 人や物が歪んで見える

目がかすむと思わず目をつむりたくなったり、目や目の周囲が重だるく感じたりする事があります。また、無意識に瞬きの回数が増えたり涙が流れたりする場合もあります。

通常であれば、午後や夜など一日の疲労が溜まってきた時間帯に目のかすみが現れる場合が多いです。しかし朝目覚めた時から一日中かすんで見えたり、一向に改善せず頭痛を伴うなど、明らかな違和感を感じる場合は、急いで眼科や内科などを受診する必要があるので注意しなければなりません。

緊急で受診する必要がある危険な目のかすみとは

目のかすみには様々な原因がありますが、急いで医療機関を受診する必要がある場合があります。

目には多くの神経が直接脳から繋がっています。また、目にはたくさんの毛細血管が集まっているので、血流の状態の影響も受けやすいです。この事から、以下の症状を伴う目のかすみには注意が必要です。

めまいを伴い、立っていられないイメージ
  • 耐えがたい激痛を伴う
  • めまいを伴い、立っていられない
  • 吐き気を伴う

このような場合は、なるべく早く症状に応じて病院を受診しましょう。

目のかすみが疑われる際に
行われる検査とは

目のかすみの症状で病院を受診した際には、原因を特定するための検査が行われます。

眼疾患や目が原因と疑われる場合は、眼科で様々な検査が行われます。

  • 眼圧検査:目の硬さを測定する検査
  • 涙液検査:涙の量を測定する検査
  • 視力検査:遠くや近くがどのぐらい見えているかの検査

これらの検査に加えて、視野検査や色覚検査、網膜断層撮影の検査などが行われる事があります。

また、眼科で異常がなかった場合や初めから他の科を受診した場合は血液検査やCT/MRIなどの検査を行う事もあります。

目のかすみを引き起こす原因とは

目のかすみを引き起こす原因とは

目のかすみが起こる原因は以下が考えられます。

  • ドライアイ・眼精疲労
  • コンタクトレンズやメガネの使用による要因
  • 老眼
  • 白内障
  • 緑内障
  • 糖尿病に伴う網膜の異常
  • ぶどう膜炎
  • 頭蓋内病変を含む、他の全身疾患

このように眼疾患が原因となっている可能性が大きいので、目のかすみを感じる時は一度眼科を受診される事をおすすめします。それぞれの原因について解説します。

ドライアイ・眼精疲労

ドライアイ・眼精疲労

目をよく使うスマホやパソコン作業の後に一時的な目のかすみを感じる場合は、ドライアイや眼精疲労が原因の可能性が高いです。

ドライアイとは、涙の量が少なくなったり涙の質のバランスが悪い事を言います。原因は加齢性の変化や空気の乾燥など様々です。
通常、目の表面は涙で覆われ視界はクリアな状態です。しかしドライアイになり涙が不足すると乾燥感を感じ、物がかすんで見にくくなります。

眼精疲労とは、目の疲れが原因で発症する眼疾患の事です。ドライアイが原因で眼精疲労になり、肩こりや頭痛などが起こる事もあります。

コンタクトレンズやメガネの使用

コンタクトレンズやメガネの使用が原因で目のかすみが起きる事があります。
以下の事が考えられます。

  • コンタクトレンズやメガネの度数が合っていない
  • コンタクトレンズの長時間連続装用によるドライアイや角膜潰瘍などの合併症が起きている
  • メガネの傷やフレームのゆがみ
  • コンタクトレンズやメガネをすると遠くにピントが合うが老眼が進んだ事が原因で、近くを見るとかすむ

コンタクトレンズやメガネを使用していると目がかすみ、使用をやめると改善される場合はそれらに原因があるかもしれません。眼科を受診し度数や目の状態をチェックしてもらいましょう。

加齢

加齢が原因で目がかすむ場合もあります。
個人差が大きいですが、加齢に伴い、涙の量が少なくなったり、眼疾患が少しずつ進行する事が考えられます。

目のかすみを起こす加齢性の変化

  • ドライアイ
  • 老眼
  • 白内障

老眼とは、加齢に伴い目のピント調節機能が衰える事によって近くが見えにくくなる事を言います。見えにくいまま放置して頑張って見ていると、目のかすみがひどくなる可能性があります。眼科で適切な度数のメガネを処方してもらい使用しましょう。

白内障とは、目の中の水晶体という場所が加齢性の変化によって白濁し視力が低下する病気です。

白内障が初期で軽度の場合、視力に影響がない時もあります。しかし進行すると目がかすむように見えたり、物が見えにくくなります。白内障は白髪のようなもので、誰でも発症する可能性がありますが手術で治療する事が可能です。

ある程度の年齢を超えていて、かすみ目が気になる時は眼科で白内障のチェックをしてもらいましょう。

緑内障

緑内障による視野障害のイメージ

緑内障による視野障害のイメージ

緑内障は目の奥にある視神経という神経が弱ってしまう目の病気です。

神経が弱ると視野が欠けたり、暗点と呼ばれる見えない部分が増えたり大きくなったりします。緑内障はゆっくりと少しずつ進行する事がほとんどで、発症初期では症状に気付きにくい事が多いです。

初期症状として目のかすみを自覚する場合がありますが、なかなか気付かなかったり症状を放置してしまうと発見が遅れてしまいます。緑内障は早期発見、早期治療の開始で視力の維持が可能な場合もあります。かすみ目を放置せず眼科を受診しましょう。

糖尿病に伴う網膜の異常

全身の病気である糖尿病の合併症に糖尿病網膜症があります。糖尿病が原因で目の奥にある網膜という部分の血管が障害される事が原因です。

網膜はカメラでいうフィルムの部分にあたり、多くの血管や神経が集まっています。目で見た情報を脳へ送る重要な器官なため、障害された場合は視力や見え方に変化が現れます。目のかすみも症状の一つです。

糖尿病網膜症になった場合、糖尿病の治療と合わせて眼科での目の治療や定期的なチェックが必要になります。

ぶどう膜炎

ぶどう膜とは、目の形状を保っている3つの膜の中心の膜の事です。

茶目と言われる虹彩の部分もぶどう膜の一つです。その部分がなんらかの原因によって炎症を起こす事をぶどう膜炎と言います。白内障や緑内障とは違い、発症する割合は少なく、他の全身の疾患が原因になっている場合も考えられるため注意が必要です。

ぶどう膜炎になると視力が低下したり、痛みが伴う場合もあります。かすみ目もぶどう膜炎の症状の一つに挙げられるので、いつもと違うかすみ目を感じる場合は眼科で検査を受けましょう。

脳の病気

脳の病気が原因で目のかすみが起こることがあります。くも膜下出血はその一つで、
脳の一部のくも膜下腔と呼ばれる隙間で出血が起こる事を言います。

目は脳の一部とも言われるほどに脳に近い臓器です。神経は脳と繋がっており、目から入る多くの情報を処理しています。脳の状態の影響を受けやすいので、目の痛みの後に頭痛が起こったり、その逆を経験した事がある方も多いはずです。

そのため、かすみ目のような見え方の変化に吐き気や頭痛を伴うような場合は、命に関わる脳の病気の可能性も否定できません。なるべく早くに医療機関を受診する事をおすすめします。

目のかすみを改善するには

わずらわしい目のかすみを改善するには、まずはその原因を解決するしかありません。

眼疾患が原因の場合は眼科での治療が第一優先です。かすみ目の原因がはっきりするまでに何度も通院する必要があるかもしれませんが、自己判断で通院を終了せずに医師と相談して定期的に受診しましょう。

眼精疲労が原因の場合は目を休めるように努める事も一つの方法です。スマホやパソコン作業をする際は間に休憩を挟むなど、工夫をして改善を試みましょう。

自分ではどうにもならない時には眼科で目薬を処方してもらえます。かすみ目の症状がひどくなる前に早めに受診しましょう。ひどくなるまで長い時間放置してしまうと、症状が改善されるまでの時間も長くなってしまいますので注意が必要です。

目のかすみの予防法について

目のかすみの予防法イメージ

目のかすみは悪化すると慢性化してしまう可能性もあるので、慢性化を予防する事が大切です。

  • 紫外線をカットするメガネやサングラス、
    偏光レンズなどを使用する
  • ホットタオルなどで目の周囲の血流をよくする
  • スマホやパソコン作業をする場合は間に休憩を挟み、
    目を休める
  • 休日はなるべく遠くを見る
  • 運動を習慣化して全身の血流を良くする
  • 健康的な食生活で糖尿病や高血圧を予防する

これらの工夫を無理のない範囲で試してみると、目のかすみの予防に繋がります。また、正常な視力の維持は認知症対策にもなるのでとても大切です。

白内障などの眼疾患はある程度の年齢を過ぎると誰でも少なからず発症する可能性があります。老眼のメガネも市販のものを使用するより、眼科で処方してもらった方が正確で使いやすいでしょう。この事からも定期的なチェックのために眼科に通院する事は大切だと言えます。

まとめ

目のかすみは軽く捉えてしまいがちですが、大きな病気が隠れている可能性も考えられます。必要な時には医療機関をなるべく早くに受診してください。

それ以外の事が原因の目のかすみでも眼科医に気軽に相談してみると良いでしょう。ドライアイや眼精疲労に対する目薬もあります。

また、何かあった時に困らないように通いやすい眼科を探してあらかじめ受診しておくのも賢い方法と言えるでしょう。目のかすみは放置せずに、早めに対応する事をおすすめします。

監修者プロフィール

内野 美樹

ケイシン五反田アイクリニック 院長

HP:https://www.keishin-eye.com/

山梨医科大学 医学部卒業後、慶應義塾大学 眼科学教室入局。米・ハーバード大学 公衆衛生学修士取得。慶應義塾大学 眼科学教室 特任講師。
眼科のなかでも「ドライアイ」を中心にした角膜の疾患を専門とする。日本におけるドライアイについての疫学研究の第一人者であり、近年増えている長時間のパソコン作業によるVDT(Visual Display Terminal)症候群などの研究を行っており、日本のドライアイの有病率、パソコン使用時間とドライアイとの関係について世界で初めて証明した。ドライアイにつながる危険因子を研究し、ドライアイ診断に関する国際的な基準づくりにも携わる。
予防医療の啓蒙活動にも力を入れ、『しまじろうとEye Care Book』幼稚園や保育園の先生の目の教科書となるような『子どもの目見守りサポートBook』を作成。
目の健康について学び、セルフケアができるよう、『ナカナイ涙』などのWebサイトの監修も手掛ける。

【所属学会】
日本眼科学会 / 日本眼科医会 / 日本角膜学会 / 小児眼科学会 / 日本弱視斜視学会 / ドライアイ研究会

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