目の悩み
最終更新日:2024.02.29

目のかすみ(かすみ目)とは?症状や原因を徹底解説

この記事の監修者

内野 美樹

ケイシン五反田アイクリニック 院長

目のかすみ(かすみ目)とは?症状や原因を徹底解説

目次

目をよく使う生活をしていて気になるのは目のかすみです。最近ではスマホを見る時間が増えてしまい、さらに目のかすみが気になる方が増えています。
この記事では、わずらわしい目のかすみを改善したり、未然に防ぐ方法を紹介します。目のかすみを放置すると危険な場合もあるので、自分の症状と照らし合わせてチェックしてみてください。

目のかすみ(かすみ目)とは?

目のかすみとは見えにくさのことを言います。

目がかすみ、見えにくい状況になるとピントが合いづらく視力の低下が起こります。遠くや近くのものがハッキリしない状況です。かすみ方は人それぞれですが、次のような見え方が視界の全体で起こっていることが多いでしょう。

具体的な見え方は人によって様々ですが、視界に霧がかかったように見えたり、モヤモヤした煙のように感じる場合もあるかもしれません。いずれにせよ、通常の見え方とは異なります。

目のかすみは眼疾患や疲労によって発症することもありますが、脳の病気で緊急を要する場合など、様々な原因が考えられます。

目のかすみ(かすみ目)に
伴う症状

目のかすみに伴って、他に様々な症状がある場合があります。見え方や感じ方は人それぞれですが、以下のような症状を伴うことがあります。

光がまぶしく感じるイメージ
  • 目が乾いているような乾燥感がある
  • 光が眩しく感じる
  • 人や物が歪んで見える

目がかすむと思わず目をつむりたくなったり、目や目の周囲が重だるく感じたりすることがあります。また、無意識に瞬きの回数が増えたり涙が流れたりする場合もあります。

通常であれば、午後や夜など一日の疲労が溜まってきた時間帯に目のかすみが現れる場合が多くあります。しかし朝目覚めた時から一日中かすんで見えたり、一向に改善せず頭痛を伴うなど、明らかな違和感を感じる場合は、急いで眼科や内科などを受診する必要があるので注意しなければなりません。

緊急で受診する必要がある危険な目のかすみとは

目のかすみには様々な原因がありますが、急いで医療機関を受診した方が良い場合があります。

目には多くの神経が直接脳から繋がっています。また、目にはたくさんの毛細血管が集まっているので、血流の影響も受けやすくなっています。このことから、以下の症状を伴う目のかすみには注意が必要です。

めまいを伴い、立っていられないイメージ
  • 耐えがたい激痛を伴う
  • めまいを伴い、立っていられない
  • 吐き気を伴う

このような場合は、なるべく早く症状に応じて病院を受診しましょう。

目のかすみ(かすみ目)の
原因は?

目のかすみを引き起こす原因とは

目のかすみが起こる原因は以下が考えられます。

  • ドライアイ・眼精疲労
  • コンタクトレンズやメガネの使用による要因
  • 加齢(老眼)
  • 白内障
  • 緑内障
  • 糖尿病に伴う網膜の異常
  • ぶどう膜炎
  • 頭蓋内病変を含む、他の全身疾患

このように眼疾患が原因となっている可能性が大きいので、目のかすみを感じる時は一度眼科を受診されることをおすすめします。それぞれの原因について解説します。

1 : ドライアイ

ドライアイ・眼精疲労

ドライアイは、加齢や空気の乾燥などの影響で、涙の量が少なくなったり涙の質が悪くなったりする病気です。ドライアイの状態になると、目の渇きによる違和感や痛みを感じやすく、目がかすんで見えにくくなる場合もあります。

2 : 眼精疲労

眼精疲労は、パソコンやスマートフォンの長時間使用といった目を酷使する環境が原因で、目の痛みやかすみ、眩しさといった症状が出ている状態のことをいいます。眼精疲労が重症化すると、目の症状だけでなく頭痛や肩こり、吐き気といった全身の症状が見られることもあります。

3 : 加齢

加齢が原因で目がかすむ場合もあります。
個人差が大きいですが、加齢に伴い、涙の量が少なくなったり、眼疾患が少しずつ進行することが考えられます。

目のかすみを起こす加齢性の変化には以下の症状が挙げられます。

  • 老眼
  • 白内障

老眼

老眼とは、加齢に伴い目のピント調節機能が衰えることによって近くが見えにくくなることを言います。見えにくいまま放置し、無理してものを見ようとすると、目のかすみがひどくなる可能性があります。眼科で適切な度数のメガネを処方してもらい使用しましょう。

白内障

白内障とは、目の中の水晶体という器官が加齢性の変化によって白濁し視力が低下する病気です。

白内障が初期で軽度の場合、視力に影響がない時もあります。しかし進行すると目がかすむようになったり、物が見えにくくなったりします。白内障は白髪のようなもので、誰でも発症する可能性がありますが手術で治療する事が可能です。

ある程度の年齢を超えていて、かすみ目が気になる時は眼科で白内障のチェックをしてもらいましょう。

4 : 長時間のコンタクト装用

コンタクトレンズの使用が原因で目のかすみが起きることがあります。

以下の理由が考えられます。

  • コンタクトレンズの度数が合っていない
  • コンタクトレンズの長時間連続装用によるドライアイや角膜潰瘍などの合併症が起きている
  • コンタクトレンズをつけると遠くにピントが合うが老眼が進んだことが原因で、近くを見るとかすむ

コンタクトレンズを使用していると目がかすみ、使用をやめると改善される場合はそれらに原因があるかもしれません。眼科を受診し度数や目の状態をチェックしてもらいましょう。

目のかすみ(かすみ目)は
病気の可能性がある?

加齢や一時的な目の疲労などが原因で多少目がかすんでいるだけであれば、大きな心配はいりません。しかし、目のかすみは様々な目の病気の症状の一つとしても知られています。

1 : 緑内障

緑内障による視野障害のイメージ

緑内障による視野障害のイメージ

緑内障は目の奥にある視神経という神経が弱ってしまう目の病気です。

神経が弱ると少しずつ視野が欠け、病状が進行するにつれて見える範囲がだんだんと狭くなっていきます。治療せずに末期まで放置すると、最終的に完全に失明してしまうこともあります。しかし、緑内障はゆっくりと少しずつ進行することがほとんどで、発症初期や片目にしか症状がないようなケースでは症状に気づきにくいのが特徴です。

初期症状として目のかすみを自覚する場合がありますが、なかなか気づかなかったり症状を放置してしまうと発見が遅れてしまいます。緑内障は早期発見、早期治療の開始で視力の維持が可能な場合もあります。かすみ目を放置せず眼科を受診しましょう。

2 : ぶどう膜炎

ぶどう膜とは、目の形状を保っている虹彩(こうさい)、毛様体(もうようたい)、脈絡膜(みゃくらくまく)の3つからなる眼の中の膜の総称です。

茶目と言われる虹彩の部分もぶどう膜の一つです。その部分がなんらかの原因によって炎症を起こすこと状態をぶどう膜炎と言います。白内障や緑内障とは違い、発症する割合は少なく、他の全身の疾患が原因になっている場合も考えられるため注意が必要です。

ぶどう膜炎になると視力が低下したり、痛みを伴う場合もあります。かすみ目もぶどう膜炎の症状の一つに挙げられるので、いつもと違うかすみ目を感じる場合は眼科で検査を受けましょう。

3 : 糖尿病の合併症

全身の病気である糖尿病の合併症に糖尿病網膜症があります。糖尿病が原因で目の奥にある網膜という部分の血管が障害される病気です。

網膜はカメラでいうフィルムの部分にあたり、多くの血管や神経が集まっています。目で見た情報を脳へ送る重要な器官なため、障害された場合は視力や見え方に変化が現れます。目のかすみも症状の一つです。

糖尿病網膜症になった場合、糖尿病の治療と合わせて眼科での目の治療や定期的なチェックが必要になります。

4 : 脳の病気

脳の病気が原因で目のかすみが起こることがあります。くも膜下出血はその一つで、脳の一部のくも膜下腔と呼ばれる器官で出血が起こることを言います。

目は脳の一部とも言われるほどに脳に近い臓器です。神経は脳と繋がっており、目から入る多くの情報を処理しています。脳の状態の影響を受けやすいので、目の痛みの後に頭痛が起こったり、その逆を経験したことがある方も多いはずです。

そのため、かすみ目のような見え方の変化に加え、吐き気や頭痛を伴うような場合は、命に関わる脳の病気の可能性も否定できません。なるべく早くに医療機関を受診することをおすすめします。

目のかすみ(かすみ目)が
疑われる際に行われる
検査とは

目のかすみの症状で病院を受診した際には、原因を特定するための検査が行われます。

眼疾患や目が原因と疑われる場合は、眼科で様々な検査が行われます。

  • 眼圧検査:目の硬さを測定する検査
  • 涙液検査:涙の量を測定する検査
  • 視力検査:遠くや近くがどのくらい見えているかの検査

これらの検査に加えて、視野検査や色覚検査、網膜断層撮影の検査などが行われることがあります。
また、眼科で異常がなかった場合や初めから他の科を受診した場合は血液検査やCT/MRIなどの検査を行うこともあります。

目のかすみ(かすみ目)の
ケア・対策・改善方法

わずらわしい目のかすみを改善するには、まずはその原因を解決するしかありません。

眼疾患が原因の場合は眼科での治療が第一優先です。かすみ目の原因がはっきりするまでに何度も通院する必要があるかもしれませんが、自己判断で通院を終了せずに医師と相談して定期的に受診しましょう。

眼精疲労が原因の場合は目を休めるように努めることも一つの方法です。スマホやパソコン作業をする際は間に休憩を挟むなど、工夫をして改善を試みましょう。

自分ではどうにもならない時には眼科で目薬を処方してもらえます。かすみ目の症状がひどくなる前に早めに受診しましょう。ひどくなるまで長い時間放置してしまうと、症状が改善されるまでの時間も長くなってしまいますので注意が必要です。

目のかすみ(かすみ目)を
予防する方法はある?

目のかすみの予防法イメージ

目のかすみは悪化すると慢性化してしまう可能性もあるので、慢性化を予防することが大切です。

  • 紫外線をカットするメガネやサングラス、偏光レンズなどを使用する
  • ホットタオルなどで目の周囲の血流をよくする
  • スマホやパソコン作業をする場合は間に休憩を挟み、目を休める
  • 休日はなるべく遠くを見る
  • 運動を習慣化して全身の血流を良くする
  • 健康的な食生活で糖尿病や高血圧を予防する

これらの工夫を無理のない範囲で続けていると、目のかすみの予防に繋がります。また、正常な視力の維持は認知症対策にもなるのでとても大切です。

白内障などの眼疾患はある程度の年齢を過ぎると誰でも少なからず発症する可能性があります。老眼のメガネも市販のものを使用するより、眼科で処方してもらった方が正確で使いやすいでしょう。このことからも定期的なチェックのために眼科に通院するのは大切だと言えます。

あなたの目の状態を
セルフチェック!

目の病気の症状の一つとして、目がかすむ場合もあります。気になる症状がある時は、セルフチェックをしてみましょう。目のかすみに加えて、次のような症状はありませんか?

  • 目やにが出る
  • 乾きやすい
  • 近くのものが見えにくい
  • ものが歪んで見える
  • 痛みがある
  • 充血している
  • 眩しさを感じやすい
  • ゴロゴロとした違和感がある
  • 視力が低下してきた

当てはまる症状が多い時には、何らかの目の病気が隠れている可能性もあります。早めに眼科を受診しましょう。

まとめ

目のかすみは、目の乾燥や疲れといったちょっとしたきっかけで起こります。加齢による目の老化現象の一つとして知られていることもあり軽く捉えてしまいがちですが、大きな病気が隠れている可能性も考えられます。症状が強い時や、目のかすみ以外の症状が見られる時には、眼科医に気軽に相談してみると良いでしょう。ドライアイや眼精疲労など、目のかすみの原因に対して効果的な目薬もあります。

また、何かあった時に困らないように、通いやすい眼科を探してあらかじめ受診しておくのも賢い方法と言えるでしょう。目のかすみは放置せずに、早めに対応することをおすすめします。

監修者プロフィール

内野 美樹

ケイシン五反田アイクリニック 院長

HP:https://www.keishin-eye.com/

山梨医科大学 医学部卒業後、慶應義塾大学 眼科学教室入局。米・ハーバード大学 公衆衛生学修士取得。慶應義塾大学 眼科学教室 特任講師。
眼科のなかでも「ドライアイ」を中心にした角膜の疾患を専門とする。日本におけるドライアイについての疫学研究の第一人者であり、近年増えている長時間のパソコン作業によるVDT(Visual Display Terminal)症候群などの研究を行っており、日本のドライアイの有病率、パソコン使用時間とドライアイとの関係について世界で初めて証明した。ドライアイにつながる危険因子を研究し、ドライアイ診断に関する国際的な基準づくりにも携わる。
予防医療の啓蒙活動にも力を入れ、『しまじろうとEye Care Book』幼稚園や保育園の先生の目の教科書となるような『子どもの目見守りサポートBook』を作成。
目の健康について学び、セルフケアができるよう、『ナカナイ涙』などのWebサイトの監修も手掛ける。

【所属学会】
日本眼科学会 / 日本眼科医会 / 日本角膜学会 / 小児眼科学会 / 日本弱視斜視学会 / ドライアイ研究会

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